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 富士通は6月15日、世界で初めて10Gビット/秒のイーサネットで接続が可能なブレード・サーバーの新機種「PRIMERGY BX620 S3」(写真)を、7月下旬から出荷すると発表した。価格は49万3500円から。

 同社のブレード・サーバーのシェアは「10%未満」(山中明 経営執行役サーバシステム事業本部長)。ハードウエアを軸に展開してきたこれまでの戦略を見直し、「新機種からは富士通ならではの強みを生かしてミドルウエア、導入サービスまで含めたソリューションを“IT基盤 TRIOLE”ブランドで提案していく。2008年で20%のシェアを目指す」(山中執行役)という。

 新機種では、ブレード1台あたりの処理量を最大2倍に向上させた。CPUにはデュアルコアCPU、Xeonの新バージョンである「Dempsey(開発コード名)」を採用。「(Dempseyの次バージョンである省電力CPUの)Woodcrestも出荷され次第搭載していく」(山中執行役)。メモリーは最大16Gバイト、HDDは最大146.8Gバイトまで搭載できる。

 ブレードを格納するシャーシは従来製品のままだが、10Gビット・イーサネット向けのスイッチ「PRIMERGY BX600 スイッチブレード」(94万5000円、7月下旬出荷予定)を新たに開発した。あわせてミドルウエアの「Systemwalker Resource Coordinator V13」で、タグVLAN(バーチャルLAN)を定義できるように機能強化。この2点により、物理的にNIC(ネットワーク・インタフェース・カード)の数が不足していたという従来の課題を解決した。

 富士通の技術支援部隊に寄せられるブレード・サーバーの引き合いに関する相談で最も多いのが、「高信頼なシステムをどうすれば構築できるか」というものだという。富士通はこれに対してSANブートと保証期限の延長サービスでこたえる。SANブートとはシステム領域やデータ保管領域をSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)に置き、そこから各ブレードを起動する仕組み。予備のブレードを備えておくことで、リソースが不足したりブレードのハードウエアが故障したときに対応できる。

 SANブートの提供には、ブレード・サーバーとファイバ・チャネル・スイッチ、Resource Coordinator、ストレージをセットにした「SANブートセット商品」(714万円から、8月下旬出荷予定)を新機種向けに刷新。またシャーシは従来5年間の保証期間を設けていたが、今回から個別見積もりで2年間延長できるサービスを開始した。「ブレードは増設しながら使っていくのが基本。思ったよりシャーシの利用期間は長い」(増田実夫サーバシステム事業本部IAシステム事業部長)ことが分かったからだ。

 ブレード・サーバーの用途として根強いサーバー統合やシンクライアントとの併用にも手を打つ。秋葉治プラットフォームソリューションセンターTRIOLE統括部長は、こうしたニーズに対して「導入パターンとなる“テンプレート”を5種類から8種類に増やし、あらかじめ富士通側でサーバーやSANの構成を済ませるBTO(受注生産)サービスも展開する」という。