脱成長元年
20世紀までの人類の歴史は膨張の歴史と言えましょう。そして20世紀に既に人間活動のフローが持続可能な限界を過ぎてしまいました。ストックが無くくなってきている21世紀はもう膨張を続ける事は出来なくなるでしょう。
つまり21世紀中には、人類の膨張の歴史は終わりを告げる事になりましょう。人類が有史以来初めて経験する、グローバルに縮小する世紀・・縮小の世紀・・と言う事になりましょう。人口も経済も物質消費レベルも・・・縮小する事になりましょう。資源もエネルギーも、もう持続可能なレベルをとっくに超えて、ストックを切り崩している状態ですから、縮小を始めるのは時間の問題です。・・それがいつからか…と言う事は定量的な話になりますから、はっきりは(誰も)わかりませんが、21世紀中と言う事は確実でしょう。・・・早ければ今年から始まるかも知れません・・後の時代から考えれば既に始まっていると言えるのかも知れません。日本など先進国と呼ばれる国々では、既に何年も零成長に近い状態を経験していますし、自由主義経済の市場原理主義にとって掟破りの国の補助や税制の優遇によってやっと見せかけの経済成長を続けている国は日本ばかりではないでしょう。・・少なくとも兆しは十分に現れています。
エネルギー開発とか新しいマテリアルの開発とか言われているものも、元々物質に関して閉じた系と考えられる地球にある資源の消費でしかありません。省エネ、省資源によって多少限界を伸ばせるかも知れませんが、せいぜい数日~数年レベルでしょう。【ただの資源の食い潰し】2010-07-25 【閉じた系】2009-03-09 で論じた通りです。
あとは、縮小の仕方の問題でしょう。・・・・ハードランディングか、ソフトランディングか?この事は【降り方を考える】・~ソフトかハードか~・ で論じました。
ストックまで使い果たして限界になって、突然の制御不可能な衰退を始めれば悲惨な結果になります。・・・現在のところその見通しが高いでしょう・・。しかしその前に人類が意図的に縮小を始めて、持続可能なレベルまでソフトランディング出来れば、持続可能な定常社会を構築出来る事になりましょう。持続可能なフローの限界を超えてここまで来てもまだ無理な成長を考えている現代社会では、完全なソフトランディングは無理でしょう。肥大し過ぎた経済規模と環境負荷により、環境破壊と回復の差し引きが環境回復のレベルまで降りるまでのこれから暫くはさらに環境は悪化します。ハードランディングにならざるを得ないでしょう。逆説のようですが、出来るだけソフトランディングする為には縮小の合意が決まったら急いで急激な縮小をする事が必要でしょう。ここのところは【降り方を考える】・~ソフトかハードか~・ で論じた通りです。上手くハードランディングさせて、墜落を防ぐ事が最重要課題となるからです。
早晩、人類は成長の限界を認め、これからは縮小の時代である事を受け入れる筈です。何故なら、それは極めて理性的な唯一の結論だからです。そして、希望が持てるのは、書物やネットにも脱成長、縮小の大切さを論じるものが確実に増えてきた事です。早く脱成長元年を迎えたいものです。21世紀の最大で最重要な問題は、脱成長が人類社会の崩壊に間に合うかどうかです。脱成長縮小路線は、望むと望まざると、人類社会に必然としてやってくるものですが、出来るだけ早く人類が選択する事を熱望してやみません。脱成長元年が今年ならば大変嬉しい事です・・・と脱成長元年まで言い続けたいと思います。これを持ちまして新年のご挨拶に代えさせて頂きます。
- 関連記事
-
- 正当な恐怖心 2013/07/23
- ランディングの準備 2013/01/11
- 劇的変化 2012/12/23
- 非電化 2011/04/23
- 限界を共通認識出来たときが定常社会への移行のチャンス 2011/02/17
- 登り続けるより降りる方が辛くない 2011/02/05
- 脱成長元年 2011/01/05
- 人間社会の潮流のみで考えるのは片手落ち 2010/10/11
- 降り方を考える 2010/08/13
- 経済縮小政策の効果の一試算例 2010/05/25
- 慣れ 2010/05/21
- 持続可能な社会の共通認識 2010/01/17
- 生態系の維持 2010/01/09