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    Q1.ゼロからはじめて2週間で卒論は書けますか?
    A1.ムリです。
    B1.「ゼロ」のレベルによります。そこそこの読書力と文章力があるなら、不可能ではありません。
    C1.卒論に要求されるレベルによりますが、規定枚数を超えてて、指定された言語で書いてあって、タイトルと副題と章立てがしてあって、巻末にいくらかの参考文献さえあれば大丈夫というところなら、2週間もあれば楽勝です。

    Q2.では以後はCさんだけにお尋ねします。どういうやり方ですか?
    C2.文献をたくさん読もうという考えをまず捨てます。
     そしてテーマに関連する新しめの文献を1つだけ選びます(たとえばヴァレリーなら、手に入りやすさからいうと、清水徹『ヴァレリーの肖像』筑摩書房 2004あたりでしょう)。
     さらに、テーマを絞るのですが、その文献が主張していることをざっとみて、そのうちから、ただひとつだけを選び抜きます(自分で、短い文章にその主張を書き直してみると良いでしょう)。
     そして、選び抜いた「主張A」に、反論する論文を書くのです。
     すると軸が決まって、論旨のはっきりした論文に、いやでもなります。

    Q3.それでは、自分でも反論できるような主張を選ばなければなりませんね。
    C3.その通り。
     しかし、どんな本でも、うんうんとうなずける主張ばかりでできていることはまずありません。
     「え?そうなの?」と疑問におもったり、「信じられん!」とつまずいたりするところが必ずあるはずです。
     しかも、自分の反論が失敗に終わっても構いません。
     卒論レベルなら、オリジナリティは、ほとんどの場合不要です。
     あえて新説を唱えることは、必要ありません。
     結局相手の主張が正しかった、のでもよいのです。

    Q4.反論すべきターゲットが決まりました。次は何をすればいいのですか?
    C4.考えられ得るできるだけたくさんの反論を、書き並べます。
     取捨選択はあとですればいいです。
     もう思いつかない、となれば、反論の根拠を集めやすそうな順番に、優先順位を付けます。
     よく似た反論は、グルーピングしておくと、あとで使う反論を取り替えても、反論の根拠集めが無駄になりません。

    Q5.反論の根拠は、どうやって集めればいいのですか?
    A5.学問によって違いますが、人文系なら実験はいらないので、本の中から探すことになります。
     全集が出ている人について論じるなら、まずは全集を押さえるのが必須です。
     全集の(出来が良くないことも多いですが)索引を使いまくります。

     あと、本の中身を自分で確認したいときは、1ページ1秒ぐらいの速度で眺めていって、気になるページには、紙の小切れを放り込んでおきます。
     ポストイットは、貼付ける手間がかかるので、この段階では時間の無駄です。
     どうせ原稿用紙で50~100枚(2~4万字)未満の論文に使える分量なんて限られてるんですから、あまり欲張る事はありません。

    Q6.文献はどうやって探して集めればいいでしょう?
    C6.まずGeNii(国立情報学研究所提供の学術コンテンツ・ポータル)とGoogle(Book,scholarを含む)、その他自宅から使えるデータベースはすべてチェックしたおします。
     学校で使える研究用データベースももちろん使います。
     とくに引用関係を逆にたどれるWeb of Science:WOSなどを使えば、文献は芋づる式にみつかります。

     そのあと、大学の図書館と、県立図書館のレファレンス係に駆け込みます。
     時間がないので、自分の体を持っていく方が勝負が速いです。
     基本的な文献などは、これで集まります。
     読める時間は限られているので、見つけても、すぐに手に入らない文献は、切り捨てます。
     コピーできるものはコピーし、電子データで入手できるものは電子データで入手します。
     著作や論文についている文献リストは、1つのファイルにコピペしてソートをかけて重複を除き、作業用文献リストにします。
     読んだもの、チェックしたものには、印をつけておきます。ここから卒論につける文献リストをつくるためです。

    Q7.実際のところ、どうやって書いていけばいいのですか?
    C7.「反論のターゲットとなる主張→自分なりの反論(リスト)→その根拠」というところまでは、できているのですから、こんどは卒論の中心に据えることにした「自分なりの反論」からはじめて、「自分なりの反論→ 予想される再反論→その根拠→自説を守るための再々反論」という風に、論旨を組み立てていきます。
     これは論文の設計図みたいなものなので、あとは、予想される再反論ごとに、各章を割当てそれぞれを論破していく形にできれば、「わけのわからないことがごたごた書いてある卒論」にならずに、「一本筋の通った卒論」になります。
     正直、大抵の卒論は、「書きたい事があることだけはわかるけど、何が言いたいのかわからん」ものが大多数です。
     参照した文献が少々少なくても、「筋が通った卒論」なら、それで十分でしょう。




    (参考記事と参考図書)


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