ジャンル:フォトレタッチ 作者:Spencer Kimball氏ほか |
GIMPを使って写真を加工する
では実際にGIMPを使って写真を加工してみよう。デジタルカメラで撮影した写真は,撮影条件によっては少々色合いが暗くなったりする場合がある。色調を調節して鮮明な画像に修正してみよう。
まず,メニューの[ファイル]-[開く]で加工する写真画像ファイルを開いて色調の補正を行う。メニューの[レイヤー]-[色]-[自動]-[Normalize]を選択すると,自動的に写真の色調が補正される。
ただし,自動補正では写真の色合いがおかしくなってしまう場合がある。この場合は,[Ctrl]+[z]で一度画像を元に戻してから[レイヤー]-[色]にある各ツールを使って手動で調節するとよい。例えば,[レイヤー]-[色]-[レベル]を用いるとヒストグラムを使って色の調節が行える(写真5[表示])。
ヒストグラムは写真にある色合いの量をグラフ化したもので,左が暗い色,右が明るい色を表している。例えば「出力レベル」にある▲マークを右に移動すると画像は明るくなり,逆に△マークを右に移動すると画像は暗くなる。上部にあるチャンネルで調節対象となる色を選ぶことも可能だ。
高画質をうたうデジタルカメラを利用した場合は,写真の画素数が多いため,ファイル・サイズも大きくなる。メールで友人などに配布したい場合などファイル・サイズをなるべく小さくしたいものだ。このような場合は,画像サイズそのものを小さくしよう。画像サイズの変更は[画像]-[拡大・縮小]で処理する(写真6[表示])。「新しい幅」に横幅を画素単位で入力し[Enter]キーを押す。すると「高さ」は自動的に計算されて数値が変更されるはずだ。画素数が合っていれば,[OK]ボタンをクリックすると画像のサイズが変更される。
特殊効果を利用する
GIMPには100種類以上のフィルタ機能があらかじめ用意されている。フィルタとは画像の選択範囲に対して,複雑な効果を施す機能のことである。ノイズを加えたり輪郭を抽出したりできる基本的なものから,下地をキャンバス地にする,画像にライトの照り返しを加える,波うったように画像をゆがめる,などのフィルタが用意されている。
例えば,強い光が爆発したような効果を写真に付け加えてみよう。[フィルタ]-[ライト効果]-[SuperNova]を選択して,超新星(super nova)の中心の場所,半径,色などを設定して[OK]ボタンをクリックすると写真に強い光が爆発したような効果が追加される(写真7[表示])。
Script-Fuを使えばさらに特殊な効果を画像処理に利用できる。例えば,[Script-Fu]-[Decor]-[古い写真]を選択し,シミを付けるなどの設定を実行すると,画像があたかも古い写真のように変換される(写真8[表示])。
Script-Fuでは文字に特殊効果を付けた画像を作成することもできる。例えば,ツール・ボックスのメニューにある[拡張]-[Script-Fu]-[ロゴ]-[ぐにゃぐにゃ]を選び,文字や色を指定すると,ペンで書いた落書きのようなロゴを作ることができた(写真9[表示])。
これら以外にもScript-Fuには100種類以上のスクリプトが用意されているので,色々と試してみるとよいだろう。また,Script-Fuを用いた特殊効果を自作することもできる。作成方法についてはhttp://www.gimp.org/docs/scheme_plugin/などを参照してほしい。
GIMPをインストールする現時点のLinuxディストリビューションにはGIMP 1.2が収録されていることが多く,最新のGIMP 2.0を使う場合は改めてインストールする必要がある。Fedora Core 1にGIMP 2.0をインストールする手順を図A-1[表示]に示した。 インストール後,コマンドラインから, と入力するか,GNOMEメニューなどにあるGIMPのランチャー機能でGIMP 2.0を起動する。旧バージョンのGIMP 1.2を起動したい場合は, と入力すればよい。 |