えー速報ばかりなんですが、今度は北京でデモです。デモ速報……ていうほど速くもないですか。
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厳密には「なんちゃってデモ」ですね。例によって糞青集団、「愛国者同盟網」(愛盟)の残党が、今月20日に続いて昨日(30日)、李登輝氏(及びダライラマ)の訪日に対する抗議デモを実施しました。場所はもちろん日本大使館前です。「糞青」とは当ブログによく出て来る単語ですが、改めて説明しますと自称愛国者の反日信者です。
再高気温零下4度という寒空の下、みんな頑張ったようです。写真はこちら。
http://bbs.54man.org/dispbbs.asp?boardID=2180&ID=160545&page=1
プラカードが知的水準を反映している?そんなこと言っちゃあいけません。それよりも韓流なるものを反映してか、主要メンバーらしき連中の中に短髪にして太らせたヨン様がいることに注目です。ええ抗議文のようなものをポストに投函している彼です。
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大使館員に直接手渡せなかったのは、たぶん大使館が仕事納めを終えて正月休みに入っているからでしょう(12/29-01/03)。もう二日早ければ手渡しができてマスコミの絵にもなったのに(※1)。敵を知り己を知れば百戦危うからず。糞青どもはまず孫子を読むべきです。
それからイメージ戦略も。不細工なオッサンばかりじゃないですか(人の事言えるか>自分)。「喜び組」のような……て無理ですか。でも華が欠けると、往々にして写真なしの記事にされてしまうんですよねぇ。
ああそれから日本語の勉強も忘れずに。「ならず国家」って何?(笑)
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さてこの「愛盟」、反日サイトの総本山としてブイブイ言わせていたのですが、在来線高速化計画への日本企業参加反対のネット署名をやったため、HPを8月29日に強制閉鎖させられました(※2)。で、一時大人しくしていたのですが、秋口に今度は「青年先鋒網」という名前で別ドメインによるサイトを開設、現在に至っています。
江沢民は連中を暴れさせることで反日キャンペーンの尖兵というか、反日紅衛兵として使っていた観がありました。昨年夏の毒ガスなんたらでネット世論を盛り上げる柱になったり、新幹線導入反対のネット署名をしたり、集団売春事件で騒いだのもこの連中です。それから8月のサッカーアジアカップにおける「反日」の音頭取りも「愛盟」主導によるもの。反日の総本山たるだけの実績があります。
一方で「愛盟」は以前から尖閣諸島奪回を呼号する組織「民間保釣聯合会」(これも江沢民の反日紅衛兵でしょう)と緊密な連携を保っており、この組織が尖閣上陸を企図するたびに情報発信役を務めたりしています。今年魚釣島に上陸して逮捕されたメンバーにも、「民間保釣聯合会」とともに「愛盟」あるいは「愛盟」に近い者がいた筈です。
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ところが、江沢民が9月の四中全会で引退したことで風向きが変わりました。腹心を要職に送り込むことすら出来ない甲斐性なしの江沢民に、トウ小平のような院政を敷ける訳などありません。
糞青たちにとって不幸だったのは、再三ここで指摘していますが、後を継いだ胡錦涛政権が「強権政治・準戦時態勢」を志向し、民間の先走りを嫌う方針を打ち出したことです(※3)。
対日外交もそれまでの「反日」「歴史問題」一辺倒から、「歴史を鑑に、前向きに」の現実路線へと大きく舵が切られました。要するに「反日度」がレベルダウンしたのです。
これでは「愛盟」も逼塞するしかありません。逮捕されたりはしないものの、ネット上での署名活動はもちろん、「反日」言論にも統制が加えられ、街に出ての反日活動などはもってのほか、という強いお達しがあったのだろうと思います。
