Diva+Dompe+Divacorsicastudios


artworks-000028910197-1nfoe7-crop
Blackblack~Pocahauntedのメンバーとして活動してきた、Kevin Haskins(バウハウス)の美人姉妹の姉、Diva DompeDIVA名義でCritical Heightsからリリースされたソロ・デビュー作『The Glitter End』は、それまでのローファイでサイケでガレージなスタイルを、スピリチュアルなアンビエント/ドローンに応用したような内容だったが、2枚目となる『Moon Moods』は抜けの良いミックスで、歌に重点を置いた作風へと大きく様変わりしている。80年代風のメロウなミッド・ダンサーからアンビエントまで、Nite JewelやFrankie RoseといったLAのシンセ・ファンク・ガールたちの近作に近い内容で、ポップなメロディーとともに、非常に聞きやすい一枚に仕上がっている。ただし一方で、宇宙趣味やスピリチュアルなムードを全編通して強調。グルーヴィでアダルトなナイト・ミュージックに狂気を加えている。素晴らしいのだが、この路線は一歩間違えば青樹亜依になるので注意してほしい。
 




altareagle


1037964361-1 (1)米オクラホマ州タルサのレーベル、Digitalis Recordingsの主宰者、Brad RoseとEden Hemming Roseの夫婦によるデュオ、Altar Eagle。Digitalisはエクスペリメンタルなドローン/ノイズ作品を多く手がけるレーベルで、この夫婦もそれぞれ別名義で活動しているが、そのなかでも最もポップで聞きやすいのが本作『Nightrunners』だ。シンセやヴォーカルの美しい重なり、もやもやと輪郭のはっきりしないローファイな音像、4AD的な暗さとレーベル・カラーのドローン/ノイズが絡まったサウンドは、神聖かつ呪術的で、素人臭いEdenのヴォーカルと合わせ、知られざる土俗信仰や田舎のカルト教団の集会に居合わせたよう。そんなミステリアスさ、いかがわしさに加え、「No Spring Till Summer」のようなブギーなディスコ・ナンバーもあり、ノリはいい。彼らの活動については、この周辺にお詳しいDirty Dirtさんを参照してほしいが、Eagle Altar としても活動していて、それはここで音源を聞くことができる。
 



OUTLANDS1-e1345809877738


4503965557-1
ヴァージニア州のMelissa SmithとMark Arciagaによるデュオ、Outlands。彼らもディスコ~ノー・ウェイヴ、4ADあたりにルーツがありそうな、フリーキーで陰湿なダンス・ミュージックを聞かせる人たちで、ざらっとしたノイジーな音像、チルウェイヴ的なエフェクト、ときにR&B的にも聞こえるゆらゆらとしたヴォーカルは、How To Dress Wellのデビュー・アルバムにも通じるところがある。ディスコ/パンク/R&Bの今風なブレンド、そのバランスが最大の魅力だが、蛇をあしらい、黒と赤の配色でキメたデビュー・アルバム『Outlands EP』のジャケットのように、毒々しさと艶っぽさの出し方が、言い方は変だが洒脱で巧い。デビュー作はChill Mega Chill Recordsからカセットテープでリリースされて早々に売り切れたようだが、Crash Symbolsが再プレスするとのこと。また、サウンドクラウドでリミックス数曲がフリーで落とせる。 
 


 
2698360229-1


1064130826-1
フランスはパリの4人組ニュー・ディスコ~インディ・ダンス・バンド、Night Riders。2012年の新作『1984』は全曲ミドル・テンポのエレクトロ・ブギーで、パリのデイム・ファンクと評したくなる内容。肝は舌っ足らずな女性シンガー、Charlotte Leclercのヴォーカル(タオ・グエンにも似ている)と、ビヨビヨとしたシンセ・ベースの組み合わせ。加えて、そのヴォーカルのぶっきらぼうな発声やモノトーンめな音色の選択から生まれる、ドライさが全編通して保たれているのも、かっこいい。こうしたクールなファンク感覚は、アーティスト写真から連想されるDevoやクラフトワークといった近未来派、あるいはZE~ノー・ウェイヴとも近さを感じるが、2011年のデビュー作『Oiseaux de Nuit』ではZE的なフリーキーなサックスやパーカッションがところどころに散りばめられていて、ルーツを垣間見ることができる。バンドキャンプにあるEPのほか、サウンドクラウドではリミックス数曲をフリーDLで公開中。
 


