雑草の言葉

限界を共通認識出来たときが定常社会への移行のチャンス

2011/02/17
Sustainability 10

現代社会では、「人間には無限の可能性がある」のような価値観が人類の永遠の真理のように言われています。「やってやれないことはない。」「やる気になれば何でも出来る。」のような表現が好まれ、それがさも素晴らしいことのように言われています。それに対し「人間には限界がある」という表現はネガティヴなものとして受け止められる場合が多いようです。
「人間には無限の可能性がある」のような価値観は人類が古来ずっと持っていたと漠然と考えられているかも知れませんが、決して人類が昔より持っていた普遍の価値観ではないでしょう。それどころか、この膨張志向の社会が産み出した徒花とも言えるのではないでしょうか?
限界を乗り越える達成感のみが人間の幸福であるとすれば、そして限界を乗り越えられないことを敗北と考えて苦痛であるとすれば、人間はなんて悲しい存在でしょう。限界が存在するのは当然ですし、それで人間が不幸になるわけではありません。限りある範囲で工夫してやっていく事のほうが、やり甲斐も感じるのではないでしょうか?
限界をしっかりわきまえていない人間が今日の社会問題、環境問題を産み出したとも言えましょう。
これまで人間は数々の限界を乗り越えて上手くやってきたから、これからも十分にやっていける・・・といった楽観論も蔓延っていますが、それは認識ミスです。限界を乗り越えたのではなく、単にまだ限界に達していなかっただけです。今まで工業も経済も人口も膨張出来たのは、限界を超えて来たからではなく、まだ人間活動の規模が地球の許容量に比べて小さかったからに過ぎません。

以下ここの記事【脱成長元年】に戴いたコメントです。(HN ピノコさんより・・)

「もう限界が来ていることは誰しも感覚的には知っていると思います。
でも、洗脳された旧い観念のつまった頭では、それに変わる可能性が見つからず捨象してしまうしかないのだと思います。だから、不安ばかりが募っていく。女が子どもを産まなくなった(産めなくなった)のも、その表れだと思います。」

現代の人々誰しもが、限界に達していると知っているとすれば、もう転換の期が熟したと言えましょう。・・・即ち、膨張を止めると言う人類史上初の大転換の時期を迎える準備が出来たということです。「大転換」と表現致しましたのは、このパラダイムシフトは、農業の発見や産業革命と並ぶ、若しくはそれらを凌ぐ大きな転換を意味するからです。
そう、現在多くの人々が、地球に対する人間活動の容量が限界に達したことを感じ取っているのです。「経済成長、限りない成長」なんて連呼しているのは、金融資本家や財閥、その傀儡である政治家達でしょう。・・・大衆もそのように叫ばれると、現状を脱したいという欲求から、経済成長政策に同調してしまう人は沢山います。「洗脳された旧い観念のつまった頭」とは膨張社会に慣れ切って、これからもまだまだ経済成長が可能だと考えているお目出度い人達の事でしょう。彼等は、もう既に限界に達している地球に気づかないのか、気づいていても、自分達の築いてきたものが崩れるのが嫌で、ずるずると膨張路線を引きずっている状態です。つまり限界が見えない愚か者、若しくは見えても見えない振りをして突き進もうとするドンキホーテが社会を動かして、大衆はそれにかき乱されて、社会は「成長」という名の崩壊路線をひた走っているのです。
困ったことに、社会を動かしている人々の殆どが経済成長フェティシズムであるということです。それは、経済成長が自分達にとって都合がいいからでしょう。経済成長を煽ることは更なる金儲けの手段なのです。投資家なんてまさに経済成長の落とし子と言えましょう。彼らは経済成長を煽って、無理に経済成長をしようと画策しています。その為に政府を操って公共事業だとか補助金だとかと税金を湯水の如く投入させています。その手法は、外見上は違っていても、使い古された方法であり、見せかけの経済成長を達成し、その結果国家を借金漬けにし、環境も社会も破壊しているのです。挙げ句の果てにそれでも成長出来なくなれば、株式などを売り抜けた後に、いきなり不況を作り出し、恐慌にして経済を一端ダウンさせてリセットし直して、そこからまた成長の階段を上り始めるというとんでもない事までやっています。・・そのような資本家、財閥などの金持ちの横暴が世界中で蔓延ってきました。そんな強欲な金融資本家達は、経済成長志向時代という 歴史の中の特異な時代=狂気の時代 の生き残りと考えていいのではないでしょうか? ・

