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2010.03.27
家で辞書を引いてくる《予習》は単語を覚える役に立たない
外国語の勉強で「わからない単語」に出会ったら辞書を引く、なんてことは当たり前で疑う余地もないと思うだろう。
けれど単語を覚える(語彙習得)という点からすれば、「わからない単語」に出会ったら辞書を引く、というのは,実はあまり役に立たない。
辞書を引けば、簡単に「日本語での意味」がわかる。
しかし、簡単に「わかってしまった」単語は、定着しないのだ。
そして、かなり多くの学習者が、「辞書は日本語訳だけを調べるツール」としてしか認識していない。
単語を覚えるなら、初見の段階では、もっとアタマに負荷をかけることをした方が良い。いわゆる「深い処理」という奴だ。
そして、その後の復習は、高速で思い出すのが効果的だ。フラッシュ・カードはこのために用いる。
復習の間隔は、次第に開けていくといい。次の日、一週間後、一ヶ月後……といった風にだ。これをspaced repetition、あるいはspaced rehearsal, expanding rehearsal, graduated intervals, repetition spacing, repetition scheduling, spaced retrieval and expanded retrieval などと言う(http://en.wikipedia.org/wiki/Spaced_repetition)。
さて、問題は、初見の段階でやるといい「深い処理」の方である。
効果の高い方法は、それだけ負荷も高い。
一言で言えば、めんどうくさい。
当たり前だが、簡単にすませる方法よりも時間がかかる。
だが、本当なら、かけた時間×定着度、という尺度で「時間がかかる」かどうかは判断すべきだろう。さっさと「覚えた気」になっても、身に付いてないなら、節約した時間の意味は無いからだ。
できるだけ「めんどうくさい」やり方から、いくつか並べてみる。
(1)巨大な単語カードをつくる
巨大といっても,畳1枚分も必要ない。
B5かA4サイズのルーズリーフで十分だ。
ルーズリーフの表に、バカみたいなデカイ字で、出会ったばかりの単語(ほかに熟語や慣用句などの表現でも同じ手が使える)のスペルを書く。表はこれだけでいい。
裏には、その単語について、あらゆる情報を書く、描く。
辞書の情報をできるだけ、写し取る。これまで「捨てて来た」辞書の情報がいかに多いかが分かり、しかも記憶の定着にも役立つ。
発音とアクセントは必須。
意味は日本語でいい。慣れない言語だと、頭の中の辞書=メンタル・レキシコンは母語のネットワークを頼りに成長するからだ。
品詞もわざわざ書く。
例文ももちろん書く(これはできたら、当該の単語の部分は( )であけておくといい)
メンタル・レキシコンを成長させるために、訳語(日本語の意味)から、連想するコトバ、類義語を日本語で良いから書いておく。
自己関与が高いほど、単語の定着度は高い。辞書から例文を選んだら、その主語/目的語を自分に置き換えて、例文を改変して書く。
辞書の絵、ピクチャー・ディクショナリの絵、ネットで探した写真なども、カードの裏に描く/貼る。絵のうまい/ヘタにかかわらず、自分で絵を描くと、ほぼ一発で、その単語は覚えられる。当然、時間はかかるし、めんどうだが、そこがよい。
カードの形態なので、復習時は、フラッシュ・カードとして使える。
カードを見て、一瞬で日本語の意味を声に出して言う。
間違えたカードは、別に集めておいて、復習する。箱を《昨日》《先週》《先月》と用意しておくと、spaced repetitionがやりやすい。
(2)自分でテストをつくる
お仕着せのテストよりも、自分で作った方が自己関与が高い分、効果も高い。
が、もちろん時間は余計にかかるし、めんどうくさい。
せっかく辞書があるのだから、辞書の例文をつかって、覚えたい単語を虫食いにして。写す。
これで穴埋めテストができあがる。
さらに、辞書の例文をつかって、逆に覚えたい単語、熟語・慣用句表現だけを残して、他を虫食いにしたリバース・バージョンもつくる。
虫食いを埋める形で、自分のことについて書く。これも自己関与が高い分、効果も高い。
英作文の軽いトレーニングにもなる。
同じ例文をテスト・バージョンとリバース・バージョンの2回、使い回せるのがミソである。
(3)作った自作テストを他人と交換して解く
どういう訳か、自作テストを自分で解くよりも効果が高いことが分かっている。
この程度の人間関係でもあった方が、パフォーマンスが高い。
かように、ヒトの認知機構は、社会的/対人的な関係がらみの情報に、最適化されているらしい。
(関連記事)
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……英語教師のネタ本だが、日本語では類書が無い。メソッドが山盛りつまっていて、強力にお勧めできる。著者は語彙習得研究で博士号をとった英語の先生。真っ当な第二言語習得理論と現場の知恵の融合。
けれど単語を覚える(語彙習得)という点からすれば、「わからない単語」に出会ったら辞書を引く、というのは,実はあまり役に立たない。
辞書を引けば、簡単に「日本語での意味」がわかる。
しかし、簡単に「わかってしまった」単語は、定着しないのだ。
そして、かなり多くの学習者が、「辞書は日本語訳だけを調べるツール」としてしか認識していない。
単語を覚えるなら、初見の段階では、もっとアタマに負荷をかけることをした方が良い。いわゆる「深い処理」という奴だ。
そして、その後の復習は、高速で思い出すのが効果的だ。フラッシュ・カードはこのために用いる。
復習の間隔は、次第に開けていくといい。次の日、一週間後、一ヶ月後……といった風にだ。これをspaced repetition、あるいはspaced rehearsal, expanding rehearsal, graduated intervals, repetition spacing, repetition scheduling, spaced retrieval and expanded retrieval などと言う(http://en.wikipedia.org/wiki/Spaced_repetition)。
