著者の
アーニー・J・ゼリンスキー氏は、5月~8月は仕事をせず、週4日、1日4~5時間働き、自分自身を犠牲にせず、自分の望みを達成する生き方を実践されているようです。
この本を読む前は、著者のことを胡散臭く感じていましたが、読み進んでいくうちに、著者が、知識人であり、立派な哲学を持ちあわせているように思えてきました。
結構真面目な本です。気休めに読む本ではなく、真剣に読む本かもしれません。
この本の中で、共感できた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。
・自由時間というのは、汗水たらして働くことから離れた時間である。しかし、自由時間を充実させるためには、汗水をかかなければならない
・かつて、自由時間は滅多に手に入らない贅沢品だった。
自由時間がたっぷりある生活は目指すべきゴール
・生活のためならば、楽しくない職場で働くこともやむを得ない。だが、経済的に困っていない人々でも、モラルのためにつまらない職場で長時間働いている
・偉大な人物たちは、
クリエイティブな怠け者。リラックスしたり、考えたりするのに、長時間使う
・現代社会が定めた人生の主な目的とは、労働の報酬であるお金を使ってモノを買うこと
・
仕事中心、金中心の精神構造を捨てないと、幸福のために何が大事かわからなくなる。勤労の美徳のモラルのせいで、私たちは奴隷になっている
・企業のトップは、貪欲で支配力もある「仕事中毒の人」が好き。
仕事中毒はアルコール中毒と同じで、深刻な問題を抱えた神経症患者である
・多くの企業は、従業員の意欲を引き出すのは、安定性、給与、年金だけという哲学を持っている。だから、「金銭」「社会」以外の「知性」「身体」「家族」「精神」の分野のニーズは、仕事以外のところで満たさなければならなくなる
・金を稼ぐために嫌いな仕事に時間を費やしていると、
人生を楽しむ能力が損なわれる。また、金を稼ぐ能力も損なわれるもの
・成功した人が幸福なのは、
自分の使命を持っているから。毎朝、起きるのがつらいなら、自分の使命をまだ見つけていない
・才能を使って、使命を追求していると、副産物が生まれる。お金を稼ぐことも、その副産物の一つ
・安全でリスクのない道を選んだ人々は、退屈という病気に襲われやすい。リスクを冒さないため、達成感、満足感、充足感といった報いを受けることは滅多にない
・人生で最も難しいことの一つは、
本当に欲しいものは何かを発見すること。大半の人は本当に何が欲しいかわかっていない
・達成感や満足感は、やりがいや目的ある活動からしか得られない。受動的な活動は、
精神の高揚をもたらさない
・創造的な人は、目の前の課題に心身共にのめりこむ。集中力が高く、時間を忘れる。彼らは、瞬間を楽しみ、次に何が来るかを心配しない
・物質主義、仕事中毒、スピード第一に毒された文化のスローガンは「時は金なり」。時間は金では測れない。時間を幸福で測れば、みんな健康になり、幸福になれる。「
時は幸福なり」
・一人でいることには二つの面がある。暗い方の面は「
孤独で寂しい」。明るい方の面は「
独りで楽しい」。多くの人が、一人でいることの楽しみを見つけ出せないでいる
・自己実現した人は、自分のアイデンティティの土台を社会的な集団に置いていない。自分の信念と欲求のもとに一人で立ち、他の人々からの批判や反対を受けて立つことができる
・お金は
不満足を排除するためには重要な存在であるが、それが幸福や仕事に対する満足感にはつながらない
・いくら稼いでもお金が足りないという人は、おそらく必要がないものにお金を浪費している。なぜ、自分がそんな無駄遣いをして、危ない暮らしをしているのかを明らかにするべき
・リッチになる方が、ハッピーになるよりやさしい。幸せな神経症患者は存在しないが、金持ちの神経症患者はたくさんいる
・臨終の際に、「もっとたくさん働いておけばよかった」と言う人はいない。やり残して後悔することがあるとすれば、それは仕事ではなく、自由時間にやるべき活動である。最も貴重な瞬間は、
働いていない時に訪れる
我々は、仕事中心、金中心の社会を生きています。勤労の美徳というモラルに従って、誰かに動かされているように思います。
自由時間こそが「
贅沢必需品」であるにもかかわらず、「贅沢不要品」にお金を費やすばかりに、自由時間が手に入らない状況に陥っています。
仕事とはいったい何か。お金とはいったい何か。この答えがわかった人は、この本をすんなり読めるのではないでしょうか。