日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 何だかまた更新が滞ってしまったようで……。

 在宅勤務の私ですが、最近はむしろ外に出る機会が増えています。いま時分がちょうど私の業界では年末商戦に向けての商材選定の時期ということもあり、打ち合わせが重なっています。

 あとはプライベートで人に会ったり(もちろん密議w)、これはと思う人の懐に飛び込んで卓論を拝聴したりしています。この歳でやることではないかも知れませんが、「行き詰まったら人を訪ねて話を聴く」というのが大学時代からのモットーなので、青いぞ御家人と思いつつも未だにその習慣を続けています。

 さて標記の件。私は例によって外出用の普段着(=仕事着)がフリーチベットTシャツにシャツを羽織って胸には雪山獅子旗のカンバッチ、という出で立ちを続けています。もちろんバッグにもカンバッジ複数。

 地下鉄や往来でいつも視線を浴びまくっていますが何事も起きていません。頭のネジが飛んだオサーンと認識されているのでしょう(笑)。ちょっとさびしいのは、これだけ都心を縦横無尽に移動しているのにチベット風味の人と出会わないことです。

 まあ今ではフリーチベット自体がとっくに旬な話題でなくなっているので仕方がないかも知れません。

 しかし「ブーム」だった4月から5月上旬、そのあとは四川大震災に主役の座を奪われてしまいましたが、ネットを媒介とする糾合、つまり見知らぬ者同士がネット上の告知に呼応して指定された場所に集まって何らかの活動をし、活動が終われば見知らぬ者同士ですから三々五々と帰途に就く。……という種子と経験値が残されたことは特筆すべきです。

 チベット問題に限らず、この先何らかのヤマ場があれば、また同じように組織動員に慣れた人々には不可思議にみえて仕方がないであろう離合集散が行われることと思います。むろん、従来の組織型には到底思いもよらない、YouTubeなどの新媒体を駆使したセンスある情宣活動も再現されることでしょう。

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 あえて課題を挙げるとすれば、2点。

 まずはこうしたムーブメントを芝居や映画に例えるなら、役者はエキストラを含めて大勢いますし、イベントごとの演出家もそこそこ頑張っています。広報の優秀さはいうまでもありません。みんな一生懸命なのです。

 ……ただ惜しむらくは、核となる組織がないことの副作用として、脚本家が不在だということです。フリーチベットが旬な話題でなくなった、じゃあ今度は何で盛り上げようか、という筋書きを書く人(戦略家)がいません。ですから運動が先細りになったり、散発的になることが避けられないのです。

 じゃあどうすればいいかといえば、例えば東トルキスタンや南モンゴルなどがフリーチベットのブームに便乗してそれなりの効果を上げているように、今度はフリーチベットが便乗できるようにすればよいのです。

 いま現在ならエプロンデモかなー。三笠フーズとかの問題、マスコミは続々と明らかになる新事実や商道徳の低下を叩いていますけど、あのメタミドホス入り事故米は中国産でしたね。あの毒餃子事件も中国国内で被害者が出たという事実が明るみになっていますし(=犯人は中国側にいる線が濃厚)、粉ミルクはじめ乳製品の毒入り問題も対岸の火事では済まされません。他の業者でも同じことをして製品を流通させている可能性が大であり、それが国外に輸出されている可能性もあるのです。

 その意味でここはチャイナフリー気運を再燃させて、そこにフリーチベット以下が便乗する流れがつくれれば、と夢想したりします。

 閑話休題。「課題」のもう一点は、覚悟はできているか、ということです。例えばフリーチベット。「チベットに自由を」と叫ぶのはいいのですが、具体的にどういう状況になればOKなのか。

 いままでのチベットに対する中共政権の各種の弾圧、また一国家二制度でスタートした香港がわずか10年ですでに中共政権に取り込まれつつある、ということから、私はチベットが国家として独立を果たさなければならないと考えています。でもこれ、チベット人の精神的指導者であるダライ・ラマさんの考えとは異なりますよね。

 東トルキスタンなどについてもいえることですけど、支援運動のゴール地点をどこに設定するかということについて、コアユーザーはもちろん、ライトユーザーもそれなりに突き詰めて考える必要があると思います。

 まあ、突き詰めることなくファッションとしてのフリーチベットに徹してもいいのですけど。そういう人が多いことは旬の話題であることの証左のようなものですから。

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 ああ絨毯爆撃の件でした。私も忙しいので近場のコンビニを何軒か回っている程度。いまは専ら中国人がレジにいる可能性の高い夜間攻撃で「ウロウロ&冷やかし中華」を個人的に実践中。

 最寄りのコンビニはもうホーム同然で中国人アルバイトも含めて仲良くなってしまっているので、勝負戦闘服で顔を出しても嫌な顔をされぬまま世間話になってしまいます。

「御家人さんもう古いですよ,チベットなんて」

 と言われたりもします。しかし他のコンビニに行くと相変わらず露骨に嫌悪感を示す奴がいたりするのでやめられません。

 ここらで本音を明かしておくと、この爆撃行はフリーチベットそのものは二の次です。「中国観察」と並ぶ私の趣味、

「中共の嫌がることを真心を込めて念入りにやってあげること」

 というのが第一。それから20代の中国人と接して話をする機会を持ちたいという思いが第二。フリーチベットは三番手ですね。

 これまた本音なのですが、私はまず自分が日本人であるということを大前提として自己規定しています。もし私自身の価値観に照らして、フリーチベットが日本の国益を損なうものと判断すれば見向きもしません。……いや、積極的に潰しにかかるかも。

 台湾独立について私は支持派ですが、これも理屈も何もなく親近感を覚えてしまう台湾人を応援したいという強い思いがあるものの、その前にはまず「日本の国益に関わる」という大前提があります。