 
BeverlyGirls_nettiin


1574172066-1
今回のエントリーの裏テーマはブギーな80年代リヴァイバルなのだが、ひときわエイティーズ感満載なのが、フィンランドはヘルシンキのガールズ・バンド、Beverly Girls。もう名前やデビュー作『promo tapes』のジャケットからしてネオンがギラギラと眩しいのだが、音の方もダサさギリギリの80'sシンセ・ファンク、あるいはブラコンの忠実な再現で、タイムスリップした感覚が味わえる(ちゃんとヴォコーダーも使っている)。というか、アーティスト写真を見ると、メンバーの風貌までエイティーズで、リアル・エイティーズ・ガールズなのかもしれない。W浅野が脳裏をかすめる。


ラップしてる!

 
7818872504_dd49f5581a


1330329707_1329469350_polica-give-you-the-ghost
Bon IverのJustin Vernonも在籍する、USインディの面々によるプロジェクト、Gayngsにも参加していたRyan Olson、Channy Leaneaghを中心としたミネアポリスの4人組、POLIÇA。デビュー・アルバム『Give You the Ghost』(試聴)はダークなダンス・ロックのアルバムで、躍動するドラムを軸に、ヘヴィで粗さを残したバンド・アンサンブルが素晴らしい。また、ヴォーカルのChanny Leaneaghは全編でオートチューンを使用。R&B的なオートチューンではなく、エチオピア音楽の節回しを思わせるエフェクトで、それがもたらすエキゾチックな異物感が、アクセントを超えて、もはやカオティック。聞きごたえがある。ヴォーカルのChannyは、過去Channy Moon Casselleの名前で活動している。夫のAlexei Moon CasselleとのRoma di Lunaがそれで、こちらはルーツ・ミュージック/アメリカーナのバンド。POLIÇAとはだいぶ音楽性が違うが、POLIÇAのRyan Olsonが一曲リミックスしている。 
 


glass-candy

BODY WORK 20新作は出していないが、ITALIANS DO IT BETTERGlass Candyもここに並べたい。Ida NoとJohnny Jewelのデュオで、ギラギラとネオンを浴びたシンセ・ポップは、Ida Noが醸し出すB級ホステス感も含め、ここで取り上げた人たちのなかでも最もエレクトロ、ディスコの影響がストレートに出ている。それは2007年のセカンド・アルバム『B/E/A/T/B/O/X』でクラフトワークの「Computer Love」をカヴァーしていることからも明らかだが、EP『Iko Iko』ではDr.John「Iko Iko」までディスコ化してしまっている。このディスコ・ジャンキー、新作はもうじきリリース予定とのことで、タイトルは『Body Work』とのこと。徹底してる。Glass Candyの新作を待つあいだは、Johnny Jewelの別バンド、Chromaticsの新作『Kill for Love』を聞こう。Glass Candyよりもロック寄りだが、極彩色の甘いシンセ・ポップ/シューゲイザーは、どこか暗く儚げで、場末のスナックなイメージでいい。

(追記)そうだ、書き忘れたのだけど、上に挙げたNight RidersのChromatics「Kill For Love」リミックスというのもある。
 

Chromatics - Kill For Love (Night Riders Version) by NIGHT RIDERS


 

Jessie-Ware-Album-Launch-AP-13-629x353


JessieWareDevotion600Gb310712イギリスの女性シンガー、Jessie Ware。今回、本当は彼女のようなシンガーを集めようと思っていたのだが、予定が狂って、逆にこっちが浮いてしまったので最後にした。シルキーでビターな歌声はSade似、スタイリッシュなサウンド・メイキングはSoul Ⅱ Soulやトリップ・ホップ勢の影響が窺え、UKソウルの正統派として位置づけられそうだが、同時にThe Internetなどとも共振するアンビエントR&B~ダウンテンポな歌モノでもある。ただし、素晴らしいデビュー作『Devotion』のなかでも最も面白いのは、ほかの曲とは少し毛色の違う「110%」。SBTRKTの2011年作でもフィーチャーされていた彼女らしく、小気味いいビートで、エレガントにステップを踏んでみせる。ハッとするほど美しい名曲だ。
 



あと、Grimes、Class ActressNite Jewel、Frankie Roseはここに並べたい。それと、まだリリースはみたいだけれど、デンマークのはこれからチェックしていきたい。