総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業で地殻変動が起きている。米テスラ、中国・比亜迪(BYD)などの新興勢力が電気自動車(EV)で躍進し、米巨大IT(情報技術)企業やソニーグループなど異業種の有力企業も新たな主役になろうと名乗りを上げる。エンジンからモーターへ、ヒトが運転する乗り物から乗り物自身が考えて走るスマートカーへ――。大変革期を迎え、トヨタ自動車のような巨大メーカーも自己革新なくして生き残れない。あらゆる産業を巻き込んだ秩序のつくり直しが始まった。(写真:bubaone/Getty Images)
シリーズ
クルマ大転換 変革の世紀
300回
「ホンダ三部社長が日産の魅力を語れないのは残念」 『間違いだらけ』本の著者
「難しいな―」。ホンダと日産が経営統合へ向けた協議を始めると発表した23日の記者会見。日産の魅力を問われたホンダの三部敏宏社長は、質問にたじろいだ様子を見せた。その筆問者であるモータージャーナリストの島下泰久氏に話を聞いた。
「日産に大幅減損リスク、ホンダとの統合破談も」SBI証券遠藤氏
ホンダと日産自動車が経営統合に向けた協議を始めた。会見では生産体制の最適化や車両の共通化などのシナジー効果が語られた。一方、日産の業績次第では「統合が破談になる可能性は十分にある」とSBI証券の遠藤功治シニアアナリストは指摘する。工場閉鎖やリストラ策で大幅な減損・特損を計上する可…
統合は日産救済にあらず ホンダ三部社長「個社で戦うのは非常に厳しい」
ホンダと日産自動車は経営統合へ向けた協議を始めると発表した。23日、両社の首脳が記者会見に臨んだ。経営状況が悪化する日産の救済色が強い提携と見られていたが、ホンダ側の強い危機感も背景にある。
ホンダ3割減・日産1割減 中国市場、EV出遅れ両社の苦しい戦い
自動車産業が「100年に一度」とされる変革期に直面する中、経営統合へ向けた協議に入るホンダと日産自動車。電気自動車(EV)の販売拡大が進む中国では、両社の出遅れは鮮明になっている。巻き返して中国IT(情報技術)との連携を急ぐが、競争力を取り戻せるかは不透明だ。
ホンダ・日産統合協議 中国EV台頭と「トランプリスク」が引き金
ホンダと日産が経営統合に向けた協議に踏み切ったのは、両社にとって主要市場である米中での地殻変動が背景にある。中国の販売不振に加え、米国では次期トランプ政権による自国保護主義が立ちはだかる。「トランプリスク」が大再編に向けた引き金となった。
日産、CFO退任濃厚 内田社長と同じ報酬6億円超、経営陣刷新求める声も
経営不振が鮮明になっている日産自動車のスティーブン・マー最高財務責任者(CFO)が退任することが濃厚になった。関係者によると、マー氏の退任は近く発表される見込みだ。重責を担う現役CFOの退任となれば、経営再建中の現経営陣に大きな打撃となりかねない。サプライヤーなどからは経営陣の刷…
独ボッシュ、横浜新本社に人材集約 日本法人社長「日本車のSDV拡大は追い風」
電動化やソフトウエア開発の競争過熱など、自動車業界が大きな転換点を迎える中、部品サプライヤーも変革を迫られている。そんな中、日本国内で存在感を高めているのが自動車部品世界大手の独ボッシュだ。2023年12月期には日本国内での売上高が過去最高を更新し、今期も堅調に推移している。24…
次世代電池のAPBが経営破綻の危機 「わなにかかった」創業者の後悔
次世代電池である「全樹脂電池」を開発中のスタートアップ、APBが経営破綻の危機にひんしている。メインバンクである北国フィナンシャルホールディングスの投資会社が東京地裁にAPBの会社更生法適用を申請した。経営権を巡る争いで混乱が続き、資金繰りが悪化していた。創業者の堀江英明氏は「実…
「トランプリスク」に身構える自動車業界 EVシフト、5年以上の遅れも
2025年の自動車業界は、ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)とAI(人工知能)に引き続き注目が集まる。トヨタとNTTがAIを活用した自動運転で提携したように25年も新領域でのアライアンスが進む見込みだ。SDVでは、ソニー・ホンダモビリティの電気自動車(EV)の受注が開…
日産に旧村上ファンド系アクティビストが照準 親子上場解消の思惑も
