61位 『Recanto』 Gal Costa
2011年作。全曲カエターノのペンによる、トロピカリアの歌姫の新作。プロデュースはカエターノ&モレーノ。近年のカエターノ作品のようなシャープでミニマルなロック、エレクトロニクスが冷やりと光るダウンテンポな曲が中心で、ジェイムス・ブレイクすらも彷彿する。オートチューンを使った3曲目を始め、この新しい試みも素晴らしいのだが、そうした曲のあいだに挟まれた「Mansidão」でのジャキス・モレレンバウムによるチェロの生音はひときわ鮮やかで、やられた。
デトロイトの白人シンガーによるソロ・ユニットの初作。HTDWとThe Weekndのあいだに位置するような人で、ゴシックな意匠、ナルシスティックな歌唱、頽廃的なサウンドは、アンビエントR&Bにおいても極北。R&B版『Want Two』とも言えそうで、ルーファス・ウェインライトのファンあたりも、イケるかも。普通に販売されていたが、ケンドリック・ラマーの新作にフィーチャーされて嬉しくなっちゃって、現在フリーDL。
63位 『Write Me Back』 R.Kelly
人気男性R&Bシンガーの11枚目。冒頭の『Happy People』風シカゴ・ステッパーズな曲の連続も、「One Step Closer」を始めとした終盤のバラードのたたみかけも、最高。彼の幅広いスタイルをベスト的に網羅した内容といえ、当然素晴らしいのだが、中盤の60年代風の曲は個人的にはまったくいらなかったし、若干手癖感を感じてしまった。今年屈指のR&B盤とは思うけれど。
64位 『1984』 Night Riders 紹介エントリー
パリのデイム・ファンクによる2枚目のEP。全曲ミドル・テンポのエレクトロ・ブギーで、舌足らずな女性シンガーと、ビヨビヨとしたシンセ・ベースの組み合わせ、加えて、そのヴォーカルのぶっきらぼうな発声やモノトーンめな音色の選択から生まれる、ドライさがかっこいい。こうしたクールなファンク感覚は、Devoやクラフトワークといった近未来派、あるいはZE~ノー・ウェイヴとも近さを感じる。サウンドクラウドではリミックス数曲をフリーDLで公開中。
65位 『Devotion』 Jessie Ware 紹介エントリー
SBTRKT作品でフィーチャーされていたイギリスの女性シンガーの初作。シルキーでビターな歌声はSade似、スタイリッシュなサウンド・メイキングはSoul Ⅱ Soulやトリップ・ホップ勢の影響が窺え、UKソウルの正統派として位置づけられそうだが、同時にThe Internetなどとも共振するダウンテンポな歌モノでもある。ただし、ハイライトはほかの曲とは少し毛色の違う「110%」。小気味いいビートで、エレガントにステップを踏んでみせる軽やかさが美しい。
66位 『Pour Une Âme Souveraine』 Meshell Ndegeocello
天才女性ベーシストによる、ニーナ・シモン曲集。ここのところ彼女の超絶ベース・プレイが聞けないのは寂しくはあるものの、温もりのある落ち着いた歌い口は個人的にはツボで、ノラ・ジョーンズで有名な「Turn Me On」を始め、本作もたっぷり堪能した。全曲彼女の歌でもよかったが、Valerie JuneやCody Chesnuttは素晴らしかった。彼女が歌で参加した、Misja Fitzgerald Michel のニック・ドレイク曲集も◎。
67位 『1999』 Joey Bada$$
所属クルー、Pro Eraのミックステープがリリースされ、ますます注目を集めるNYのラッパーによる2作目のミックステープ。まだ17歳ということにも驚くが、衒いのないソウルフルなサンプリング・ネタに、流暢なラップで絡む姿には、その年齢に似合わない、クラシックな香りが漂う。同じPro EraのCapital Steezのミックステープ『AmeriKKKan Korruption』も甲乙つけがたい出来で、併せて聞きたい。
68位 『KR-51』 Clare & The Reasons
マリア・マルダーの娘夫婦を中心としたブルックリンのチェンバー・ポップ・バンドのベルリン録音という3枚目。クレアの萌え声を軸にした流麗でファンタジックな世界観は相変わらずだが、ロックというか、いささか実験的に踏み込んだ曲が増え、新境地を開拓しようという意図が見える。デビュー作の路線を突き詰めてほしいのはやまやまだが、あれはもう完成形に近いので、いろいろな方向性を試してみてほしい。
69位 『HAHA, I'M SORRY』 Kitty Pryde
ウィスコンシンのゆるふわ自宅女性ラッパーによるEP。何も考えていなそうな舌足らずなラップも、beautiful louやSELAによる浮遊感のあるトラックも、どこまでも甘ったるく、癒される。こうしたクラウド・ラップ~トリルウェイヴの流行は落ち着いてきた感があるが、この人はこの路線で行けるところまで行ってほしい(というか、この路線しかないと思うが)。
70位 『Total Loss』 How To Dress Well関連エントリー
来日公演はただのカラオケ大会だった、ケルン/ブルックリンを拠点に活動するR&Bバカ、Tom Krellのによるソロ・ユニットの2枚目。極端な音響処理やひび割れたノイズを駆使して、ドローン/アンビエントとスロウ・ジャムを結びつけた1枚目と比べると、音はすっきりし、ダンサブルになっている。つまり、”聞ける”アルバムになっており、必聴なのだが、前作の生々しさ、剥き出しのナルシシズムが恋しくもなる。
マリア・マルダーの娘夫婦を中心としたブルックリンのチェンバー・ポップ・バンドのベルリン録音という3枚目。クレアの萌え声を軸にした流麗でファンタジックな世界観は相変わらずだが、ロックというか、いささか実験的に踏み込んだ曲が増え、新境地を開拓しようという意図が見える。デビュー作の路線を突き詰めてほしいのはやまやまだが、あれはもう完成形に近いので、いろいろな方向性を試してみてほしい。
69位 『HAHA, I'M SORRY』 Kitty Pryde
ウィスコンシンのゆるふわ自宅女性ラッパーによるEP。何も考えていなそうな舌足らずなラップも、beautiful louやSELAによる浮遊感のあるトラックも、どこまでも甘ったるく、癒される。こうしたクラウド・ラップ~トリルウェイヴの流行は落ち着いてきた感があるが、この人はこの路線で行けるところまで行ってほしい(というか、この路線しかないと思うが)。
70位 『Total Loss』 How To Dress Well関連エントリー
来日公演はただのカラオケ大会だった、ケルン/ブルックリンを拠点に活動するR&Bバカ、Tom Krellのによるソロ・ユニットの2枚目。極端な音響処理やひび割れたノイズを駆使して、ドローン/アンビエントとスロウ・ジャムを結びつけた1枚目と比べると、音はすっきりし、ダンサブルになっている。つまり、”聞ける”アルバムになっており、必聴なのだが、前作の生々しさ、剥き出しのナルシシズムが恋しくもなる。
コメント