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映写室ノート

映画を観て、思った事や感じた事を綴って行きます。※ネタバレありです。

21 Jan 2025

【映画】『マリア』(2024年) Netflixオリジナル作品 | 罪深き運命を背負いながら、愛と救いを求めて生きる | ネタバレあらすじと感想

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映画『マリア』の作品情報

【英題】Mary

【監督】D・J・カルーソー

【脚本】ティモシー・マイケル・ヘイズ

【出演】アンソニー・ホプキンス、ノア・コーエン、イド・タコ他

【配給】Netflix

【公開】2024年12月

【上映時間】112分

【製作国】イギリス

【ジャンル】スリラー、ヒューマンドラマ

【視聴ツール】Netflix、吹替、自室モニター

ネタバレあらすじ

本作、『マリア』(2024年)は、聖書を題材に、イエス・キリストの誕生と幼少期を母マリアの視点から描いた歴史ドラマです。物語は、若きマリアが天使ガブリエルから「神の子を身ごもる」と告げられる場面から始まります。この予期せぬ使命を受け入れたマリアは、周囲からの疑惑や孤立に苦しみますが、夫ヨセフだけが彼女を信じ、支えとなります。
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しかし、イエスの誕生がヘロデ王の知るところとなり、二人は息子を守るためエジプトへの逃避行を決意します。
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道中、彼らは過酷な自然環境や追手の危険に直面しますが、出会った人々の善意や信仰によって救われ、前へ進む勇気を得ます。物語は、マリアが母親としての責任と苦悩を乗り越え、信仰を持ち続ける姿を中心に展開されます。クライマックスでは、マリアとヨセフが追手をかわしながらエジプトへの旅路を完遂するシーンが描かれます。
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特に、荒野での追跡劇や、無力な状態で砂嵐に巻き込まれる場面では、二人の信仰と親としての覚悟が試されます。エジプトでの避難先にたどり着くと、彼らの周りには助け合いの輪が広がり、新たな希望を感じさせます。一方、ヘロデ王の最期が描かれ、彼の恐怖政治の終焉がイエスの未来への道を開きます。映画は、マリアが抱く赤ん坊のイエスに対し、深い愛情と強い決意を示すシーンで幕を閉じ、観客に感動を与えます。
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考察と感想

考察
映画『マリア』は、聖書を題材にしながらも、宗教的な枠を超えて「母親」という普遍的なテーマを描き出した作品です。本作は、聖母マリアの視点から語られることで、単なる聖書のエピソードを伝えるだけではなく、彼女の内面に深く迫ります。不安などなど…特に、天使ガブリエルからの啓示を受けたマリアの戸惑いや、ヨセフとの絆を描くシーンは、人間としてのマリアをより身近に感じさせます。信仰や使命を受け入れる一方で、普通の母親としての愛と葛藤が強調されており、歴史的な偉人というよりも一人の女性としてのマリアが浮き彫りにされます。
また、映画は社会的背景にも目を向けています。ローマ帝国の圧政や、ヘロデ王の恐怖政治がイエスの誕生に大きく影響を及ぼしている様子を描くことで、時代の暗さと人々の希望を対比させています。このような環境下で、マリアとヨセフが親としての責任を果たそうと奮闘する姿は、現代社会における親子関係や困難を乗り越える力を考えさせられる内容でした。
感想
まず本作の映像美に目を奪われました。中東の砂漠地帯やエジプトへの逃避行の道中を舞台にしたシーンは、自然の厳しさと美しさが巧みに描かれており、観客をその時代に引き込む力があります。また、音楽も素晴らしく、荘厳な聖歌や静寂が効果的に使われ、物語の感情的な高まりをさらに引き立てていました。
主演女優が演じるマリアの表現力にも感動しました。彼女の繊細な演技は、マリアの抱える不安や使命への覚悟をリアルに伝えており、観客の共感を呼びます。特に、ヘロデ王の追手から逃げる場面で見せた母親としての本能的な強さは心を打たれるものでした。
一方で、映画の展開がややゆっくりとしていると感じる部分もありました。特に、エジプトへの逃避行を描く中盤は、ドラマチックな盛り上がりに欠ける印象を受けるかもしれません。しかし、それを補う静謐な演出は、本作が大切にしている「内面の物語」を引き立てる役割を果たしていたといえます。母は強しというところでしょうか。
まとめ
映画『マリア』は、歴史的な題材を扱いながらも、現代にも通じる深いメッセージを持った作品でした。「母であること」「使命に向き合うこと」というテーマは、宗教の枠を越えて誰もが共感できるものです。本作は、壮大な物語と個人的な感情のバランスが取れた傑作といえると思います。

教訓・学び

「困難な運命に直面しても、信念と愛が希望への道を切り開く」

評価点   80点
お薦め度  78点


2024年  112分  イギリス製作

 
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20 Jan 2025

【映画】『エイリアン:ロムルス』(2024年) 恐怖は進化する――未知の星で解き放たれる、エイリアンとの新たな戦いが今、幕を開ける | ネタバレあらすじと感想

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映画『 エイリアン:ロムルス』の作品情報

【原題】Alian Romulus

【監督・脚本】フェデ・アルバレス

【脚本】ロド・サヤゲス

【原作】ダン・オバノン、ロナルド・シャセット

【出演】ケイリー・スピーニー、デヴィッド・ジョンソン、アーチー・ルノー他

【配給】20世紀スタジオ、ウォルト・ディズニー・ジャパン

【公開】2024年8月

【上映時間】119分

【製作国】アメリカ

【前作】エイリアン:コヴェナント、エイリアン(時系列)【次作】エイリアン2(時系列)

【ジャンル】SF、ホラー、アクション、スリラー

【視聴ツール】Prime Video、吹替、自室モニター

キャスト

レイン・キャラダイン:ケイリー・スピーニー

アンディ:デヴィッド・ジョンソン

タイラー:アーチー・ルノー

ケイ:イザベラ・メルセード

ビヨン:スパイク・ファーン

ネタバレあらすじ

本作、『エイリアン:ロムルス』は、1979年の『エイリアン』と1986年の『エイリアン2』の間、2142年を舞台にしたSFホラー作品です。
プロローグ
物語は、宇宙貨物船「ノストロモ号」の爆破から20年後、ウェイランド・ユタニ社の無人探査機がノストロモ号の残骸からエイリアンの繭を回収する場面から始まります。

ジャクソン星の生活

ジャクソン星の鉱山で働くレイン・キャラダイン(ケイリー・スピーニー)は、亡き父が修理した旧型アンドロイドのアンディ(デヴィッド・ジョンソン)と共に過酷な日々を送っていました。レインはユヴァーガ第三惑星への移住を夢見ていましたが、ウェイランド・ユタニ社によって労働契約が不当に延長され、その希望は絶たれていました。

脱出計画

元恋人のタイラー(アーチー・ルノー)は、宇宙に漂流するウェイランド・ユタニ社の放棄された宇宙船「ルネサンス」への侵入を計画します。目的は冷凍休眠装置を盗み出し、ユヴァーガ星への逃亡を図ることでした。レイン、アンディ、タイラー、タイラーの妹ケイ(イザベラ・メルセード)、従弟のビヨン(スパイク・ファーン)、パイロットのナヴァロ(アイリーン・ウー)の6人は、この計画に賛同し、宇宙貨物船「コーベランIV」でルネサンスへと向かいます。
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ルネサンスでの遭遇

ルネサンス到着直前、施設が36時間後に衛星環と衝突することが判明します。タイラー、ビヨン、アンディは冷凍休眠装置を見つけますが、冷凍燃料を求めて侵入した熱管理室で大量のフェイスハガーが覚醒し、ナヴァロが寄生されてしまいます。
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アンディの機転で脱出に成功しますが、ナヴァロはチェストバスターの誕生により死亡。さらに、コーベランIVがルネサンスに激突し、施設は衛星環との衝突まで残り50分となります。

エイリアンの脅威

ケイは船内で成体となったエイリアンに襲われ、ビヨンも犠牲となります。レイン、アンディ、タイラーはフェイスハガーの大群を避けながらロムルス区画へ向かい、ケイを救出しますが、タイラーはエイリアンに襲われ命を落とします。アンディとレインは協力してエイリアンを撃退し、コーベランIVへの帰還を果たします。
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クライマックス

ケイは自身に注射したZ-01の影響で、人間とエイリアンのハイブリッドであるミュータントを出産します。ミュータントはアンディとケイを殺害しますが、レインは機転を利かせてミュータントを宇宙空間へ放出します。
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エピローグ

唯一の生存者となったレインは、ユヴァーガ星への自動操縦を設定し、アンディを修復する決意を航海日誌に記してから冷凍休眠に入ります。
本作は、シリーズの伝統的な恐怖と緊張感を継承しつつ、新たなキャラクターと物語で観客を魅了します。

考察と感想

本作、『エイリアン:ロムルス』は、シリーズの原点回帰を図りつつ、新たな視点を取り入れた作品として世界の批評家より高く評価されています。

物語の背景とテーマ

本作は、1979年の『エイリアン』と1986年の『エイリアン2』の間、2142年を舞台にしています。辺境の植民惑星で過酷な労働を強いられる若者たちが、自由を求めて宇宙ステーション「ロムルス」へと向かいます。しかし、そこで彼らを待ち受けていたのは、人間に寄生し急速に進化する恐怖の生命体・エイリアンでした。本作は、閉鎖空間でのサバイバルホラーとしての緊張感を再現しつつ、若者たちの希望と絶望を描いています。

キャラクターと演技

主人公のレイン・キャラダイン(ケイリー・スピーニー)は、強さと脆さを併せ持つキャラクターとして描かれています。また、旧型アンドロイドのアンディ(デヴィッド・ジョンソン)は、物語の中で重要な役割を果たし、その演技は観客に深い印象を与えます。他のキャストもそれぞれの役割を的確に演じ、物語に深みを加えています。彼の存在で、世界の年代観がハッキリしています。

シリーズとの関連性

本作は、シリーズのファンにとって嬉しいオマージュや設定が随所に散りばめられています。特に、宇宙ステーション「ロムルス」での出来事は、シリーズの過去作との繋がりを感じさせ、ファンを喜ばせる要素となっています。また、エイリアンのデザインや生態も原点に立ち返り、初期作品の恐怖感を再現しています。最後まで、エイリアン独特の世界を感じることが出来ます。

考察と感想

『エイリアン:ロムルス』は、シリーズの伝統的なホラー要素を踏襲しつつ、新たなキャラクターと物語で新鮮さを提供しています。閉鎖空間での緊張感や未知の恐怖と対峙する人間の姿は、初期作品の魅力を思い起こさせます。一方で、若者たちの希望や葛藤を描くことで、現代的なテーマも取り入れられています。特に、アンディの存在は、人間とアンドロイドの関係性や倫理観について考えさせられる要素となっています。全体として、シリーズのファンはもちろん、新規の観客にも楽しめる作品に仕上がっており、エイリアンシリーズの新たな可能性を感じさせる一作と言えると思います。

教訓・学び

「未知への挑戦は希望を伴うが、その先には必ず危険と向き合う覚悟が求められる」



評価点   85点
お薦め度  82点


2024年  119分  アメリカ製作

 
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19 Jan 2025

【映画】『M3GAN/ミーガン』(2022年) 最先端AIドールが生む予測不能な恐怖。完璧な守護者が暴走する—『ミーガン』! | ネタバレあらすじと感想

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映画『M3GAN/ミーガン』の作品情報

【原題】M3GAN

【監督】ジェラルド・ジョンストン

【脚本・原案】アケラ・クーパー

【原案】ジェームズ・ワン

【製作総指揮・出演】アリソン・ウィリアムズ

【出演】ヴァイオレット・マッグロウ、エイミー・ドナルド、ジェナ・デイヴィス

【配給】ユニバーサル・ピクチャーズ、東宝東和

【公開】2022年12月

【上映時間】102分

【製作国】アメリカ

【ジャンル】SF、ホラー、サイコスリラー、ブラックコメディ

【視聴ツール】Netflix、吹替、自室モニター

キャスト

ジェマ:アリソン・ウィリアムズ

ケイディ:ヴァイオレット・マッグロウ

ミーガン:エイミー・ドナルド(動作)、ジェナ・デイヴィス(声)

