D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Systematic Chaos('07) / Dream Theater

2007-06-09 20:21:45 | dreamtheater-connection
最強の新作が登場・・Dream Theaterは、更なる進化を遂げた。
Atlanticから新レーベルRoadrunnerへ移籍後第1弾となる、通算9作目のフルアルバム。
プログレ=コンセプチュアルという呪縛から開放され、力強くそして自由な発想で貫かれた作品である。

1.In The Presence of Enemies-Partâ… 
まず最初に出来たという実に長い曲の前半。
余りの長さのため、最終的には分割しアルバムの最初と最後に配されたと聞く。
彼らの手法は、ある意味擬似オペラとも言えるかもしれない。
ベースとなる題材の姿を徐々に膨らませ、1つのドラマを曲中で完結させる中、彼らはそれぞれの役割を演じつつ、最終局面へ向かい全速力で疾走を続ける。

2.Forsaken
今回のテーマは“パワー”とのこと。
作者ペトルーチの言によれば、ダークな世界を想定するのがパワーを表現し易いらしい。
詩の主題はヴァンパイアに魅入られた男の滅してゆく様というファンタジーの世界。
ラブリエのセンテンス区切りで魅せるムードの艶かしさを賞味あれ。


【James LaBrie(vo)】

3.Constant Motion
ワーカホリックなポートノイの性質、あるいは性癖を音世界で再現したという曲。
自身もラップ風ヴォーカルで重要な役どころを担っている。
シークエンシャルでヘヴィーなリフ、あるいは後半での中近東風展開には、ある意味反戦の主張も込められていると言えよう。


【Mike Portnoy(d,vo)】

4.The Dark Eternal Night
ペトルーチが中心となり紡がれる最強のリフレイン。
ダークネスと邪悪さに満ちた、DT史上最強のヘヴィー・チューンかも知れない。
歌詞中に現れる“Chaos”から、叛意となる“Systematic”が誘導され、本作の位置付けがなされたと聞く。
もはや彼らは前人未到の域に達してしまったと言えよう・・恐ろしい程のパワーに満ちている。


【John Petrucci(g,vo)】

5.Repentance
連作となるBill Wilsonのアルコール依存症を克服する“12のステップ”より#8後悔&#9回復に該当するパートを作品化。
ポートノイ自身としても自身のセラピーを兼ねた作曲プロセスであったという。
多数の有名ミュージシャンに呼びかけ、匿名で得られた懺悔をSEにエディットしBGVとして構成・・最後はモジュレートヴォイスで自身も懺悔を告白した。
バックで流れるマイアングの暴虐ベースが、逆に厳粛なムードを喚起させているのかも知れない。


【John Myung(b)】

6.Prophets of War
今回最もポップな曲といえよう。
アレンジの過程で過剰に湧き上がるポートノイのアイデアは留まるところを知らない。
まるでダークネス、クイーン紛いのコーラスワークや、ファンを募り収録したパワーヴォイスを加え、興味深い効果を生むことに結果成功した。

7.The Ministry of Lost Souls
パワーバラード・・実にシンフォニックかつ荘厳な響きである。
今回ペトルーチは不得手なアコギを多用しており、この曲ではアレンジ上でもアコギのサウンドが重要な位置を占めている。
後半一転してヘヴィーとなる展開・・ルデス&ペトルーチの超高速ユニゾンがひとつのクライマックスであろう。


【Jordan Rudess(kb)】

8.In The Presence of Enemies-Partâ…¡
静かに沸き起こるような流れによるリプライズといった感もある。
#1のテーマへ還って行くことでメビウスの輪が完結される。
野火が走る如く瞬時にボルテージを上げる様は、まさに彼らなりのパワーの表現として、一つの到達点に達したといえよう。


湧き上がる感情の起伏の表出というところまで彼らの手管は進化しており、既に向かうところ敵無し。
・・最強にプログレッシヴである。

なお、邦盤Special Edition付属の制作過程を収録したDVDは必見である。
本編を聴く前にまずご覧あれ!



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コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Tommy)
2007-06-18 07:29:14
DVDは、CD聴く前に観るべきですね。

私もそう思います。

しかし、このアルバム賛否両論ですね…。
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Tommyさん! (elmar35)
2007-06-18 22:18:30
こんばんわ。
数少ないDTの理解者が居てくれて心強いです。(笑)
シングル向けが皆無だし、ジャケットのヴィジュアルがダメなのが、おそらく評価を下げてる原因じゃないでしょうかね。
説明が必要なのも、ちと情けないですがネ。(涙)
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こんばんは! (sy_rock1009)
2007-07-24 23:57:00
トラックバックありがとうございました。
こちらからもさせていただきます。

微妙な印象も少しはあるけど、全体的にはさすがドリーム・シアターという感じで、良いアルバムだと思いますね。
「The Ministry of Lost Souls」の後半は確かにカッコイイですもんね。
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sy rock1009様 (elmar35)
2007-07-25 08:21:53
こちらこそありがとうございます。(笑)
皆さん、口を揃えたように仰る印象は“微妙”なんですよね。
分るんだけど、分るぶん辛い!(涙)
でも、私的には前作よりもポイントは高いのですよ。
メイキングDVDも機会があれば是非ご覧下さい。
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