西側は新自由主義のショック療法で戦後のウクライナを略奪する準備をしている:民営化、規制緩和、労働者保護の削減(要点)
ジェイク・カリオ氏とベンジャミン・ノートン氏の記事の要点。ゼレンスキーは正に「売国奴」。キエフのクーデター勢力の実効支配下に在るウクライナは丸ごと「持ってけドロボー」状態だが、日本を含め西側では冷戦後に旧ソ連諸国に何が起こったのか殆ど理解していない人が大半であろうと思うので、経済的ジェノサイドとも言うべき新自由主義的改革の本格的な怖さはピンと来ないかも知れない。
West prepares to plunder post-war Ukraine with neoliberal shock therapy: privatization, deregulation, slashing worker protections
西側諸国の政府と企業の代表者達は2022/07/04〜05にスイスで会合し、戦後のウクライナに課す一連の厳しい新自由主義政策を計画し、労働法の削減、「市場開放」、関税引下げ、産業の規制緩和、「個人投資家への国有企業の売却」を提唱した。この会合は「ウクライナ復興会議」と称しているが、これは2017年から開催されている「ウクライナ改革会議」を単に呼び変えたもので、顔触れと話し合われるテーマは変わっていない。改革会議のアジェンダは「市場経済の強化」、「脱中央集権化」、民営化、国有企業の改革、土地改革、国家行政改革」、「欧州-大西洋統合」で、無論「復興」とは何の関係も無い。2018年の報告書は「政府がウクライナ最大の資産保有者である」ことを問題視し、「改革の最終的な目標は、国有企業を民間投資家に売却することである」と明確に述べている。2018年1月には民営化の手続き簡素化に関する法律が採択されている。
これらの(正に「国を売れ!」的な)新自由主的改革はウクライナ人達には全く不人気で、世論投票では支持するのは12.4%しか居らず、反対は49.9%に上っていた(従ってこれは「民主的改革」とは到底言い難い)。
ウクライナ議会は2022年3月に、雇用主が労働協約を一時停止出来るようにする緊急法を採択。更に5月には大多数のウクライナ人労働者(従業員が200人未満の企業の従業員) をウクライナの労働法の事実上適用除外とする恒久的な改革パッケージを可決した。これらの改革の受益者はウクライナの雇用主だが、西側諸国政府も何年もの間、労働法を自由化するようロビー活動を行なって来た。2021年にリークした文書に拠ると、英国政府は開発援助部門と英国大使館を通じて、反労働組合的な新自由主義的市場改革をウクライナ国民に売り込むのを支援するコンサルタントに資金を提供していた。
西側は「ウクライナ復興会議」で積極的な新自由主義改革を要求する
ウクライナ復興会議に出席した諸代表は以下の通り(アルファベット順)。
・アルバニア
・オーストラリア
・オーストリア
・ベルギー
・カナダ
・クロアチア
・キプロス
・チェコ共和国
・デンマーク
・エストニア
・フィンランド
・フランス
・ドイツ
・ギリシャ
・ハンガリー
・アイルランド
・アイスランド
・イスラエル
・イタリア
・日本
・ラトビア
・リトアニア
・リヒテンシュタイン
・ルクセンブルク
・マルタ
・オランダ
・北マケドニア
・ノルウェー
・ポーランド
・ポルトガル
・大韓民国(ROK)
・ルーマニア
・スロバキア共和国
・スロベニア
・スペイン
・スウェーデン
・スイス
・トルコ(Türkiye)
・ウクライナ
・連合王国(イギリス)
・アメリカ合衆国
・欧州評議会
・欧州復興開発銀行
・欧州委員会
・欧州投資銀行
・経済協力開発機構 (OECD)
会議に於てウクライナのEU加盟が合意され、ルガノ宣言と云う共同声明と、ウクライナ政府の「国家復興評議会」によって準備された「国家復興計画」が承認され、これにより「重要でない企業の民営化」や「国有企業の法人化の最終決定」、「国有銀行の民営化」、「規制緩和」、「民間投資を優先セクターに開放する為の『触媒プロジェクト』」の創設等が提案された。また「時代遅れの労働法」が非難され、労働者保護の大幅のな削減が求められる一方、企業と裕福な資本家に対しては減税が求められた。まぁ要するに、古典的なワシントン・コンセンサスを新しいパッケージで包んだだけの代物だ。