 ……こういうのって問題発言ですか?「純粋にチベットの自由が実現することを祈念している」という向きからみれば唾棄すべき態度ということになるのでしょうね。呵々。

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 ところで「爆撃」といっても、漢人にとっては鬼門筋であろう雪山獅子旗を大きくプリントしたTシャツとカンバッジという嫌味な出で立ちながら、言葉で嫌がらせをしている訳ではありません。

 あ、あなたは中国の方ですか?留学生?頑張ってますねー。私は最近、大好きな中国語を使う機会がないので困っているのです。……と、初球はスローカーブでストライクを先行させておいて、「それではクイズです」と準戦闘モードに入ります。

「文化大革命が始まったのは何年でしょう?」
「反右派闘争は?」
「大躍進は?」
「三年困難は?」

 少なくとも店内限定で親しくしている最寄りのコンビニの中国人をはじめ、爆撃目標とされた中国人で正確に答えられた人は目下のところ一人もいません。

「知らないの?どれもみんな新中国の大事な歴史でしょこれ?」

 とわざと大仰に驚いてみせると、

「学校で教わりませんでした」

 と、異口同音の反応が返ってきます。教えていないんですねえ中共は。……そこで私は、

「そうかーもう時代が違うんですね。何だか残念だな。まあいいか。勉強頑張って下さいね」

 とエールを送って店を後にします。ひとりだけ、

「学校で教わらなかったんです。いまの教育では教えていません。私は良くないことと思うのですが……」

 と答えてくれた留学生がいたので肩を叩いて激励してやりたくなりました。まあ実はそういう手合いこそ警戒すべきなんでしょうけど。……ちなみに、逆に敵対的な気配を漂わせた奴に対しては、

「君はそんなことも知らないのか?何だい、いわゆる愛国主義教育ってのはその程度のものだったとは全く意外だ。江沢民チルドレンがこの調子じゃ、中共も滅亡確定だな」

 という趣旨のことを中国語でゆっくりと丹念に話して聞かせてやってから、相手に背を向けてチャオ!と手を振りつつ飄々と店外に出ます。

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 ここからは余談という名の本題になりますが、爆撃行を重ねることで思わぬ嬉しい出来事がありました。もう1カ月ほど前になりますが、私のカンバッジに目をやって、

「フリーチベットですか」

 というので「はい」と答えたところ、とても嬉しそうな顔をしてくれた人がいました。

「中国の方ですか」

「いえ、東南アジアです」

「東南アジアの、どの国?」

 と重ねて尋ねたところ、相手はちょっと言い淀んだ風をみせてから、

「……タイです」

 と答えてくれました。華人嫌いのタイ人なのかな、と思いつつそのときはそれで別れたのですが、後日また顔を出してみると、深夜ゆえ幸いお客さんもいないので、少し話すことができました。Lさんというのですが、そのときに、

「私は本当はミャンマーのパスポートです。でも私は,カレン族」

 カレン族だそうです。むろん愚鈍な私にはそれが何を意味するかわかりませんでした(恥ずかしい)。するとLさんは、

「カレン族はタイとミャンマーの国境の辺りに昔から住んでいました。ビルマがイギリスの植民地から独立したとき、私たちカレン族はカレン族だけの国をつくろうと政府の軍隊と戦い始めました。内戦です」

 と言ってLは突撃銃を腰だめで乱射するゼスチャーを示してから、

「いまも戦っています。60年間、ずっと戦っています」

 とのこと。帰宅してすぐにwikiを手始めにネットで調べてみて、事態の深刻さを知りました。ミャンマーといえば軍事政権に対してアウン・サン・スーチーさんに代表される民主派、という構図で考えていたのですけど、実は民族問題も複雑に絡み合っているようです。

 Lさんによると、カレン族はいまも軍事政権に対する武力闘争を続行中であるものの、最近は独立目的というより、民主派と手を携えて民主化を実現し、その中でカレン族居住地区を一種の自治区にできれば、という姿勢に変わりつつあるとのこと。

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 これをきっかけにして、Lさんと私は「朝食会」をしばしば開くようになりました。夜勤シフトのLさんが仕事を終えたところで私と合流し、喫茶店でモーニングを食べながら、Lさんから色々な話を聴いたり、こちらから質問したりするのです。

 とはいえ実質的には「勉強会」で私が学生ですから、無理を言って私のおごりにさせてもらっています。その代わり、たまにLさんが馴染みのビルマ料理店に私を連れていく、という条件で納得してもらいました。

 留学時代を別とすれば、Lさんは私にとって、中国語を話さない初めての外国人の友達ということになります。そのLさんは、

「カレン族の問題に興味を持ってくれた日本人はいままで一人もいませんでした。あなたが初めてです」

 と喜んでくれるので何だかこそばゆいです。互いに立場は違うのですが、共通認識として中共政権が、軍港と天然ガス欲しさにミャンマーの軍事政権を援助していることが事態を深刻にしている、という点でLさんと私は一致しました。

 中国がミャンマーを属国化しつつある、それゆえに国連安保理が機能不全に陥っている、軍事政権も中国の支援を得ることで民主化を阻み、またカレン族への攻勢を強めている、というものです。

 民主化が実現すれば全てうまくいく、という単純な問題ではないようですが、中共に支配されているよりはマシではないかと。つい先日、私の副業先の編集長が、

「おれはチベット独立に反対だなあ。独立したってどうせ別の大国の支配下におかれるだろうし」

 と言うので、

「そうなるだろうな。でもどこの支配下におかれようと、中共よりはマシだろ?お前らが一番よくわかっている筈だ」

 と反論して沈黙させました。私はそう考えているのですけど、どうなんでしょう?

