いよいよ本格的なタブレット時代が到来しそうだ。2年前のiPadの登場をきっかけに、Android搭載タブレットが続々と市場に登場。ついにはマイクロソフトからも初のPC本体製品となる「Surface」が発表されるなど、タブレット市場は今後ますます広がっていくだろう。年末に予定されるWindows 8の提供開始後は、Surfaceを含め多くのメーカーからWindows 8搭載タブレットが登場する。そこで筆者が気になっているのが日本語入力である。

 タブレットPCのコンセプトは別に新しいものではない。マイクロソフトでも、古くはWindows 3.1のころに出した「Windows for Pen Computing」、その後の「Windows XP Tablet PC Edition」など、かれこれ20年近くも挑戦してきている。PC市場で圧倒的なシェアを誇ってきたマイクロソフトが長年トライしてきても攻略できなかったタブレット市場を、iPadがなぜあっさりと攻略できたのだろう。筆者は、ひとえにユーザーインタフェースのおかげだと思う。

マウス/キーボードとタッチはまったく別物

 キーボードとマウスを前提とした従来のパソコンと、ペンやタッチを前提としたタブレットの世界では、使いやすいユーザーインタフェースは実はまったく異なっている。だが、マイクロソフトはあくまでキーボードとマウスを前提とした従来のWindowsの操作性にこだわり、その延長としてタブレット向けのユーザーインタフェースを提供してきた。そのため、どんなに挑戦してもユーザーになかなか受け入れてもらえなかったのだ。

 これに対し、AppleのiPadはスマートフォンのiPhoneで培ったユーザーインタフェースをタブレットに持ち込んだ。指で滑らせるように画面上でコンテンツを移動したり、ピンチアウトで自分の見たいところを簡単に拡大できるなど、タッチだけで操作できることを大前提に使いやすいユーザーインタフェースを提供した。もちろん、バッテリーの保ち時間や画面解像度など、ほかにもいろんな要因はあるだろうが、iPadが成功した最大の原因は、ここにあると筆者は思っている。

 マイクロソフトも開発中のWindows 8では、従来の延長線という方針を転換した。Windows Phone向けに開発したタッチ向けのMetroユーザーインタフェースをWindows 8には搭載。従来のマウスとキーボードを使ったユーザーインタフェース環境は「デスクトップ」というMetroの中の1つのタイル(Metro上のメニュー)の中に押し込まれている。Metro上でもマウスなど使った操作は可能だが、基本的にはタッチを前提としたユーザーインタフェースに生まれ変わると言っていいだろう。

 Metroユーザーインタフェースで使うWindowsの操作性は、これまでのWindowsとはまったく異なる。特に写真をメインとしたコンテンツでは、iPadよりも大きな画面でキレイな写真をフル画面で眺めることができて、思わず見とれてしまう。もちろん、画面上での操作も快適だ。

 こうした快適に操作できるWindows 8を見ていると、来年以降はいよいよWindowsタブレットが本格的に普及するだろうと筆者には思える。おそらくタブレット以外のノートPCでも、2013年に登場するほとんどの製品はタッチ対応になるだろう。もちろん、iPadやAndroidの新製品も登場するだろうし、タブレットのシェアや売り上げが大幅に増え爆発的に普及することは容易に想像できる。