因みにソ連崩壊後の1990年代に旧ソ連諸国はこの西側からの新自由主義的略奪の嵐に襲われたが、2001年のユニセフの調査に拠ると、ロシアではこれらの改革は320万人以上の超過死亡を引き起こし、1,800万人の子供達を貧困に追い込み、蔓延する栄養失調と公衆衛生危機を齎した。ワシントンとブリュッセルはウクライナに関してこの再びこの新自由主義的「ショック療法」に戻ろうとしている様だ。
戦後のウクライナでの新自由主義的ショック療法への更なる要求
復興会議ではまた「経済復興センター」と云うウクライナの右翼の企業ロビー組織が「戦略文書」を発行したが、こちらは更にあからさまで、「経済的自由」、即ち「政府の規模を縮小する」ことと「市場を開く」ことを促した。「政府の規模を縮小し(税務管理、民営化、公共サーヴィスのデジタル化)、規制の効率を改善し(規制緩和)、市場を開く(資本市場の自由化、投資の自由)により、企業の規制負担を軽減する」 のだそうだ。更に「EU統合と市場へのアクセス」の名の下に、「全てのウクライナ製品に対する関税と非関税非技術的障壁の撤廃」を同様に提案し、同時に外国企業向けの「特別投資インセンティヴ」によって「最大の国際企業をウクライナに呼び込む為に外国直接投資の誘致を促進」することを呼び掛けている。
つまりウクライナの経済的主権を西側資本に明け渡せと云うことだ。
国家復興計画と戦略文書では腐敗防止努力の必要性も強調されたが、どちらもゼレンスキーがオフショア口座ネットワークに膨大な隠し財産を持っていることはスルーしている。
自由化、民営化、規制緩和、減税への更なる要求
復興会議では更にエコノミスト・インパクトと云う企業コンサルティング会社の報告書も発表され、その内スイス政府が資金提供した「ウクライナ改革追跡」と題する文書は、2014年の米国支援のクーデター以降、ウクライナで既に実施されている新自由主義政策を分析し、戦争が終わったら更に積極的な新自由主義改革を実施するよう促している。経済への国家の介入を問題視し、「海外直接投資の増加」や「過剰な規制」や関税の撤廃、「可能な限り迅速な通貨規制の撤廃」、「農業の自由化」、「外国人投資家が紛争後の市場に参入し易く」する為の「手続きの簡素化」、「国有企業の民営化を更に追求する」ことを求めている。そしてウクライナが経済的にロシアから距離を置くことを称賛してEU市場への統合強化を謳い、ウクライナが「レールゲージをEU基準に合わせる」(と云うことはロシア等のユーラシア大鉄道網の恩恵をウクライナは受け難くなると云うことだ)ことで鉄道を修正する等の改革を要求している。そして「外国を含む法人に農地を購入する権利を拡大する」ことや「国有銀行のシェアを大幅に引き下げること」を求めている。正に災害便乗資本主義の典型だ。
災害便乗資本主義を推進する一方で、ウクライナ復興会議は「社会正義」のレトリックを悪用する
復興会議では「ルガノの7原則」も発表された。
・パートナーシップ
・改革の焦点
・透明性、説明責任、法の支配
・民主的参加
・マルチ・ステークホルダーの関与
・ジェンダーの平等と包摂
・(環境)持続可能性
如何にも意識高い系の尤もらしい美辞麗句が並んでいるが、これは西側の帝国主義を正当化する為に左派のリベラルな社会正義のレトリックが利用されている現実を反映している。これについては元国務省役人のクリストファー・モット氏による以下の記事を参考のこと。ネオコンが社会正義の顔を被って帝国主義の実態を人々の目から隠していることを指摘している。中央&東ヨーロッパの若いリベラルな知識人達には、「欧米の覇権と新自由主義改革の下でのみ可能になる自由文化プロジェクト」対「現在の反動的右翼反共主義ナショナリストに体現されている過去の社会主義の政治的遺産」なる全く馬鹿げた偽の対立構造を支持している人が多い。そして右翼ナショナリストが新自由主義と結び付いたり、草の根の社会正義活動家は外国の工作員とレッテルを貼られたりと、色々とカオスなことになっている。平時ならともかく、こうした状況はウクライナの様に西側諸国政府が極右のネオファシスト・グループを支援して内戦を8年間引き伸ばして来た様な国では極めて危険だ。
Woke Imperium: The Coming Confluence Between Social Justice and Neoconservatism
こちらは新自由主義に左派っぽい外観を与える「インターセクショナル帝国主義」についてのベン・ノートン氏による解説動画。
Intersectional imperialism: New strategy of US war machine
ウクライナには略奪する為に何が残っている?
