著者は大物です。経歴的にも大物(元角川書店社長、角川映画で有名な角川春樹氏が5回の離婚を繰り返した4番目の妻)ですが、人物的にも、危ない世界を渡ってきた、肝っ玉のすわった大物だと感じました。
非合法の世界に潜入して取材を重ね、
闇社会に顔が利くまでの体験をしているだけに、本当の意味の「強い男」を見る眼が養われているように思いました。
男が書いた「強い男」の本は多く出版されていますが、女が書いた「強い男」の本は、なかなか目にすることはありません。しかも、記者だけあって、文章が上手。
そういう意味で、参考になる部分が多く、読みやすくて勉強になりました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。
・できる男は、まず
結論から先に言う。トップから「コイツは使える」と好かれる。使えない奴は、無駄口が多い
・
非情になることは、効率的になるということ、合理主義に徹すること。今やっている行為が、銭を生みださず、無駄と思ったら、それ以上はやらない。「時は金なり」がわかっている
・世界的な成功者は決まって礼儀正しい。しかし、心では何を考えているかわからない。だから怖い。外見を立派につくれば、心の中は見せなくてもいいもの
・面会を求められるとき、無意識のうちに「その人は自分にどんなメリットを与えてくれるか」「大切な時間を割いてまで会うにふさわしい人物か」と考えるもの。信用できる人は「
金の匂いがするから会った」と正直に言ってくれる
・効果的に結果を出すには、焦点を絞ることが大事。目標を定めたら、その達成を邪魔するものは、どんどん切り捨てていく。つまり「
非情の決断」をする
・「
金に照れてはいけない。そうすると金が逃げる」。成功者は、負けたらどうなるか知っているから、勝利の美酒が飲める
・「誰のおかげでうまくいっているの?」それが、いつまでも目に見えない足枷となり、相手は引け目を負い続ける。貸しをつくっておくことは、相手を
傘下に収めるのと同じ効果を発揮する
・貸しをつくった相手が裏切ったら、徹底的に相手を潰す。成功者と言われる人ほど、逆上したら手がつけられない。非情の法則というより激情の法則
・戦国時代、トップは必ず
一番後ろにいた。自分が殺されたら負け。卑怯と言われようが、それが戦い方というもの。将が生きている限り、復活のチャンスはいつでもある
・うまくいったら自分の手柄、失敗したら他人のせい。良いことと悪いことの振り分けがわかっていなければ、成功者にはなれない。成功者は成功し続けなくてはいけないもの。失敗したら、蹴落とそうとする人間の攻撃材料にされる
・成功者たちは汚れるような仕事はやらない。もちろん人生を賭けた真剣勝負にきれいごとばかりでは通用しない。急激に
のし上がった人は多かれ少なかれ、どこかに
後ろめたい傷を隠し持っている
・昔から一代で名をなした者は「
刑務所の上を歩く」と評される。逮捕されなければ成功者、塀の中に落ちれば落伍者。本人は塀の上に踏みとどまり、誰かが塀の中に入る。こうすれば、当初の目的が達成される。非情な人間は、自分が卑怯者だとわかっている
・人生おひとり様、一回限り。思う存分やるべき。大きな望みを実現するためには、何も
背負わないこと。恋愛でも何でも、人のためにと思うと、何かを背負うことになる
・悪い奴ほど、会ったら「いい人」だったり、そうでなかったり、常にイメージを裏切り続ける。そういうイメージを与えられたら、人を動かすことができる。でも本性は見せない。つまり、
美しき誤解と錯覚で、新鮮さを維持する
・成功者は初めから違っている。語るべき将来プランがとにかく面白い。世界中どこでも人は
興奮したいし、笑いたいし、喜びたい。そんな物語を待っている
・成功した人は、自分が気に入った若い人に賭けたがるもの。本当に成功したいのなら、あなたの将来に賭けてくれる人に、興味をひくような面白い話をすること
・
ハッタリがあってもいい。でも、あなたが信じていない話はダメ。完璧に信じる話でなければ、赤の他人は乗らない。「このチャンスを逃すと後悔するかも」と話を持っていくことが重要
・男は、相手より強いことを示したいという「
