何だか見てはいけないものを見てしまったようで後味が悪い…
そんな空気を変えるため僕はバスルームに向かう
「あ、洗濯終わってる…」
乾燥まで終わっているから取り出してリビングのソファーで畳む
…僕の仕事は何だったかなぁ…
本日何度目かの迷子になってしまった自分の気持ち
とりあえず今日は清掃業者になっておこう
そうとでも思わないとやっていられない
「…はぁ…」
畳み終えて再度バスルームに向かう
ドアを開けるとやはり残念な状況だった
カビ取りスプレーをあちらこちらにして
ゴム手袋とマスクを再度着けて完全防備すれば戦闘開始!!
***
一心不乱に掃除をする
これはある意味気持ちがいい
何も考えずに目の前の汚れの事だけを考えればいいのだから
だから僕は時間を気にする事無く掃除に没頭した
ピカピカに磨きあげたバスルームは
やはり自分グッジョブ!!な感じで自画自賛
額の汗を拭きながらリビングに戻ると今朝とは見違えるように輝くリビングに涙が出そうになった
…今日の僕の成果は、この素晴らしいリビングだ
カサカサカサ…
「…ぅん?」
カサ…カサカサ…
僕の頬を伝うのは涙なんかじゃなくて冷や汗だ
そして僕の目の前に現れた黒いアイツ
予測出来ない動きで僕を翻弄する
震える手で掴んだスプレーは
噴霧される事無くまだ手の中
どんなに優秀なアイテムでも
使う側がヘタレだと意味がない
僕はヘタレなんかじゃない!!そう自分を鼓舞してアイツを抹殺するためスプレーを噴霧する
手負いの獣は牙を剥く
まさにその通り
黒いアイツは僕に向かってその闇夜のような暗黒の羽根を広げた…
「…っヒ…!!」
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