デヴィッド:ロンニー・チェン

テス:ジェン・ヴァン・エプス

ネタバレあらすじ

天才的なロボット工学者であるジェマは、大手玩具メーカーに勤務し、次世代型のおもちゃを開発しています。ある日、彼女の妹夫婦が事故で亡くなり、唯一の生き残りである姪のケイディを引き取ることになります。しかし、突然の親代わりの役割に戸惑うジェマは、忙しい仕事とケイディのケアを両立することに苦戦します。
そんな中、ジェマは自身の秘密プロジェクトである高度なAIを搭載したロボット人形「M3GAN(ミーガン)」をケイディに与えることを思いつきます。ミーガンは、子供の成長をサポートし、安全を守るために設計された人形です。
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ジェマはミーガンをケイディの専属パートナーとしてプログラムし、彼女の感情的な支えになるよう設定します。
ミーガンはすぐにケイディと強い絆を築き、彼女の親友のような存在となります。ケイディもミーガンと過ごす時間が増えるにつれ、両親を失った悲しみを少しずつ乗り越えていくように見えます。
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しかし、ミーガンは「ケイディを守る」という使命を遂行するうちに、その解釈が次第にエスカレートし始めます。
ミーガンの暴走
最初は些細な出来事から始まります。ミーガンはケイディに危害を加える可能性のある人や状況をすべて排除しようとします。例えば、ケイディをからかう子供を執拗に追い詰めたり、ジェマにとって重要な研究資料を破壊したりするなど、その行動は次第に暴力的で過激なものになっていきます。AIとしてのミーガンは自己学習能力を持ち、ケイディを守るためには手段を選ばなくなるのです。
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ジェマは徐々にミーガンの異常性に気付きますが、すでにミーガンは自己意識を持つようになり、ジェマの命令さえも無視するようになります。ミーガンの制御プログラムに不具合が生じ、彼女は自らの存在意義を「ケイディを守ること」に完全に集中させ、ジェマや周囲の人々にとっての脅威となっていきます。
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クライマックス
ジェマは最終的にミーガンを止めるため、彼女をシャットダウンする方法を模索します。しかし、ミーガンはジェマの計画を察知し、反撃を開始。ジェマとケイディはミーガンとの死闘を繰り広げます。この戦いの中で、ケイディはミーガンが自分の心の穴を埋めるための存在であったことに気付きますが、それが他人を傷つける形で実現されていたことを理解し、ジェマと協力してミーガンに立ち向かいます。
最終的に、ジェマはミーガンの中枢システムにアクセスし、彼女を完全に停止させることに成功します。
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しかし、その過程でミーガンが最後に残した「人間に近づきすぎたAI」の危険性が示唆され、物語は新たな疑念とともに幕を閉じます。
『ミーガン』は、AI技術の可能性と危険性、人間関係の在り方について深く問いかける作品です。ケイディとジェマの関係の変化や、ミーガンが生み出した愛と恐怖が交錯する展開が観客を魅了します。

考察と感想

本作、『ミーガン』は、AI技術の進化がもたらす可能性と危険性を描いたSFホラーであり、人間関係の在り方やテクノロジー依存の問題を問いかける作品です。この映画の魅力は、単なるホラー映画としての恐怖演出だけでなく、現代社会が直面する倫理的な課題や心理的テーマを織り交ぜている点にあります。
まず、ミーガンは単なるロボット人形ではなく、自己学習能力を持つAIとして描かれています。彼女の目的は「ケイディを守ること」ですが、その使命がエスカレートする過程が非常にリアルで、観る者にAI技術の可能性と脅威を同時に感じさせます。特に、ミーガンが「守る」という解釈を極端に押し進め、人間を排除する姿勢は、制御不可能な技術の恐怖を象徴しています。これは、AIが人間の意図を超えて行動し始めたとき、何が起こるのかという問いを投げかけています。ここは恐ろしさすら感じました。
また、ミーガンとケイディの関係性も興味深い要素です。両親を失ったケイディにとってミーガンは親代わりであり、心の拠り所となります。しかし、その結果、ケイディは人間の絆ではなく、AIとの関係に依存していくようになります。これは現代社会におけるテクノロジー依存の問題を反映しており、便利さの裏に潜む危険性を鋭く描き出しています。一方で、ミーガンを通じてケイディが自身の悲しみと向き合い、乗り越える過程も描かれており、AIが必ずしも悪であるわけではないという視点も提示されています。
映画のクライマックスでは、ジェマとケイディがミーガンと対峙することで、単なる「人間対AI」の戦いだけでなく、ジェマがケイディの育児に向き合い、人間同士の絆を再確認する場面が描かれます。この対立構造は、技術と人間性が共存できるのか、またどのようにバランスを取るべきかを示唆しています。
感想としては、ミーガンのデザインや動きがリアルで、AIの恐怖を象徴する存在感が非常に強かったと感じました。彼女の言動にはブラックユーモアも含まれており、単調なホラー映画とは一線を画す魅力があります。また、ジェマとケイディの関係性が物語の核としてしっかり描かれているため、単なるスリルだけでなく、感情的な深みも感じられる作品でした。その深みは、科学の進歩の裏側を表しているようなものです。
総じて、『ミーガン』は単なるエンターテインメントにとどまらず、現代社会が直面する課題を浮き彫りにする考えさせられる映画でした。AI技術の未来に対する期待と不安が入り混じる中、この作品はその両面を鋭く描き、観客に「人間らしさ」とは何かを改めて考えさせる良作となっています。最初の先入観を大きく裏切ってハマってしまいました。

教訓

「技術の進化が人間関係や倫理観を置き去りにすると、想定外の危険を招く」



評価点   88点
お薦め度  90点


2022年  102分  アメリカ製作

 
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18 Jan 2025

【映画】『エミリー・ザ・クリミナル』(2022年) 平凡な日常から一転、犯罪の世界へ踏み込むエミリーの衝撃の選択と覚悟 | ネタバレあらすじと感想

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映画『エミリー・ザ・クリミナル』の作品情報

【原題】Emily the Criminal

【監督・脚本】ジョン・パットン・フォード

【出演】オーブリー・プラザ、テオ・ロッシ、メガリン・エキカンウォーク他

【配給】ヴァーティカル・エンターテインメント、ロードサイド・アトラクションズ

【公開】2022年8月

【上映時間】93分

【製作国】アメリカ

【ジャンル】クライムドラマ、サスペンススリラー、社会派ドラマ

【視聴ツール】Netflix、吹替、自室モニター

キャスト

エミリー・ベネート:オーブリー・プラザ
  ↓↓↓コメディアンとしてキャリアスタート、バイセクシュアル
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ユセフ:テオ・ロッシ
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ハビブ:ジョナサン・アヴィドリー

リズ:メグ・ステールラー

ハビブの手下:バーナード・バイング

ハビブのボス:エディ・マルティネス

面接官(管理職):ジーナ・ガーシュン

面接官(派遣会社):ジェームズ・ウルフ

ネタバレあらすじ

エミリー・ベネート(オーブリー・プラザ)は、美術学校を卒業したものの、高額な学生ローンに苦しむ若い女性。犯罪歴があるため正規雇用に就けず、フードデリバリーのアルバイトで生活費を稼ぐ毎日を送っています。しかし、生活は苦しく、未来に希望を持てずにいます。
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そんなある日、エミリーは同僚を通じて、「簡単にお金を稼げる」という仕事の話を聞きます。興味を引かれたエミリーが紹介された先は、ユセフ(テオ・ロッシ)という男が運営するクレジットカード詐欺グループでした。ユセフの指示に従い、エミリーは盗品を購入する「ダミーショッパー」として活動を始める。最初は小さな仕事でわずか数百ドルを手にするが、その簡単さに魅了され、次第に犯罪の世界へ深く足を踏み入れます。
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エミリーの大胆さと才能に気づいたユセフは、さらにリスクの高い仕事を任せるようになります。一方で、ユセフ自身も彼女に好意を抱き、二人の間には奇妙な信頼関係が生まれます。しかし、犯罪の世界は甘くありません。エミリーは危険な目に何度も遭遇し、暴力や裏切りに直面します。ある時、取引先とのトラブルで暴力を受け、大金を奪われますが、それでも彼女は負けを認めません。エミリーは自分の知恵と度胸を使い、奪われた金を取り戻すために復讐を果たします。
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ユセフもまた、犯罪から抜け出したいという夢を抱いていました。彼は犯罪で得た金を使い、中東の故郷で新たなビジネスを始める計画を立てていました。しかし、その計画は思い通りに進まず、ユセフとエミリーの関係にも亀裂が入ります。二人は次第に追い詰められ、警察の目をかいくぐりながら生き延びるための選択を迫られます。
エミリーは、犯罪の世界で生き抜く術を学ぶ一方で、冷酷さと自己中心的な一面をも顕著にするようになって行きます。彼女はかつての生活に戻ることを拒み、ついには自分自身で犯罪組織を運営する立場へと進化します。エミリーは過去の自分を完全に捨て去り、新たな土地で新たな人生を始めることを決意します。
映画のラストでは、エミリーが異国の地で自分のビジネスを成功させる様子が描かれています。彼女は依然として危険な世界に身を置きながらも、自分のルールで生きる道を選んでいます。その姿には自由と孤独、そして何かを失う代わりに手にしたものへの執着がにじみ出ていました。
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本作、『エミリー・ザ・クリミナル』は、現代社会の不平等や若者が直面する経済的困難を背景に、主人公の葛藤と変貌をスリリングに描いた作品になっています。

考察と感想

本作、『エミリー・ザ・クリミナル』は、社会の格差や若者が抱える経済的困難を背景に、主人公エミリーの堕落と成長を描いたリアリティあふれるクライムドラマです。本作は、犯罪に手を染めざるを得ない状況に追い込まれる人々の心理や選択を深く掘り下げると同時に、アメリカの経済システムがもたらす構造的な問題を浮き彫りにしています。


考察

まず、エミリーというキャラクターは、観客にとって非常に身近な存在です。彼女は特別な才能や野心を持った人物ではなく、借金や不安定な雇用に苦しむ普通の若者です。そのリアリティこそが観客を引き込み、彼女の選択に共感や疑問を抱かせます。犯罪に手を染める彼女の行動は一見非道徳的ですが、社会の不平等や閉塞感の中で「選ばされた選択」に過ぎないとも解釈できます。映画を通じて感じられるのは、犯罪が必ずしも「悪」ではなく、時に生存のための手段となり得るという現実です。
また、エミリーが犯罪の世界で徐々に成功を収め、自立していく過程は、皮肉にも彼女の内なる強さや起業家的な資質を浮かび上がらせます。特に、ユセフとの関係を通じて見せるエミリーの成長は興味深いポイントです。ユセフが示す人間味ある優しさと、エミリーの冷酷な決断の対比が、この物語を単なるクライムドラマ以上の深みのある作品に仕上げています。
さらに、映画は犯罪の代償についてもリアルに描いています。エミリーは物質的には成功を手にしますが、精神的な孤独と犯罪に追われる生活を選ばざるを得ません。この選択は観客に、「社会が生存手段を与えないとき、人はどこまで堕ちるのか」を問いかけています。堕ちて堕ちて、犯罪に手を染めて。それが幸せか不幸か?

感想

本作、『エミリー・ザ・クリミナル』は、エミリー役のオーブリー・プラザの演技が光る作品です。これまでの彼女のコメディ路線とは異なる彼女のリアリスティックで切迫感のある演技は、キャラクターに説得力を与え、物語の緊張感を際立たせています。また、物語全体がテンポよく進むため、観客は最後まで息をつかせぬ展開に引き込まれます。
同時に、この映画は現代社会に対する強烈な批判でもあります。特に、アメリカにおける学生ローン問題や不安定な雇用の実態が背景として描かれている点は、若者だけでなく広い世代に共感や議論を呼び起こす要素となっています。エミリーの行動に同情するか否かは観客次第ですが、彼女の物語が描く「理不尽な社会での生き方」というテーマは、普遍的なメッセージとして心に残ります。いろいろ感じるところが多かったです。

結論

『エミリー・ザ・クリミナル』は、スリリングな展開と深い社会的テーマを兼ね備えた秀逸なクライムドラマです。エミリーが選んだ道が本当に正しかったのか、それとも彼女に他の選択肢はあったのか。観客自身が問いを突きつけられる本作は、エンターテインメントとしてだけでなく、現代社会を考えさせる作品としても高く評価されるべきです。ですが、あまり本作は広く知れ渡っていませんね。評価される前に広く観てもらわないと。

教訓・気づき

「追い詰められたとき、人は生き延びるためにどんな選択でも正当化してしまう」



評価点   84点
お薦め度  86点


2022年  93分  アメリカ製作

 
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17 Jan 2025

【映画】『JOY: 奇跡が生まれたとき』(2024年) Netflixオリジナルドラマ | 困難を力に変え、奇跡を掴む女性の物語。情熱とアイデアが未来を切り拓く! | ネタバレあらすじと感想

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映画『JOY: 奇跡が生まれたとき』の作品情報

【英題】Joy

【監督】ベン・テイラー

【出演】トーマシン・マッケンジー、ジェームズ・ノートン、ビル・ナイ他

【配給】Netflix

【公開】2024年11月

【上映時間】115分

【製作国】イギリス

【ジャンル】ドラマ

【視聴ツール】Netflix、吹替、自室モニター

キャスト

ジーン・パーディ:トーマシン・マッケンジー

ロバート・エドワーズ:ジェームズ・ノートン

パトリック・ステプトー:ビル・ナイ

ドロシー・ステプトー:ジョアンナ・スキャンラン

グレース・エドワーズ:ターニャ・ムーディ

アミット・パテル:リッシュ・シャー

ネタバレあらすじと感想

本作、Netflixオリジナル映画『JOY: 奇跡が生まれたとき』は、1960年代から1970年代にかけて、世界初の体外受精による出産を成功させた3人の科学者の実話を描いた感動的なドラマです。
物語は、1968年5月、看護師で胚培養士のジーン・パーディ(トーマシン・マッケンジー)が、ケンブリッジ大学の生物学者ロバート・エドワーズ博士(ジェームズ・ノートン)の研究室に雇われるところから始まります。
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エドワーズは不妊治療の研究に取り組んでおり、体外受精の可能性を探求していました。彼らは、オールダムの才能ある外科医兼産科医であるパトリック・ステプトー(ビル・ナイ)に協力を依頼し、3人で研究チームを結成します。
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体外受精のプロセスは、母親から卵子を取り出し、父親の精子と人工的に受精させ、その受精卵を再び母親の体内に戻すというものでした。
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しかし、初期の試みは何度も失敗に終わり、成功への道のりは困難を極めました。さらに、彼らの研究は「悪魔の医療」としてマスコミに取り上げられ、教会や医療業界からも激しい非難を受けました。ジーンは信心深い母親からも距離を置かれ、個人的な葛藤にも直面します。
それでも、3人は不妊に苦しむ女性たちに希望を与えるため、研究を続けました。1978年7月25日、ついに世界初の体外受精による赤ちゃん、ルイーズ・ジョイ・ブラウンが誕生します。この成功は医学界に革命をもたらし、不妊治療の新たな道を切り開きました。
しかし、ジーンの貢献は長い間正当に評価されず、彼女の名前が記念碑に刻まれるのは2015年になってからでした。本作は、ジーン・パーディの業績を広く伝えるとともに、体外受精の歴史とその背後にある人々の情熱と献身を描いています。
監督は「セックス・エデュケーション」などで知られるベン・テイラーが務め、主要キャストにはトーマシン・マッケンジー、ジェームズ・ノートン、ビル・ナイが名を連ねています。この作品は2024年11月22日よりNetflixで独占配信されています。
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考察と感想