傍証として、尖閣再上陸を狙った「民間保釣聯合会」のメンバーが、浙江省・南通市で船を出そうとしていたところを地元の武装警察に急襲され、故なく拘束されたという事実があります。
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しかし、2度にわたる日中首脳会談を経て、胡錦涛政権の「反日度」がやや強まり、外交部報道官がそれまでタブーだった「靖国神社」を晴れて口にすることができるようになりました。糞青にとっても「やってはいけないこと」が少し減ったのでしょう。
日中関係が好転する兆しを見せないまま、靖国だ靖国だと言いつのる胡錦涛や温家宝も、糞青を利用しようという考えになったのかも知れません。もちろん先走りは断固許さないけれども、「何ちゃってデモ」ぐらいならよかろうと。それで12月20日、そして今回(12月30日)のデモが許可されたのだと思います。
私が連中のデモを「何ちゃって」呼ばわりするのは、政府の思惑に基づいたものではあるものの、政府の「本気度」はかなり低く、一方で糞青の動員力など数十人規模ですので、示威活動といっても多寡が知れているからです。
所詮はオママゴトなのです。もし胡錦涛が本気で官製デモを打つなら、北京の大学生を動員しバス数十台に乗せて現場へと運び、大使館を取り囲ませ、大騒ぎさせたことでしょう。米軍によるユーゴの中国大使館誤爆事件のときのように、です。
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それをせずに糞青でお茶を濁したのは、胡錦涛政権の手に有効な対日カードがないため(あってもいまは使わないとか)、「反日度」をいまなお抑制せざるを得ないからでしょう。外交部報道官が多分「A日」か「K同」所属の日本人と思われる記者の誘い水をスルーした(※4)のも同じ理由からでしょう。
●靖国解決なしに決定せず 新幹線で中国全人代副委長
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2004122801003526
「日本の新幹線を買いたくて買いたくて仕方ないのに、靖国問題があるから買えないじゃないか。お願い、何とかして」
と政府要人が言わなければいけないくらい、手詰まりのようです(この件、中国国内では報じられていません)。で、こういう状況ですから、糞青の「何ちゃってデモ」にも制約がかかるのです。……長過ぎる前フリですみません。
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●日本大使館前で抗議行動(産経新聞)
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台湾の李登輝前総統の訪日とチベット仏教の精神的指導者、ダライ・ラマ十四世の訪日計画をめぐり、北京の日本大使館前で三十日、約五十人の中国人グループが日本語で「日本はならず国家」と非難する横断幕を掲げて、日本政府と小泉純一郎首相に対する抗議文を読み上げたほか、李前総統を皮肉ったポスターを焼くなどの抗議活動を行った。(北京 野口東秀)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041231-00000008-san-int
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単に「日本を非難する横断幕を掲げて」とせず、「日本はならず国家」をそのまま記事にした記者、なかなかツボを心得ています(笑)。で、この報道を見ただけで「おやっ?」と思った人に私は賛辞を惜しみません。
ロイター電(中国語)も、「横断幕を掲げた」「李登輝氏の写真を焼いた」と報じています。
http://hk.news.yahoo.com/041230/3/1826h.html
ちなみにデモ写真スレに行ってみた方はおわかりのように、糞青が焼いた李登輝氏の写真は例のコスプレバージョンです。……って、連中が焼いたのはそれだけ?
