雑草の言葉

事故が起こらなくとも、棲めなくなる空間が増えていく

2011/04/17
原子力 10
~閉塞されていく空間~原発で世界中が放射能汚染された地になる危機~
  
今回のように原発事故が起きて放射能が大量に外部に漏れ出せば、周辺地域の住民が当分の間住めなくなる事は、当然予測された事です。事故からおよそ四半世紀経ったチェルノブイリでは、いまだに周囲の広い範囲が立ち入り禁止区域になっています。

それでは、事故が起こらなければ、人間をはじめとして、生物が棲めなくなる場所・・放射能汚染される地域は発生しないのでしょうか?

原発事故が起こらずに、30年から60年経って、(一応見かけ上は)安全に運転を終了した原発は廃炉にされます。・・・はじめは30年くらいで廃炉にする計画であった筈が、色々な思惑により運転期間が延長されています。・・・廃炉寸前の原子炉は、全体が放射性物質の倉庫と言えましょう。その原子炉を解体する際に放射性廃棄物が一挙に出されることになります。この放射性廃棄物を、現在日本の原発関係者達は、埋設処理すると説明しています。原子力発電環境整備機構(NUMO)という出鱈目な組織を作って、放射性廃棄物を地下300mより深いところに閉じ込めると言っています。曰く『安定した地層はモノを閉じ込める性質がある』・・「モノ」は言いようです。人類の科学技術では手に負えない放射性廃棄物を、仕方ないから地下に埋めよう・・と言うだけのお話です。本末転倒も甚だしいと言えましょう。・・「手に負えないほど危険なものは作らない」と言うのが予防原則の筈です。原発推進派はこんなどうしようもない事をも、さも素晴らしい事のように説明する無責任な輩ばかりです。これも原発の『安全神話』の一端と言えましょう。
これだけ地震が多発している日本の地層のどこが安定しているのでしょうか?放射能レベルを考えれば、何万年も管理しなければ危険な筈ですが、そのような長期間の経年劣化に耐える埋設技術は確立されていません。まして、放射能やその放射能の崩壊熱も出されるので、地下埋設の容器の劣化はより激しいでしょう。安全の為に何重もの構造になっている・・と言われている埋設容器でも、そのまま埋設されれば、放射能が安全な量まで減少する以前に漏れ出す可能性は、限りなく100%に近いと言えましょう。
放射能が漏れ出せば、日本の豊かな地下水も汚染されてしまいます。数万年どころか、数百年以内に放射能は地上にまで出てきて、周辺も汚染される事になりましょう。・そのような汚染が見つかる度に、周辺が長い間立ち入り禁止区域になり、人間が踏み込める地域が制限されてくるのです。
それ以前に、安全に埋設処理する事自体、簡単なことでは無いでしょう。埋設処理の途中で、放射能漏れが起こる可能性も小さくないでしょう。埋設処理が中途半端な状態で放置される可能性もあるのです。作業員の中にも被曝者が沢山出るでしょう。

現実に日本では、この埋設処分場には、どこも立候補していないので、まだ試験場の位置づけであり、受け入れる体制は整っていません。ですから、やむなく原子力発電所内で仮置きしているのが実態です。これを原発推進側は「保管」とか「一時貯蔵」という言い方をしています。現実的に日本では、この危険な埋設処分を許す自治体はなかなか現れないでしょう。・・原発自体を受け入れる自治体があることを考えれば可能性はありますが・・埋設処理場建設には、汚職と脅し、札びらで頬をたたくと言うやり方で行われることになるのではないでしょうか?・・それでも立候補する地方自治体はなかなか現れないでしょう。

原子力発電環境整備機構(NUMO)は最悪の原発推進団体の一つです。事業仕分けで真っ先に廃止すべき団体でしょう。この組織が無くなって、六ヶ所村や東海村の再処理施設も使えなくなれば、プルトニウムなど放射性廃棄物の持って行き場が無くなって、日本の原発は止めざるを得なくなりましょう。直ちにそうすべきです。六ヶ所村や東海村の方々もその実態・・真実の姿を知れば、みんな怒り、再処理施設も稼働は出来なくなるでしょう。

