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2009.04.11

指揮者「クルト・マズア」の平和へのメッセージ

録画していた20年以上前の「ベルリンの壁崩壊とドイツ再統一」を扱ったドキュメンタリーを、見ていましたら、90年代に、NYPの音楽監督だった指揮者クルト・マズア(Kurt Masur)が、ライプチヒで、1989年10月9日の「月曜デモ」に際して、東ドイツ当局へ武力行使を避け、平和的解決を要望するメッセージ「平和へ向けたメッセージ」が、取り上げられていました。

ググってみましたが、ほとんどが、ウィキの記事内容のものだけで、肝心のメッセージの内容に触れているものが無いと思いましたので、せっかくだから、日本語訳を、メモに残すことにしました。

東ドイツ出身で、当時ライプチッヒ・ケヴァントハウス管弦楽団のの指揮者であったクルト・マズアは、1989年10月9日の夜にコンサートを行う予定でした。昼過ぎに、リハーサルの終えたクルト・マズアは、親しくしている地元の党幹部の文化担当のクルト・マイヤーに電話しました。

マズアは、ここまでの展開を、ひどく心配していました。対する党幹部のマイヤーも、この日は暴力を、どうしても避けなくてはならない。天安門のようなことにならないように、努力する必要がありました。

マズアは、直ちに行動を起こそうと迫りました。マイヤー、ベッツェン、ポマードの若手党幹部、これに、舞台俳優と、神学者を加えた6人が、2時間をかけて、市民と当局との対話を呼びかけるアピールを書きあげました。

デモの鎮圧に大して流血も辞さない、当時の東ドイツの党首のホーネッカー議長の意向に逆らうものでした。アピールに署名したことは、署名者6人に、取っては、生命の危険(銃殺刑に該当するような)、極めて危険なことでもありました。そのメッセージは、直ちに録音されて、市内、50箇所以上の街頭スピーカら、流されました。

「私たちに必要なのは自由な対話だ。この対話が、このライプチヒに、とどまらず、政府との間でも実現するよう、ここに署名した6人は努力します。だから皆さん、対話の実現のため冷静に行動してください。 クルト・マズア」

このメッセージ(「ライプツィヒの6人」による声明)は、文章に残され、楽譜が添付されており、それは東ドイツの国歌の一節でした。その国歌(廃墟からの復活、Auferstanden aus Ruinen)の内容は、

「母親は二度と息子のために涙を流さない。」

第二次大戦への反省を込めたメッセージを含んだ国歌の一節を添付することで、流血の事態だけは、あってはならないということを、伝えようとしました

夕方から行われたデモは、最終的には、7万人を超えて、鎮圧に乗り出した警察の8千人では、抑えることは、できませんでしたので、静観を決めました。デモは、非暴力での行動を終始し、平和裏に、市内を一周し、出発地点のニコライ教会に戻りました。政府のスローガン「人民のための政府」を真似て、「我々こそが、人民だ」を高らかにアピールしました。デモが終わる頃、デモ行進のあった通り沿いにある、ライプチヒ・ケバントハウス管弦楽団の演奏会では、ブラームスの響きが高らかに、クルト・マズアの指揮で、コンサート・ホールを埋め尽くしていました。

この流血なき非暴力の反政府デモを皮切りに、東ドイツ国内では平和のデモが行われました。この「月曜デモ」の9日後に、ホーネッカー議長は、退任しました。

クルト・マズアの公式サイト(英語)

ケヴァントハウス・管弦楽団の公式サイト(一部日本語)

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コメント

本文とは、異なりますが、2003年の反政府デモに参加した際のことです。

デモの大義は、対テロ戦争の一環として、国連軍ではなく、アメリカ軍に賛同した日本の自衛隊への撤退と、戦争を止めることを求めるもので、三田の芝公園から、銀座を経由して、赤坂のアメリカ大使館前までのデモ行進でした。

人権などを訴える複数のNPO、NGO団体の呼びかけで開催された21世紀の日本で開催された、最大人数が動員されたデモでした。デモの最中には、NGO、NPOのスタッフは、終始一貫して、アメリカ大使館とその関係者、そして警備の警官隊に対しては、この戦争に対する反対の声をあげるだけで、その他の無用な挑発をせずに、行動を慎むようにということを、叫んでいました。

平和を訴えるデモで、暴力的な行為をすれば、その意味を為さないことを学んでいるからだと思いますが、当日の参加しただけの「烏合の衆」として参加した人か多かったので、いつこの集団が変異して、暴力的な行動をしてしまうのか?ということは、とても怖かった記憶があります。

非常に面白い記事ですね。今まで知らなかったマズアさんの事がわかって勉強になりました。僕はマズアさんのブルックナーやベートーベンが好きです。

山田様

かなり古い記事にコメントをいただき、ありがとうございます。
日本では余り多くないマズアに関して切り口の独自性を、ほめて頂きありがとうございます

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