能力拡張ごっこ」が好き。大人になれば、組織や社会でしつけられて丸くなるが、成功者は大人になっても闘争本能を捨てたりしない。だから多くの成功者は子供っぽい
・成功者の周りにいる人間は、基本的に利害関係で結びついている。逆境にあっては、潮が引くようにみんないなくなる。このときだけは「孤独であった」ことが骨身にしみてわかる瞬間。信じられるのは自分の力だけ
・自分の「大きな絵図」からはみ出す人を身近に置いておくと邪魔になる。「裏切り者」と言われようが、ズバッと斬る決断が成功を決める
・人は自分のレベルにあった相手と付き合うもの。売れてきて、成功してくると、相手が自分のレベルについてこられなくなる。成功者は、過去は潔く斬り捨てて、チャンスをつかみ取る
・「お客様は神様」は新規顧客開拓の発想。
固定客づくりでは「
お客様は悪魔」にもなる。客の理不尽な要求を聞いていたら、利益が上がらないので、客層を上質の客に絞り込む必要がある。優秀な経営者ほど、客や取引先の要求を非情に斬り捨てる
・成功者は結構嘘をつく。百戦錬磨の嘘つきは、目をそらさない。
ついていい嘘(相手に不快感を与えない、気分を害さない、傷つけない)がとっさに言えることも成功するために必要な要素
・いつでも
三人の顔を持つ。「渦中にいる自分」(必死、ときには感情的)、「客観視する自分」(冷静に自分に問いかけ)「上から見る自分」(全体を眺め、相手の反応や場の雰囲気を判断)。これで自分のバランスがとれる。成功者は多角的にものを見ることができる
・成功者は、勝負どころがわかると、チャンスを絶対に逃さない。迷わず駒を進め、ときにはハッタリをかける。確信を持って力強く説得する。話はデカく、金額や数値は細かく話す。いわば演技
・人はみなわかりやすい話を聞きたがっている。「
言いたいことは二つある」(ひとつでは少ない。三つでは多すぎる)といった、聞きたい話をしてやること
・
アクの強さと自信が人を引きつける。自分に自信があれば、陰口を言われようが気にしないもの。面と向かって直接注意されたのなら、反省するなり反論すればいい。自分がいないところで話された内容など一切無視する
・噂好き、イジメ好きの人間は、狭苦しいところに閉じ込められた哀れな人。自分に自信がないから、他人に矛先を向けて自分が標的にならないように防御しているだけ
・女性は恵まれている。女性の特権はいきなり中核に入れること。それは、色仕掛けをするということではなく、若さや笑顔だけでも、はるか
雲の上の人にかわいがってもらえる。男なら一生名刺交換できない人物に女性なら会える
・「機会」を与える人、「勇気」を与える人、「癒し」を与える人、「時間」を与える人、「運気」を与える人。周りに「
運命の五望星」をかたちづくっていれば、成功への道は盤石
・努力とは
結果を出す手段にすぎない。努力を褒められても喜ばない
・トップを目指すなら、同業者とのつき合いはほどほどにする。それよりも異業種のトップクラスで、
叱ってくれる人を探し、つき合うべき
・最悪の事態を考え、手を打っておく。一見、ものすごくネガティブで後ろ向きに映るが、実は至って前向きで積極的な考え方
・人の悪口を言っていいことはほとんどない。嫌いであっても、
波長が合わないだけと思うこと
・良い話はなかなか伝わらない。自分に得になるように、人の評判をこちらから仕掛けて操作すること
・成功する人は、思考停止ができる人。自分の都合のいいことしか見ない、聞かない、記憶に残さない
・成功したいなら、なるべく数多くの実体験をすること。失敗体験も含めて、体験に勝るものはない。受け売りばかり口にせず、自分の
体験を語ること
・人間は本当に自己中心的動物。ただ、エゴ丸出しにすると、どうしても他人から醜く見えてしまう。だから、人は醜いものをカバーする。表現は
エゴを包み込む役割
著者は、数々の大物と接してきたので、上に立つ男の欲望と本質が透けて見えるようになったと思います。
女性が、トップや幹部の男性を見るとき、この本は役に立ちます。
できる男の特徴を知っていれば、緊張しなくて接することができます。
できる男性と接する機会の多い女性にとっての、必読の書ではないでしょうか。