 ともあれ、これはLさんにも伝えてあるのですが、カレン族に私が関心を持つのも、上で書いたように「自分は日本人である」という大前提に基づくものです。単に同情している訳ではありません。とはいえ中国畑一本だった私にとっては、Lさんに教えてもらうことは一々新鮮で、話を聴くたびに興味をそそられていく一方です。

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 ここからは本当の余談になりますが「カレン族 wiki」でググってたどり着いたページにリンクが貼られている「カレン民族同盟」(KNU)に飛んでみて下さい。KNUの旗の左上が何やら雪山獅子旗の上部と似ています。むしろ雪山獅子旗よりも軍艦旗を彷彿とさせるデザインです。

 同じように、「カレン民族解放軍」(KNLA)のページにも立ち寄ってみて下さい。この組織の旗の上半分は見まごうことなく軍艦旗です。何か経緯があるのでしょうか。偶然とは思えないような意匠なのです。





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 とりとめのない話です。

 香港以来20年近くの付き合いになる老風水師・Y老師からは昨年秋くらいから、

「2008年の君の運勢は良くない。特に前半は良くない。健康に留意しなさい」

 と言われていました。言われなくてもそのくらいのことは萬年暦を読んでいて私にもわかっていたのですが、果然その通りになってしまいました。さらに夏を前にしたころに「風水短観」というこれまで例のない具体的なピンポイント警告。これまたビシビシと的中して、その世界の権威筋といえるY老師の眼力に改めて恐れ入った次第です。

 このY老師が私を大切に扱ってくれるのは、二人の相性が稀有なほどに合っているからだそうです(当人談)。実際に私が通訳を務める形で組んでいた時期は嘘のように繁盛しました。通訳が私ですから風水鑑定の顧客はみんな日本企業。香港・中国大陸・日本をぐるぐると忙しく回っていたものです。

 もう時効ということにしてしまいますが、参加者4000人強という異例の盛り上がりをみせた5月6日のフリーチベットデモで代々木公園まで練り歩く途中、表参道を通りました。私にとっては懐かしい場所です。

 もう15年以上も前のこと。とある一部上場企業から鑑定依頼があり、Y老師と東京へ飛びました。既存のオフィスなどの風水鑑定などもしましたが、目玉は新事業を立ち上げるにあたっての用地選定。銀座など華やかな候補地が並ぶ中で「ここしかない」とY老師が迷わず選んだのが、表参道だったのです。

 当時から流行発信地めいた空気のある街でしたが、外国の有名ブランドが相次いで出店したり、ヒルズまでできて「華」が出てくるのはずっと後年のこと。

 その表参道に顧客企業が確保した用地にビルを建設するに際しては、周辺を丹念に歩いた上で建築士の用意した図面にあれこれ注文をつけ、相手がどうしても譲れない部分は私が妥協点を探ったりして(これも風水師通訳の大事な仕事)話をまとめました。

 これが「◯ニ◯ェル◯ル表参道」という名前になって完成。それまでにも近くを通った際に目にして設計図通りかどうかチェックして内心頷いたりしていたのですが、5月6日にはデモ隊の一員としてシュプレヒコールを唱和しつつ、その建物を改めて懐かしく見上げたりしました。

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 このデモ隊の終着点である代々木公園の野外音楽堂を雪山獅子旗の波が埋め尽くし、予想を超える人数が集まったなかで解散式が始まりました(解散式の途中でも続々と後続部隊が来着)。

 舞台の上では主催者側の主立った面々が代わりばんこにスピーチ。「ちょっと冗漫なイベントになってしまった」と現場にいて感じていたところ、その中に「何というサプライズ」が用意されていたのです。

 中国民主化運動を支援しているという特攻服?のような出で立ちの日本人がマイクの前に立って演説を始めました。「たなかたけゆき」さん、と紹介されたので私は「まさか」と思いました。しかし声は似ているし顔にも見覚えがあります。それで人ごみをかき分けるようにして舞台の端まで近寄って、解散式が終了した直後にその人を捕まえました。

「失礼ですが、田中健之さん……ですか?」

 と尋ねたところ「はい」という返事に嬉しくなって、

「先輩、御家人です。覚えていますか?あの御家人です」

 と自己紹介すると、田中先輩も思い出してくれたらしく、

「おお御家人君か。久しぶりだなあ」

「20年ぶりくらいでしょうか」

「しかし御家人君、御家人君といえば、青年ではないか」

 と言うので、つい笑ってしまうと同時に、薬太りして海坊主になってしまっていることを恥ずかしく思いました。一昨年、恩師と再会を果たしたときにも、

「学生時代の御家人君といえば、背が高くて、スラーッとしていて」

 と嫌味めいたことを言われています(笑)。それにしても私は中国~東京~香港~東京~台北~東京と流転する間に学生時代のアドレス帳が行方不明となり、邂逅ともいうべきこうしたミラクルがなければ相手を探し当てることなどできません。それゆえ、田中先輩との再会はこの上なくうれしいものでした。

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 田中先輩は学生のころから中国の民主化運動を支援していて、当時やはり学生だった私は中国語を使えるということで、中文和訳などを手伝いました。請われて下記のようなこともしています(笑)。

 ●中国語発音矯正ギプス?(2006/06/24)

 私は学生のころ、政治的にはむしろ田中先輩と逆の考えに近かったのですが、田中先輩はそれに頓着せず、あるいは頓着しない演出のできる懐の深さを持っていました。

 民族派のプリンスともいえる血統ゆえ、免許取り立てで若葉マークを貼った車に乗せられてその筋には由緒のある場所にもあちこち連れていってもらいました。その先々で私を紹介する際、

「彼は御家人君といって勤王の志はありませんが、中国の民主化運動を……」

 という言い回しが面白かったです(勤王の志なんざ、いまもありませんけど)。もうなくなってしまったそうですが、当時の田中先輩の自宅近くにあった、戦前から建っている古いアパートの一室が書庫のような梁山泊のような場所で、そこで色々な話を聴かせてもらいました。互いに「零戦&坂井三郎」属性の持ち主と知り、朝まで盛り上がったりもしました。

