学習教材5.人事評価制度を有効に使う(続き)
3. ポイント
(1)管理職の責務
① 人事評価制度の目的は何か→業務における成果目標の達成、人材育成。
② 目標設定、自己評価への適切な介入→組織全体の方針の確立と徹底。
③ 職員とのコミュニケーション→方針の伝達、情報収集、言行一致。
④ しっかり事実確認、その場でほめる、その場で指導し問題解決、同じミスを重ねないようフォローアップ。自己評価の甘い人には言うべきことを言って聞かせる。
(2)運用の進化
① 最初から完璧な評価制度はできない。満足度が高いシステムにするには、組織の構成員全体の協力なしには不可能。
② 処遇に反映させない評価はあり得ない。しかし、評価の質が伴わないままに処遇に相当な差をつけると組織全体に運用への不信感が生じる。逆に、いつまでも質が向上しないために処遇への反映に踏み切れないと、制度自体の存在価値がないと批判が高まる。
③ 高い目標を達成して組織に貢献してくれた者に対して、組織としてどのように感謝の意を表現すること適当か?
④ どう処遇に反映すれば、組織の人材育成という面でもプラスの効果を生むことができるか?
(3)運用の統率
① 大学事務局では、一般的に制度運用上の統率が行き届きにくい。部局・部署ごとに、自己流の運用をしがちである。ここに、運用不統一=失敗の最大要因がある。
② 統率には、評価者=管理職の意識統一を地道に進めるしかない。目標の立て方、指導の在り方、評価の付け方などで、自己流を排して統一を図るには、評価者が基本的姿勢で一致すること、基本的な技能を身につけることの2点が重要である。
③ 手がかりは、管理職自身の職業人生の振り返り、評価者としての各自の経験交流によって、それぞれの座標軸を組織が目指す方向に修正していくところにある。
(4)コミュニケーション
① 従来の大学事務局は、管理職と一般職員の心理的な距離感があり過ぎたので、Aさんのように、人事評価制度で始めて一般職員と直接仕事の話をする機会を得た管理職も少なくない。最近の若手職員はコミュニケーションの能力が低いなどと嘆く向きもあるが、管理職については能力が高いと胸を張れるだろうか?手本を示してやるくらいのつもりで自ら取り組むことが望ましい。
② 管理職はコミュニケーションの訓練を受けていないので、不得手な人も多い。しかし、これは、既に必須科目であり、不得手な人は世の中に手本を探して真似をするところからでも努力しなければならない。
③ 基本は見ること(堂々と見る=見ていることが相手に分かる方が良い)→声をかけること(ほめる、注意する、相手の問題を察知する)→フォローアップすること(モチベーションは上がっているか、ミス等の問題は解決しているか)ということである。以上は、ディズニーランドで実践されている手法である。
④ コーチング、カウンセリングの基本的な技術を学べば、より効果的にコミュニケーションが取れる。
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