小学生の時、教科書に円の面積の公式が
半径×半径×円周率
πr^2
であることについて、もちろん積分したら終わりなんですが

こうやって円を何等分かの扇形に分割して扇形を交互に反対に並べて、
この扇形を細かくしていくと横が円周の半分のπr、縦が半径r(直径の半分)の長方形になるから、円の面積の式は
πr^2
であるようなことが書いてありました。
小学生の時、これを見たときはこんないい加減な近似でほんまにええんかって思いました。
でも高校生になって理系に進んで数学IIIを習って…だんだん、この意味がわかってきて本当にこれで円が求まることがわかってくるようになります。
そしたらこの小学生の教科書の考え方で、円の面積を実際に求めてみましょう。
円の面積の公式が
πr^2
であることを証明します。
結構、極限のいい練習問題になってると思います。

極限の計算をするために、問題設定を自分でしなければなりません。
まず円をn等分すれば半径r、中心角2π/n(弧度法です。2πは180°のこと)の扇形ができます。
これを交互に反対に並べたものの面積をSとします。
すると、この内側と外側に長方形がとれます。
小さい方をm、大きいほうをMとすると、この長方形は扇形が交互に並んだ図形の完全に内側、完全に外側になるから
m≦S≦M
とできます。
nを無限に大きくした時に、mとMが同じ値(つまりπr^2)になれば挟み打ちの原理からSが求まります。
mの方は、一つの扇形を取り出して三角比とかでそれぞれ長さを出してください。
まあ図のような直角三角形を考えてください。
図の直角三角形は、斜辺がrで中心角の方の角がπ/nだから
高さがr×cos(π/n)で
底辺がr×sin(π/n)です。
この直角三角形をもう一つ横に反対に書くと一つの長方形が出来てその長方形の面積は
r^2cos(π/n)sin(π/n)
です。
それでこの長方形は扇が一つ増えるたびに、一つ増えて、扇二つの時に1個だから扇n個ではn-1個長方形があるので
m=(n-1)r^2cos(π/n)sin(π/n)
同じようにMも出してください。
若干ややこしいですが、似たような方法で出せます。
また一つの長方形を考えて、底辺はさっきの長方形と同じrsinπ/nで高さは半径rに微妙に付け足さなければなりませんが、その付け足す分は半径からさっきの長方形の高さrcosπ/nを引いた長さなので、結局この長方形の高さは
r + (r - r×cos(π/n)) = r(1 + 1 - cos(π/n))
です。
今度は、この長方形は扇形が一つ増えるごとに一つ増えて、扇一個の時に2個だから扇n個ではn+1個この長方形があって
M=(n+1)r^2(1+1-cos(π/n))sin(π/n)
ここまで来れば、後は極限の計算です。
まあn→∞の時は、cos(π/n)→1でこれは問題ありません。
そしてsin(π/n)が問題ですがこれは(sinx)/x→1(x→0)を使うと予想されます。
nsin(π/n) = πsin(π/n)/(π/n)
をつかっていけばいいわけです。

lim(n→∞)m=lim(n→∞)(1-1/n)r^2cos(π/n)sin(π/n)/(π/n)
=πr^2
図形的な意味では高さはrcos(π/n)→r
底辺は(n-1)rsin(π/n)→πr
の長方形です。
lim(n→∞)M=lim(n→∞)(1+1/n)r^2(1+1-cos(π/n))sin(π/n)/(π/n)
=πr^2
こっちも図形的な意味では高さはr(1+1-cos(π/n))→r
底辺は(n+1)rsin(π/n)→πr
の長方形です。
だからlim(n→∞)S=πr^2
で図形的な意味は高さr、底辺はπrの長方形に収束しています。
と言うことで、確かに小学生で習った円の面積の求め方は正しいことがわかりました。
似たような練習問題としては円に内接する正n角形をどんどんnを大きくすると円になりそうですが極限の計算をするとちゃんと円の面積になります。
たぶん教科書に載ってるような典型的演習問題ですが勉強になると思うし、東大の円周率が3.05より大きいことを証明しろって問題もだいたい正24角形ぐらいの面積を考えたらいけそうと言う発想が自然に出てくると思います。
高校数学の公式や問題の解説
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