「先輩の顔は昔とあまり変わっていませんねえ」

 などと話していたところ、

「御家人君、また一緒に活動しようよ。明日は中国大使館前で街宣やるんだ。一緒に来ないか?」

 という話題になったので、

「嫌ですよー」

「どうして?」

「だって街宣車なんて怖いじゃないですかー」

 と、思わず正直に言うと周囲がどっと湧きました。

 数カ月後に靖国神社にある遊就館の例の喫茶室で待ち合わせて、今度は心ゆくまで様々な話をすることができました。田中先輩は暫く会わなかった間に雰囲気がちょっと変わっていて、格好もオシャレになっていました。私が常々考えている「ライトユーザーを取り込めない政治運動は時流をつくれない」といった点にも敏感で、私は思わず、

「先輩、何だか随分ポップになりましたねえ」

 と、好意を込めて、ついからかってしまいました。

 ちなみに田中先輩はフリーチベットとも縁が深く、日本チベット友好協会の会長であり、現在は関係団体の長で持ち回りするTSNJ(チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン)代表職にも就いています。

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 ……そうだ今回は楊枝削りでした。いまは精力的に著述・講演活動を展開されている田中先輩の近著をご紹介します。

靖国に祀られざる人々―「逆徒」と「棄民」の日本近代史 (別冊宝島)宝島社このアイテムの詳細を見る


 今年2008年は、明治維新140周年。その節目ということで遊就館でも特別展示が行われているようですが、私はちょっと釈然としないものを感じています。

 ひとつには、幕末~維新というと、私の脳裏にまず浮かぶのは常に越後長岡藩の河井継之助だからです。

 当時としてはずば抜けた時勢の流れを読む眼力と見識、そして開明性を持っていながら、戊辰戦争では持論である武装中立を貫くことができず、官軍と戦ってこれを泥沼の激戦に引きずり込み、衆寡敵せず最後には敗れるものの、その過程では歴史に残る勝利を重ねたため逆徒扱いにされてしまいます。

 もう一点、私は高校生のころ、「赤報隊」に凝った時期があります。朝日新聞襲撃事件のアレではなく、倒幕のために日の当たらない活動を重ねながら、いざ御一新となるや藩閥という権力によって「偽官軍」として闇に葬り去られてしまった草莽の志士たちです。

 私は赤報隊の中でも竹内廉之助(金原忠蔵)を中心に高校生なりに調べたのですが、この人は靖国神社には合祀されていません。赤報隊雪冤運動により、隊長を務め、鞍馬天狗のモデルともいわれている相楽総三、そして竹内廉之助とも縁の深かった渋谷総司の2名だけが「みたま」になっており、残りのメンバーは祀られていないのです。

 そんな訳ですから私は維新140周年の特別展示と聞いても、「だから何?」という気分になってしまう訳で。

 そういえば、この本を私はサイン入りで直々にもらえることになっているのですが、前回会ったときにはうっかり忘れてしまいました。田中先輩、次の機会には是非に,是非に。





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 週末なのでマターリと動画でも。標題に沿ったものを軽く並べておきます。

 ……おっとその前に、最近まことに良いものを観ました。第一次世界大戦における複葉機の単機格闘戦、まさにドッグファイトが堪能できる映画です。レンタルで観たら面白かったのでDVDを買ってしまいました。

 それっぽっちの航空時間でそんなに敵機を墜とせるか普通?

 なぜにドイツの三葉機はみんなレッドバロン?

 ……といったツッコミどころはいくらでもあるのですが、まあそれは脇に置いてCG技術をフルに生かした空戦動画として楽しめます。射撃時の曳光弾の流れとか失速反転?とかイイです。飛行船も登場します!

 あと主役と恋仲になるフランス娘に萌えました(笑)。ラストがちょっと哀しいのですが、まあ余韻が残る演出にはなっています。

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 CG、空戦動画といえば再三紹介していますが、やはりこれも忘れてはいけません。零戦、坂井三郎、岩本徹三。……これは年相応といえるかも。

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 同梱DVDに収録されている中から「1945」をドゾー。高画質版は作者である栃林秀氏のウェブサイトすっぽんで色々観られます。




 あとはこちらを。以前やったオサーンホイホイ動画集であります。


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 で、ちょっと一休みの気分で当ブログの読者層にはピンポイント(たぶん)な軽めのものを。





 ……ええ、見終わったら忘れることです(笑)。なかったことにしておいて下さい。


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 オサーンホイホイ続きます。ニコニコ動画まで来たので当然これは「初音ミク」につなぐのが王道というものです。御存知の方も多いであろう「HMOの中の人」によるテクノドンライブっぽい「Bihind the Mask」(ドラムがたまらんです)と、何だか元気が出るオリジナルの名曲「電空少女」の、最近出た生声版を。

 ちなみにニコニコ動画は、作品によってはコメントが大量に書き込まれていて(弾幕状態)うざったくなることがあります。
コメントを消したい方は再生開始と同時に画面右下隅に出現する「ひよこ&吹き出し」をクリックして下さい。







 こうなると季語違いながら心に沁みる「桜の季節」も出さずにはおれません。




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 そして最後に、
「歳だから」なのか、「年甲斐もない」からなのか。と真面目に問いかけてくる楽曲をば。

 ニコニコ動画での再生回数60万回以上という「歌に形はないけれど」と、同30万回近くという「夕日坂」です。








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 実はこの2曲、なんとCDでメジャーデビューを果たしております!同様のケースは他にもあって、ニコニコ動画という「路上ライブ」で活動していたアマチュアの作品がプロの世界に迎えられ始めた、という意味では記念碑的なものといえるでしょう。

 ほら、御覧の通り。


歌に形はないけれどGroove noteこのアイテムの詳細を見る


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 どちらもニコニコ動画でたっぷり試聴済ではあるのですが、私はこういう、アマチュアが業界の裾野を広げてプロ層がより強化・活性化する形(しかもネット発)は大歓迎ですので、カンパするような気分でどちらも買いました。「夕日坂」はPVも収録。そりゃそうでしょうね。