さて、問題は、初見の段階でやるといい「深い処理」の方である。
効果の高い方法は、それだけ負荷も高い。
一言で言えば、めんどうくさい。
当たり前だが、簡単にすませる方法よりも時間がかかる。
だが、本当なら、かけた時間×定着度、という尺度で「時間がかかる」かどうかは判断すべきだろう。さっさと「覚えた気」になっても、身に付いてないなら、節約した時間の意味は無いからだ。
できるだけ「めんどうくさい」やり方から、いくつか並べてみる。
(1)巨大な単語カードをつくる
巨大といっても,畳1枚分も必要ない。
B5かA4サイズのルーズリーフで十分だ。
ルーズリーフの表に、バカみたいなデカイ字で、出会ったばかりの単語(ほかに熟語や慣用句などの表現でも同じ手が使える)のスペルを書く。表はこれだけでいい。
裏には、その単語について、あらゆる情報を書く、描く。
辞書の情報をできるだけ、写し取る。これまで「捨てて来た」辞書の情報がいかに多いかが分かり、しかも記憶の定着にも役立つ。
発音とアクセントは必須。
意味は日本語でいい。慣れない言語だと、頭の中の辞書=メンタル・レキシコンは母語のネットワークを頼りに成長するからだ。
品詞もわざわざ書く。
例文ももちろん書く(これはできたら、当該の単語の部分は( )であけておくといい)
メンタル・レキシコンを成長させるために、訳語(日本語の意味)から、連想するコトバ、類義語を日本語で良いから書いておく。
自己関与が高いほど、単語の定着度は高い。辞書から例文を選んだら、その主語/目的語を自分に置き換えて、例文を改変して書く。
辞書の絵、ピクチャー・ディクショナリの絵、ネットで探した写真なども、カードの裏に描く/貼る。絵のうまい/ヘタにかかわらず、自分で絵を描くと、ほぼ一発で、その単語は覚えられる。当然、時間はかかるし、めんどうだが、そこがよい。
カードの形態なので、復習時は、フラッシュ・カードとして使える。
カードを見て、一瞬で日本語の意味を声に出して言う。
間違えたカードは、別に集めておいて、復習する。箱を《昨日》《先週》《先月》と用意しておくと、spaced repetitionがやりやすい。
(2)自分でテストをつくる
お仕着せのテストよりも、自分で作った方が自己関与が高い分、効果も高い。
が、もちろん時間は余計にかかるし、めんどうくさい。
せっかく辞書があるのだから、辞書の例文をつかって、覚えたい単語を虫食いにして。写す。
これで穴埋めテストができあがる。
さらに、辞書の例文をつかって、逆に覚えたい単語、熟語・慣用句表現だけを残して、他を虫食いにしたリバース・バージョンもつくる。
虫食いを埋める形で、自分のことについて書く。これも自己関与が高い分、効果も高い。
英作文の軽いトレーニングにもなる。
同じ例文をテスト・バージョンとリバース・バージョンの2回、使い回せるのがミソである。
(3)作った自作テストを他人と交換して解く
どういう訳か、自作テストを自分で解くよりも効果が高いことが分かっている。
この程度の人間関係でもあった方が、パフォーマンスが高い。
かように、ヒトの認知機構は、社会的/対人的な関係がらみの情報に、最適化されているらしい。
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- 家で辞書を引いてくる《予習》は単語を覚える役に立たない
やす@英検単語テスト
自分も家で辞書を引いてくるという作業を無駄だと思ってきました。辞書引かない⇒単語帳で先に覚える⇒長文で出てくる⇒より深く覚えるといった流れでやってきました。それが一番効率的だと思ってます。
他の記事なども参考にしてください。
英語学習についての意見
http://1kyuu.seesaa.net/article/137442303.html
どれぐらいのスピードで人は英単語を覚えることができるのか
http://1kyuu.seesaa.net/article/133884624.html
http://yasu80.boy.jp/en/
英検単語テスト。20,000単語以上を網羅した4択英単語テスト。無料です。
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http://1kyuu.seesaa.net/article/137442303.html
どれぐらいのスピードで人は英単語を覚えることができるのか
http://1kyuu.seesaa.net/article/133884624.html
http://yasu80.boy.jp/en/
英検単語テスト。20,000単語以上を網羅した4択英単語テスト。無料です。
辞書では、意味だけでなく、
語感や語源も見た方がいいですね。
そもそも、日本語の単語と英語の単語が、一対一の対応を取るわけがないので。
語感や語源も見た方がいいですね。
そもそも、日本語の単語と英語の単語が、一対一の対応を取るわけがないので。
2010/03/28 Sun 16:04 URL [ Edit ]
DoSan
昔、単語に対応する絵をセッセと書いていましたが、翌日にほとんど忘れていました。1月後には、絵を描いた事実も忘れました。先日それを見つけて、ビックリした事は覚えています。自分で語順訂正問題も作ったことがありますが、「作るの面倒だったなあ」という印象だけしか残っていません。個人差が大きいのだと思いますよ。
2010/03/30 Tue 23:42 URL [ Edit ]
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ここなどにおいて、議論が盛り上がっているので自分も意見を書きます。自分が推奨する授業は、対話的な授業です。そして大学入試の英語テストを英検やTOEICやTOEFLみたいなのに変えます。
英検1級絶対合格ブログ! 2010/03/29 Mon 00:14
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