ということで、台湾TVBSの報道を全訳します。テレビのニュースですから「ですます」調でやってみますか。
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大陸の反日団体 李前総統の写真を焼く
2004/12/30(TVBSニュース)
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日本政府による李登輝前総統へのビザ発給に抗議するため、大陸(中共)の反日団体が今日(30日)の午後、再び北京の日本大使館前へと足を運びました。参加者は日本大使館に抗議文を手渡し(訳者注:してないしてない)、さらにその場で李前総統の写真を焼いたりしましたが、当時現場を固めていた大陸の公安(警官)たちは、これに冷めた視線を送るばかりで、反応を示しませんでした。
今回の活動に参加したのは、10日前、日本政府による李前総統へのビザ発給に対して抗議活動を行った大陸の反日団体です。前回の参加者約50人(訳者注:多すぎ。これだとプレスと野次馬の人数も入っている)が、今日の午後再び日本大使館前に集まり、立法委員選挙で使われた武士のコスプレをした李前総統のポスターにその場で火をつけました。
ところが、零下5度の寒さのせいか、参加者が李前総統の写真に火をつけても、なかなか燃え上がらずにすぐ消えてしまいます。このため参加者たちはやむを得ず、写真を踏みつけることで怒りを表現していました。
「これは分裂分子李登輝の和服姿の写真だ。誰であろうと、祖国分裂を企てる奴らは絶対にまともな終わり方をしない」(参加者の一人)
今回の抗議活動を主催したのは、大陸で有名な反日団体「愛国者同盟網」です。その北京支部のメンバーである林漢京さんによれば、
「李登輝とその取り巻きが27日に訪日したけど、李登輝は日本で自分が日本人だと触れ回っている。それから台湾独立に関するコメントや売国奴的な談話も発表している」
この抗議活動の参加者たちは李前総統のポスターのほか日本の国旗も持参しており、これも燃やそうとしましたが、現場にいた公安にそれを見つけられ、日本国旗は没収されていました。
李前総統に対する日本政府のビザ発給については、大陸の外交部が抗議を行ったほか、こうした政府公認の抗議活動も、大陸の民衆の間で「反・李登輝」の声を高める上で一役買っています。
http://tw.news.yahoo.com/041230/39/1bx5s.html
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という訳で、寒さに嫌気したかのようなロイターの紋切り型報道は失格。産経は短文ながら、某巨大掲示板でいかにも好まれそうな「ならず国家」をそのまま記事にしたことで評点が高いです(「抗議しる!」の線を狙った?)。しかし、MVPはやはり公安による「日の丸没収」の瞬間を見逃さなかったTVBSでしょう。
たぶん現場で警備にあたる警官たちには「ここまでは手を出さなくていい。こういうのはNG」というデモ参加者に対する規制ガイドラインのようなものが伝達されていて、日本の国旗を燃やすことはNGだったのでしょう。この行為、以前は平然と行われていたものですから、今回それを政府が許さなかったことは非常に重要です。これも先に述べた「手詰まり」あるいは「反日」抑制を反映したものか、とにかく大事な目安だと思います。
……ここまでダラダラと書いてきて言いたいことはそれだけ?と言われそうですが、それだけなんです。日の丸を焼かせなかったのは、そのくらい注目すべき重大事だと、私は思うんですけどねえ。
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【※1】中国ではデモは申請して認可されなければいけません。日本大使館が正月休みに入ったタイミングにわざわざ合わせて中国当局が許可を出した、というのは……やっぱり考えすぎでしょうね。糞青も「打倒小日本!」「支持!」「頂!」「頂!」「狂頂!」なんてことばかりやっていないで、地道に情報集めたり日本語勉強すればいいのにと思います。
【※2】当ブログ「反日サイトの総本山を中国当局が閉鎖!」(2004/09/01)。「愛国者同盟網」HPの強制閉鎖、私はいまでも江沢民の敗北を示す出来事のひとつと考えていますが……牽強付会ですか、そうですか。でも「民間保釣聯合会」とかいくつかの行動的な反日サイトも、そのときに足並みを揃えて一定期間の論壇封鎖を喰らってるんですよ。知識人への言論統制に先立って大物の劉暁波氏を一時拘束したように、当局から糞青に対する「絶縁宣言」(これからは容赦しない)だと私は思うんですが……まあいいです。
【※3】当ブログ「新華網の『新防衛大綱特集』が示すもの」(2004/12/13)。そうですこれを書いてからまだ20日も経っていないんです。李登輝氏の来日で王毅の「戦争メーカー」発言、それに新華社が署名論評を出したりして盛り上がった観はありますけど、基調は「抗議&事態の推移を見守る」ですから、胡錦涛政権の「反日度」は多少ブレながらもまだ一線は超えていように思います。江沢民時代に比べればヌルいヌルい。という訳で李登輝氏の再来日、ダライラマ来日、そして李登輝・ダライラマ会談をやった上で李登輝氏の靖国参拝。……と「桜の季節」にイベントを重ねて胡錦涛をマジギレさせて、そのあと武士の情けということで、小泉首相の靖国参拝、これでトドメを刺して欲しいところです。
【※4】当ブログ「御注進の実例――邪推ですよね?」(2004/12/29)。
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