増え続ける放射性廃棄物の持って行き場がなくなれば、廃炉を解体したとしても、放射性廃棄物をよその土地へは持って行けなくなります。・・現在既にそれに近い状態になっているので、六ヶ所村再処理施設とか、プルサーマル等の、より危険な事が行われるようになったのです。だからこれからは、廃炉になった原子炉を解体することなく、原子炉ごと周囲を立ち入り禁止区域にする可能性も大きいと考えられます。そして、石油が枯渇に近づけば、埋設処理も適切な処理も困難になってくるでしょう。被曝労働もますます増えていくでしょう。・・・そして放射能がいつか漏れ出してくるのです。つまり、廃炉になった原発周辺は、将来人が立ち入れない地域が増えて、それが長い間・・人類の歴史と比べて半永久的に・・続く事になる可能性が高いのです。立ち入り禁止区域であっても、放射能の漏れを少しでも食い止める為に、被曝しながら労働する人が必要になります。放射能漏れの危険が無くなるまでの途方もなく長い間、被爆労働者が必要になると言う事です。何とも憂鬱な事です。


日本の原発は約20か所に約55基、世界の原発は約440基です。これらの原発が・・稼働中に事故が起ころうが起こるまいが・・これからどんどん廃炉処理されて、今世紀半ばくらいまでには全部廃炉になるのです。そして、全ての廃炉が放射能漏れの危険性を孕んでいるのです。小さな放射能漏れは絶えずどこかで起こることになるだろうし、何年かに一度、どこかの廃炉で大きな放射能漏れを起こすだろうと予測しても、誰も否定することは出来ないでしょう。(・・否定するのは、NUMOなど原発関係の組織に属する御用学者だけでしょうか?・・)もう世界中が放射能汚染の脅威にさらされているのです。自国に原発のない国でも、放射能汚染の心配のない国は無いのです。(オーストラリアが比較的心配が少ないと言えましょうか?)以上の事だけでも、原発は即、全廃にすべきである理由として十分過ぎるでしょう。


何のメリットもない非常に危険で愚かな原発を、限られた人々の利権の為に、次々に作って来た為に、人類はこれから何万年も放射能汚染の心配をして暮らさなければならないのです。・・放射能汚染により、何万年経つ以前に人類は滅んでしまう可能性も低くはないでしょう。そして、放射能漏れが発覚する度に、立ち入り禁止区域が増え、息苦しい隔離された閉塞空間が増えていくのです。高々50年の発電の為に、多大な放射性廃棄物が産み出され、広い土地に人間も他の生物も住めなくなっていくのです。・・何とも憂鬱な事です。

原発の発電の恩恵なんて、放射能汚染と比べれば恩恵とも呼べないでしょう。そして、その微々たる恩恵にも預かれなかった末代までの子孫に、その憂鬱な管理を任せることになるのです。
原発が始まってから半世紀程経ちました。これから廃炉になる原発は次々に現れます。一つの廃炉に、広島型ウラン原爆の何十、何百、何千倍もの放射能が入っているのです。そう、今直ぐ原発全廃を決定して、廃炉作業を始めても、もう既に手遅れかも知れないのです。それでも、早く原発を廃止すればそれだけ助かる可能性も大きくなるのです。だから、一刻も早く原発を撤廃しなければなりません。

原発は、夢のエネルギーどころか、人類史上最低最悪のエネルギー、愚の骨頂です。
 何と憂鬱な事でしょう。



関連内容を更にお読みになりたい方には、以下の記事がお薦めです。

<自然の摂理から環境問題を考える>
自然の摂理を踏み外してしまった原発技術発
環境問題を考える> 『ホームページ管理者から』
    2009/10/19【ふざけた『NUMO』の全面広告】
    2009/10/26【常軌を逸した『NUMO』の謀略広告】
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Comments 10