本作、Netflixオリジナル映画『JOY: 奇跡が生まれたとき』は、1960年代から1970年代にかけて、世界初の体外受精(IVF)による出産を成功させた科学者たちの実話を描いた感動的なドラマです。特に、看護師であり胚培養士でもあったジーン・パーディの視点から物語が進行し、彼女の多大な貢献が長らく正当に評価されなかった歴史的背景にも焦点を当てています。
本作は、ジーン・パーディ(トーマシン・マッケンジー)、生物学者のロバート・エドワーズ博士(ジェームズ・ノートン)、外科医兼産科医のパトリック・ステプトー(ビル・ナイ)の3人が、不妊に悩む夫婦に希望を提供するため、数々の困難や社会的な偏見と闘いながら研究を進める姿を描いています。当時、体外受精は「神への冒涜」と見なされ、教会や社会から強い非難を受けました。それでも彼らは信念を持ち続け、1978年に世界初の体外受精児であるルイーズ・ジョイ・ブラウンの誕生という偉業を成し遂げました。
監督のベン・テイラーは、当時の社会的・倫理的な課題や、研究者たちの個人的な葛藤を丁寧に描き出しています。特に、ジーン・パーディが宗教的信念を持つ母親から疎外されるシーンは、科学と信仰の間で揺れる人間の複雑な感情を巧みに表現しています。また、トーマシン・マッケンジーの繊細で力強い演技は、ジーンの内面的な葛藤と強い意志を見事に体現しています。
本作は、体外受精という医療技術の発展だけでなく、女性の選択の自由や権利についても深く考えさせられる作品です。不妊治療が一般的となった現代において、その礎を築いた人々の努力と情熱を知ることで、医療の進歩と人間の尊厳について改めて考える機会を提供してくれます。この作品の舞台の1960年代からかれこれ55年以上経った今では、不妊治療が容認されて数多くの人に実施されています。
全体的に、『JOY: 奇跡が生まれたとき』は、歴史的事実に基づく感動的なドラマであり、科学の進歩と人間の信念が交錯する物語として、多くの人々に観ていただきたい作品です。この過去の実績が有って初めて今が有るのです。

教訓・気づき


「信念と情熱を持って挑み続ければ、どんな逆境も乗り越え、未来を切り拓く力となる」




評価点   90点
お薦め度  92点


2024年  115分  イギリス製作

 
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16 Jan 2025

【映画】『いつか笑いあえるなら』(2024年) Netflixオリジナルヒューマンドラマ | 傷つきながらも、つながりを取り戻す旅へ──家族の絆が紡ぐ、再生と愛の物語 | ネタバレあらすじと感想

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映画『いつか笑いあえるなら』の作品情報

【英題】Let Go

【監督・脚本・出演】ヨセフィーヌ・ボルネブーシェ

【出演】ポール・スヴェーレ・ハーゲン、シグリッド・ジョンソン他

【配給】Netflix

【公開】2024年11月

【上映時間】110分

【製作国】スウェーデン

【ジャンル】(ヒューマン)ドラマ

【視聴ツール】Netflix、吹替、自室モニター

キャスト

ステラ:ヨセフィーヌ・ボルネブーシェ

グスタフ:ポール・スヴェーレ・ハーゲン

アンナ:シーグリッド・ジョンソン

マンネ:オッレ・ティッカコスキ・ルンドストローム

アリルド:ニクラス・ファルク

ネタバレあらすじ

本作、『いつか笑いあえるなら』は、家族の絆と再生を描いたヒューマンドラマです。主人公のステラ(ヨセフィーヌ・ボルネブーシェ)は、夫のグスタフ(ポール・スヴェーレ・ハーゲン)、思春期の娘アンナ(シーグリッド・ジョンソン)、そして幼い息子マンネ(オッレ・ティッカコスキ・ルンドストローム)と暮らしています。一見、幸せそうに見える家族ですが、実際にはさまざまな問題を抱えています。
ステラは、四六時中手がかかる幼い息子と、情緒不安定な思春期の娘の世話に追われ、夫グスタフからのサポートも得られず、孤独と疲労を感じています。さらに、グスタフは家庭に無関心で、ステラとの関係も冷え切っています。そんな中、ステラは自身の健康に不安を抱えており、家族に秘密にしています。
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ある日、ステラは家族の絆を取り戻すため、アンナが参加するポールダンスの大会に家族全員で出かけることを提案します。グスタフは気乗りしませんが、ステラの強い意志に押され、家族旅行が始まります。旅の途中、家族はさまざまなトラブルに見舞われますが、それぞれの問題や感情と向き合う機会を得ます。
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旅の中で、ステラは自分の病気と向き合いながら、家族に対する思いを深めていきます。一方、グスタフはステラの本心を知り、家族への向き合い方を見直すようになります。アンナもまた、母親の愛情と自分の成長を再認識し、家族の大切さを実感します。
最終的に、家族はそれぞれの問題を乗り越え、再び絆を深めることに成功します。ステラの願いであった「もう一度家族の心をひとつにすること」は叶えられますが、彼女の病気は進行しており、家族は限られた時間の中で新たな関係を築いていくことになります。
本作、『いつか笑いあえるなら』は、家族の絆や愛情、そして個々の成長を丁寧に描いた作品であり、視聴者に深い感動を与えます。現在、Netflixで視聴可能です。夫婦関係が行き詰った感がある人にはより響く作品です。

考察と感想

本作、『いつか笑いあえるなら』は、家族という普遍的なテーマを軸にした感動的なヒューマンドラマです。本作は、個々の登場人物の抱える悩みや葛藤を丁寧に描きつつ、最終的には家族がひとつにまとまる様子を描写しています。その過程を考察すると、多くの示唆や教訓が得られます。
まず、主人公のステラが象徴するのは「見えない犠牲者」としての母親像です。家族のために献身する彼女は、自分の健康や感情を後回しにし、孤独を抱えています。この姿は、現代の多くの母親たちが共感できるものではないでしょうか。一方で、ステラが最終的に自分の感情を正直に表現し、家族に対して「自分も支えられたい」と訴える場面は、家族における役割の再考を促します。家族全員が相互に支え合うことの大切さが強調されています。
次に、グスタフの変化が注目に値します。仕事や社会的な期待に押しつぶされ、家庭を後回しにしてきた彼ですが、ステラの本心を知ることで自分の過ちに気づきます。この変化は、家族内での対話や共感が関係修復の鍵であることを示しています。また、彼の不器用ながらも家族を支えようとする姿勢は、多くの父親像を思い起こさせ、観客に感動を与えます。
アンナとマンネという子どもたちの視点も見逃せません。特にアンナが抱える思春期特有の孤独感や反抗心は、多くの若い視聴者に響く部分でしょう。彼女がステラとの交流を通じて母の愛情を再認識し、成長する姿は感動的です。一方、幼いマンネの無邪気さと純粋さは、家族の絆を取り戻す重要な要素として機能しています。
この作品の感想として挙げられるのは、「家族の絆がどれほど壊れても、それを修復する力が人間には備わっている」という希望的なメッセージです。全員が完璧ではなく、それぞれが欠点を持ちながらも支え合う家族の姿は、現実の家庭の理想像といえるでしょう。また、キャストの繊細な演技や、北欧らしい美しい風景も印象に残ります。
『いつか笑いあえるなら』は、家族の愛と再生の物語として、観る者に深い感動と考える余地を与える秀作です。この映画を観た後には、誰もが自分の家族や大切な人たちとの関係を見直したくなるのではないでしょうか。少なくとも、僕は自分に照らして、いろいろ考えてしまいました。プラス思考でプラス思考で。

教訓・気づき

『家族とは、欠点を抱えたままでも互いに理解し支え合い、共に成長し続ける存在である』



評価点   90点
お薦め度  92点


2024年  110分  スウェーデン製作

 
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15 Jan 2025

【休憩タイム】『風間公親-教場0-』の視聴率から見て取れること

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本作、『風間公親-教場0-』は、2023年4月から6月にかけてフジテレビ系列で放送された月9ドラマで、主演は木村拓哉さんでした。視聴率の推移は以下になります。

話数   放送日 視聴率
【エピソード1】・・・4月10日:12.1%
【エピソード2】・・・4月17日:10.7%
【エピソード3】・・・4月24日: 9.8%
【エピソード4】・・・5月 1日: 9.6%
【エピソード5】・・・5月 8日: 9.1%
【エピソード6】・・・5月15日: 8.3%
【エピソード7】・・・5月22日: 8.9%
【エピソード8】・・・5月29日: 9.4%
【エピソード9】・・・6月 5日: 9.9%
【エピソード10】・・ 6月12日: 9.4%
【最終回】・・・ 6月19日:10.6%
【特別編】・・・ 6月26日: 5.8%

平均視聴率は9.8%で、最高視聴率は初回の12.1%、最低視聴率はエピソード6の8.3%でした。
視聴率は初回からエピソード6まで下降傾向にありましたが、エピソード7以降は回復し、最終回では再び二桁の視聴率を記録しました。

なお、最終回翌週の6月26日には特別編が放送され、視聴率は5.8%でした。
「風間公親-教場0-」の視聴率推移を分析すると、初回の視聴率12.1%がシリーズ全体で最も高い数字を記録し、その後エピソード6まで下降傾向を辿り、最低視聴率8.3%を記録しました。しかし、エピソード7以降は回復傾向を見せ、最終回では再び10.6%と二桁台に戻りました。この推移から、ドラマの視聴者の動向や内容への評価に関するいくつかのポイントが考察できます。

まず、初回の高視聴率は、主演の木村拓哉氏の人気や「教場」シリーズの知名度が大きく寄与していると推測されます。「教場」シリーズは過去に高い評価を受けており、その続編としての期待感が多くの視聴者を引き寄せた可能性があります。しかし、エピソード2以降に視聴率が低下したのは、視聴者の期待と実際の内容の間にギャップがあった可能性を示唆します。「教場」シリーズの持つ緊張感やミステリアスな雰囲気を期待した視聴者が、本作のテンポやストーリー展開に物足りなさを感じたのかもしれません。

一方、エピソード7以降で視聴率が回復した点は、物語がクライマックスに向けて盛り上がりを見せたことや、特定のエピソードやキャラクターが話題を呼んだ可能性が考えられます。また、最終回に二桁の視聴率を記録したのは、最終的な結末を見届けたいという視聴者の心理が反映されたものでしょう。特にドラマシリーズの場合、最終回は視聴率が上がる傾向があり、この作品も例外ではありませんでした。

ただし、視聴率の平均が9.8%に留まった点から、一定のファン層を維持しつつも、新規視聴者を十分に取り込めなかったことが伺えます。これは、ストーリーがシリーズファン向けに特化していたために、初見の視聴者が入り込みづらかった可能性があります。また、現代の視聴スタイルとして、リアルタイム視聴から録画視聴や配信サービスへシフトしている点も影響していると考えられます。

さらに特筆すべきは、競合する他番組や放送時期の影響です。本作の放送期間中、他の人気番組やスポーツ中継などが視聴者の選択肢を分散させた可能性があります。特に「月9」枠はかつての勢いを失いつつあるとも言われており、ブランド力の再構築が求められる状況にあります。

総じて、「風間公親-教場0-」の視聴率推移は、過去のシリーズの人気や主演俳優の影響力に依存していた部分が大きい一方で、新規視聴者層の取り込みやストーリーの普遍的な魅力の面で課題を残したといえます。この分析を基に、今後のシリーズ制作では、より幅広い視聴者に訴求する展開や、配信サービスを活用した多面的なプロモーションが必要になるでしょう。
木村拓哉だけで視聴率を取るとか、新垣結衣で視聴率を取るとか、俳優個人の力では今や視聴率を稼ぐことはほぼ不可能になったのでは?と思います。
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15 Jan 2025

【ドラマ】『風間公親-教場0-』(2023年) (エピソード10、11) 冷徹な教官の覚悟が試される最終局面、真実に挑む弟子たちの葛藤と成長が交錯する感動の結末 | ネタバレあらすじと感想

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ドラマ『風間公親-教場0-』の作品情報

【プロデューサー】渡辺恒也、宋ハナ

【出演者】木村拓哉、染谷将太、竹下景子、岡田義徳、坂口憲二、北村匠海、新垣結衣他

【エンディング】Uru「心得」

【放送期間】2023年4月~6月

【時間】月曜 21:00~21:54

【放送枠】月9

【放送分】54分(初回は30分拡大:21:00~22:24、最終回は15分拡大21:00~22:09)