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 「歳だから」なのか「年甲斐もない」からなのか。結局のところ私にはよくわかりません。

 オサーンはオサーンなりに往事茫々と、また若い世代は現在進行形の自分に重ねるようにして、つい、しみじみと聴き入ってしまうのでしょうか。


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 【追記】dorikoさんの楽曲を好きな方からコメントを頂いたので、もう1曲追加。「letter song」です。雰囲気からすると、たぶん上の「歌に形はないけれど」「夕日坂」、この2曲とまとめて聴くべきものではないかと思います。





 それにしても、再生回数が10万回を超えるというのは容易なことではありません。世代を超えて愛されている作品ではないと到達できない数字ではないかと思います。

 上の方で紹介した「桜の季節」は現在46万回ちょっと。この「letter song」もいま現在で9万3000回ちょっとですから,「殿堂」入り目前、てなところでしょうね。

 で、実はそういう10万回突破の「神曲」が他の人の作品でも結構あります。まあ何というか、毎度のことながら「日本のアマチュア層恐るべし」という感想にやはり行き着いてしまうのです。

 底辺である裾野の広さと,そのレベルの高さ。……たぶん多くの人は、私がこのブログを書くように余暇の娯楽として音楽制作に取り組んでいるのでしょうけど、こちらはただただ驚くばかりです。





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 「素人による中国観察」などという看板を掲げながら、この数カ月ばかりヲチらしい作業を何もしていないことを恥じ入る次第です。

 きっかけは「あんぐり」と呆れてしまったことによるものでした。中国都市部の民度が退行しているのを感じたからです。

 私の手触りでいうと、20年前に比べて価値観が硬直化してきている一方、当局による煽りや騙しに対する免疫が著しく低下しつつあるのです。もうただこの一事のみ。

 基本的には江沢民が始めた愛国主義教育の「成果」ともいえるものですから、中国は現在も免疫力なしの新世代を続々と量産中。民度を落とす教育政策というのも何やら末期的です。

 価値観の硬直化というのは、例えば政治面なら、「都市部住民の代弁者」といえるほど地盤を拡大しつつあるネット世論からは、何事も、

「愛國無罪」

「漢奸・賣國賊」(売国奴)

 の二色刷りで片をつけてしまうような息苦しさを覚えます。

 ついでにメディアにも一般論として言及しておくと、新聞雑誌の数が増えたりネットという新媒体の出現などもあり、表面的には以前よりずっと多様化しているようにみえます。

 が、仔細に眺めてみると1980年代後半に比べ、当局に潰されかねない際どい報道・評論を行う尖鋭的なもの、良心的なもの、斬新なもの、イキのいいものが格段に減っています。

 見た目は色とりどりなのですが、口にしてみるとみんな似たような味。なーんだツマンネ、といったところです。

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 ……ヲチから遠のいている言い訳をしているのですが(笑)、いや笑い事ではなく体調不良も実は大きな原因のひとつです。今年の中国は1月から物価高だ毒餃子だ大雪害だとネタ満載だったので健康面には不安が常にあり、ドクターストップがかかって自宅療養する破目になったりしました。

 それでもチベット問題などが起きて、じっとしていられず勝手に原隊復帰してヲチを再開したら聖火リレーだ愛国無罪長野だフリーチベットだ四川大震災だと大事件が続いたので休む間もなし。おまけにフリチベのOFF会やデモにまで参加したりする始末で、とうとう消耗してしまったようです。

 北京五輪が近づいてきて上記「あんぐり」となりヲチ夏休み状態に入りました。五輪開催中は多少手を抜いていても大丈夫だろう、と多寡をくくっていた側面もあったのですが、ヲチを楽しむ気持ちがチト薄れた、というのが第一。実はそれよりも「三病息災」が「四病」に増えて一時期入院させられたりして、改めてドクターストップをかけられたまま現在に至っている、というのが本当のところなんですけど。

 ヲチ自体は、私にとってこの上ない娯楽で心気を休めるものなので医者どもから文句も出ませんしモーマンタイなのです。ただしそのために行う記事集めというのが実は相当な力仕事で、何せ自分なりに納得できるまで徹底してやりますから時間と体力に負担がかかります。

 しかもこれらはあくまでも余暇であって、基本的にはもちろん本業副業が最優先。その本業副業の上に記事集めが乗っかって、今年のように度が過ぎると医者から謹慎処分を喰うといった体たらくです。

 おかげで最近は更新頻度も落ちていますし、内容も大雑把なものしか書くことができません。北京五輪が終わればそろそろ政治の季節だろう、ということで私の方はウズウズし始めているものの、目下のところ指をくわえて遠くから眺めているような状態。最近は政治・経済・社会のいずれもが明らかに香ばしくなりつつあるので内心,忸怩たるものがあります。

 ――――

 不動産市場はバブル状態だとか違うとか、経済過熱の気配があるとかないとか、どのくらいのレベルで「軟着陸」(ソフトランディング)できるか、などという議論が行われていた2003年~2004年のころが随分昔のように思えます。

 現在はみなさん御存知の通り、株価は上海証券取引所の平均指数でいうと2000ptsを割り込みかねない状況で、これは昨年10月に最高値を更新した時期のほぼ3分の1という水準。しかしそもそも6000ptsの大台に届いたのは5年に1度開催される「十七大」(第17期党大会)の御祝儀相場ってことでは?とみる向きもあり、

「それなら北京五輪の時期にやはり御祝儀で一度は持ち直す筈」

 という、中国特有の習わしに則した観測が大真面目に行われたりもしました。ところが意外にも株価は五輪が始まっても続落続落また続落。……以前、

 ●怖いのは暴落ではなく逆ギレ。(2007/11/10)

 というエントリーを書きましたが、早くもこれが現実の事件となっています。株価ではなく不動産価格の下落が発端なのですが、一時は「官民衝突から大規模な都市暴動へ!」になりかけました。



