武田薬品工業は2024年12月13日、5年ぶりとなる研究開発に関する投資家向けイベント「R&D Day」を開催した。約5時間にわたって開催されたイベントの冒頭で代表取締役社長CEO(最高経営責任者)のクリストフ・ウェバー氏は、「(候補品のリストである)パイプラインは5年間で大きく進捗した。31年には主力の大型品である『エンティビオ』のジェネリック(後発医薬品)が出てくるが、新薬によってそれを超えて売上収益の成長を続けられる」と語り、5年間のパイプラインの変化を強調した。

 確かに、過去に比べれば武田薬品の後期開発品は充実した状況といえるだろう。リサーチ&デベロップメントプレジデントのアンドリュー・プランプ氏はそのプレゼンテーションの中で、最終段階の第3相臨床試験が進行中もしくは実施予定の品目が、21年第4四半期に3品目だったのに対して24年第2四半期は6品目に増加していることを示した。その上で「21年度は投資の大半が早期開発品で、次の大型品に結びつくものが何かを探っていたが、現在は投資の大半を6つの品目に集中させている。今後も後期開発品への投資が増えるだろう」と語った。

イベント終了後の記者会見で。中央が武田薬品工業リサーチ&デベロップメントプレジデントのアンドリュー・プランプ氏
イベント終了後の記者会見で。中央が武田薬品工業リサーチ&デベロップメントプレジデントのアンドリュー・プランプ氏

 6つの品目の中には、発作的に睡眠を起こす疾患、ナルコレプシータイプ1に対して開発しているオベポレクストンのようなユニークな候補品も含まれている。オベポレクストンは神奈川県藤沢市の湘南研究所(現武田湘南(R&D))で創出した物質で、同じ作用の治療薬はなく、米国では米食品医薬品局(FDA)から、開発と審査を迅速化する制度である「ブレークスルーセラピー」の対象品に指定されている。武田薬品はオベポレクストンのピーク時売上高を20億から30億ドルと見込んでいる。

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