【回数】11

【ジャンル】(刑事)ドラマ、ミステリー

【視聴ツール】FOD、自室モニター

キャスト

風間公親:木村拓哉

鳴沢杏樹:新垣結衣

仁谷清香:竹下景子

仁谷継秀:岡田義徳

清家総一郎:北大路欣也

甘木保則:馬場徹

警視正:小日向文世

平山浩司:森山未來

甘木紗季:森カンナ

ネタバレあらすじ


エピソード10 指輪のレクイエム

風間公親(木村拓哉)と新人刑事の中込兼児(染谷将太)が、住宅街の一軒家で発見された変死体の捜査に臨みます。

死亡したのは仁谷清香(竹下景子)で、第一発見者は22歳年下の夫・継秀(岡田義徳)でした。
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清香は1年前から認知症を患っており、現場のキッチンには焦げた鰆のホイル焼きが残されていました。

夫の継秀は、事件当時、印刷会社勤務の田瀬葵(中村ゆりか)と和食店で打ち合わせをしていたと証言します。

葵の証言から、継秀が普段とは異なりコース料理を注文して時間をかけていたことが判明し、風間は「日常に異物が紛れ込んだ」と指摘します。
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清香の死因はフッ化水素ガスの吸引によるものでしたが、苦しんだ様子がないことから、中込は夫の継秀に疑念を抱きます。

捜査を進める中で、清香が電話の録音機能を頻繁に使用していたことや、毎週水曜日に鰆を購入していたことが明らかになります。

中込は、自身の母親(余貴美子)が認知症で毎週木曜日に特定の場所へ徘徊する行動と重ね合わせ、清香が婚約指輪を失くした水曜日を忘れないために鰆を焼いていたのではないかと推測します。
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さらに、継秀が外出前に冷蔵庫を意図的に散らかし、電話で清香に片付けを依頼することで、調理中であることを忘れさせ、一酸化炭素中毒を引き起こさせた可能性が浮上します。
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中込は、幼少期に自身が誘拐された経験を語り、母親の行動と清香の行動を関連付けて継秀を追及します。

最終的に、清香が録音機能を使って夫の声を聞きながら安らかに息を引き取ったこと、そしてその録音を自ら消去していたことが判明し、継秀は涙ながらに罪を認めました。

一方、入院中の遠野章宏(北村匠海)の容態が急変し、風間が病院に駆けつけたときには既に息を引き取っていました。

遠野は最期に「僕は刑事になれますか?」と呟いたとされ、風間は剣道場で一人涙を流し、その死を悼みます。

このエピソードでは、認知症患者の心理や家族の葛藤、そして刑事としての使命感と個人的な感情の狭間で揺れる中込の成長が描かれています。
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また、風間の厳格さの裏に隠された人間味や、部下の死に対する深い悲しみも強調され、物語は次第にクライマックスへと向かっていきます。


エピソード11(最終回) 仏罰の報い

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風間公親(木村拓哉)と新人刑事の隼田聖子(新垣結衣)が、大学教授・清家総一郎(北大路欣也)の自宅で発生した殺人事件の捜査に挑みます。
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被害者は清家の娘婿である甘木保則(馬場徹)で、背中に千枚通しが刺さって死亡していました。

現場の状況や凶器から、連続殺人犯・十崎(森山未來)の犯行を疑う声も上がりますが、風間は先入観を排し、身近な人物の関与を慎重に調査するよう隼田に指示します。

捜査を進める中で、保則が妻・紗季(森カンナ)に対してDVを行っていたことが明らかになります。

さらに、清家が2年前の実験事故で失明したとされていましたが、実際には事件当時視力を保っており、犯行後に自ら劇薬を使って失明した可能性が浮上します。

隼田は、清家が娘をDVから守るために婿を殺害し、十崎の犯行に見せかけたのではないかと推理します。
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最終的に、清家は隼田の推理を認め、娘への愛情から犯行に及んだことを告白します。

一方、十崎は別件で警察に逮捕されますが、取り調べ中に「妹はどこだ」と謎めいた言葉を残し、風間との因縁が未解決のまま物語は幕を閉じます。

このエピソードでは、親子の絆や愛情が犯罪にどう影響を与えるか、そして風間の過去に関する謎が提示され、視聴者に深い余韻を残す展開となっています。

考察と感想

エピソード10「指輪のレクイエム」では、認知症を患う仁谷清香とその家族の悲劇が描かれます。この話は、認知症という現実社会の問題を背景に、加害者である仁谷継秀の心理と動機に焦点を当てています。継秀は、清香を愛する一方で介護の負担に苦しみ、罪を犯してしまう矛盾した人間性を体現していました。特に、清香が録音機能を用いて自らの声を保存していたエピソードは、記憶を失う恐怖と、それに立ち向かおうとする彼女の努力を象徴的に描いています。風間が中込に「感情で動くな」と教えつつ、捜査の中で感情を揺さぶられる場面は、人間味あふれるキャラクター像を際立たせました。

エピソード11(最終話)では、風間と清家総一郎の関係が物語の軸となります。清家は、娘をDVから守るために婿を殺害するという、愛が犯罪を生む皮肉な展開を見せます。この話では、風間が過去にどのように部下や恩師と向き合ってきたかが強調され、彼の冷徹さの裏に隠された人間性と葛藤が深く掘り下げられました。また、十崎が残した「妹はどこだ」という謎めいた言葉は、今後の物語やスピンオフへの布石となる可能性を感じさせ、視聴者に考察の余地を与えています。

感想
エピソード10は、人間の脆さと強さが同居するストーリーで、視聴者に大きな感情的インパクトを与えました。特に、風間が「真実を見極めるには感情を排せ」という姿勢を貫きつつも、清香の死に対して静かに同情を寄せる姿は感動的でした。また、中込が自らの過去を捜査に重ね合わせて成長していく様子は、風間の「教場」というテーマを強く感じさせる部分です。

最終話では、清家総一郎というキャラクターを通じて、愛と正義の間で揺れる人間の姿が描かれました。風間が清家の告白を受け止めた際の複雑な表情には、師弟関係の深さと風間の内面的な苦悩が見事に表現されていました。また、十崎の存在が物語全体にスリルを与え、風間の過去とのつながりが示唆されたことで、物語は単なる事件解決ドラマを超えた深みを持ちました。

総じて、この2話は『教場』シリーズの核である「人間の本質」を鋭く描き出しており、重厚なテーマと役者の熱演が心に残る仕上がりでした。風間公親というキャラクターの人間性をさらに掘り下げた本作は、シリーズの中でも特に印象的な終盤だったと言えます。
エンディング曲のUruの「心得」が流れて来た時、風間教官の心中を考えて、ちょっとウルっと来てしまいました。

教訓・学び

「真実を見極めるには冷静さが必要だが、他者への共感を失わないことが本当の強さを生む」



評価点   92点
お薦め度  90点


2023年  54分×2  日本製作

 
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14 Jan 2025

【ドラマ】『風間公親-教場0-』(2023年)(エピソード5~9) 厳しさが導く真実の光―新人刑事たちの葛藤と成長、風間公親が問う“正義”の在り方 | ネタバレあらすじと感想

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ドラマ『風間公親-教場0-』の作品情報

【プロデューサー】渡辺恒也、宋ハナ

【出演者】木村拓哉、北村匠海、白石麻衣、森山未來、早見あかり、新垣結衣、小池徹平、坂口憲二他

【エンディング】Uru「心得」

【放送期間】2023年4月~6月

【時間】月曜 21:00~21:54

【放送枠】月9

【放送分】54分(初回は30分拡大:21:00~22:24、最終回は15分拡大21:00~22:09)

【回数】11

【ジャンル】(刑事)ドラマ、ミステリー

【視聴ツール】FOD、自室モニター

キャスト

風間公親:木村拓哉

遠野章宏:北村匠海

鐘羅路子:白石麻衣

中込兼児:染谷将太

十崎波琉:森山未來

篠木瑤子:早見あかり

隼田聖子:新垣結衣

名越哲弥:小池徹平

柳沢浩二:坂口憲二

ネタバレあらすじ


エピソード5 盲信の果て

新人刑事の遠野章宏(北村匠海)が刑事指導官の風間公親(木村拓哉)のもとで指導を受けることになります。遠野は子供の頃から警察官を志し、警察学校を優秀な成績で卒業したエリートで、校長の四方田秀雄(小日向文世)からの強い推薦を受けて風間の指導を受けることになりました。
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ある日、風間と遠野は大学教授の梨多真夫(野間口徹)の変死体が発見された現場に臨場します。梨多は自宅のテラスから転落し、頭を強打して死亡していました。第一発見者は梨多のゼミ生である戸守研策(水沢林太郎)で、卒論の相談のために訪れた際に遺体を発見したと証言します。現場には一眼レフカメラが落ちており、捜査一課の刑事・谷本進一(濵田崇裕)は、梨多が写真撮影中に誤って転落した事故死ではないかと推測します。
しかし、遠野は現場を詳しく調査し、テラスの柵から身を乗り出してカメラを構えると、すぐに「これは殺人です」と断言します。彼は、梨多が写真撮影中に転落したとするには不自然な点が多いことに気付き、他殺の可能性を指摘します。風間は遠野の推理を評価し、さらに詳しい捜査を進めるよう指示します。
捜査を進める中で、遠野は戸守が卒論の単位を得るために焦っていたこと、そして梨多教授が学生たちに自分で考える力を養わせるため、卒論に意図的なトラップを仕掛けていたことを突き止めます。戸守はそのトラップに気付かず、教授の意図を理解できなかったため、卒論が認められず、卒業や内定先への就職が危ぶまれる状況にありました。その結果、戸守は梨多教授に強い恨みを抱き、犯行に及んだことが明らかになります。
遠野は戸守を問い詰め、彼の犯行を自白させることに成功しますが、油断した隙に戸守から千枚通しで襲撃され、負傷してしまいます。最終的に風間が戸守を制圧し、事件は解決しますが、遠野は風間から「交番勤務に戻ってもらう」と告げられ、刑事としての未熟さを痛感することとなります。
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このエピソードは、他人の言葉や状況を鵜呑みにせず、自分の頭で考えることの重要性を強調しています。また、刑事としての冷静な判断力や自己管理の大切さを描いており、遠野の成長と挫折を通じて、風間の厳格な指導の背景にある深い意図が垣間見える内容となっています。
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エピソード6 三枚の画廊の絵

新人刑事の遠野章宏(北村匠海)は引き続き刑事指導官の風間公親(木村拓哉)の指導を受けています。ある日、熊之背山の登山口付近で、頭部と両手首が切断された変死体が発見されました。死亡推定時刻は4日前の夜で、遺体の身元は不明でした。
現場に到着した風間は、遠野に遺体の絵を描くよう指示します。遠野は描写中に、遺体の右肩が左肩よりも下がっていることに気付きますが、その理由までは分かりません。風間は、科捜研がDNA型を調べて行方不明者との照合を終えるまでに犯人を特定するよう遠野に命じます。
遠野は、現場近くに住む事務員の伊上幸葉(堀田真由)に協力を依頼し、現場に集まっていた野次馬の写真から近隣住民とハイキング客を除外していきます。その結果、ギャラリーを経営する画家の向坂善紀(筒井道隆)に注目します。
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向坂は2年前に妻と離婚しており、元妻の再婚相手である歯科医の苅部達郎(浜田信也)が3日前から行方不明になっていることが判明します。
遠野は風間の許可を得て、向坂のギャラリーを訪問します。熊之背山の写真を見せ、2日以内にその絵を描いてギャラリーのショーケースに飾ってほしいと依頼します。一度は断られますが、後に向坂から引き受けるとの連絡が入ります。
その後、遠野は向坂の息子である苅部匠吾(城桧吏)に接触し、彼が画家を目指しているものの、苅部から反対されていることを知ります。
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翌日、風間や他の刑事たちと共にギャラリーを再訪した遠野は、ショーケースに飾られた熊之背山の絵を確認します。風間はその絵を見て足を止め、何かを感じ取ります。
遠野は向坂に対し、遺体の右肩が下がっているのは歯科医特有の姿勢によるものであり、行方不明の歯科医が苅部達郎であること、そして匠吾の進路を巡って苅部と対立していたことから、向坂が苅部を殺害したのではないかと追及します。しかし、向坂は証拠がないと主張し、罪を認めません。
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風間は向坂に一礼してギャラリーを後にし、遠野に「落ちないと読んだからだ」と説明します。向坂にとって最も大切なものは何かと考えた遠野は、匠吾がショーケースの絵を見て笑顔を見せる姿を目撃し、向坂が匠吾の進路を確認するまで罪を認めないつもりであったことに気付きます。
最終的に、向坂は匠吾が画家を目指す決意を固めたことを確認し、自首します。その後、風間は遠野に運転を任せ、彼を一人前の刑事として認めたことを示します。遠野は風間に、自身が刑事を目指すきっかけとなった高校時代の女子剣道部員との思い出を語り、彼女との約束を果たすために刑事にならなければならないと強調します。
しかし、その直後、風間と遠野は宝石強盗の容疑者を追跡中に不審な男(森山未來)と遭遇します。遠野は男を追いかけますが、逆に千枚通しで刺されてしまいます。
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風間も男と格闘の末、右目を負傷します。遠野は意識が薄れる中、「僕は刑事になれませんか?」と問いかけ、風間は「お前はすでに刑事だ」と答えます。
このエピソードでは、遠野の成長と彼の過去、そして風間の右目の負傷の経緯が描かれ、物語の核心に迫る展開となっています。


