アシアルは、Webブラウザ上でAndroidアプリを作成できるサービス「Monaca」を2011年7月25日に開始した。米Appcelerator社は、LinuxやWindowsで動く開発ツールの新版をリリースし、アプリのバグ修正を容易にした。どちらも無償なので、まずは試してみよう。
JavaScriptを使って、Androidアプリケーションを手軽に開発できるツールが充実してきた。
アシアルは、Webブラウザ上でアプリケーションを作成できるサービス「Monaca(ベータ版)」を7月25日に開始した。Monacaは、ほとんどの機能を無償で提供する。7月18日には米Appcelerator社が、LinuxやWindowsで使える開発ツールの新版「Titanium Studio 1.0.2」をリリースした。新版では、アプリケーションのバグを容易に修正できるデバッグ機能を無償で提供するようになった。
どちらのツールも、比較的簡単に学べるJavaScriptを使ってアプリケーションを開発できるのがポイントだ。しかも、プログラムを1回記述すれば、Android搭載機のほか、iPhone/iPadなどでも動作するアプリケーションを作成できる。
これまでスマートフォン用アプリケーションを開発するには、Android搭載機ならJava、iPhone/iPadならObjective-Cという本格的なプログラミング言語を使う必要があった。新しいツールでは、Webページを作る感覚でアプリケーションを開発できる。
Monaca:HTMLで画面を作成
Monacaの特徴は大きく3つある。(1)Webブラウザだけで開発できること、(2)HTMLで画面を作成できること、(3)利用が広がっているオープンソースのフレームワークをベースにしていること、だ。
Monacaを使うと、Android/iOS(iPhoneやiPadのOS)用のSDK(Software Development Kit)や、IDE(統合開発環境)をPCにインストールする必要がなくなる。SDKやIDEのバージョンアップ作業に煩わされることもない。ChromeかSafari上で、サービスとして提供されるIDEを使い、すぐにアプリケーション開発を始められる。
開発したアプリケーションを、Android搭載機やiPhoneで動く実行形式に変換する処理(ビルド)はサービス側で実施してくれる。変換した実行形式は、Android搭載機などにダウンロードし、そのまま試せる(図1)。Android搭載機とPCをケーブルでつなぐ手間も不要だ。
PCのOSは、LinuxやWindows、Mac OSなど種類を問わない。通常、Mac OS上でしか開発できないiOS用のアプリケーションをLinuxでも開発できる。
2つ目の特徴は、HTMLの知識があれば画面を作成できることだ(CSSも組み合わせて使える)。前述のTitanium Studioの場合、画面の作成にもJavaScriptを使う必要がある。
3つ目は、オープンソースのスマートフォンなど向けフレームワーク「PhoneGap」をベースにしていること。Android搭載機のカメラやGPSなどを操作するJavaScriptのAPIには、PhoneGapのものをそのまま採用している。何らかの理由でMonacaの利用をやめるときでも、PhoneGapを使ってPC上でアプリケーション開発を継続できる。PC上の開発では、米Adobe社のWebページ作成ツール「Dreamweaver」の利用も可能。同ツールの最新版「CS5.5」はPhoneGapを標準搭載しており、ツール上でビルドしたりデバッグしたりできる。