Forrester Research, Inc.
マーク・セシール バイス・プレジデント兼プリンシパル・アナリスト
IT部員のどの役割がホットか―。ITの各分野を専門とするフォレスターのアナリスト9人に聞いた。25個の役割の候補から16個を選出し、さらに4段階のヒートレベルにランク付けした。これが図に示したものだ。こうした組織におけるホットな役割に対する要求を満たすため、CIO(最高情報責任者)は主要なスキルにおけるギャップを認識し、どの役割のスタッフを雇ってくるのか、あるいは社内で育てるのか、それとも外部から借りてくるのかを決める必要がある。
最もホットはデータとセキュリティ
我々の調査では、情報/データのアーキテクトと情報セキュリティ専門家が最もホット(Hottest)な役割となった。この二つの役割はハイリスクかつビジネスへの影響が大きく、それを担当できる人材が不足しているからである。現在、大きな組織は、全社を横断する形でデータや情報を統合する必要性を感じている。また、セキュリティ担当者の役割は危機管理をカバーするまで広がり、アプリケーションからインフラ、設備、ビジネスファクターまで考慮しなければならなくなっているため、その重要性が増している。
次にホット(Extremely hot)なものとしてはデータ/コンテンツ専門のビジネスアナリストなどを挙げた。このほか、企業アプリケーションの戦略担当などをとてもホット(Very hot)な役割に、デスクトップ仮想化の専門家などをホット(Hot)な役割とした。
我々はこの選考過程で、これらの役割をホットにしている共通の要因があることがわかった。
まずはビジネス、産業、地域に関する詳しい知識。これらは極めて専門的であるため、人材の供給が限られる。また、複数の異なるテクノロジー、ビジネス、顧客にまたがる知識も重要である。そして高いリスクと影響力があること。ホットな役割は引き受けるリスクや管理する範囲、またその影響力の範囲が企業全体となる。
外部からの人材供給が限られていることもそうだ。前述したようなホットな役割に必要な人材の絶対数は少なく、供給源である大手アウトソーサーやコンサルティング会社が興味を持たない。
最後がテクノロジーやベンダー、産業の方向性によるものだ。例えば、マイクロソフトのSharePoint、Oracle、SAPの専門家の需要はベンダーの主導であったり、売り上げ拡大といった理由でドライブされていく。例えば、ビジネスアーキテクトはSAPのような企業アプリケーションの必要性やビジネスプロセス変更に対するリスクの増大、といった理由でホットな役割となるだろう。