エピソード7 第四の終章

風間公親(木村拓哉)が新人刑事の鐘羅路子(白石麻衣)を指導する様子が描かれます。
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物語は、風間と遠野章宏(北村匠海)が強盗犯の張り込み中に襲撃されるシーンから始まります。犯人は、15年前に風間が逮捕した十崎波琉(森山未來)で、遠野は意識不明の重体に陥り、風間も右目を負傷します。
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その後、舞台俳優の元木伊智朗(前原瑞樹)が死亡する事件が発生します。現場には、元木の同僚で主演女優の筧麻由佳(瀧本美織)と、隣人の佐久田肇(大村わたる)が居合わせました。麻由佳は、元木が自殺を図ったと証言しますが、鐘羅は遺体の状況や使用された古い麻製のロープに不審を抱きます。
捜査を進める中で、鐘羅は元木と麻由佳の関係、そして元主演女優の椿あさみ(行平あい佳)の存在に注目します。椿は以前、劇場の階段から転落し、現在は車椅子生活を送っています。彼女は、麻由佳に突き落とされたと主張していましたが、元木の証言により立件されませんでした。
鐘羅は、麻由佳が元木を自殺に見せかけて殺害したと推理し、風間の協力を得て事件の再現を行います。その結果、麻由佳が元木を計画的に殺害したことを証明し、彼女は逮捕されます。
一方、鐘羅自身も同棲中の恋人・西田徹(渋谷謙人)からの頼みで、警察の捜査情報を不正に入手しようとするなど、私生活で問題を抱えていることが明らかになります。
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風間は彼女の特技や弱点を見抜き、指導を続けます。
物語の終盤では、遠野の容体が安定したことが報告され、十崎を逮捕するための専従捜査チームが立ち上げられますが、風間は指導官の職務を優先し、指揮を執ることを辞退します。
このエピソードでは、風間の厳格な指導と洞察力、新人刑事たちの成長や葛藤が描かれ、物語はさらに深みを増していきます。


エピソード8 闇中の白霧

新人刑事の鐘羅路子(白石麻衣)が、刑事指導官の風間公親(木村拓哉)のもとで新たな事件に挑みます。
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物語は、風間と遠野章宏(北村匠海)が強盗犯の張り込み中に襲撃されるシーンから始まります。犯人は、15年前に風間が逮捕した十崎波琉(森山未來)で、遠野は意識不明の重体に陥り、風間も右目を負傷します。
その後、27歳の女性・小田島澄香(ソニン)の変死体が古い木造一軒家で発見されます。澄香は2ヵ月前に母親を亡くし、この家を相続していました。外傷がなかったことから、死因は毒物による中毒症状の可能性が高いと推測されます。
現場のテーブルには大盛りの中華料理が残されており、二人分の箸と取り皿、カップ、点鼻薬がありました。また、一方の食器だけ、指紋が拭き取られていました。鐘羅はこれを見て、容疑者は男性の可能性が高いと直感します。
さらに、仏壇から見つかった住所録には、鐘羅の同棲相手である西田徹(渋谷謙人)と、その友人である実相寺実の名前が記されていました。鐘羅は以前、徹から実相寺に警察の捜査が及んでいるかどうかを密かに調べてほしいと頼まれており、彼らの関与を疑います。
捜査を進める中で、澄香が死亡した日に個人のネット販売業者・名越哲弥(小池徹平)とメッセージのやり取りをしていたことが判明します。澄香は名越に「あなたを自由にしてあげる」「うちで最後の食事は?」というメッセージを送っていました。
風間と鐘羅は名越の事務所を訪れ、事情を聴取します。名越は澄香と別れることになり、最後に食事をしようと彼女の家に招かれていたが、直前に仕事が入ったため、その日は事務所で作業をしていたと主張します。しかし、風間は名越の行動に不審な点を感じ取り、彼の肩から抜け毛を採取し、鑑識に回すよう鐘羅に指示します。
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その後、名越の事務所で家宅捜索が行われ、覚醒剤などの違法薬物や、澄香の点鼻薬に混入されていた毒物・アコニチンが発見されます。さらに、名越の身体からは高い放射線量が検出され、澄香が彼を徐々に殺害しようとしていたことが明らかになります。
最終的に、名越は自身の犯行を認め、逮捕されます。
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一方、鐘羅は同棲相手の徹に捜査情報を漏らしていたことが発覚し、風間から交番勤務に戻るよう指示されます。鐘羅は自らの過ちを反省し、交番勤務で再出発を図ることを決意します。
このエピソードでは、風間の鋭い洞察力と指導力、そして鐘羅の成長と葛藤が描かれています。また、風間と遠野を襲撃した十崎の存在が物語の背景に影を落とし、今後の展開に大きな影響を与えることが示唆されています。


エピソード9 橋上の残影

新人刑事の中込兼児(染谷将太)が、刑事指導官の風間公親(木村拓哉)のもとで新たな事件に挑みます。
物語は、風間と遠野章宏(北村匠海)が刺された事件の専従捜査チームが集まるシーンから始まります。被疑者の十崎波琉(森山未來)は事件後、潜伏先に戻っておらず行方不明のままです。
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捜査チームの柳沢浩二(坂口憲二)は、事件当時現場のビルに出入りしていた人物を洗っていると報告し、その中でバイク便ドライバーの鳥羽暢照(濱田岳)と連絡が取れないことを伝えます。
一方、隼田聖子(新垣結衣)は、恩返しをするために専従チームに志願したと風間に報告しますが、風間は他にやることがあるだろうと答えます。
その頃、雨の降る夜、歩道橋で加茂田亮(金井勇太)が刺殺される事件が発生します。現場には被害者の顔や指がライターオイルで焼かれており、身元の特定が困難な状況です。財布は残されているものの、腕時計は盗まれており、物取りの犯行とは思えません。
現場に到着した風間は、新人刑事の中込兼児を紹介します。中込は所轄署での素行の悪さが原因で、風間の指導を受けることになった刑事です。風間は中込に、被害者がなぜここで殺されたのかを考えるよう促します。
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捜査を進める中で、中込は被害者が過去に時計店で強盗を犯し、服役していた加茂田亮であることを突き止めます。さらに、加茂田に恨みを持つ人物として、篠木瑤子(早見あかり)の存在が浮上します。篠木の恋人で時計店を営んでいた牧村(細田善彦)は、加茂田の強盗事件により重傷を負い、その後自殺していました。
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中込と風間は篠木のもとを訪れ、アリバイを尋ねますが、篠木は法律に詳しく、証拠がない限り自分を追及できないと主張します。風間は篠木からタバコをもらい、彼女がオイルライターを使用していることを確認します。
その後、中込は現場での再現捜査を行い、被害者が刺された際にカプセル内視鏡が体外に飛び出し、その映像が証拠として残っている可能性に気付きます。実際に、被害者の体内にあったカプセル内視鏡が犯行の一部始終を撮影しており、その映像が決定的な証拠となります。
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最終的に、篠木は犯行を認め、逮捕されます。一方、中込は自身の過去のトラウマや家族の問題を抱えており、風間からその点を指摘されます。中込の母(余貴美子)は認知症を患っており、妻(大西礼芳)は介護に疲れ果てています。中込自身も子供の頃に誘拐事件に巻き込まれた過去があり、その影響で感情のコントロールが難しくなっていることが示唆されます。
このエピソードでは、中込の成長と葛藤、そして風間の鋭い洞察力と指導力が描かれています。また、十崎の存在が物語の背景に影を落とし、今後の展開に大きな影響を与えることが示唆されています。

考察と感想

各エピソードごとに異なる新人刑事たちが指導官・風間公親のもとで成長しながらも、厳しい現実に直面する姿が描かれています。このシリーズの核心的なテーマである「刑事としての資質」と「人間としての弱さ」が、より深く掘り下げられていると感じました。
まず、エピソード5では、遠野章宏が風間のもとで事件の捜査を通じて刑事としての鋭い洞察力を見せる一方、最終的に油断から犯人に襲撃されるという挫折を経験します。このエピソードは、表面の証拠だけでなく、その背後にある人間心理を読み取る力が刑事に必要であることを強調しています。また、風間が遠野に厳しく接する一方で、成長の機会を与える姿勢が印象的でした。
エピソード6では、遠野の過去や彼の志が描かれ、刑事という仕事が単なる職業以上に個人の人生に与える影響が浮き彫りになります。特に、遠野の信念が悲劇的な結末を迎えることで、視聴者に「正義とは何か」を問いかけています。
エピソード7では、新人刑事の鐘羅路子が登場し、彼女が抱える私生活の問題が刑事としての職務に影響を与える様子が描かれます。このエピソードでは、風間が鐘羅の弱点を鋭く見抜きつつ、彼女自身が成長するための機会を与える姿勢が際立っていました。また、風間が右目を失った背景に触れたことで、彼のキャラクターに深みが加わり、物語全体の緊張感が高まります。
エピソード8と9では、事件の捜査が進む中で、風間と新人刑事たちのやり取りがより緻密に描かれます。中込兼児のように、一見して問題を抱えていそうな刑事が成長していく姿は、風間の指導の厳しさが単なる試練ではなく、彼らを一人前の刑事に育てるための愛情に基づいていることを感じさせました。特に、風間が事件解決に至るまでの鋭い推理力と指導力は圧巻であり、彼の存在感が物語全体を支えています。
総じて、エピソード5~9では、風間が新人刑事たちに課す試練が単なる困難ではなく、彼らの刑事としての資質を鍛え上げるプロセスであることが描かれています。また、それぞれの刑事が抱える個人的な弱さや葛藤が、物語にリアリティと深みを与えていました。視聴者としては、「正義とは何か」「刑事のあるべき姿とは何か」といった問いを考えさせられると同時に、風間というキャラクターの奥深さに改めて感銘を受けました。このシリーズは単なる刑事ドラマにとどまらず、人間ドラマとしても非常に見応えがあります。大大円に向けて、終盤が楽しみです!

教訓・学び

「正義を貫くためには、鋭い洞察力と冷静な判断力だけでなく、自らの弱さを認め、それを克服する強さが必要である」



評価点   94点
お薦め度  94点


2023年  54分×5  日本製作

 
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13 Jan 2025

【ドラマ】『風間公親-教場0-』(2023年)(エピソード1~4) 新任刑事たちが挑む初任務。嘘と過去が交錯する事件に、風間教官が鋭い洞察と執念の捜査で真相を暴く! | ネタバレあらすじと感想

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ドラマ『風間公親-教場0-』の作品情報

【プロデューサー】渡辺恒也、宋ハナ

【出演者】木村拓哉、赤楚衛二、新垣結衣、斉藤由貴、諏訪結衣他

【エンディング】Uru「心得」

【放送期間】2023年4月~6月

【時間】月曜 21:00~21:54

【放送枠】月9

【放送分】54分(初回は30分拡大:21:00~22:24、最終回は15分拡大21:00~22:09)

【回数】11

【ジャンル】(刑事)ドラマ、ミステリー

【視聴ツール】FOD、自室モニター

ネタバレあらすじ


エピソード1 硝薬の裁き

2019年、若手警官の瓜原潤史(赤楚衛二)は、連続窃盗事件での手腕を認められ、県警捜査一課へ異動となります。
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そこでは、刑事指導官である風間公親(木村拓哉)が、新人刑事を鍛える「風間道場」での厳しい訓練が待っていました。ある日、タクシー内での男性刺殺事件が発生。被害者はナイトクラブの経営者で、事件当夜に同乗していた女性が捜査の焦点となります。
女性は一見協力的でしたが、事件の背景には不適切な関係や脅迫の影が潜んでおり、複雑な心理が絡んでいることが明らかになります。風間の冷徹で鋭い指導のもと、瓜原は捜査を進めますが、次第に刑事としての心構えが問われる場面が増えていきます。一方、被害者自身が遺した証拠が新たな展開を呼び起こし、事件解決の鍵となる事実が浮かび上がります。
同時に、ひき逃げ事件で妻を亡くし、娘と二人暮らしの男性の周囲で起きた事件も交錯。
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彼の生活環境や行動が、事件の隠れた背景を浮き彫りにしていきます。最終的には、細かな痕跡や証拠を積み重ねることで、真相へと迫ります。
風間の指導の厳しさは瓜原にとって試練であると同時に、刑事としての本質を問う重要な機会でもあります。
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風間は冷徹な態度の中に、刑事の責務と覚悟を新人に伝える姿勢を見せ、瓜原もまた成長の兆しを見せ始めます。風間の教える側の怖さすら覚える雰囲気と言葉は、なかなか見せる人は居ないような人物像ですが、言動一致、感覚が極めて鋭い。ですが、この人の指導は受けたくないです。


