風邪も何もかも治らん。
神戸大学2008年度理系前期第1問、命題の真偽の問題です。
[問題]
実数x,yに関する次の各命題の真意を答えよ。さらに、真である場合には証明し、偽である場合には反例をあげよ。
(1)x>0かつxy>0ならば、y>0である。
(2)x≧0かつxy≧0ならば、y≧0である。
(3)x+y≧0かつxy≧0ならば、y≧0である。
[解答]
(1)x>0だからxy>0の両辺をxで割っても不等号の向きはそのままで、y>0。
当たり前すぎて、これでいいのか悩むところです。
(2)x≧0かつxy≧0ではx=0にするとyは何でも成り立つので、
x=0,y=-1とすればx≧0,xy≧0であるがy<0で命題は成り立たないから偽です。
(3)x+y≧0かつxy≧0ならばy≧0は直接示そうとすると色々な場合分けが必要になるので、そういう時は背理法を使えば簡単に証明しやすいです。
y<0と仮定すると
x+y≧0⇔x≧-y
であるが
x≧-y>0
よって、x>0。
x>0、y<0よりxy<0。
これは矛盾。
よってy≧0である。
これは同様にx≧0になるから、
x+y≧0かつxy≧0ならばx≧0かつy≧0
です。
しかも
x≧0かつy≧0ならば明らかにx+y≧0かつxy≧0
だから
x+y≧0かつxy≧0⇔x≧0かつy≧0
でこれを使えば二次方程式の二つの解α、βが両方0以上になる条件を求めるときに
α≧0かつβ≧0
⇔α+β≧0,αβ≧0
で解と係数の関係が使えるのをチェックしておいてください。
最後におまけですが、(1)を本当はもっと厳密にやれと言われると
任意の実数a,b,cに対して
1,a≦a(反射律)
2,a≦b,b≦aならばa=b(反対称律)
3,a≦b,b≦cならばa≦c(推移律)
4,a≦bまたはb≦aの少なくとも一方が成り立つ(全順序性)
5,a≦bならばa+c≦b+c
6,a≧0,b≧0ならばab≧0
a≦bかつa≠bをa<bとあらわす。
これらだけ使って証明します。
-x^(-1)≧0と仮定するとx>0だから6を使って
-x・x^(-1)≧0
であるがx・x^(-1)=1なので矛盾。
よって-x^(-1)<0である。
5を使って両辺にx^(-1)をたして
0<x^(-1)
で6を使って
x^(-1)>0、xy>0よりx^(-1)xy>0⇔y>0
しかしまあ、高校生にこんなことが要求されるわけではないのでたぶんxで割るだけでいいと思います。
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