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映写室ノート

映画を観て、思った事や感じた事を綴って行きます。※ネタバレありです。

【映画】『岸部露伴 ルーヴルへ行く』(2023年)謎多き最も黒い絵画が眠るルーヴル美術館!岸部露伴がその謎に挑み、隠された恐怖と真実に迫る! | ネタバレあらすじと感想

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◆映画『岸部露伴 ルーヴルへ行く』の作品情報

【英題】ROHAN AU LOUVRE

【監督】渡辺一貴

【脚本】小林靖子

【原作】荒木飛呂彦

【出演】高橋一生、飯豊まりえ、長尾謙杜、木村佳乃

【配給】アスミック・エース

【公開】2023年5月

【上映時間】119分

【製作国】日本

【ジャンル】ミステリーファンタジー

【視聴ツール】Netflix、吹替

◆キャスト
岸部露伴:高橋一生
エマ・野口:木村文乃
マルグリット:飯豊まりえ
フィリップ:安藤政信
佐倉美里:長尾卓磨
ゲオルギウス:奥野瑛太

◆ネタバレあらすじ
本作、「岸部露伴 ルーヴルへ行く」は、荒木飛呂彦のスピンオフ作品『岸部露伴は動かない』のエピソードを基にしたミステリーファンタジー映画です。主人公の岸部露伴は、「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズに登場する天才漫画家で、特殊能力「ヘブンズ・ドアー」を使い、人や物の記憶を本のように読み取り、操ることができます。本作は、その露伴がかつて体験した不思議な出来事を描いています。
物語は、露伴がまだ若手漫画家だった頃の回想から始まります。彼は日本の山奥の村で、不思議な美術品にまつわる話を聞きます。その美術品は「世界で最も黒い絵」と呼ばれ、フランスのルーヴル美術館に秘蔵されているというものです。この絵は、見る者に災厄をもたらすと言われ、その存在は美術館でもごく限られた人物しか知りません。この絵に興味を持った露伴は、数年後、実際にルーヴル美術館を訪れる決意をします。
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フランスに到着した露伴は、美術館の職員エマ・野口と出会い、彼女の案内で美術館の裏側に入り込みます。エマは日仏ハーフで、美術に対する深い知識を持ち、露伴に協力的です。彼女の助けを借り、露伴は絵が隠されている地下倉庫へと向かいます。しかし、そこにたどり着いた二人を待ち受けていたのは、想像を絶する恐ろしい出来事でした。
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「最も黒い絵」はただの美術品ではなく、見る者の心に直接働きかけ、過去の罪や後悔を浮き彫りにする呪われた絵画でした。この絵が描かれた背景には、何世紀も前の悲劇的な事件があり、絵そのものがある種の怨念を宿しているのです。露伴とエマはこの絵に触れたことで、次々と奇怪な現象に巻き込まれていきます。美術館の中で次々と人々が異変に見舞われ、恐怖に苛まれます。
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物語が進む中で、露伴は自身の能力「ヘブンズ・ドアー」を駆使して、絵に秘められた真実を探ろうとしますが、次第に自分自身の記憶や感情もこの呪われた絵によって乱されていきます。果たして、露伴はこの危機から逃れることができるのか?そして、「最も黒い絵」の正体とその背後にある悲劇とは何なのか?
映画は、ミステリーファンタジーの要素が巧妙に絡み合い、露伴が直面する恐怖と真実の探求が描かれています。美術館という閉鎖空間で繰り広げられるサスペンスと、露伴の内面世界が交錯する独特の世界観が特徴です。また、露伴の冷静で知的なキャラクターが、極限の状況でどのように行動するのかも見どころの一つです。視覚的にも美しく、ルーヴル美術館という壮大な舞台設定が、作品に一層の深みを与えています。

◆考察と感想
本作、「岸部露伴 ルーヴルへ行く」は、荒木飛呂彦の独特な作風を映像化した作品であり、ミステリーファンタジーが見事に融合した物語です。本作は、ルーヴル美術館という歴史と芸術の象徴的な舞台を背景に、岸部露伴という特殊能力を持つ漫画家が、呪われた美術品を巡る怪異に巻き込まれていく姿を描いています。映画を観た後、さまざまなテーマやメッセージが観客に響き、考察を深める余地が残されます。
まず、本作の核となるテーマは「芸術と呪い」、あるいは「過去と罪の象徴」です。「最も黒い絵」という美術品は、ただの絵画ではなく、過去の悲劇や人間の罪を映し出し、それを見る者に恐怖をもたらします。この「黒い絵」は、芸術が持つ力を暗示しているようにも見えます。芸術は時に人々を感動させる一方で、その背後に潜む歴史や個人的な物語、さらには悲劇までもが影響を及ぼすことがあるのです。露伴がこの呪われた絵に引き寄せられるのは、彼が漫画家として常に「真実」を求め、表現の核心に迫ろうとする姿勢と重なります。芸術家としての彼は、単なる表面的な美しさではなく、その裏に潜むものを暴き出す使命感を持っているため、この絵に強い興味を抱くのです。
次に、岸部露伴というキャラクターについての考察です。露伴は冷静かつ知的であり、超自然的な現象に対しても動じることなく対応します。しかし、この物語の中で彼は、単に異変に巻き込まれるだけではなく、自分自身の内面にも直面します。彼の「ヘブンズ・ドアー」という能力は、他人の記憶や感情を覗き見ることができる一方で、今回はその能力を用いても「最も黒い絵」に込められた真実にたどり着くのが難しいというジレンマに直面します。これにより、露伴は外部の問題だけでなく、自らの限界や過去と向き合う必要があることが強調されます。このような露伴の内面的な葛藤が、物語に深みを与えています。
また、映画の舞台となるルーヴル美術館も、重要な役割を果たしています。ルーヴルは世界中の美術品が集まる場所であり、その荘厳さや歴史的背景が映画の雰囲気を一層引き立てています。この場所を舞台に、現実と非現実が交錯するストーリーが展開されることは、観客に強いインパクトを与えます。ルーヴルは単なる美術館ではなく、作品の中では「秘密を抱えた場所」として描かれ、そこに隠された恐怖や呪いが徐々に明らかになるプロセスが緊張感を高めます。
感想としては、視覚的な美しさと緻密なストーリーテリングが融合したこの作品は、ファンのみならず初めて岸部露伴に触れる観客にも楽しめるものとなっています。高橋一生が演じる露伴は、原作の持つ独特の雰囲気を見事に再現しており、その冷静なキャラクター像が映画全体の緊張感を支えています。また、ルーヴル美術館という壮大な舞台設定や、呪われた絵の背後にある謎を解き明かす過程が、観客を飽きさせません。恐怖とミステリー、そして芸術に対する深い洞察が、見応えのある作品としてまとめられています。
一方で、原作に馴染みがない観客にとっては、露伴の特殊な能力や、物語に登場するファンタジー要素がやや突飛に感じられるかもしれません。特に「ヘブンズ・ドアー」という能力の設定は独特であり、事前知識がないと理解が難しい部分もありますが、それもまたこの作品の魅力の一部です。
総じて、「岸部露伴 ルーヴルへ行く」は、アートや呪い、そして人間の過去と罪というテーマを巧みに織り交ぜた、深く考えさせられる作品です。独自の世界観と高橋一生の演技が際立ち、観客を幻想的な物語へと引き込んでいきます。



評価点   78点
お薦め度  76点


2023年  119分  日本製作

 
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