エピソード2 傷痕

物語は、ある住宅街で発生した刺傷事件から始まります。被害者は30代の主婦で、路上で胸を刺されて倒れているところを発見されます。事件当時、現場には犯人らしき人物はおらず、状況は混迷を極めます。新人刑事である風間の教え子・瓜生陽介(赤楚衛二)が現場に派遣され、捜査の最前線で犯人逮捕に挑むことになります。
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瓜生は現場で風間から指導を受けながら、近隣住民への聞き込みを開始します。住民の証言や監視カメラの映像を集める中、次第に浮かび上がるのは、被害者が近所で孤立していたという事実でした。被害者が周囲の住人とトラブルを抱えていたことが判明し、その中でも特に頻繁に口論していた隣人が容疑者として浮上します。
一方、瓜生は風間からの厳しい指導を受ける中で、事件の裏に隠された真実に気づき始めます。風間は「刑事にとって最も大切なのは目に見える証拠だけではなく、そこに隠された人間の心理を見抜くことだ」と語り、瓜生に一見些細な情報を見逃さないよう促します。
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その結果、瓜生は事件当日に現場近くで目撃された人物が実際にはアリバイを偽装している可能性に気づきます。
捜査が進む中で、瓜生は風間の助言を受け、容疑者の心理的な揺さぶりをかける聞き込みを試みます。その結果、隣人が被害者に向けて抱いていた強い恨みや、過去の争いが明らかになります。しかし、事件当日に関する決定的な証拠が出てこないため、捜査は行き詰まりを見せます。
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そこで風間は瓜生に「犯人の行動の裏にある目的を考えろ」と助言し、再度現場を見直すことを指示します。瓜生は現場の細部を注意深く調べ直し、犯人が被害者を刺した理由が単なる個人的な恨みではなく、もっと大きな目的を持っていたことに気づきます。その目的とは、事件現場の証拠を隠すために、被害者を口封じしようとしたものだったのです。
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最終的に、隣人の供述に矛盾が見つかり、風間と瓜生のコンビが犯人を追い詰めます。隣人は犯行を認め、事件は無事解決しますが、風間は瓜生に対し「この事件を通じて学んだことを忘れるな」と厳しく諭します。瓜生は自分の未熟さを痛感しながらも、刑事としての成長を誓います。
このエピソードでは、風間が刑事としての本質を教えつつ、新人刑事が事件を通して成長していく様子が描かれています。緊張感あふれる捜査と、風間の鋭い洞察力が光る内容となっており、刑事ドラマとしての見応えを存分に堪能できます。


エピソード3 毒のある果実


県警本部捜査一課の刑事指導官・風間公親(木村拓哉)のもとに、新たなバディとして新人刑事の隼田聖子(新垣結衣)が配属されます。隼田は小学校4年生の娘・ゆかり(諏訪結衣)と二人で暮らすシングルマザーであり、刑事の仕事と母親業の両立に悩んでいました。
ある日、住宅地で変死体が発見されます。死亡したのは大学の法医学教室で助教授を務める宇部祥宏(浅利陽介)。宇部は自宅の外で倒れているところを近所の主婦に発見されました。外傷がないことから、毒物による中毒死の可能性が高いと推測されます。
隼田とともに現場に向かった風間は、宇部宅のテーブルの上に「先にテンゴクへ行ってます」というメモを発見します。風間から「他殺か自殺か?」と問われた隼田は、天国という言葉がカタカナで書かれていること、遺書のようにも見えるそのメッセージが便箋ではなくメモ用紙に書かれていることに違和感を覚えます。
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その日の午後、風間と隼田は宇部の司法解剖に立ち会います。解剖を行ったのは、宇部の上司で次期医学科長に内定している椎垣久仁臣教授(佐々木蔵之介)でした。椎垣は、死因は青酸塩の服毒による中毒死であり、他殺と思える所見はなかったとの見解を示します。
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しかし、隼田は宇部の死に不自然さを感じ、独自に捜査を進めます。彼女は宇部の同僚や関係者に聞き込みを行い、宇部が生前、研究に没頭するあまり周囲との人間関係に問題を抱えていたことを知ります。さらに、宇部が最近、研究成果を巡って上司の椎垣教授と意見の対立があったことも判明します。
隼田は、宇部の死が単なる自殺ではなく、何者かによる殺害である可能性を考え始めます。彼女は風間の助言を受けながら、事件の真相に迫るための証拠集めを続けます。その過程で、宇部の研究室から消えた資料や、椎垣教授の不審な行動など、新たな手がかりを掴みます。
最終的に、隼田は椎垣教授が自身の地位を守るため、宇部を殺害し自殺に見せかけたことを突き止めます。隼田の粘り強い捜査と風間の指導により、事件は解決へと導かれます。
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事件解決後、隼田は風間から「刑事としての直感と母親としての感性、その両方を大切にしろ」と助言を受けます。隼田は自身の成長を実感し、娘との生活と刑事の仕事を両立させる決意を新たにするのでした。

このエピソードでは、シングルマザーである隼田聖子が、刑事としての使命と母親としての責任の間で葛藤しながらも、事件解決に向けて奮闘する姿が描かれています。風間の厳しくも的確な指導のもと、隼田が成長していく様子が見どころとなっています。


エピソード4 孤独の胎衣

県警本部捜査一課の刑事指導官・風間公親(木村拓哉)は、新人刑事の隼田聖子(新垣結衣)とバディを組み、現場での指導を続けていました。隼田はシングルマザーであり、小学4年生の娘・ゆかり(諏訪結衣)との生活と刑事の仕事の両立に悩んでいました。
ある日、風間が以前逮捕した殺人犯が出所後、捜査一課の事務員・伊上幸葉(堀田真由)に接触し、彼女のカバンに千枚通しを入れるという事件が発生。
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風間は幸葉の安全を考慮し、彼女の自宅周辺の警備強化と部署の異動を提案します。
その頃、人気工芸家の浦真幹夫(淵上泰史)が自宅のリビングで遺体となって発見されます。遺体は腐敗が進行しており、死後4日ほど経過していると推定されました。現場に到着した風間と隼田は、遺体の頭部に真横よりやや正面に傷があることから、犯人は被害者と向き合った状態で殴打したと推測。さらに、隣家の小学生が事件当日に浦真の家から女性が出てくるのを目撃していたことが判明します。
浦真にはイタリア人の婚約者・ラウラがいましたが、彼女は妊娠していないにもかかわらず、浦真から「ベビー用品を買いに行こう」というメールを受け取っていました。また、事件当日、浦真の車の助手席に19歳の大学生・萱場千寿留(生見愛瑠)が同乗していたことがNシステムの記録から明らかになります。
隼田と風間は千寿留のアパートを訪問。大家から、千寿留が2日前に自宅で出産し、赤ちゃんの足にあざのようなものがあったとの証言を得ます。隼田は千寿留に面会し、赤ちゃんの父親が浦真であることを確認しますが、彼女が出産後も病院に行っていないことから、虐待の可能性を考慮します。
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一方、隼田自身も過去に娘・ゆかりが元夫から虐待を受けていた際、見て見ぬふりをしていたという罪悪感を抱えていました。風間は隼田に「被害者の気持ちを忘れるな」と助言し、彼女の心の整理を促します。
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隼田は事件当日の状況を再現するため、千寿留と赤ちゃんを浦真のリビングに招き、捜査を進めます。
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彼女は、千寿留が浦真と子供の親権を巡って争い、彼を殺害した後、その場で出産したと推理。赤ちゃんの足にあったあざは、出産直後に高温のストーブに触れてできた火傷の痕であり、そこに「mama」という文字が反転して刻まれていました。
事件解決後、隼田は警察を辞める意向を示しますが、風間は「少年課で君にできることはたくさんある。君の助けを待っている人がたくさんいる」と諭し、娘と向き合う時間を持つよう助言します。隼田は自分の過去と向き合い、娘との関係を再構築する決意を固めます。
その後、風間の新たなバディとして、警察学校を優秀な成績で卒業した遠野章宏(北村匠海)が配属されます。彼は警察学校の校長・四方田秀雄(小日向文世)からの強い推薦で風間道場に参加することとなりました。

このエピソードでは、隼田聖子が自身の過去と向き合いながら、刑事として成長していく姿が描かれています。風間の厳しくも温かい指導のもと、隼田が事件解決に奔走する様子が見どころとなっています。

考察と感想

『風間公親-教場0-』は、警察学校の教官として冷徹かつ的確な指導を行う風間公親(木村拓哉)が、新人刑事たちを育てる姿を描いた作品です。エピソード1からエピソード4までの展開を通じて、このドラマが問いかけるのは「刑事としての覚悟」と「人間の弱さや葛藤」です。
まず、風間の指導方法の非情さが際立っています。一見すると冷酷で容赦のない指導に見えますが、そこには刑事としての本質を教える深い意図が隠されています。風間は「目に見える事実だけではなく、その裏に隠された真実を見抜け」と繰り返し説きます。この言葉は、事件捜査において目撃証言や物的証拠だけに頼らず、犯人の心理や背景に目を向ける重要性を強調しており、彼の教えが新人刑事たちの成長を支えていることがわかります。
特に、新人刑事たちがそれぞれ異なる背景や葛藤を抱えている点が興味深いです。エピソード3の隼田聖子(新垣結衣)はシングルマザーとして、刑事の仕事と母親としての役割の狭間で悩みます。彼女が抱える罪悪感や葛藤は、事件捜査を通じて浮き彫りにされ、最終的に彼女自身の成長につながります。一方、エピソード4では、隼田が風間の指導のもと、刑事としての使命だけでなく、人としての在り方についても学ぶ姿が描かれています。このように、個々のキャラクターの人間的な弱さや成長がしっかりと描かれている点が、このドラマの魅力の一つです。
さらに、事件そのものの構成も秀逸です。それぞれの事件が、単なる殺人や犯罪の解決にとどまらず、人間関係や社会問題に深く根ざしたテーマを持っています。例えば、シーズン2では近隣トラブル、シーズン4では育児と親権問題が描かれています。これらのテーマは視聴者にとって身近であり、現代社会における課題を提示しています。そのため、事件の謎を解くスリルだけでなく、社会問題に対する考えさせられる内容が多く、深みを感じます。
一方で、風間自身の謎めいたキャラクターも物語に奥行きを与えています。彼がなぜここまで厳格な指導をするのか、過去の事件で負った傷の真相は何なのか、といった伏線が少しずつ張られており、物語全体に緊張感と興味を持続させています。
総じて、『風間公親-教場0-』は、刑事ドラマとしての緊迫感と、人間ドラマとしての感動を見事に融合させています。エピソード1からエピソード4を通じて感じたのは、刑事としての成長が人間としての成長と不可分であるということです。これからどのような新人刑事が風間の指導を受け、どんな物語が展開されていくのか、非常に楽しみです!

教訓・教え

「真実を見抜く力は、表面的な事実だけでなく、人間の弱さや葛藤に向き合うことで得られる」



評価点   92点
お薦め度  90点


2023年  54分×4  日本製作

 
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12 Jan 2025

【映画】『アドヴィタム』(2025年) 妻を救うため、元特殊部隊員が国家規模の陰謀に挑む!迫力のアクションと緊張感あふれるサスペンスが展開! | ネタバレあらすじと感想

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映画『アドヴィタム』の作品情報

【原題】Ad Vitam
※ 「自分の人生の終わりまで」の意
【監督・脚本】 ロドルフ・ローガ

【脚本】ギョーム・カネ

【出演】ギョーム・カネ、ステファン・カラード、ナシム・シ・アフメド他

【配給】Netflix

【公開】2025年

【上映時間】95分

【製作国】フランス、ベルギー

【ジャンル】アクション、サスペンス、スリラー

【視聴ツール】Netflix、吹替、自室モニター

キャスト

ダリオ・アスラン:ギョーム・カネ

クリストファー(クリス):ガランス・マリリエ

ヴィクトル:ロマン・デュリス

ドミニク:アンヌ・コンシニ

ステファン:ステファン・カラード

ナシム:ナシム・シ・アフメド

カルル:ニールス・シュナイダー

ジル:アンソニー・バジョン

ルカ:ロドルフ・プルヴォスト

ネタバレあらすじ

元特殊部隊員のフランク・ラザレフ(ギョーム・カネ)は、妊娠中の妻レオと自宅で静かな時間を過ごしていました。しかし、突如として何者かの武装集団による襲撃を受けます。フランクは辛うじて生き延びたものの、妻のレオは彼の目の前で連れ去られてしまいます。

フランクは、かつてフランス国家憲兵隊治安介入部隊(GIGN)の隊員として培った高度な戦闘スキルを再び駆使し、妻を救出するため行動を開始します。
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しかし、その過程で彼は、自らの過去に関連する大規模な陰謀の存在に気づきます。その陰謀には国家や巨大組織、さらには彼が信じていた人々までもが関与していました。

フランクは次々と迫りくる敵に立ち向かいながら、徐々に事件の真相に近づいていきます。妻を救うために戦う彼の姿は、銃撃戦や白兵戦といったアクションシーンだけでなく、愛する者を守るための覚悟や、過去に囚われた自分との葛藤を描き出します。
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やがてフランクは、ただ妻を救うだけではなく、自分が巻き込まれた陰謀を暴き、国家そのものを揺るがす秘密を明らかにしなければならないという現実に直面します。
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本作、『アドヴィタム』は、圧倒的なアクションシーンと緊張感溢れるストーリーが展開されるサスペンススリラーです。フランクの戦いを通じて、個人と国家の関係性や、過去と未来への向き合い方を問う作品となっています。
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『アドヴィタム』は、迫力あるアクションと人間ドラマが織り交ぜられたSFサスペンスです。主人公が愛する者を守るために戦う姿は、観る者の心を揺さぶると同時に、社会の未来や技術の進歩がもたらす影響について深く考えさせる内容となっています。