 ●出資金戻らず住民騒ぐ 中国湖南省(MSN産経ニュース 2008/09/05/10:35)
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/080905/chn0809051034000-n1.htm

 中国湖南省吉首市で3、4両日、高利で違法に資金を集めていた不動産会社が約束通りに資金を返還しないとして、出資者の住民ら多数が集団で地元政府に仲介を求めて騒ぎ、交通機関が一時混乱する事態となった。新華社など中国メディアが伝えた。

 香港の人権団体、中国人権民主化運動情報センターによると、集まった住民らは約1万人に上り、排除しようとした警察官側との衝突で50人以上が負傷したという。中国側報道は9人が強制排除されたが死傷者は出ていないとしている。

 地元では住民らを対象にした違法な資金集めが続いてきたが、うち数社が今年6月ごろから返還に行き詰まっていた。人権団体側は、地元政府が今月3日、不動産会社の資産を凍結すると発表、出資者がパニック状態になり暴動が起きたとしている。(共同)




 この事件は新華社による報道のタイミングや扱い方、また治安部隊の投入具合など検証すべき点がいくつかあり、そもそもまずは「中国におけるバブルのはじけ方」の一典型として重視し珍重すべき素材なのですが、如何せん謹慎中の身ゆえ私は大人しくしていなくてはいけません。

 ただ「大雑把」という言葉に安んじて指摘するとすれば、これまたチラつく「官」の影、ということです。今回の事件は役人が手柄欲しさにデベロッパーをそそのかして始めたもので、役人自身もこの事業で私腹を肥やしてきました。

 ところがバブル崩壊の匂いを嗅ぎ付けたのか旬は過ぎたとみたのか、その役人どもが最近、出資金&利息を一斉に回収した。……との噂が流れたことが発端となって、一般市民の間にパニックが発生。

 現在の中国において最も危険な「官vs民」フラグが立ちやすい構図といえます。

 しかも、似たようなことが別の都市で行われていても何ら不思議ではありませんし、他でもやっているとすれば恐らく同じように出資金の多寡はあれども一般市民を巻き込む広範なものでしょう。

 いったん破綻すれば、というより「破綻近し」の噂が流れるだけで都市暴動に発展しかねない危うさを内包しています。もちろん、いじくる対象が不動産ではなく株という可能性も。

 全国各地で火の手が上がりかねない、ということです。とりあえずその一番手は大事にならずに当局が総力を挙げて防いだ、ということになるでしょう。再燃する可能性も、あるのですけど。

 ――――

 マクロ経済の動向については、もはや「過熱か否か」ではなく「過熱状態」を前提とした上でインフレ懸念が論じられる段階に入りました。結局またなのかなー、という気がしないでもありません。

 以前の中国経済はほぼ5年周期で「過熱→引き締め→再加速→過熱」といったプロセスを繰り返していたものですが、ここでいう「引き締め」というのは行政も介入して力づくで押さえ込んでの「硬着陸」(ハードランディング)。力づくゆえに党中央の権力闘争に発展して、失脚者が出るケースもありました。

 いま現在の中国の経済状況は、以前なら「引き締め」に転じる一歩手前まで来ていると私はみていますが、危機的な事態に対する切れ味鋭い措置が講じられている気配はありません。むろん、対策を打ち出す段階ではないと党中央が現状を楽観視しているとは考えにくいです。

 手を打ちたくても打たせないよう暗躍している強力な政治勢力が存在しているか、実は措置を講じてはいるものの現場レベルではそれが有名無実化されているか、のどちらかではないかと思います。これは経済政策という話題ながら、実質的には政治の問題ですね。

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 その政治についていうと、中国における事実上の最高意思決定機関は党中央政治局常務委員会です。胡錦涛や温家宝をはじめとするこの組織のメンバーが地方視察などをやり始めると「そろそろだな」ということになります。「三中全会」(党第17期中央委員会第三次全体会議)の開催間近か、ということです。

 経済に対する党中央の措置についてはその前に根回しをほぼ終えてひな形が完成し、「三中全会」で大方向が示されるのではないかと。それに引き続き温家宝が中央政府である国務院の会議を主宰して具体的内容を打ち出す形になります。

 要するに、「三中全会」が間近いという気配が漂って来ない、この重要会議がなかなか開催されない……のであれば中で割れている可能性があり、時間が経てば経つほど必要な対策を打つ時機を失することとなります。経済問題だけでなく、上述したような「怖いのは暴落ではなく逆ギレ」という深刻な社会問題が都市単位で発生しかねません。

 兆候を探るという意味では、新華社のメインニュースで現在北京で開催中のパラリンピックがCPIやPPI統計速報を脇に追いやって大きく扱われているようではダメです。党高官の視察報道がチラホラと出るようになれば政治の季節到来、ということになるかと思います。

 まあ、現状に照らしていえば中国経済のハードランディングは不可避ではないでしょうか。胴体着陸は確実。あとは炎上するか機体が損壊するかという程度問題になるでしょう。……もっとも、胴体着陸を「ソフトランディングに成功」と強弁する大本営発表になるかも知れませんね。


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★★★これ、なかなかイイです★★★

近くでコーヒーを飲むついでに買って読んだら意外に勉強になりました。


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 補遺としておりますが、実は前回いちばん書きたかったことをうっかり入れ忘れてしまったので、ここで補足を。

 五輪開会式における美少女口パク事件についてです。私にとっては「おーさすがは中国」と思わされる出来事でした。

 経緯は皆さん御存知の通りです。開幕イベントの舞台に登場した可愛い女の子が毛沢東讃歌を見事に歌い上げました。……ところが実はこれが口パクと判明。会場に流れた歌声は別の女の子が歌ったもので、舞台の美少女はそれに合わせて歌うフリをしていたことがわかりました。

 そういうやり方の是非については中国国内でもネット上などで熱い議論が展開されたようですが、大会関係者(開会式の音楽総監督・陳其鋼氏)は口パクに踏み切った理由として、