2022/05/09、米国議会は第二次大戦中のレンドリース方に倣ってウクライナ民主主義防衛レンドリース法を可決し、ウクライナに軍事援助を提供するワシントンの権限を大幅に拡大した。だがこれはローンであって助成金ではなく、英国が第二次大戦時の負債を完済したのは2006年になってからだ。ロシアがソ連の債務を完済したのも2006年だ。(この支払いの中にはウクライナの分も含まれていた!)
西側には「債務の罠」を兵器化して来た長い歴史が有り、2013年にヤヌコヴィッチ大統領がIMFの要求を拒否したことは、その後のマイダン・クーデターの舞台を整えた。
ウクライナ紛争に於ては、東部の最も工業化が進んだ地域はロシアと分離主義者が併合する可能性が高い。そして戦前に残っていた国の産業基盤の多くは、戦争によって物理的に破壊された。何百万人もが既に国外へ移住しており、特にEUで就労ビザを取得出来る場合は帰国する可能性は低い。若く教育を受け技術的スキルを持っている人々は、ウクライナに留まる可能性は低い。
ウクライナは2022年の紛争以前から欧州で最も貧しい国だった。ソ連時代のウクライナは、ソ連の重工業の中心地として繁栄し、ソ連の政治的指導者の多くを輩出したが、ソ連崩壊後は持続的な経済危機と横行する組織的な汚職によって壊滅的な打撃を受け、ロシアを含む近隣のポスト社会主義国と比較しても一貫して収入が少なく、生活水準が低い。ウクライナの実質はGDPは今だに1990年の水準に戻っていない。
現在のウクライナには基本的な国家機能を提供する財政手段が限られており、対外債務の返済は言うまでも無い。紛争後のウクライナは他の分野で屈辱的で危険な譲歩を迫られることを強いられる可能性が有る。例えばイスラエル式に兵器テストの実験場にされるか、コソボ式に米帝の秘密作戦の拠点にされるか、チリ式に西側企業に対して避税と犯罪活動に関して無規制環境を提供するか。
紛争に外交的解決が図られると、ウクライナの政府と国民は本物の経済復興に資源を集中させてしまう。だから西側諸国は和平交渉に頑固に抵抗し、例えばEU外務代表ジョゼップ・ボレルなぞは「この戦争は戦場で勝利する」などと主張している。ウクライナはワシントンのブリュッセルの地政学的野心の為の犠牲になっているが、紛争が終わっても経済的な略奪は続く。
こちらはノートン氏による動画解説版。
West prepares to plunder post-war Ukraine with neoliberal shock therapy
West prepares to plunder post-war Ukraine with neoliberal shock therapy: privatization, deregulation, slashing worker protections
西側諸国の政府と企業の代表者達は2022/07/04〜05にスイスで会合し、戦後のウクライナに課す一連の厳しい新自由主義政策を計画し、労働法の削減、「市場開放」、関税引下げ、産業の規制緩和、「個人投資家への国有企業の売却」を提唱した。この会合は「ウクライナ復興会議」と称しているが、これは2017年から開催されている「ウクライナ改革会議」を単に呼び変えたもので、顔触れと話し合われるテーマは変わっていない。改革会議のアジェンダは「市場経済の強化」、「脱中央集権化」、民営化、国有企業の改革、土地改革、国家行政改革」、「欧州-大西洋統合」で、無論「復興」とは何の関係も無い。2018年の報告書は「政府がウクライナ最大の資産保有者である」ことを問題視し、「改革の最終的な目標は、国有企業を民間投資家に売却することである」と明確に述べている。2018年1月には民営化の手続き簡素化に関する法律が採択されている。
これらの(正に「国を売れ!」的な)新自由主的改革はウクライナ人達には全く不人気で、世論投票では支持するのは12.4%しか居らず、反対は49.9%に上っていた(従ってこれは「民主的改革」とは到底言い難い)。
ウクライナ議会は2022年3月に、雇用主が労働協約を一時停止出来るようにする緊急法を採択。更に5月には大多数のウクライナ人労働者(従業員が200人未満の企業の従業員) をウクライナの労働法の事実上適用除外とする恒久的な改革パッケージを可決した。これらの改革の受益者はウクライナの雇用主だが、西側諸国政府も何年もの間、労働法を自由化するようロビー活動を行なって来た。2021年にリークした文書に拠ると、英国政府は開発援助部門と英国大使館を通じて、反労働組合的な新自由主義的市場改革をウクライナ国民に売り込むのを支援するコンサルタントに資金を提供していた。
