港町パッツィオに到着したロレンスとホロの物語。今回は、
- ちょっとした機転で、テンの毛皮にトレニー銀貨70枚分の価値を上乗せ
- この世界の貨幣経済の解説(貨幣の銀含有率、貨幣の信用、市場の動きなど)
- ゼーレンの儲け方の真意っぽいもの
などなど。経済の基礎が学べそうな作品ですね。
りんごをほしがるホロ。
とは言え、「経済ネタを専門用語だらけで淡々と述べる」みたいな退屈な作りじゃない。中世風の世界の中、先物や株式(の原型)をロレンスが喋る一方でホロがりんごを食いたがる・ホロがはちみつパンを食べて口のまわりをハチミツだらけにしながら貨幣価値の話をする・男女のあやしげな会話を織り交ぜるなど、この作品らしさっぽいものがよく出てます。ラノベが売れて高評価されるわけだ…。
単に食い意地が張ってるだけに見えたホロが、毛皮売買で銀貨70枚の利益を出すとか、なかなかやるなぁ。まぁ、ミローネ商会側も210枚でも利益が出るであろう価値(品質がほどほどなら銀貨140枚、品質がとてもよければ即決で210枚に出来る毛皮)を感じたわけだしいいか。ホロもとロレンスの会話も奥行きがある。
銀貨の名前を覚えようとするホロ。
とは言え、もしこれがおっさん2人の行商人の物語だったとすると、たとえ同じような展開であっても華やかさが不足するのは間違いないわけで。粋な雰囲気で男女の会話をするホロ、酒に酔いつつ銀貨を覚えようとむくれるホロの可愛さが物語を大いに引き立ててます。
ゼーレンはうさんくさい情報を売ってリスクのない小金稼ぎをしてるように見えるけど、裏に何か大きな動きがありそうな気配。
両替商のアイズも、地味になりかねない作品にいいテンポを作り出してるし、賢狼ホロの設定も生かしつつ引き込む流れになっている。
はちみつパンを食べるホロ。照れたふりをするホロ。
少し残念なところをあげると、やっぱり絵。背景は綺麗だけど人物、特にホロの統一感がいまひとつ。
- キャラデザを原作とは大幅に変えて、萌え系にした
- クロエというアニメオリジナルの女キャラを出した
- 人物画に微妙に力が入ってない
というあたりから製作委員会の方針が何となく見えるけど、どうなんだろう。
ロレンスの思いついた事が、わからない
原作的に破綻や超展開はなさそうだし、未読のままあれこれ推理して、アニメ終了後に原作読んだ方が面白そうだな、と思ったんだけど、経済の理論をよく知らないとやっぱり限界があるらしい。
- トレニー銀貨の銀含有率は実際は少しずつ下がってる
- なのに銀含有率が上がるらしいという噂を何者かが広めてる
- ロレンスがダッシュする先は両替商ではなくミローネ商会
となると、トレニー銀貨を今すぐ(価値が安定してそうな)フィリング銀貨に換えるんじゃなくて、何かを売買するかミローネ商会を巻き込もうと考えてる? あの状況と会話で躊躇なく商会にダッシュするって事は、ロレンスはよほどの確信があるはず。
- ミローネ商会で、価格が安定している何かを仕入れる
- トレニー銀貨の流通が非常に多い国(地域)に行くからとか理由をつけ『支払いはトレニー銀貨で行う』という証文を交わす
- トレニー銀貨の価値が底値になったと思われる頃に支払いする
あたり? いやでも、数年ぶりに来たミローネ商会がそんな条件に応じるかどうか怪しいし、会話からすると今すぐにトレニー銀貨買い占めをすべきという感じだし。一時的にトレニー銀貨の価値が上がってすぐに暴落しそうだから、一瞬の値上がりを狙って安定した貨幣に交換とかいう話なのか。
やっぱり、原作を読んで種明かしを見た方がいいのか…?
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