努力すれば努力するほど大崩壊に近づいていく経済成長路線という名の膨張路線にずるずるしがみつく事はもう止めるべきでしょう。もう降りる時期です。そして、限界から目をそらして、逆効果になる対策=経済刺激策・・・をすることは、現実逃避ですし、状況を更に悪化させるばかりです。薬漬けのドーピング社会に、もっと有毒なドーピングを施しているだけです。そんな逆効果の対策は早くお仕舞いにして、地球の容量と現状をしっかり見極め、限界を認識すべきでしょう。そこから永続可能な社会への移行が始まるのです。
問題は…「出来るか否か」ではありません。「間に合うか否か」です。
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Comments 10

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ぴのこ

雑草Zさん、ありがとうございますe-266

>困ったことに、社会を動かしている人々の殆どが経済成長フェティシズムであるということです。
>彼らは経済成長を煽って、無理に経済成長をしようと画策しています。その為に政府を操って公共事業だとか補助金だとかと税金を湯水の如く投入させています。

本当に、現在社会を動かしている人たちに可能性はないですよね。。。
後は、私たちが本当に何を求めているのか?何を実現したいのか?をみんなではっきりさせて、みんなで実現に導く行動をしていくことe-420それしか道はないんだろうなぁと思いますe-53

私は、これからは、みんなが本当に心から笑い合える社会になったらいいなぁと思いますv-354お互いに信頼でき、安心でき、みんなに役割があり、どんなこともみんなの中で解決し、実現できる場をつくっていきたいv-344

雑草Zは、どんな社会にしたいですかv-278

2011/02/17 (Thu) 22:32

guyver1092

間に合うか

 南十字星通信によるとロイター電が2028年(わずか17年後!)には世界市場に出回るアブラの量は現在よりも一日につき約3万バレル減り、7万バレルほどに減ってしまうだろうと伝えているそうです。すぐさま対策を打つべきでしょうが・・・
 洗脳された人間は考えることを放棄していますので、啓蒙の方法がない有様です。短期的な景気の話をしていてもどこかの『惑星開発委員会』のメンバーに経済を良くするためにと言われるとどんなバカげたことでもご無理ごもっともと、経済を悪化させることを主張します。ちょっと突っ込んで話したところ、経済のことをいう割には、需要曲線供給曲線のグラフと消費者の所得に関連があることを理解していませんでした。

2011/02/18 (Fri) 22:51

雑草Z

期待半分

    ぴのこさん

>もう限界が来ていることは誰しも感覚的には知っていると思います。

このコメントを読んだ時、遠くない将来に、人類は成長経済を止める共通合意に達する事が出来るかも知れないと感じました。
勿論この『限界』とは今の景気対策の方法が限界であり、新たなニューディール政策のような景気回復方法がある・・・という意味ではありませんね。(そのような意味で言っている人はごまんといますがお門違いです。)
「地球全体で成長の限界にある」という認識ですよね?
その限界を感知している人はまだまだ少ないように思いますが、ぴのこさんがそう感じられたという事は、少なくともぴのこさんの周りの方々は誰しもそう感じているという事でしょう。・・きっとぴのこさんの周りの方々はしっかりした洞察力のある方々なのでしょう。・・・でも今はそれは特殊な環境かも知れませんね。非常に恵まれた環境と言えましょう。本当の意味で時代に必要な方向を知っていると言えましょう。
 私自身は結構楽観主義ですがそれでも脱経済成長が間に合うかという事に関しては(楽観的に考えても)かなりシビアな見方をしています。それでも、

>限界が来ていることは誰しも感覚的には知っている

というコメントにはインパクトがあり、この記事を書くきっかけになりました。有難う御座います。さらに続くコメント、

>洗脳された旧い観念のつまった頭では、それに変わる可能性が見つからず捨象してしまうしかないのだと思います。

は的を得た鋭い洞察だと感じました。こんな事で現代に経済成長フェティシズムが蔓延っているのでしょうね。

>雑草Zは、どんな社会にしたいですか?