日産自動車が経営不振に陥っている。株価が低迷する中、アクティビスト(物言う株主)による株取得も明らかになった。その発言権が拡大すれば、抜本的な構造改革や親子上場解消などを求められる可能性もある。
現代自動車、300万円台EVを日本市場へ 「輸入車の墓場」攻略目指す
世界3位の販売台数を誇る韓国・現代自動車が新たに小型の電気自動車(EV)を投入すると発表した。同社の張在勲社長は「日本でも少しずつ認められ始めている」と話すが、国内の販売成績はいまだふるわない。国内メーカーの牙城を崩せず、一度は撤退した鬼門の日本で「インスター」を起爆剤としたい考…
中古EV、8割が禁輸のロシア含む海外に 国内で流通市場立ち上げへ
電気自動車(EV)の中古車を巡って、国内で流通市場を立ち上げる動きが出始めた。中古EVは国内での買い取り価格がガソリン車より低くなり、需要が根強い海外に大半が買われている。EVに搭載された大型電池は資源としての価値もあり、国外流出が問題視されている。
テスラの3万ドルロボタクシー、1億km超えの中国・百度に追いつけるか
米テスラが無人運転タクシーをお披露目した。完全自動運転を実現し、1台3万ドルという低価格化で無人運転車の普及を目指す。一方、中国では百度(バイドゥ)が数百台規模の無人運転タクシーの運用で先行する。技術や規制面での課題が多いなか、テスラが描く未来図の実現性はいかに。
ロードスター開発者も指導 マツダ販売店が異例の整備士専門校
自動車ディーラーの神戸マツダ(神戸市)が、自動車整備士を育成する専門学校の開設準備を進めている。整備業界で担い手不足が課題となる中、マツダに受け継がれるものづくりの基本を学んだ若者を輩出し、自動車整備士の社会の中での存在感を高める狙いだ。唯一無二の取り組みは、業界が直面する苦境も…
トヨタ、「ハイブリッドで稼ぎ切る」 26年EV販売目標を3割縮小
トヨタ自動車は、電気自動車(EV)の世界販売について「2026年に150万台」としていた目標を100万台程度へ修正した。部品メーカーに計画を伝えた。EVの世界販売が鈍化する中、各社はEV戦略の見直しを迫られている。トヨタの判断は、日本の完成車メーカーにも影響を及ぼしそうだ。
ホンダも50cc生産終了へ 「原付き」2025年問題、新基準めぐり混乱
価格や燃費の良さから長年、庶民の足として親しまれてきた、総排気量50cc以下の「原付き」。近年では出荷台数が急激に減少し、2025年11月から原付きを対象とする排ガス規制が強化されることも受け、メーカーは生産を終了する見通しだ。そんな中、警察庁は原付き免許の区分に、出力を抑えた1…
ロールス・ロイス、顧客の年齢43歳に若返り 4600万円超でも「自ら運転」
超高級車として名高い英ロールス・ロイス。同車の新車価格は5000万円を優に超え、富裕層が所有する車の代名詞となっている。一方、近年ではオーナーが後部座席に座り、専属ドライバーが運転する既存の乗車スタイルから、オーナーが自ら運転する「ドライビングカー」としての需要が高まっている。全…
EV炎上、電池を「透視」して防ぐ 日本発の検査技術が世界展開へ
EVの電池が炎上する事故が絶えない。リチウムイオン電池の構造上、発火するリスクはゼロにできない。「燃えない電池」などリスクを減らす開発競争が加速する中、神戸大発スタートアップのIGSは電池を「透視」して異常を検知する技術を実用化させる。
ホンダと日産、EV基本ソフトを共通化 協業で問われる2社の実力差
ホンダと日産自動車は電気自動車(EV)の電池やソフトウエアなど、複数領域での協業に合意した。共同研究やEV部品の共通化を通じて、規模の確保や効率化を狙う。協業の内容については固まったものの、具現化に向けた道筋は不透明だ。中国勢や米テスラがEVで先行する中、実力差のある両社が巻き返…
テスラもトヨタも採用 アルミ鋳造ギガキャスト、見えてきた鉄との共存
米テスラやトヨタ自動車など世界の自動車メーカーが採用に動くギガキャスト。アルミニウム合金を高速・高圧で金型に流し込み、車体部品などを一体成型する新工法だ。電気自動車(EV)製造の革新技術として注目が集まるが、課題も見えてきた。各社は現実解を模索している。
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