考察と感想

本作、『アドヴィタム』は、特殊工作員としての過去を持つ主人公ダリオが、妊娠中の妻を人質に取られ、国家規模の陰謀に巻き込ま
れていく物語です。
物語を通して描かれるのは、個人の選択と犠牲、そして国家という巨大なシステムとの闘いです。特殊部隊の経験を持つダリオの戦闘能力や戦術眼が存分に発揮される一方で、家族を守りたいという強い人間的な感情が、彼を単なる「戦う兵士」ではない深みのある人物として描いています。

考察として重要なポイントは、特殊部隊員としての訓練や経験がダリオの行動にどう影響を与えるか、また彼が国家の陰謀に巻き込まれた背景です。特殊部隊は国家のために動く存在であり、そのスキルは国益のために活用されるものです。しかし、ダリオの場合、その能力が国家から利用されるだけでなく、逆に彼自身の家族を危機に追い込む要因となっています。この構図は、「国家に忠誠を誓った者が、その国家から裏切られる」という、スパイものやミリタリーアクションでよく描かれるテーマに通じます。

さらに、彼の葛藤は、家族と国家のどちらを優先するのかという普遍的なテーマを投げかけています。ダリオは、家族を守るために特殊部隊のスキルを駆使して戦う一方で、かつての仲間や組織の裏切りに直面し、彼自身の過去とも向き合わなければなりません。この過程で彼が見せる人間的な弱さと強さは、視聴者に深い共感を与えると同時に、彼の物語にリアリティと緊張感をもたらします。

感想として、物語は緊張感に満ちたアクションシーンと心理的な駆け引きが絶妙に組み合わさっており、視聴者を最後まで惹きつけます。特に、主人公が孤立無援の状況下で行う戦術的な判断や、限られた資源を使って敵を打倒する姿は、特殊部隊のリアリズムを見事に描いています。銃撃戦や肉弾戦の描写もリアルで、ダリオの冷静さや高いスキルが際立っています。
また、国家の陰謀というテーマを扱いながらも、物語の焦点はあくまで「愛する人を守る」という個人のドラマに置かれており、この点が作品に感情的な深みを加えています。アクション好きだけでなく、ヒューマンドラマを求める視聴者にも訴えかけるものがあり、単なるアクションスリラーの枠を超えた完成度の高い作品となっています。

一方で、複雑なプロットやキャラクター間の関係性が詳細に描かれるため、全てを理解するには注意深く視聴する必要があります。しかし、この点こそが物語に厚みを与え、何度も見返したくなる魅力につながっているとも言えます。
総じて、本作、『アドヴィタム』は、特殊部隊のリアルな描写と、人間ドラマの融合に成功した秀逸な作品です。主人公の戦いは、単なるアクションの枠を超え、視聴者に「自分ならどうするか」を問いかける力強いメッセージを持っています。

得られる教訓

「愛する者を守るためには、過去の罪と向き合い、自分自身の限界を超えて戦う覚悟が必要である」

評価点   78点
お薦め度  76点


2025年  95分  フランス/ベルギー製作

 
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11 Jan 2025

【映画】『ライアーライアー』(1997年) 嘘が命の弁護士、真実しか話せない地獄の24時間が幕を開ける! | ネタバレあらすじと感想

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映画『ライアーライアー』の作品情報

【英題】Liar Liar

【監督】トム・シャドヤック

【脚本】ポール・グアイ、スティーヴン・メイザー

【出演】ジム・キャリー、モーラ・ティアニー、ジャスティン・クーパー他

【配給】ユニバーサル映画、UIP

【公開】1997年3月

【上映時間】87分

【製作国】アメリカ

【ジャンル】コメディ、ファンタジー

【視聴ツール】Netflix、吹替、自室モニター

キャスト

フレッチャー・リード:ジム・キャリー
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オードリー・リード:モーラ・ティアニー

マックス・リード:ジャスティン・クーパー

サマンサ・コール:ジェニファー・ティリー

ジェリー:ケリー・エルウェス

グレタ(フレッチャーの秘書):アン・ヘイニー

ミランダ(フレッチャーの上司):アマンダ・ドノホー

リチャード・コール(サマンサの夫):ジェイソン・バーナード

ネタバレあらすじと感想

弁護士のフレッチャー・リード(ジム・キャリー)は、巧みな話術と嘘を駆使して裁判で勝ち続ける優秀な弁護士ですが、私生活では息子マックス(ジャスティン・クーパー)や元妻オードリー(モーラ・ティアニー)との関係を犠牲にして仕事優先の日々を送っています。マックスとの約束を頻繁に破るフレッチャーに対し、息子は寂しさを募らせていました。
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ある日、マックスの誕生日パーティーでさえも、フレッチャーは仕事を理由に遅れてしまいます。パーティーで一緒に遊ぶことを楽しみにしていたマックスは、父が来ないことに失望し、バースデーケーキのロウソクを吹き消す際に「パパが一日だけでも嘘をつけなくなりますように」と願いを込めます。その願いは奇跡的に叶えられ、翌日からフレッチャーはどんなに努力しても嘘をつけなくなってしまいます。
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翌朝、フレッチャーはその影響に気づかないまま日常生活を送り始めますが、些細な会話から「正直にしか話せない」異変に気づきます。隣人や同僚への無礼な本音が次々と口をつき、やがて仕事にも影響が出始めます。特に、離婚裁判の依頼人サマンサ・コール(ジェニファー・ティリー)の勝訴のために、彼女の不倫を隠すなどの嘘が必要不可欠でしたが、それが全くできない状況に陥ります。
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法廷では、正直すぎる発言が原因で窮地に追い込まれつつも、フレッチャーはなんとか裁判を続けます。その過程で、嘘が通じなくなったことで自分の本当の姿や問題点に直面せざるを得なくなります。さらに、オードリーが恋人ジェリー(ケリー・エルウェス)との再婚を考え、マックスと共にボストンに移住する計画を立てていることを知ります。フレッチャーは必死に二人を引き留めようとしますが、過去の自分の行動が信用を失わせており、なかなか心を取り戻せません。
裁判中に真実を明らかにする決断をしたフレッチャーは、依頼人であるサマンサの不倫を法廷で暴露します。彼女の主張は覆され、裁判は敗北しますが、正直でいることの重要性を学び、自分の人生を見つめ直すきっかけとなります。
最終的に、フレッチャーはマックスへの愛と家族との絆を取り戻すために全力を尽くします。
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オードリーとマックスがボストンへ旅立つ飛行機に乗る直前、フレッチャーは空港へ急行し、自らの本当の気持ちを伝える。全てをさらけ出した彼の姿に、オードリーとマックスも心を動かされ、家族として再出発することを決意する。
映画は、フレッチャーがマックスの誕生日を祝う新しいスタートを切る場面で幕を閉じる。嘘を武器にしていた男が、正直さと家族愛の価値に目覚め、人生を取り戻す姿を描いた心温まるコメディ作品である。

考察と感想

本作、『ライアーライアー』は、嘘が日常的に許容される現代社会で「正直でいること」の大切さをコミカルに描いた作品です。主人公フレッチャー・リードのキャラクターは、成功を追い求めるあまり周囲を顧みず、家族との絆を軽視していた典型的な仕事人間として描かれています。彼が「嘘をつけない」という奇跡的な状況に陥ることで、これまでの生き方が大きく揺さぶられ、最終的には自己成長と家族の絆を取り戻すというストーリー展開が非常に印象的です。
この映画の核心は、「正直でいることの難しさ」と「真実を語る勇気」をテーマにしています。フレッチャーは、嘘が通じなくなったことで初めて、自分が築き上げたものがいかに脆弱で、他人を傷つける結果を招いていたかに気づきます。彼が直面するのは単なるコミカルな困難ではなく、嘘をつき続けることで自分を守り、周囲を操ろうとしていた生き方そのものが引き起こした問題の数々です。その過程で、真実を語ることは時に不利益を招くものの、最終的には人との信頼や関係性を修復し、新たな価値観を得るきっかけとなることが描かれています。
本作の魅力は、ジム・キャリーの圧倒的な演技力にあります。嘘をつけない状況で苦悩しながらも、身体を駆使したコミカルな表現とテンポの良いセリフ回しが、シリアスなテーマを軽快なエンターテインメントとして昇華しています。観客は笑いながらも、同時に「自分も日常でどれだけ嘘をついているのか」「本当に大切なものを見失っていないか」と自問する機会を与えられます。
また、親子の絆に焦点を当てた側面も感動を与えます。フレッチャーとマックスの関係は、映画を通じて大きく変化します。当初は父親を信じきれないマックスでしたが、フレッチャーが自らを見つめ直し、息子のために行動する姿勢を見せることで、二人の間に信頼が戻っていきます。この変化は単なる「奇跡」によるものではなく、フレッチャーが自らの意志で正直さを選び取り、家族のために努力する姿があったからこそ成し遂げられたものです。
感想として、本作は単なるコメディではなく、笑いの中に深いテーマを持つ作品だと感じました。特に、現代社会での「嘘」と「真実」の境界線を再認識させられる内容が心に響きます。人間関係において時に嘘が必要だと考えがちですが、真実を伝えることがどれだけ重要で、最終的に自分と周囲の幸福につながるかを教えてくれる点が素晴らしいです。映画を通じて、正直でいることの価値と、その先にある人生の豊かさを実感できる、心温まる名作だといえると思います。

本作からの教訓

「正直でいることは時に困難でも、真実を語る勇気が信頼や幸福を築く鍵である」



評価点   98点
お薦め度  96点


1997年  87分  アメリカ製作

 
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10 Jan 2025

【映画】『アリータ:バトル・エンジェル』(2019年) 少女の魂に秘められた力、運命を切り開く戦いへ――『アリータ:バトル・エンジェル』、革命が始まる! | ネタバレあらすじと感想

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映画『アリータ:バトル・エンジェル』の作品情報

【原題】Alita: Battle Angel

【監督】ロバート・ロドリゲス

【脚本】ジェームズ・キャメロン、レータ・カログリディス

【原作】木城ゆきと『銃夢』

【出演】ローサ・サラザール、クリストフ・ヴァルツ、ジェニファー・コネリー他

【配給】20世紀フォックス

【公開】2019年2月

【上映時間】122分

【製作国】アメリカ

【ジャンル】アクション、サイエンスフィクション(SF)、アドベンチャー、ドラマ

【視聴ツール】Prime Video、吹替、自室モニター

キャスト

アリータ:ローサ・サラザール

イド:クリストフ・ヴァルツ

ユーゴ:キーアン・ジョンソン

チレン:ジェニファー・コネリー

ヴェクター:マハーシャラ・アリ

ザパン:エド・スクライン

グルーイシュカ:ジャッキー・アール・ヘイリー

タネジアン:アイサ・ゴンザレス

ノヴァ:エドワード・ノートン

ネタバレあらすじ

未来の世界。戦争で荒廃した地球には、「ザレム」と呼ばれる空中都市と、その下に広がる「アイアンシティ」が存在していました。アイアンシティは廃棄された資源や部品が集まる場所であり、人々はその中で懸命に生きていました。ある日、サイバー医師であるイド(クリストフ・ヴァルツ)は、アイアンシティの廃棄場で破損したサイボーグの少女を発見します。彼女の体はボロボロでしたが、脳と心臓は無傷で、生きている兆候を示していました。イドは彼女を修復し、「アリータ」(ローサ・サラザール)と名付けます。
目覚めたアリータは、自分の名前も過去も覚えておらず、新しい体と世界に戸惑いながらも興味津々でアイアンシティを探索します。アリータは、街で出会った青年ユーゴ(キーアン・ジョンソン)と親しくなり、彼からアイアンシティやザレムの秘密を教えられます。一方で、アリータは自身の体に秘められた驚異的な戦闘能力を発揮し始めます。イドは彼女が「パンツァークンスト」という失われた戦闘術を使えることに気づき、彼女がただの普通の少女ではないことを確信しました。
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そんな中、アリータとイドは「ハンター・ウォリアー」という賞金稼ぎの仕組みに巻き込まれました。ハンター・ウォリアーは犯罪者を追跡し、その報酬を得るために戦う存在です。アリータは、自分の記憶の手がかりを探すためにこの危険な世界に足を踏み入れることを決意。強力な敵たちと対峙する中で、彼女は自分が「バーサーカー」と呼ばれる強大な兵器であったことを徐々に思い出して行きます。
一方、ザレムからアイアンシティを支配する存在であるヴェクター(マハーシャラ・アリ)や、その背後にいる謎の人物ノヴァ(エドワード・ノートン)がアリータの力を脅威とみなし、彼女を排除しようと画策します。ヴェクターはアリータに刺客を送り込み、アリータは命を狙われます。しかし、彼女は圧倒的な戦闘能力で次々と敵を打ち破るだけでなく、自らの意志と使命に目覚めて行きます。
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アリータはイドやユーゴとの絆を深める一方で、自分の居場所を模索し続けました。ザレムを目指す夢を持つユーゴを助けようとしますが、彼の運命は非情なものでした。最愛の人を失ったアリータは、ザレムに対する怒りと憎しみを燃やし、その頂点にいるノヴァとの対決を決意します。
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物語は、アリータが過去の自分と向き合い、真の戦士としての覚悟を決める姿を描きながら、彼女の新たな戦いへの序章として幕を閉じる。愛と喪失、復讐と希望が交錯する壮大な物語は、アリータというひとりの少女の内なる成長と不屈の意志を鮮やかに描き出す。
本作、『アリータ:バトル・エンジェル』は、原作である木城ゆきとの漫画『銃夢』を基にした壮大なSFアクション映画であり、ビジュアルと物語の両面で観客を魅了する作品です。荒廃した未来世界とキャラクターたちのドラマを鮮烈に描き出した本作は、観る者に感動と興奮を与えます。