西側は「ウクライナ復興会議」で積極的な新自由主義改革を要求する
ウクライナ復興会議に出席した諸代表は以下の通り(アルファベット順)。
・アルバニア
・オーストラリア
・オーストリア
・ベルギー
・カナダ
・クロアチア
・キプロス
・チェコ共和国
・デンマーク
・エストニア
・フィンランド
・フランス
・ドイツ
・ギリシャ
・ハンガリー
・アイルランド
・アイスランド
・イスラエル
・イタリア
・日本
・ラトビア
・リトアニア
・リヒテンシュタイン
・ルクセンブルク
・マルタ
・オランダ
・北マケドニア
・ノルウェー
・ポーランド
・ポルトガル
・大韓民国(ROK)
・ルーマニア
・スロバキア共和国
・スロベニア
・スペイン
・スウェーデン
・スイス
・トルコ(Türkiye)
・ウクライナ
・連合王国(イギリス)
・アメリカ合衆国
・欧州評議会
・欧州復興開発銀行
・欧州委員会
・欧州投資銀行
・経済協力開発機構 (OECD)
会議に於てウクライナのEU加盟が合意され、ルガノ宣言と云う共同声明と、ウクライナ政府の「国家復興評議会」によって準備された「国家復興計画」が承認され、これにより「重要でない企業の民営化」や「国有企業の法人化の最終決定」、「国有銀行の民営化」、「規制緩和」、「民間投資を優先セクターに開放する為の『触媒プロジェクト』」の創設等が提案された。また「時代遅れの労働法」が非難され、労働者保護の大幅のな削減が求められる一方、企業と裕福な資本家に対しては減税が求められた。まぁ要するに、古典的なワシントン・コンセンサスを新しいパッケージで包んだだけの代物だ。
因みにソ連崩壊後の1990年代に旧ソ連諸国はこの西側からの新自由主義的略奪の嵐に襲われたが、2001年のユニセフの調査に拠ると、ロシアではこれらの改革は320万人以上の超過死亡を引き起こし、1,800万人の子供達を貧困に追い込み、蔓延する栄養失調と公衆衛生危機を齎した。ワシントンとブリュッセルはウクライナに関してこの再びこの新自由主義的「ショック療法」に戻ろうとしている様だ。
戦後のウクライナでの新自由主義的ショック療法への更なる要求
復興会議ではまた「経済復興センター」と云うウクライナの右翼の企業ロビー組織が「戦略文書」を発行したが、こちらは更にあからさまで、「経済的自由」、即ち「政府の規模を縮小する」ことと「市場を開く」ことを促した。「政府の規模を縮小し(税務管理、民営化、公共サーヴィスのデジタル化)、規制の効率を改善し(規制緩和)、市場を開く(資本市場の自由化、投資の自由)により、企業の規制負担を軽減する」 のだそうだ。更に「EU統合と市場へのアクセス」の名の下に、「全てのウクライナ製品に対する関税と非関税非技術的障壁の撤廃」を同様に提案し、同時に外国企業向けの「特別投資インセンティヴ」によって「最大の国際企業をウクライナに呼び込む為に外国直接投資の誘致を促進」することを呼び掛けている。
つまりウクライナの経済的主権を西側資本に明け渡せと云うことだ。
国家復興計画と戦略文書では腐敗防止努力の必要性も強調されたが、どちらもゼレンスキーがオフショア口座ネットワークに膨大な隠し財産を持っていることはスルーしている。
自由化、民営化、規制緩和、減税への更なる要求
復興会議では更にエコノミスト・インパクトと云う企業コンサルティング会社の報告書も発表され、その内スイス政府が資金提供した「ウクライナ改革追跡」と題する文書は、2014年の米国支援のクーデター以降、ウクライナで既に実施されている新自由主義政策を分析し、戦争が終わったら更に積極的な新自由主義改革を実施するよう促している。経済への国家の介入を問題視し、「海外直接投資の増加」や「過剰な規制」や関税の撤廃、「可能な限り迅速な通貨規制の撤廃」、「農業の自由化」、「外国人投資家が紛争後の市場に参入し易く」する為の「手続きの簡素化」、「国有企業の民営化を更に追求する」ことを求めている。そしてウクライナが経済的にロシアから距離を置くことを称賛してEU市場への統合強化を謳い、ウクライナが「レールゲージをEU基準に合わせる」(と云うことはロシア等のユーラシア大鉄道網の恩恵をウクライナは受け難くなると云うことだ)ことで鉄道を修正する等の改革を要求している。そして「外国を含む法人に農地を購入する権利を拡大する」ことや「国有銀行のシェアを大幅に引き下げること」を求めている。正に災害便乗資本主義の典型だ。
