わたしは、これからどのように生きていけばよいのでしょうか…?
東京大学2012年度理系第5問の解説
[問題]
行列A=(a b c d)が次の条件Dを満たすとする。
(D)Aの成分a,b,c,dは整数である。
また,平面上の4点(0,0),(a,b),(a+c,b+d),(c,d)は,面積1の平行四辺形の4つの頂点をなす。
B=(1 1 0 1)とおく。次の問いに答えよ。
(1)行列BAとB^-1Aも条件(D)を満たすことを示せ。
(2)c=0ならば,AにB,B^-1のどちらかを左から次々にかけることにより,4個の行列
(1 0 0 1),(-1 0 0 1),(1 0 0 -1),(-1 0 0 -1)のどれかにできることを示せ
(3)|a|≧|c|>0とする。BA,B^-1Aの少なくともどちらか一方は,それを(x y z w)とすると
|x|+|x|<|a|+|c|
を満たすことを示せ
((a b c d)は行列
a b
c d
を表してます)
[解答と解説]
(1)
まず4点(0,0),(a,b),(a+c,b+d),(c,d)は,面積1の平行四辺形を式にあらわしたいとこですが、これはいつもの三角形の面積の公式
OA→=(x_1,y_1),OB→(x_2,y_2)とすると
△OAB=1/2・|x_1y_2-x_2y_1|
の2倍を使います。
と言うよりも、むしろ
|x_1y_2-x_2y_1|が平行四辺形の面積で、その半分が三角形なんですね。
これは
OA→=(a,b),OB→=(c,d)と書けば
|ad-bc|
です。
なんかどっかで見たことある式です。
まあ行列式ってやつやな。
実は行列式って、その行列を構成してる二つのベクトルが作る面積をあらわしています。
これはn次の行列で言えることで、行列式は体積要素と言う幾何的な見方もあるわけやねん。
ちなみに3×3行列の行列式なら、その行列を構成する3つのベクトルで張られる平行六面体の体積をあらわします。
まあ高校なら2×2の行列ばかりですが、行列式が平行四辺形の面積と言うのは知っていていいと思います。
と言うことでAは(D)を満たすから
|ad-bc|=1
です。
BAは計算すると(a+c b+d c d)
よってこれは成分が全部整数で面積は
|(a+c)d-(b+d)c|=|ad-bc|=1
だから(D)を満たします
B^-1Aは(a-c b-d c d)でこれも成分は整数で面積も
|(a-c)d-(b-d)c|=|ad-bc|=1
これも(D)を満たしています。
ちなみに行列式は
det(AB)=detAdetB
が成立するから
detB=1よりdetB^-1=1でdet(BA)=det(B^-1A)=detBdetA=detA
なので当たり前と言えば当たり前の結果です。
(2)
前問は誘導になってるはずやから…
とりあえずAに左からB^-1やBを何度かけても成分は整数と言うことはわかります。
後は面積1やな。
面積が1やから行列式が1やろ。
でもそれは当たり前なわけや。
ところが面積1なんですね。
ですです。
ですので…
って考えると続けると、
わたくしこれからどのように生きていけばいいでしょうか?
ってメール送りつけることになって相手を困らせます、
こういう時は、
もっと大切な方針として具体的にやってみる
です。
BAを計算してみると(a b+d 0 d)
B^2Aを計算してみると(a b+2d d)
これにB^-1をかけても、意味がないとこやな。
B^-1Aを計算してみると(a b-d 0 d)
B^-2を計算してみると(a b-2d 0 d)
と言うことは
B^nA=(a b+nd 0 d)
ってことですね。
それでc=0で|ad-bc|=1やからad=±1で
a=±1,d=±1
やから、適当なnを選んでb+nd=0って出来て終了です。
n=-b/dは整数やしな。
これはめっちゃ簡単なんですが、なれていないと全然違うアプローチをとって難しいと思います。
使う知識がほとんどなく具体的にやってみて処理能力を聞いてるとこはやっぱり東大らしいです。
むしろそういう処理まで知識として覚えて欲しいとこやけどな。
(3)
たぶん同じような感じでやるんやろな。
まず条件を整理してみましょう。
BA=(a+c b+d c d)
B^-1A=(a-c b-d c d)
だからx=a+cまたはx=a-c
z=cで
|x|+|z|<|a|+|c|
は
|a+c|+|c|<|a|+|c|
または
|a-c|+|c|<|a|+|c|
で
|a+c|<|a|
または
|a-c|<|a|
とかなり簡単な式になります。
そしてこの問題での条件は
|a|≧|c|>0
です。
さっきと同じように具体的にやってみましょう。
例えば
a=3,c=1なら
|a+c|=1+3=4
でこれは3より大きいから|a+c|<|a|は満たしませんね。
|a-c|=3-1=2
やからこれは3より小さいので|a+c|<|a|を満たします。
まさかこれまでの問題が全然関係なく、これだけでいけてまうんちゃうん。
a=3,c=-1なら
|a+c|=2<3でオッケー
a=-3,c=1なら
|a+c|=2<3でオッケー
a=-3,c=-1なら
|a-c|=2<3でオッケー
要するに異符号なら|a+c|<|a|,
同符号なら|a-c|<|a|
で終わりってやつやですね。
と言うことで僕の解説を終わります。
東京大学の入試の数学の過去問の解説
- 関連記事
-
テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育
|