「国家の利益のため対外的なイメージに配慮したもの」

 ●開会式の美少女独唱、実は「口パク」(サーチナ 2008/08/13/15:59)
 http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0813&f=national_0813_029.shtml

 と言ってのけました。「対外的なイメージ」てのは要するにビジュアルというか見てくれというか、つまりはルックスのことでしょう。これを「国家の利益」に関わると公言してはばからない姿勢に私は「おーさすがは中国」と唸らされたのです。

 だって、この価値観を煎じ詰めれば「美男美女以外はいらない」ということになってしまうではありませんか。江沢民などは長期間にわたって「国家の利益」を損ない続けてきたことになります(笑)。

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 与太はともかく。表面的に見映えがよければそれでいい、という考え方を国民に対しても当てはめるところが中国ならではです。

 人間を,人間として扱っていません。

 「美男美女以外は死刑」とまではいかないものの、採掘量がノルマ通りなら炭鉱事故で何人死のうが痛くない、とか税収確保のため公害企業をフル稼働させて住民に被害が出てもいい、上級部門を喜ばせればそれでいい、ということになります。

 1億人死んでも総人口の1割にも満たない国だけのことはあります。しかも一党独裁政権ですから闇は作りたい放題。

 実際に、ヒ素中毒、フッ素中毒、カドミウム中毒をはじめとする公害の被害者に対し、当局は加害者追及を含めて、手厚い対策を講じてはいません。あの中国肺炎(SARS)の被害者たちは治療による副作用に現在でも苦しんでいるのですが、公費負担のような援助が十分でないため、関係部門に陳情を行ったりしています。エイズ患者救済活動をしていた人などは政治犯として当局に拘束され、あろうことか投獄されてしまいました。

 心身に障害を抱える人々に対し、中共政権は無視してはいないでしょうが、重視してもいません。外国人視察者向けのモデル施設にはお金をかけているかも知れませんけど、実情はお寒い限り。……そういえば温家宝・首相が河南省のエイズ村を視察したときに患者として登場した少女も地元当局が差し回したエイズとは縁もゆかりもない「役者」でしたね。

 人間を,人間として扱っていないのです。

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 でも、当局にとってはそれでもモーマンタイ。だって人間だけはたくさんいますから、少しぐらい死んじゃったって痛くも何とも。……という価値観がデフォとして中国ではまかり通っているからです。

 国民なんて所詮は生産財。

 そしてその延長線上に、当然ながら「健常者以外はいらない」という理屈も成立します。あからさまに言ってしまえば、生産財としては欠陥商品だから、てなところでしょう。

 この中国の北京で、五輪に引き続きパラリンピックが開催されるのです。両者は直接関係のないイベントではありますが、最近では「五輪開催国がパラリンピックも主催する」という習わしになっていて、地元五輪組織委員会が大会を仕切ります。

 偉大なるアイロニーであります。「口パク事件」から話をここまで展開させるのは強引すぎる、という声が出るかも知れませんが、少なくとも私は「口パク事件」に対する関係者のコメントに接して、思いがここまで飛躍してしまいました。

 何という皮肉、と考えてしまうのです。たぶん、開催にあたって如何に美辞麗句が費やされようと、

「お前が言うか!」

 という感想しか私には残らないかと思います。





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 いまさら、なんですけど。

 一昨日、拙宅のあるマンションのエレベータで始業式帰りの女子中学生と一緒になったとき、

「オトナはいいよー。だって夏休みの宿題がないから」

 と笑かしていたのですが、考えてみれば私も北京五輪という宿題を残したままでした。総括、とかそういう難しいことでなく、ちょっと気になったことを、いくつか。

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「無事に終わってよかった」

 とお考えの方、テロなどの突発事件を別にすれば「無事に大会運営ができること」が五輪開催国の必要十分条件です。無事にできて当たり前。大会前から閉会式当日まで、無事にやれるかどうかまで心配しなければならなかったのは、北京を開催地に選んだ連中の責任といえるでしょう。

 観光客を当て込んでホテルをガンガン新築して、しかも強気の料金設定で臨んで泣きを見た外資系を含む中国ホテル業界は馬鹿。日本の旅行会社も馬鹿。1997年に香港が中国に返還されるという「歴史イベント」での集客を期待して見事にコケた経験から何も学んでいないようですね。

 観客の民度とか官製応援団とか、これは「仕様」ですから仕方がありません。人権問題についてはIOCの会長が批判していた通りです。付言するなら、それまで陳情者が上京してきた際に滞在する小屋掛けの「陳情村」を中国当局は大会前にぶっ潰して陳情者は北京の外へと追っ払いました。

 それでも「なんちゃって民主」をアピールするつもりだったのか、「陳情・集会OK公園」を指定して精一杯頑張ったものの、申請者は片っ端から公安(警察)が拘束。ただその一方で、ふつうなら官製デモ・官製集会を開催して、

「ほらね。中国も人権問題の改善に取り組んでいるんですよ」

 というオマケが必ずつく筈のところ、私の知る限りではそれが行われた形跡がありません。万一群衆を呼び込んで想定外の方向へ盛り上がってしまうと困るので官製デモを打つ余裕さえ当局にはなかった、ということなのでしょうか。そこら辺の機微に興味があります。

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 実のところ、象徴的な部分の大半は開会式のあの冗漫なイベントで出てしまっているように思います。イベントそのものについての感想は以前書いた通りで現時点に至るまで修正を加える必要を感じてはいません。

 しかし、その直後からスキャンダルめいた話題がわらわらと湧いて出てきました。

 ●大きな足の花火は鳥の巣以外は全てCG。
 ●歌を歌った少女は実は口パクで、歌っていたのは別の子。
 ●少数民族の衣装をまとって出てきた子供たちの大半は漢族。
 ●イベント中に登場した絵画は実はもっとたくさんあったのが、党中央宣伝部の圧力で没にされた。