膨張社会が止まって、永続可能限界レベル以下まで下がる事が希望です。その後の価値観に関してはまた違う次元の話かと思います。

  + +++ +++++ +++++++ +++++ +++ +

コメントを使わせて戴いて、その旨ご連絡せずにすみません。<自然の摂理から環境を考える>にTBしようかとも思いましたが、ぴのこさんが書かれている記事を見つけられませんでした。そちらで、ぴのこさんはどのグループに所属されているのでしょうか?

2011/02/19 (Sat) 12:27

雑草Z

Re:間に合うか

    guyver1092さん

 本文の締めに

>問題は…~…「間に合うか否か」です。

と書かせて戴きましたが、正確に書けば

「どの程度間に合うか」「文明崩壊をどの程度で食い止められるか」という事ですね。ここのサイトで何度か論じている事で、上のコメントのお返事にも使わせて戴きました。
guyver1092さんと共通認識の部分ですね。違いがあるとすれば、程度問題でしょう。どちらがより悲観的か・・・いい方を変えればよりシビアな現実を直視しているかという事でしょうか(笑)

>洗脳された人間は考えることを放棄していますので、啓蒙の方法がない有様です。

景気の事ばかり考えてそのものの良し悪しに関しては放棄してしまっているという事ですね。忙し過ぎるという事もありましょうが、成長時代の奴隷という事になりましょう。この崩壊にひた走る社会構造に対してはシビアな目が必要ですね。

   +  +++    +++++    +++  +

『惑星開発委員会』のメンバーとは、比喩ではなくて面識のある方々なのですか?・・どう云う実態なのでしょうか?

2011/02/19 (Sat) 12:55

guyver1092

Re:『惑星開発委員会』

 以前にも書きましたが、『惑星開発委員会』とは小説『百億の昼と千億の夜』に出てくる敵の組織で、目的はヘリオ・セス・ベータ型開発という、宇宙を破壊し、消滅させるために、文明に滅亡の因子を加えて文明を発達させる開発を行った存在です。この結果、宇宙のすべての文明は滅び、宇宙規模の熱的死が起こり、宇宙が破壊されるという結末に至ります。
 この場合は比喩の表現で、資本家とか政治家を指します。
彼らの言うとおりに物事が進むと、文明崩壊は確実と考えていますので。

2011/02/20 (Sun) 23:07

ぴのこ

雑草Zさん
コメント使っていただけてとっても嬉しいですi-237
ありがとうございますi-189

記事に引用いただいたコメントの背後にあるのは、現代の若者の意識潮流がすでに変わっていることから書かせていただきました。
例えば、無駄遣いに対する「もったない><」という意識が復活してきていると思います。それも、若ければ若いほど。
そして、お金じゃないものに価値を感じる人も増えています。こちらも、若ければ若いほど。

この若者の持つ感覚こそが次代の社会の主流になるんじゃないかと思います。その意味で脱成長を実現できる可能性が“ある”と思っていますi-189

そして、実現していくには、国民のそれに対する危機感の喚起と同時に、今の経済の価値指標であるお金以上の充足のカタチを見つけて提示していく必要があると思いますi-179

何事も、新しい可能性の提示なしに、古いものを捨てることはできませんから、可能性を感じる新しい可能性・ものを生み出せてこそ、みんながついてくる=世の中を変えられると思っていますi-80
私の実現したい社会というのは、その新しい可能性の部分ですi-87

PS
自然の摂理ブログは、みんなでやっているので誰の記事などはみんなあまり気にしていませんので、TBはご自由に貼って下さいねi-278
私は、火力発電を追求しているグループにいますi-185

2011/02/21 (Mon) 17:01

雑草Z

Re:Re:『惑星開発委員会』

    guyver1092さん

 以前にも書いて頂いたときに比喩かと思ったのですが、先のコメントに

>経済のことをいう割には、需要曲線供給曲線のグラフと消費者の所得に関連があることを理解していませんでした。

と書かれていたので、直接『惑星開発委員会』のメンバーとお話されたのかと思ったのです。

>この場合は比喩の表現で、資本家とか政治家を指します。

という事は、直接資本家や政治家と話された時の事と理解して宜しいでしょうか?

