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映写室ノート

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【映画】『デリヴァランス – 悪霊の家 -』(2024年)この作品が現実の出来事に発想を得た?異様なホラー映画の展開に目が離せない! | ネタバレあらすじと感想

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◆映画『デリヴァランス – 悪霊の家 -』の作品情報

【原題】Deliverance

【監督】リー・ダニエルズ

【脚本】デビッド・コッゲーシャル、イライジャ・パイナム

【出演】アンドラ・ディグレン・クローズ、モニーク、アンソニー・B・ジェンキンス他

【公開】2024年

【製作国】アメリカ

【ジャンル】ホラー

【配給】Netflix、吹替

【視聴ツール】Netflix、吹替
◆キャスト
エボニー・ジャクソン:アンドラ・デイ
アルバータ・ジャクソン:グレン・クローズ
アンドレ・ジャクソン(末息子):アンソニー・B・ジェンキンス
ネイサン・ジャクソン(長男):ケイレブ・マクラフリン
シャンテ・ジャクソン(娘):デミ・シングルトン
シンシア・ヘンリー(福祉士):モニーク

◆ネタバレあらすじと感想
映画『デリヴァランス - 悪霊の家 -』(2024年)は、実話に基づいたスーパーナチュラル・ホラー作品で、リー・ダニエルズ監督が手がけています。この映画は、アメリカ・インディアナ州で発生したラトーヤ・アモンズの家にまつわる恐怖の事件をもとに、エボニー・ジャクソンというシングルマザー(アンドラ・デイ)が、3人の子供と病を患う母親(グレン・クローズ)とともに新しい家に引っ越すところから物語が展開します。
新しい家で生活を始めた彼女たちは、次第に不気味な出来事に巻き込まれます。最初は子供たちの奇行や「想像上の友達」との会話といった軽微なものから始まり、やがて家族全員が次々と悪霊に取り憑かれる恐怖へと発展します。特に末息子のアンドレが強く影響を受け、黒魔術や霊的な現象が家族を襲い始めます。
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エボニー自身も過去にアルコールや薬物依存に苦しんでおり、家族関係はすでに緊張状態にあります。加えて、社会福祉士が定期的に彼女の家を訪れる状況の中で、家の中の超常現象がエスカレートしていく様子が描かれます。やがて、家族が直面する悪霊は、エボニー自身の内面の苦悩やトラウマとも深く関連していることが示されます。
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映画の後半では、悪霊の存在に気づいた家族と、エクソシズム(悪魔祓い)の儀式が行われます。母親のアルバータや牧師の協力を得て、エボニーは悪霊と戦いますが、その過程でさらなる恐怖が待ち受けています。
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最終的には、信仰と家族の絆を通じて悪霊を退けることができるものの、その過程で家族は深く傷つき、精神的にも肉体的にも大きな影響を受けることになります。
『デリヴァランス』は、単なるホラー映画ではなく、信仰や家族の再生といったテーマを掘り下げています。エボニーの過去の罪や内面の葛藤と、外部からの霊的な脅威が交錯する中で、彼女がいかにして家族を守るかが大きなテーマとなっています。

◆考察と感想
映画『デリヴァランス - 悪霊の家 -』を観た後の考察と感想は、作品のテーマや社会的背景を深く掘り下げることで、単なるホラー映画の枠を超えた感動と複雑さを感じさせます。本作は実話に基づいており、スーパーナチュラルな要素を取り入れつつ、家族の葛藤や社会的な問題を描き出しています。映画を観た際、視覚的な恐怖以上に、登場人物たちの内面の苦悩や信仰のテーマが強く心に残ります。

まず、物語の中心にあるのは、主人公エボニー・ジャクソン(アンドラ・デイ)が直面する家族の崩壊と再生です。彼女は過去のアルコール依存や薬物問題に苦しみ、その影響が家族関係に大きなひずみをもたらしています。子供たちが次第に悪霊に取り憑かれるという現象が進行する中で、エボニーは自らの罪や失敗と向き合わざるを得なくなります。彼女の苦悩は単なる外部の脅威でなく、内面の葛藤が具現化したものとも解釈でき、これが映画全体に深みを与えています。

また、映画が提示する信仰のテーマも非常に興味深いものです。エボニーの母親であるアルバータ(グレン・クローズ)は、信仰を持ち、家族を守るためにその力を信じています。彼女は悪魔祓いの儀式に積極的に参加し、最終的にエボニーが自分の過去を受け入れ、信仰を通じて悪霊を退けるまでの過程は、信仰が人を救う力として描かれています。この点に関しては、宗教的なテーマが重く描かれ、観客に対して信仰の意義について考えさせられます。一方で、世俗的な視点から見ると、家族の問題は信仰に頼らなくても解決できるのではないかという問いも浮かびます。宗教の役割がどのように機能するかを巡っては、観客の解釈に委ねられる部分が多いでしょう。
ホラー映画としての視点から見ると、超常現象や悪霊の描写は確かに恐怖を感じさせますが、それ以上に家族の内部で起こる感情的な緊張感や葛藤が強く描かれています。特に、エボニーが子供たちとの間に築いた不安定な関係性や、家族全体が過去のトラウマに苦しむ様子は、ホラーの要素以上に心理的なドラマとして印象深いものです。また、映画はエクソシズムや悪霊といったホラーの定番を取り入れつつも、その裏に隠された社会問題や精神的なテーマを深く掘り下げているため、観客にとって一種のカタルシスを提供しています。
しかし、作品全体としては賛否両論があるのも事実です。批評家の中には、ホラーとしてのテンションがやや不足していると感じる者もおり、観客に衝撃を与える恐怖感が十分に表現されていないと評価されています。また、ストーリーの展開がやや予測可能であり、ホラー映画としての新鮮さに欠けるという指摘もあります。それでも、リー・ダニエルズ監督の手によるキャラクターの掘り下げや、役者たちの力強い演技は高く評価されており、特にアンドラ・デイとグレン・クローズの演技は、映画の感情的な核となっています。
総じて、『デリヴァランス - 悪霊の家 -』は、家族の再生や信仰の力、過去のトラウマと向き合うことをテーマにした感情的なホラー映画です。ホラー映画としての驚きや恐怖よりも、心理的なドラマや宗教的なテーマに重きを置いているため、観客それぞれの視点で異なる解釈が可能です。映画を通じて、私たちは家族や信仰の意味について改めて考えさせられると同時に、過去の罪や失敗を乗り越えることの重要性を感じさせられます。


評価点   78点
お薦め度  74点


2024年  111分  アメリカ製作

 
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