 絵画の件はギャラ絡みなのかも知れませんけど、これらには共通点が2つあります。

 ひとつは、イベント直後に事実が明るみになったこと。

 もうひとつは、中国当局が隠蔽しておきたいそうした事実が、大会関係筋や当事者の周囲から内外のメディアに漏れたこと。

 五輪自体の商売としてのカネ勘定は別として、シミュレーションゲーム風にいうなら、中共政権は今回の五輪開催で「統治力」のポイントを相当消耗してしまったように思えます。公安や武装警察の大動員は中国の治安力にどれほどの負荷を強いたのでしょうか。

 あの四川大震災で瓦礫や土砂に埋まった被災者の死体を掘り出す作業は、五輪開催中は中断されたとか何とか。縁起を担いだのかどうかは知りませんが、犠牲者の家族の感情はどうでしょう。中国国内でも「四川が治まれば天下が定まる」という難治の省に禍根を残すことになるかも知れません。

 国威発揚。中共政権に対する求心力向上。……というのが当局にすれば北京五輪の最大の狙いだったかと想像するのですが、開会式のイベントがそうであったように、しっかりとまとめ上げてみせたつもりでも、隠しておきたい機密がことごとく関係者の口から漏洩する。些細なことではありますが、こういう綻びには留意しなければならないと思います。

 オリンピックを国威発揚に利用した独裁国家は五輪開催後10年前後で例外なく崩壊しています。結局は「お国自慢」に終始した開会式のイベントを思い出して下さい。五輪にすがるしかないほど統治力が低下しているという訳で、この時点で半ば終わっているのです。

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 最後に、米国人殺傷事件を挙げておきます。新華社はあくまでも単なる殺人事件として速報しましたが、これは怖いです。

 犯人は複数回の陳情(上訪)上京歴を持つ浙江省の男性でしたっけ。殺人の対象が「誰でもよかった」でないことは確かではないかと思います。白人だから刺殺した、それが米国人だった、ということでしょう。

 ラチが明かない陳情に疲れた挙げ句、外国人を殺すことで「官」への恨みつらみを晴らした、というのが実情ではないかと。もう少し具体的にいうと、党中央の面子を潰すこと、それから地元政府にも党中央からの叱責という災禍が降りかかることを狙った、というものです。

 何が怖いかって、模倣犯が出ることです。北京への陳情者は年間数十万人にも及びます。その圧倒的多数が目的を達せられずに終わります。陳情窓口が当てにならないということで、外国公館や国連事務所に駆け込むというのも陳情者の間で一時トレンドになりました。

 そこから更に大きく一歩踏み出したのが、今回の事件ではないかと。陳情者が現世に絶望したとき、自殺(ときどきあるようです)以外にこういうやり方もある、という「官」への怨恨を含んだ攻撃的な方法を提示した、ということになります。

 対象となる外国人は日米英仏独あたりでしょうか。日本語で喋りながら歩いていたら突然グサリとやられる可能性があるので現地在住の方、または観光や出張で中国を訪れる向きは御注意あれ。……なんてことを書くと「不安を煽るな」とか文句が出そうですが、いまの中国はそういうやや危険な国情にあることをまず認識しましょう。

 陳情者に限らず、政治的な外国人殺傷事件という可能性もあります。いまはイデオロギーではなく利権で争う時代ですから、過去30年の改革開放政策でうまい汁を吸ってきた既得権益集団が胡錦涛ら構造改革派を困らせるため、あるいは特定の地方当局による中央イジメで鉄砲玉が使われる、てなこともあるかも知れません。

 何だか義和団アゲインといったところですが、超格差社会が臨界点に達すれば起こるべきことが起こります。中国は正にいま、その途上にある。ただそれだけのことです。





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 何やら吉報が。

 3年ぶりにめぐってきた私の「夏」がたった1日で終わってしまったことで「orz」状態だった気分が一変しました。







 おおお。この嬉しさを誰かに伝えたくてとりあえず「フリチベ戦闘服」(=外出時の普段着)に着替えて最寄りのコンビニへ。ふだんは中国人がバイトしているので、

「日中関係もこれで好転するな」

「何たって福田は中国の犬だったし。……あ、チンパンジーか」

「もし次が麻生さんなら胡錦涛も楽できなくなるだろ。こいつは見物だ」

「まあでも中国もオリンピックが終わって『死路一條』モードに入ったからどうでもいいか」

 ……みたいなことを中国語でまくし立ててやるつもりだったのですが、バイトしていたのはミャンマーの華僑3世。

「私はミャンマー人。中国語もできないし、中国人ではありません」

 と常に断言していて、店長不在の夜勤シフトでは襟元に私から奪取した雪山獅子旗のピンバッジをつけて働いているくらいですから、何やら肩透かしを食った気分。

 まあいいや。まだ先行き不透明ですけど、とりあえずエールを。



★★★組曲「麻生太郎」 featuring 初音ミク★★★





★★★2007 自民党総裁選 熱過ぎる北村弁護士の麻生太郎氏に対する応援演説★★★




 中国は最強の工作員を失って痛いことでしょう。

 ●親中派首相辞任に衝撃=政権弱体化も認識-中国(時事ドットコム 2008/09/01/22:43)

 個人的には「麻生太郎・安倍晋三・中川昭一」という、スピードより技術で突破するのに秀でた攻撃的3トップが実現すればなあ、と思うのですけど。

 ともあれ、まずは揺れ戻しを。フフン♪に改悪された外交路線その他は「自由と繁栄の弧」メインでいきましょうや。



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とてつもない日本 (新潮新書 217)麻生 太郎新潮社このアイテムの詳細を見る




★★★チンパン逆ギレ?カコワルイアルヨ★★★









 今夜はいい夢が見られそうです。

 でも本当はここからが、日本の切所。後継者争いを含め事態をしっかりと見守り、必要とあれば小市民なりに行動する、という心構えが私たちに求められているのではないかと思います。


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