経済産業省は、「地域イノベーションパートナーシップ」と呼ぶ活動を2009年度からスタートさせる。北海道や東北など各地方ごとに「地域イノベーションパートナーシップ協議会」を発足させ、中小企業のIT活用を促進させる。さらに中小ITベンダーの支援にも取り組んでいく。
「中小のユーザーとITベンダーのマッチングを推進するほか、ITベンダー各社が連携して受託開発や人材育成、商品開発できるようにして、地方を活性化させる」(商務情報政策局の夏目健夫情報化人材室長)と言う。
各地の協議会のメンバーには、地方のIT経営応援隊といったIT関連団体のほか、ITベンダーやITコーディネータが参加。既に11月から中国地方の協議会が設立されており、来年1月には九州、2月には北海道でも発足の予定だ。各協議会の相互連携を狙う組織として「戦略企画会議(仮称)」も来年5月に立ち上げる。
今回の関連予算は、「地域イノベーションパートナーシップ推進事業」は委託費で約1億円、「地域経済情報化基盤整備費補助金」で約3億円を予定。現在、応募要綱を詰めており、今後は各地方から事業提案してもらう。
同協議会の具体的な活動は、「ビジネスマッチングの機会創出」や「ITベンダー情報のデータベース化」のほか、「ITベンダーの評価指標の策定」「ITベンダーに対する啓発」などがある。
ビジネスマッチングの機会創出については、既に中小ユーザーとITベンダーをマッチングする試みが進んでいる。今後は成功事例を共有化したり新しいやり方を試行したりすることで、さらに強化していく。
ITベンダー情報のデータベース化の活動では、社名や所在地、商品やサービスといった内容を各地方だけでなく全国規模でデータベース化。中小ユーザーやITベンダーのマッチングを支援する。2008年度末から稼働させる計画だ。
データベースには、新たに策定中のITベンダーの評価指標を盛り込み、各社の技術力を比較できるようにする。例えば、特定のスキルを備えた技術者の人数を示す、といったことが考えられている。独立行政法人の情報化推進機構などが現在、検討している。
ITベンダーに対する啓発については、セミナーや研修会の実施のほか、ITベンダーの表彰などを考えている。これに応じて、中小ユーザーの支援が中心だったIT経営応援隊の役割を、ITベンダーの支援にも広げていく。