Fordham大学にMaschi准教授を訪ねる
New Yorkに来た目的の一つは、Fordham大学のソーシャル・サービス専攻大学院で教鞭をとるMaschi准教授と面会することであった。
Fordham大学というのは、イエズス会設立の大学であり、従って日本の上智大学と同源ということになる。
NYのセントラルパークから歩いてちょっとのところにキャンパスというかビルがある。
セキュリティ、要するに守衛さんのところでTinaを呼び出してもらい、学食で食事をとった上で大学内をご案内いただき、ミーティングルームでしばし歓談した。
Fordham大学の大学院に、Social Serviceという専攻があることがまず興味深い。
このサイトによれば、学士課程から博士課程まであり、オンラインコースもある。
ソーシャルワーカーに必要な技能、スキルを臨床教育の手法を用いて学ぶほか、地域、国、国際社会におけるソーシャルワークの組織論や組織運営管理のスキルなども学ぶ。
相当の時間数をフィールドワークにさくことも予定されており、実践的な大学教育の鑑のようなコースである。
なお、彼女のもう一つの肩書には、National Organization of Forensic Social Workというのがある。
デジタル・フォレンジックと同じフォレンジックとあるが、そもそもがフォレンジックという言葉は法廷forumに由来する言葉で、フォレンジック・ソーシャル・ワークというときはソーシャル・ワークの司法上の応用というような意味である。
このセンターは、ソーシャルワーカーに対する司法問題への対応を情報提供や研修という形で伝えるとともに、司法の場にも、立法者にも、ソーシャル・ワークの情報を伝えるという機能を持っている。
さて、このような機能を見ると想起されるのが、日本の法テラスが打ち出している「司法ソーシャル・ワーク」という概念だ。
この概念を巡っては、それはそれで始まったばかりなのに毀誉褒貶なのだが、大きな方針としては司法にソーシャル・ワークの機能が導入されることが必要なことは議論の余地がないはずであり、そのための良き情報リソースとして、アメリカのフォレンジック・ソーシャル・ワーク組織は貴重なのではなかろうかと思った。
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