2019年12月07日

生活感あふれるサンタのクリスマスを追ったドキュメンタリー漫画風絵本

ふらっと本屋の絵本コーナーに立ち寄ったら、幼い頃に好きだった絵本が特設コーナーに並べられているのを発見し、そのロングセラーぶりに思わず感動してしまいました。

さむがりやのサンタ (世界傑作絵本シリーズ)
レイモンド・ブリッグズ
福音館書店
1974-10-25

 
この本、絵本のコーナーに売られていますし、見た目もパッと見“絵本”なのですが(分類的にも絵本や児童書の部類に入ると思われますが)、中身は「外国フルカラーマンガ」といった感じで、コマ割り吹き出しでストーリーが表現されています。
 
(なので、通常の絵本よりも情報量が多い気がします。)
 
内容はクリスマスのサンタの一日(起床から就寝まで)を追ったドキュメンタリー調の(でも主人公がサンタクロースなので内容は“ほのぼの”です。)ストーリーです。
 
サンタと言えば、俗世間とは離れたファンタジーな存在というイメージを持っている方が多いと思いますが…
 
ここに描かれているサンタは、かなり人間くさいです。
 
…と言うより「おっさんくさい」です。
 
タイトルの通り「寒がりや」で、「寒さが身にこたえるわい」みたいなことをブツクサ言いながら仕事(=プレゼント配り)をしています。
 
その仕事ぶりも、ファンタジー魔法の世界と言うよりも「現実世界おじさんが頑張って仕事をしてます」というような妙なリアリティーがあって、そこがイイ味を出しています。
 
サンタの仕事は基本ひとり(そりを引くトナカイはいますが)なので、台詞は基本的に「ひとりごと」なのですが、そこがまた「こんなおじさん現実にいそう」という感じで親近感を与えてくれます。
 
とは言え仕事内容は“サンタのお仕事”ですので、空飛ぶそりで世界中を駆け回り、そんな世界各地の様々な風景も描かれています。
 
この本を一番熱心に読んでいたのが小学校に上がる前でしたので、当時はその風景の場所も意味もさっぱり分かっていませんでしたが、それでも日本とは全く違う外国の景色が次々出て来ることにワクワクしたのを覚えています。
 
画面構成が細かく、子どもにとって難しい言葉もあるので、当時自分がこの絵本の内容を完全に理解できていたかと問われれば、完全に「NO」です。
 
しかし、それにも関わらず妙に心に残っている不思議な絵本です。
 
ちなみに絵本の中でサンタが鼻歌で賛美歌を歌っているシーンがあるのですが、当時はその歌詞の意味がさっぱり分かりませんでした…
 
(ひらがなで書かれているので余計に何のことなのか分かりづらかったのです。)
 
が、後に学校のクリスマス・ツリーの点灯式で皆で賛美歌を歌う機会があり、歌詞カードを配られて「これ『さむがりやのサンタ』が歌ってたやつだ!」と妙な感動を味わうことになりました。





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