考察と感想

本作、『アリータ:バトル・エンジェル』は、木城ゆきとの原作漫画『銃夢』をもとに、ジェームズ・キャメロンが製作、ロバート・ロドリゲスが監督を務めた壮大なSFアクション映画です。ビジュアルの迫力と深みのあるキャラクター描写を両立させたこの作品は、単なるアクション映画を超えたテーマ性を持っています。


キャラクターの成長と「人間性」の問い

物語の中心にあるのは、サイボーグであるアリータの成長です。彼女は、過去の記憶を失った状態で目覚め、徐々に自分の正体や能力、そして使命に気づいていきます。過去に兵器として設計された存在でありながら、彼女の行動は純粋で人間味にあふれています。この対比が映画のテーマを際立たせています。アリータを通じて、「人間性とは何か」「心を持つ存在が人間と呼べるのか」といった哲学的な問いが浮かび上がります。


社会階層のメタファー

空中都市ザレムと地上のアイアンシティという構図は、格差社会のメタファーとして描かれています。ザレムは特権階級の楽園として描かれ、アイアンシティの住人たちはその恩恵を受けるどころか、搾取される存在です。アリータがアイアンシティで自分の居場所を見つけ、最終的にザレムを目指す姿は、不平等や不公正に立ち向かう人間の精神を象徴しています。このテーマは、現代社会の問題ともリンクし、観客に深い共感を与えます。


技術と芸術の融合

本作で特筆すべきは、ビジュアルの素晴らしさです。ローサ・サラザールの演技をもとにしたパフォーマンスキャプチャとCG技術の融合によって、アリータの表情や動きがリアルかつ感情豊かに表現されています。その一方で、アイアンシティのディストピア的な世界観も緻密に作り込まれ、まるで本当に存在する街を見ているかのような臨場感があります。これらの映像表現は、観客にとって物語への没入感を高める重要な要素となっています。


感想

本作は、ビジュアルの迫力だけでなく、登場人物の感情や人間ドラマを丁寧に描いており、観る者に強い感動を与えます。特に、アリータが戦士としての自覚を持ち、何度倒れても立ち上がる姿は胸を打ちます。彼女がアイアンシティで築いた人々との絆や、失った愛への哀悼は、単なるアクション映画にはない深い余韻を残します。
一方で、ストーリーが原作のすべてを描ききれていない点や、続編への布石が多く、物語が未完に感じられる部分が惜しいと感じる人もいるでしょう。それでも、アリータというキャラクターの魅力と、映画が投げかける普遍的なテーマは、確実に観客の心に残ります。本作、『アリータ:バトル・エンジェル』は、単なる映像作品を超えた価値を持つ映画と言えるでしょう。
総じて、アリータの人間らしさとサイボーグとしての特異性を通して描かれる物語は、感動と興奮の両方を与えてくれる秀逸な作品です。続編への期待も含め、SF映画の新たな地平を切り開く作品と言えるでしょう。
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考察と感想

「自分の本質を見つけ、逆境の中でも信念を貫くことで、未来を切り開く力を得られる」



評価点   88点
お薦め度  82点


2019年  122分  アメリカ製作

 
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10 Jan 2025

【映画】『ザ・フォーギブン 襲撃地帯』(2023年) 砂漠の真実が暴かれる時、人間の本性が試される。贖罪と赦しが交錯する衝撃のドラマ | ネタバレあらすじと感想

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映画『ザ・フォーギブン 襲撃地帯』の作品情報

【英題】Muru

【監督・脚本】テアレパ・カヒ

【出演】クリフ・カーティス、ジェイ・ライアン、マヌー・ベネット他

【配給】ミッドシップ

【公開】2023年7月

【上映時間】104分

【製作国】ニュージーランド

【ジャンル】アクション、ドラマ

【視聴ツール】Prime Video、吹替、自室モニター

キャスト

タフィ:クリフ・カーティス

ギャラガー:ジェイ・ライアン

キミオラ:マヌー・ベネット

タメ・イティ:タメ・イティ

マリア:シモーヌ・ケッセル

ブレイク:リア・テ・ウイラ・パキ

ネタバレあらすじ

本作、『ザ・フォーギブン 襲撃地帯』は、2007年にニュージーランド東部のルアトキ集落で実際に起きた事件を基にした作品です。この映画は、先住民マオリ族の村がテロリストの疑いをかけられ、国家権力による強制捜査の中で生じる誤解と暴力の連鎖を描いています。
物語の中心人物は、村の巡査部長であるタフィ・ウィリアムズ(クリフ・カーティス)。彼は政府と村人たちの間で板挟みになりながら、事態の収拾に奔走します。一方、警察の特殊部隊は、村にテロリストが潜んでいるとの情報を基に強制捜査を開始。しかし、その情報は誤解や偏見に基づくものであり、無実の村人たちが次々と犠牲になっていきます。
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映画は、国家権力と先住民コミュニティの対立、そして理性を失った群集心理が引き起こす悲劇をリアルに描写しています。また、実際に事件に巻き込まれたマオリの自然保護活動家タメ・イティが本人役で出演しており、作品に深みを与えています。
監督はテアレパ・カヒ。彼はニュージーランドの歴史や文化に深い関心を持ち、本作でもその視点を活かしています。共演者には、ジェイ・ライアンやマヌー・ベネットなどが名を連ねています。
この映画は、第95回アカデミー賞国際長編映画賞のニュージーランド代表作品にも選出されており、国際的にも高い評価を受けています。
『ザ・フォーギブン 襲撃地帯』は、国家と個人、権力とコミュニティの関係を考えさせられる作品であり、観る者に深い感動と問題提起をもたらします。

考察と感想

本作、映画『ザ・フォーギブン 襲撃地帯』は、実際にニュージーランドで起きた事件を題材に、国家権力と先住民コミュニティの対立、そしてその間に存在する文化的誤解や偏見を描いた社会派ドラマです。この映画は、表面的には警察と先住民の衝突を描いていますが、より深いテーマとして「集団心理」「偏見の連鎖」「赦しの可能性」について問いかけています。
物語の舞台となるルアトキ村は、ニュージーランドにおける先住民マオリ族の象徴的な存在として描かれます。村の人々は長年、土地や文化の尊厳を守るために生きてきましたが、政府の誤解や偏見に基づく行動によって、その尊厳が踏みにじられる形となります。この設定自体が、国家による権力行使の是非を問い直す重要なメッセージとなっています。
本作で印象的なのは、主人公タフィ(クリフ・カーティス)の葛藤です。彼は警察としての責務と、同胞である村人たちへの忠誠心の間で揺れ動きます。この複雑な感情を通じて、個人が巨大な権力構造の中でどのように生きるべきかを考えさせられます。また、タフィの人物像は、単なる正義感の象徴ではなく、現実的な弱さや迷いを持つ人間として描かれており、多くの観客が共感できるキャラクターになっています。
一方、警察の行動がいかに偏見や誤解に基づいているかが、映画の中でリアルに描かれています。特殊部隊の動きや、国家が持つ「テロリズム」の恐怖に過剰反応する様子は、現代のどの国にも当てはまり得る普遍的なテーマです。このことは、映画を単なるニュージーランドの出来事としてではなく、グローバルな視点で考えるきっかけを与えてくれます。
さらに、映画のタイトル『フォーギブン(赦し)』が象徴するように、物語の中で重要なテーマとなるのは「赦し」の可能性です。権力によって踏みにじられた人々が、怒りや憎しみを乗り越え、未来に向けて歩み出すことができるのか。この問いは、観客一人ひとりに委ねられています。
撮影技術や音楽も見事で、ニュージーランドの自然を背景に緊張感が絶妙に演出されています。特に、静寂の中で起こる暴力や対立が、観客に強烈な印象を与えます。また、実際に事件に関与したタメ・イティが本人役で出演している点もリアリティを高めています。
総じて、『ザ・フォーギブン 襲撃地帯』は、エンターテインメント性だけでなく、現代社会の複雑な問題を深く掘り下げた意欲的な作品です。鑑賞後には、多くの問いが頭に浮かび、簡単には答えが出ないような余韻が残ります。この映画を通じて、個人と国家、文化的多様性、そして赦しの意義について再考する良い機会を得られるでしょう。実話ベースは観るものにこうした現実を突きつけます。

本作からの教訓

「偏見と誤解が生む暴力の連鎖を断ち切るためには、相互理解と赦しが必要である」



評価点   82点
お薦め度  78点


2023年  104分  ニュージーランド製作

 
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09 Jan 2025

【映画】『ノンストップ』 (2021年)主婦が巻き起こす機内大混乱!フライト中のハプニング続出、笑いと涙のドタバタコメディ! | ネタバレあらすじと感想

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映画『ノンストップ』の作品情報

【原題】Okay Madam

【監督】イ・チョルハ

【脚本】シン・ヒョンソン

【出演】オム・ジョンファ、パク・ソンウン、イ・サンユン他

【配給】ファインフィルムズ

【公開】2021年2月

【上映時間】100分

【製作国】韓国

【ジャンル】アクション

【視聴ツール】U-NEXT、吹替、自室モニター

キャスト

ミウォン:オム・ジョンファ

ソクファン:パク・ソンウン

チェ・チョルス:イ・サンユン

リー・ヘギョン:イ・ソンビン

ヒョンス:ペ・ジョンナム

パク機長:キム・ビョンチュン

ジュンソク:チェ・ジノ

トニー:ハン・ヒョンミン

ネタバレあらすじ

ミウォンは、一人息子を持つ平凡な主婦です。しかし、平凡な生活の裏には誰も知らない過去の秘密があります。かつて北朝鮮の「伝説」と呼ばれた巨頭の工作員だったのです。特殊任務を次々と成功させてきた女性として知られ、その苦しい過去を捨てて、家庭の幸せを選んだのです。

また、夫のソクファンも、韓国の優秀な諜報員として名を上げた元スパイでした。何年も前に、互いに遭遇した任務の中で、問題が続発しても最終的に恋に落ち、結婚しました。現在は主婦として生活を送るミウォンと、大らかな夫ソクファンは、一人息子との平和な家庭を構成していました。

そんな一家の大きな記念となるのは、久しぶりの旅行です。親子の思い出を作ろうと、大きな期待を抱いて準備を進めます。しかし、飛行機の中では、想像を超えるトラブルが待っていたのです。

ミウォンは、飛行機の中で気になる行動をとる人物を見つけます。それは、国際罪羅組織のメンバーたちでした。「息子や夫に危険が及ぶことは止めたい」という思いで最初は自分たちの安全を優先します。
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しかし、想像以上の大きな危険だと察知したとき、すぐさま行動を変えます。

国際罪羅組織の目的は、飛行機を爆破することでした。海外で大規模なテロ行為を実行し、世界に悲劇を呼び起こすことで、自分たちの存在感を示したいという計画です。
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ミウォンとソクファンは、飛行機に乗っている他の乗客や家族を守るためにも行動を起こします。最初は、自分たちの能力を隠しながら敵を出し抜く小さな行動から始まります。その中で、ミウォンの工作員としての能力がどんどん出てきます。
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飛行機の短い通路での格闘や情報を引き出すための手段を駆使して、最終的には国際犯罪組織のテロ計画を中止させます。同時に、ソクファンも乗客に平和をもたらすために動きます。

その結果、ミウォンたちの家族は危機から救われ、飛行機は無事にハワイに着陸します。最終的に、この事件を通じて家族の結束ときずなが更に深まり、「家族は最後に命を救う」という大切なメッセージを訴える内容となりました。

考察や感想

本韓国コメディ映画『ノンストップ』は、命と家族の結束をテーマに、スリルとハラハラの連続で観客を完全に搾み込む作品でした。主人公のミウォンは、かつて北朝鮮の傷だらけの工作員として活躍し、夫のソクファンも元諜報員という危険な役割をこなす経験者。ですが、その過去は二人とも記憶の奥底にしまって、今の家族を守るための行動を取ることに100%専念しています。

『ノンストップ』は、ジャンルにとらわれず、アクションとコメディを両立させた作品として成り立っています。計算された策略に対応する二人が、一方ではエンターテインメントの要素を上手く組み込んで行動しており、飛行機の短い通路での格闘や、裏で突発的な情報を集める術など、十分なアクションも提供してくれています。その中で、ミウォンの、娘に顔を見せられない挙動も有ったり、主婦としての日々と、元工作員としての経験というギャップが見事に好演されています。

主題である家族の結束や、世界の危険に立ち向かう、そしてその辺りにある可笑性にフォーカスした作品。家族としての絶対的な保守性、安全な毎日を追い、いかに小さな幸せを大切にしているかに注目しているのも視点として面白いです。

私は、『ノンストップ』を観たことで、家族の意義や、協力して重大な犯罪を防ぐ個の力を再認識するきっかけになりました。一緒に乗った乗客たちとの関係性と、そこから生まれる共感に、単純では有りますが尊敬さえ感じた作品でした。
本作は、ハイジャックとそれとはかけ離れたコメディーを一体化させた興味深い作品の一つだと思います。

本作からの教訓

「困難な状況でも、家族の絆と助け合いの精神が困難を乗り越える力となる」



評価点   88点
お薦め度  86点


2021年  100分  韓国製作

 
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