災害便乗資本主義を推進する一方で、ウクライナ復興会議は「社会正義」のレトリックを悪用する
復興会議では「ルガノの7原則」も発表された。
・パートナーシップ
・改革の焦点
・透明性、説明責任、法の支配
・民主的参加
・マルチ・ステークホルダーの関与
・ジェンダーの平等と包摂
・(環境)持続可能性
如何にも意識高い系の尤もらしい美辞麗句が並んでいるが、これは西側の帝国主義を正当化する為に左派のリベラルな社会正義のレトリックが利用されている現実を反映している。これについては元国務省役人のクリストファー・モット氏による以下の記事を参考のこと。ネオコンが社会正義の顔を被って帝国主義の実態を人々の目から隠していることを指摘している。中央&東ヨーロッパの若いリベラルな知識人達には、「欧米の覇権と新自由主義改革の下でのみ可能になる自由文化プロジェクト」対「現在の反動的右翼反共主義ナショナリストに体現されている過去の社会主義の政治的遺産」なる全く馬鹿げた偽の対立構造を支持している人が多い。そして右翼ナショナリストが新自由主義と結び付いたり、草の根の社会正義活動家は外国の工作員とレッテルを貼られたりと、色々とカオスなことになっている。平時ならともかく、こうした状況はウクライナの様に西側諸国政府が極右のネオファシスト・グループを支援して内戦を8年間引き伸ばして来た様な国では極めて危険だ。
Woke Imperium: The Coming Confluence Between Social Justice and Neoconservatism
こちらは新自由主義に左派っぽい外観を与える「インターセクショナル帝国主義」についてのベン・ノートン氏による解説動画。
Intersectional imperialism: New strategy of US war machine
ウクライナには略奪する為に何が残っている?
2022/05/09、米国議会は第二次大戦中のレンドリース方に倣ってウクライナ民主主義防衛レンドリース法を可決し、ウクライナに軍事援助を提供するワシントンの権限を大幅に拡大した。だがこれはローンであって助成金ではなく、英国が第二次大戦時の負債を完済したのは2006年になってからだ。ロシアがソ連の債務を完済したのも2006年だ。(この支払いの中にはウクライナの分も含まれていた!)
西側には「債務の罠」を兵器化して来た長い歴史が有り、2013年にヤヌコヴィッチ大統領がIMFの要求を拒否したことは、その後のマイダン・クーデターの舞台を整えた。
ウクライナ紛争に於ては、東部の最も工業化が進んだ地域はロシアと分離主義者が併合する可能性が高い。そして戦前に残っていた国の産業基盤の多くは、戦争によって物理的に破壊された。何百万人もが既に国外へ移住しており、特にEUで就労ビザを取得出来る場合は帰国する可能性は低い。若く教育を受け技術的スキルを持っている人々は、ウクライナに留まる可能性は低い。
ウクライナは2022年の紛争以前から欧州で最も貧しい国だった。ソ連時代のウクライナは、ソ連の重工業の中心地として繁栄し、ソ連の政治的指導者の多くを輩出したが、ソ連崩壊後は持続的な経済危機と横行する組織的な汚職によって壊滅的な打撃を受け、ロシアを含む近隣のポスト社会主義国と比較しても一貫して収入が少なく、生活水準が低い。ウクライナの実質はGDPは今だに1990年の水準に戻っていない。
現在のウクライナには基本的な国家機能を提供する財政手段が限られており、対外債務の返済は言うまでも無い。紛争後のウクライナは他の分野で屈辱的で危険な譲歩を迫られることを強いられる可能性が有る。例えばイスラエル式に兵器テストの実験場にされるか、コソボ式に米帝の秘密作戦の拠点にされるか、チリ式に西側企業に対して避税と犯罪活動に関して無規制環境を提供するか。
紛争に外交的解決が図られると、ウクライナの政府と国民は本物の経済復興に資源を集中させてしまう。だから西側諸国は和平交渉に頑固に抵抗し、例えばEU外務代表ジョゼップ・ボレルなぞは「この戦争は戦場で勝利する」などと主張している。ウクライナはワシントンのブリュッセルの地政学的野心の為の犠牲になっているが、紛争が終わっても経済的な略奪は続く。
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