非電化
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非電化工房は友人から紹介されてかなり以前から興味を持っていました。何故か私の住んでる町からは遠くにあると思っていました。今年の1月に<自然の摂理から環境を考える>の記事にちょっと触れられていて、栃木県の那須にあることを知りました。早速友人を誘って地震が起こる直前の3月6日に非電化工房の見学会行って参りました。見学会参加者は今回は我々を含めて17名でした。
非電化工房がどのくらい当方の理想に近いかこの目で確認したいと思っていました。・・人力の利用と非電化はかなり共通点があると言えましょう・・。脱原発に有効な代替かどうかはかなり懐疑的でしたが、(原発に代替は全く必要ないのですが、代替のアピールとして有効かどうか・・と言うことです。)それも確認したいと考えていました。期待があまりなかった・・と言えば嘘になりますが、冷めたニュートラルな目で確認したいと考えておりました。
先ず、電気でなければ無理だ・・・と考えられる冷蔵庫さえ非電化にしたという事に大きな関心がありました。・・・私の考えが及んだのは、断熱膨張の利用かな・・・と言う事でしたが、実際は想像の及ばなかった放射冷却の利用でした。年間を通して晴れの日が多いモンゴル辺りでは非電化冷蔵庫で、4℃くらいまで冷えるというから驚きです。放射冷却でそこまで冷やせる事とは思いもしませんでした。
「非電化テーマパーク」は、まだ半分も完成していませんでしたが、副代表の藤村研介さんの案内で非電化工房の敷地内を一通り見学しました。その後、非電化工房代表の、藤村靖之氏(日本を代表する発明家の一人で非電化工房のアイディアから実現まで全てを仕切ってきたと考えられる人物)のお話があり、その後交流会で、自己紹介等がありました。見学に来られた方々はそれぞれ色々な目的があって、みんなそれぞれ多岐にわたって話していました。私と一緒に行った2人の友の1人(以前非電化工房の存在を私に教えてくれた人物)は大いに感化されたようです。もう一人のエンジニアの友は感化された部分もありましたが、ちょっと宗教じみたものも感じたとの事です(笑)。・・・電気漬けの生活に慣れてしまった現代人からは、非電化工房はこのように見られる部分もあるのかも知れません。
家に帰ってから、非電化工房で買ってきた藤村靖之氏の著書(辻信一氏と共著の「テクテクノロジー革命」)を読みました。槌田敦さんの本のように非常に興味深く面白く読めました。藤村氏も脱成長、反グローバル化など、私と同じ主義思想の持ち主であることを確認しました。一気に読み終えた3月10日に、また近々訪問して非電化製品も購入して来よう!記事にもしよう!(3月17日付けの記事にしようと考えていました。)・・・と考えているうちに、原発震災が起こってしまいました。
藤村氏は反原発派ですし(・・後日お伺いしたお話では、反原発運動40年とのことです。・・だから『非電化』と言うことにも納得出来ます。) 原子力や放射能にも非常に詳しい方です。海外にも頻繁に行き、海外に在住していた期間も長い方なので、海外に避難されてしまっただろうか・・・もう非電化工房見学会やセミナーなどは当分お休みだろうか・・と想像していました。・・・震災から何日も経って、少し落ち着いてから非電化工房のHPを開いてみたら、予想に反して、非電化工房は相変わらずやっていました。(流石に3月2回目の見学会[3月21日]は中止したようですが、)原発震災後初の見学会が4月3日にあったので、早速また行って原発事故のお話や非電化のお話を聞き、書物や非電化製品を購入してきました。
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藤村氏は、グローバリズムと電脳化に対するアンチテーゼとして、ローカル化と非電化を掲げています。だからといって悲壮感を持たずに楽しみながら非電化する事によって、脱成長も目指しているようです。
藤村氏は
お金を持っている人しか実現可能とは言えない、お金とエネルギーの大量消費による豊かさの実現
に対し
誰でも実現可能なお金もエネルギーの消費量も小さい非電化による豊かさの実現
を提示して、どちらがいいかみんなに選択して貰おう・・・と言う方法論を示しています。つまり強制ではない方法です。前者はお金を持っていないと得られない豊かさ、後者は、お金を持っていなくても得られる豊かさと言う事です。方法論としては上手い方法だと思いますが、実際には、成長の限界を超えてしまった現在、前者の選択、即ちお金とエネルギーの大量消費による豊かさの実現 は不可能でしょう。
つまり好むと好まざるとに限らず、お金もエネルギーもほとんど消費しない方法による豊かさの実現しか選択肢はない筈です。・・・実際、藤村氏も、そこは明らかにわかった上で、人々に強制ではなく理性、意志で選択して貰う・・・と言う方法論を取るためにこのような選択肢を用意したのだと考えます。
非電化の理念は、非電化製品の発明、供給だけに留まらない事・・・もっと大きな脱成長も視野に入れた壮大な理念があることがわかり嬉しく思います。脱原発にも大いに貢献する理念です。
非電化の発想は社会構造のパラダイムシフトに、早期の実現可能性を示し、大きな役割を担っていると考えます。
オール電化住宅やら深夜電力利用の温水器など(・・発熱に電気を使う事は非常に非能率なエネルギーの使い方です。)非効率な電気の使い方は、全て原発を利用する為、原発に大きく依存させ、原発漬けにして脱原発出来なくする電力会社などの原発推進派の策略です。冷やされたり暖められたりしている飲料水の自動販売機、テレビや電気の点け放し・・・など、電力の浪費の為に電気の需要が大きく見積もられ、原発を止めない口実にされているのです。なんと愚かな事でしょう。原発をしてまで電気を使う価値があるものなんてありません。脱原発の為にも非電化製品は有効な代替の提示になると確信致しました。・・・私は使用を減らすことで対応できると考えていますが、非電化の代替のほうがもっと早く沢山の賛同を得られるのではないかと思いました。
発電量確保の為には原発が必要か?・・・などと言う愚か過ぎる議論は止めて、直ちに原発を全廃し、電力を利用するものはAO機器など必要最小限とし、他は非電化製品の利用を考えるべきでしょう。それこそが賢い科学技術の利用法と言うものです。
今回の原発震災は多くの人々の生活を大きく変えてしまいました。当方の生活も大転換の時期を迎えているように感じています。永続可能な社会への大転換のための具体的な大きな示唆が非電化工房にありました。
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