某巨大掲示板の某スレでまた御質問を頂きました(汗)。
「『胡錦涛派vs江沢民派の対立図は、国内向けのパフォーマンスで、ガス抜きだ』という意見を他所で見たんですけど、これについてどう思われますか? 」
というものです。
以下が私の回答になります(一部加筆)。
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うーん、その説を示された方の論拠がはっきりしないことには、何とも言えません。
胡錦涛と江沢民が対立しているという報道は国内メディアのどこにもありませんし、中国国内の人の海外媒体からの情報入手には自ずと限りがありますし。
私たちのように新聞の行間を読んで対立の気配を探すほどの政論好きな中国人がどれほどいるのか……。
また、国内向けというのは国内のどの層に向けられたもので、どういう種類のガスを抜くためなのかもはっきりしません。
「種種跡象均顕示着……」(様々な出来事がみな……であることをはっきりと示している)
という中国語の常用表現がありますけど、私も色々なニュースの切れ端を掻き集めて、その上で悪い頭をいろいろひねってみて、
●どうやら胡錦涛と江沢民は対立している
●どうやら江沢民の旗色が悪い
●どうやら先のサイト封鎖は権力闘争によるもの
などの判断をしてるだけで、最初から対立があるという先入観は持っていません。だから、その方の論拠を示してもらえれば、色々考えることはできると思いますが……。
ちなみに、胡錦涛の方が比較的嫌われていないせいか、海外媒体の報道は江沢民がすごく不利であるように書いてありますが、このあたりは少し割り引いて考えるようにしています。
あ、あと、権力闘争に伴う(と私は考えています)サイト封鎖の件ですが、現在確認したところ、
●愛国者同盟網
●民間保釣聯合会
●中国眼
●反日貨聯盟
の4サイトが完全封鎖ないし論壇活動停止を喰らっているようです。
――何かはっきりと質問に向き合ってなかったようなので改めます。
「胡錦涛派vs江沢民派の対立図は、国内向けのパフォーマンスで、ガス抜きだ」
という説ですが、私は同意できません。
胡錦涛と江沢民の対立劇を見せるとガス抜きになる、とは到底思えないのです。
中国社会に充満しているガス(しかも悪性の)とはなんでしょう?
反日というのはネット世論でしか重視されません。あとはアジアカップのような特別なシチュエーションでのみ頭をもたげるものです。
それよりも、現実生活に直接結びついてくるものがあります。
●2つの両極分化(貧富の格差と地域間格差)
●就業・失業に関する問題(給与未払いやリストラ、失業者増加)
●党官僚の腐敗(説明の要なしと認む)
この3点をひとことでくくるとすれば「不公平」です。
六四の惨劇ばかりが印象に残りますが、1989年の学生運動も「不公平」是正を求めた学生・知識人から政府に対する異義申し立てでした。
15年を経て内容は多少変わりましたが、「不公平感」は当時のように社会に充満しつつあります。
で、胡錦涛と江沢民の政治劇を見せたところで、それが是正される訳でもありません(むしろ女子バレーやサッカーで中国が日本を破ってくれた方が溜飲は下がるでしょう。一時的には)。
ということが一点。
もう一点は、その方の主張に説得力を持たせる記事なり資料なりが全く見つからないことです。
……これで回答になっていればいいんですけど。
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