まだチャンミンが日本に居た頃
日本を検索していたら出てきたのは桜と花火の画像で
それはとても綺麗だった
それから俺達は再会し
今は恋人兼サブマネージャーとして
幸せな日々を送っている
「…暑い…」
「…暑いですよね…」
夏だから暑いというのは当たり前な事だけれど
エアコンが恋しい
ふと横に立つチャンミンの
こめかみから汗が流れ落ちて
何だかエロいなぁ、なんて思った
少し開いた胸元に流れる汗が
まるで情事の時の彼のようで…
彼のボディラインは少し女性的で
艶かしく魅惑的
ふと、そんな事を考えていたら
チャンミンが少し苛ついた顔で俺を見ていた
「…なんだよ…」
「顔面管理」
「…はいはい…」
「はい、は一回」
「…はい」
真夏の炎天下でグラビア撮影だなんて
ほんと、信じられない
俺に日傘を差し出すチャンミンは
既に汗だくで
自分の事より心配になってしまう
それなのにチャンミンは
水分補給をちゃんとしろとかうるさい
「チャンミンも水分補給ちゃんとしないと駄目だからな」
「わかってます」
「夏と言えば花火だよな…」
「あぁ、日本で花火大会に連れていって貰いました」
「…花火大会…」
「カンタさんが浴衣を着ろって言うから
浴衣を着て行ったんですけど
歩き辛いし着崩れたら直せないし
本当に大変でした」
「…浴衣…」
「あっ、ユノ、撮影お願いします」
「え?あぁ、はい」
チャンミンの浴衣姿…
「見てみたい…」
*****
久々のオフを貰い
日本に泊まりで旅行だと言った時
チャンミンは嬉しそうに笑った
夜に花火大会に行く予定だけ伝えると
ザックリとした旅の予定に苦笑いされ
何の手配もしていない俺に
流石サブマネージャーという手腕で
次々と手配を済ませた
「いいですか、ユノ
暑いうえに人混みです
手配はちゃんとするべきです」
「…確かに」
「ユノの希望はありますか?」
「希望?」
「はい、食べ物とかでも」
「浴衣着たい!!というかチャンミンも一緒に浴衣!!」
「…ぇー…」
渋い顔のチャンミンが
ブツブツ言いながらどこかに電話をかけて
日本語で話している
それはきっと浴衣の手配なんだろう
「…楽しみ…」
*****
日本に到着して
チャンミンの知り合いの車で都内へ
それは土手の近くの一軒家で
何故そんな場所に?と戸惑う
「チャンミン…」
「これから浴衣を着ます」
「おぉっ!!」
「…はぁ…」
テンションの高い俺とは違い
テンションが低すぎるチャンミン
階段をのぼり部屋に通されると
あきらかにスタジオではなく個人の家で
何故こんな所で着替えるのだろうか?
そんな疑問でいっぱいになる
「いいですか、ユノ
ここは僕のお世話になったかたの家です
ここの屋上で花火を観させて貰うんです」
「…え?」
「人混みで見つかったりしたら危険なので
申し訳ありませんがここで」
「屋上?」
屋上で花火だなんて
なんて贅沢なんだろう
「宴会しながら花火を観る感じです」
「へぇ…」
ワクワクしていると
色々な浴衣を見せられた
「…これが浴衣…」
例えばホテルとか旅館とか
そんな所のとは少し違う
同じ浴衣なのにどうして違うのだろうか?
「古典的な柄から今時の柄まで揃えたんだけど
ユノはシンプルな方が似合うね」
*****
無事着付けが終わり
俺は浴衣姿になった
屋上でチャンミンが準備をしていると言われ
階段を上がるとまさかの外階段
「まだ上がるのか…」
屋上に着くと敷物が敷かれ
ローテーブルと座布団にクッションが
「チャンミン、どう、似合う?」
「…に、似合ってますよ…」
赤い耳をして視線を反らすチャンミンに
可愛いなぁと思いつつ
彼の浴衣姿が見たくて急かす
「…浴衣で準備とか無理だし
終わってから着替えますよ」
「…そっか…」
邪魔にならない程度に手伝いながら
テーブルの上のお菓子をつまみ食い
「暇なら下に行って涼んでいればいいじゃないですか」
「…そうする…」
邪魔にしかならないのなら
チャンミンの言う通り涼んでいようかと階段を下りる
キッチンでは家主の奥さんが料理を作っていて
家主は大きなクーラーボックスに
アルコールと保冷剤を詰めていた
「何か手伝える事はありますか?」
そう話し掛けてみたものの
韓国語のわからない家主は
ソファーを指して
多分座ってろとかそんな事を言ってるんだと思う
「そうか、ここは日本だもんな…」
コミュニケーションすら取れず凹み
ソファーに沈む
「…ふぁ…」
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