2007/10/30
10:41:53
2007年10月28日 朝刊
◇集中対策案、学校でも判断力育成
政府が十一月九日のIT戦略本部(本部長・福田康夫首相)で決定する「有害サイト集中対策」案の全容が判明した。出会い系サイトを通じた児童買春が後を絶たない実態を重視し、「出会い系サイト規制法」(二〇〇三年施行)の改正で未成年者利用の防止を徹底する方針を明記。学習指導要領を改定し、有害サイトへの適切な判断力を育成する「情報モラル教育」を推進することも盛り込んだ。
集中対策案は、闇サイトを通じて知り合った男三人による名古屋市千種区の女性拉致・殺害や、自殺サイトを舞台にした嘱託殺人などの事件続発を踏まえ、関係各省でつくる「IT安心会議」が策定した。首相が掲げる「国民の安全・安心を重視する政治への転換」を印象付けたい狙いもある。
ただ憲法が保障する表現の自由との兼ね合いから、出会い系を除く有害サイトの法規制は引き続き見送られ、実効性の確保が課題になりそうだ。
現行の出会い系サイト規制法も未成年者の利用を禁じ、事業者に年齢確認を義務付けている。しかし、対策案は少女を中心に「犯罪被害者が毎年千人以上いる」と指摘し、本年度中に法改正の結論を得るとした。運転免許証、健康保険証のコピーの送付や画像の送信など年齢確認方法の厳格化を求める方向だ。
出会い系サイト被害者の96%以上が携帯電話からのアクセスだとして、携帯電話でのサイト閲覧を制限するフィルタリングの普及促進も柱に据えている。このほか関係機関による「ネット安全・安心全国協議会」設置や、警察によるサイト監視「サイバーパトロール」の民間委託、特定電子メール送信適正化法改正による迷惑メール規制強化を列挙。
闇サイト対策は「サイバーパトロールや、(一般からの通報を受け付ける)インターネット・ホットラインセンターの体制強化を図る」との内容にとどまった。
【対策案のポイント】
▼出会い系サイト規制法を改正し未成年者利用の防止を徹底
▼有害サイトへの適切な判断力を育成するため、学習指導要領を改定し情報モラル教育を推進
▼出会い系以外の有害サイトの法規制は見送り
▼有害サイト閲覧を制限するフィルタリングの普及促進
▼関係機関による「ネット安全・安心全国協議会」設置。警察のサイバーパトロールを民間委託
▼出会い系サイト規制法 インターネットの出会い系サイトを利用して18歳未満の未成年者に性交渉を持ち掛けることや、未成年者がサイト掲示板に相手を募る書き込みをすることを禁じる法律。年齢、性別を問わず一律100万円以下の罰金。事業者には未成年者の利用禁止の明示や未成年者でないことの確認を求めている。携帯電話の普及で出会い系サイトをきっかけにした児童買春などが急増したのを受け被害防止を目的に2003年9月に施行された。
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