>彼らの言うとおりに物事が進むと、文明崩壊は確実と考えていますので。

おっしゃる通りです。政治家と資本家にエコノミストも入れた方がいいですね。いわゆる現代社会の指導者一般でしょうか。guyver1092さんの比喩はブラックテイストで、ちょっと考えなければならない部分があったりしていいですね。

2011/02/21 (Mon) 21:08

雑草Z

Re:現代の若者の意識潮流

    ぴのこさん

>無駄遣いに対する「もったない><」という意識が復活してきている

この辺りは歓迎すべきところですね。これは主に環境問題の提起の機会増による環境意識の高まりでしょうか?

>お金じゃないものに価値を感じる人も増えています。こちらも、若ければ若いほど。

この辺りも本当ならば歓迎すべきところです。これはぴのこさんが肌で感じる部分でしょうか?それとも統計のデータからでしょうか?・・また、いつの時代と比べての事なのでしょうか?

例えば第二次世界大戦以前と比べれば現代のほうが明らかに「勿体ない」という意識はないでしょう。1970年代も今よりは勿体ないという意識はあったでしょう。・・・と、するとバブルの頃、若しくはほんの数年前と比べて潮流が見えてきた・・・という事になりましょうか?それはただ単に経済的に余裕があったかどうかの違いかも知れません。
 それにぴのこさんのおっしゃる事は日本など「先進国」と自負している国の中のいくつか限定ではないでしょうか?・・・例えば中国は、現代のほうが遥かに無駄遣いするし拝金主義になっています。

>今の経済の価値指標であるお金以上の充足のカタチを見つけて提示していく必要があると思います

これも現代はあからさまにお金の価値を煽る部分があるからでしょう。20世紀はもっとお金の話は下世話なものだという無言の共通認識みたいなものがありました。これは裏を返せば、お金に対する価値観が崩壊してきたとも見て取れますが、それならば提示する必要はもはやないでしょうね。

>みんなが本当に心から笑い合える社会になったらいいなぁと思いますお互いに信頼でき、安心でき、みんなに役割があり、どんなこともみんなの中で解決し、実現できる場をつくっていきたい

この辺りは、新しい価値観というよりも人間が昔から普遍に望んで来た事ではないかと思います。つまり、新しい価値観というよりも、ここ数十年の競争社会の中で置き去りにされてきた部分かも知れません。

2011/02/21 (Mon) 22:25

guyver1092

Re:Re:Re:『惑星開発委員会』

 分かりにくい書き方をしてすみません。話をしたのは私と同じ一般人です。彼らの言うことは、新聞、テレビ等マスコミを通じて聞こえてくる、『惑星開発委員会』の主張とまるきり同じだったからです。洗脳されきっていました。需要曲線供給曲線のグラフから、消費税増税するとデフレが進むということが理解出来ないようでした。「いずれは消費税増税しなければならない」というのが、その人の結論です。

2011/02/21 (Mon) 22:29

雑草Z

Re:Re:Re:Re:『惑星開発委員会』

    guyver1092さん

 こちらこそ読みが甘くてすみません。

>彼らの言うことは、新聞、テレビ等マスコミを通じて聞こえてくる、『惑星開発委員会』の主張とまるきり同じ

了解です。マスコミの報道、主張を鵜呑みにする人は多いですね。報道くらいはまともにして欲しいのですが、彼らの考えや立場があるから難しいのでしょうね。かなり体制よりの世論を作り上げていますね。アラブ諸国の反体制運動を見てもそうですが、やっぱりネットの力が大切ですね。・・ネットには加減な情報も溢れていますから真偽眼が必要ですね。

2011/02/22 (Tue) 06:54
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
無理に経済成長させようとするから無理に沢山働かなければなりません。あくせく働いて不要なものを生産して破局に向かっているのです。不要な経済や生産を縮小して、少ない労働時間で質素にゆったり暮らしましょうよ!「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト。
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