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guyver1092

運転中

 昔、プレイボーイという雑誌で明石昇二郎氏が署名付き連載記事を書き、それを『敦賀湾原発銀座「悪性リンパ腫」多発地帯の恐怖』という本にまとめていますが、モニタリングポストにはでは検出されていなくても、原発周辺では明らかに、悪性リンパ腫が多いとの結果でした。正常に運転していても、足きりとして、一定レベルの放出は認められているので(不活性ガスの類はろ過の仕様がない)この分が影響しているのではないでしょうか。
 放射線に閾値はないそうですので、自然放射線、プラス過去の原爆実験での分、プラス原発運転の分とで、段違いに人類の浴びる放射線量が増えているのではないでしょうか。その結果が、日本人の癌死が死因のトップになった原因の一つだったりして。

2011/04/17 (Sun) 20:44

雑草Z

Re:運転中

    guyver1092さん
 
 いつも様々な情報有難う御座います。記事に書いた運転後の事だけではなく、原発は運転中も放射能を出し続けると言うとんでもない存在ですね。

>正常に運転していても、足きりとして、一定レベルの放出は認められているので(不活性ガスの類はろ過の仕様がない)この分が影響

そうでしょうね。現在盛んに言われているように、許容量だから大丈夫と言う言い方はおかしいですね。

>放射線に閾値はないそうですので、自然放射線、プラス過去の原爆実験での分、プラス原発運転の分とで、段違いに人類の浴びる放射線量が増えているのではないでしょうか。

その通りだと思います。閾値が無いと言う事は、被害は放射能を浴びる総量に比例すると言う事ですからね。現在被曝労働で事故現場で頑張っている方々も、放射能を浴びれば浴びるほど危険になって行くと言う事ですよね。
 廃炉後の放射能問題だけでなく、被曝労働の問題一つとっても原発はやってはいけない悪魔の技術ですね。

2011/04/17 (Sun) 22:11

上々

閾値について

閾値という言葉は色々な方面で使われますが、毒性物質について言えば、「閾値が無い」=「どんなに少量になっても無毒と言えない」ということです。
閾値があるものは、微小量になっていくと「完全に無害」になります。これは生体内の反応で分解されたりする作用が効果を上げるためなどで、閾値を越えた場合は量が増えるに従って害も増えます。

遺伝子に損傷を与え、ガン化する物質の場合は閾値が無いと言われることが多いようです。放射線に限ったわけではありません。
ただし、放射線の場合は閾値があるかどうかは学説も分かれているようです。

しかし、放射線の場合は「閾値が無いから怖い」ということではなく、閾値の有無は実際はあまり問題になりません。自然界に存在する放射線が結構多いためです。
とはいえ、そのような放射線によるガン発生は実はそれほど明確ではありません。タバコ・酒は言うに及ばず、普通の食品中にも発がん性物質は含まれますし、それらの原因によるガン発生が多すぎてどれだけ疫学調査をしても放射線影響を客観的に明らかにするのは難しいものと思います。

2011/04/18 (Mon) 15:51

雑草Z

Re:閾値について

私は放射線被曝に関しては、確率論的に捉えています。
放射線の通過によって細胞が破壊された時、細胞の再生能力によって再生するのですが、その再生に失敗して、染色体などに異常が生ずると癌になったりするわけです。
 細胞の再生失敗は、細胞が損傷する量に比例し、細胞の損傷する量は被曝量に比例すると考えてよいでしょう。つまり、「閾値がない」とは、被害の確率(がんになったりする確率)は放射能を浴びる総量に比例すると言う事です。勿論放射線の種類によっても違うでしょう。

 ただ、一か所に集中して放射線を浴びる量が多いと、再生する前に次の細胞破壊が起こり、再生不可になる可能性が高くなる事も考えられますから、比例と言うようなリニアな関係にならないかも知れません。
 放射能の悪さに関しては、確率論的解釈が理に適っていると考えます。

 高校生の頃、放射性元素崩壊の半減期が単なる確率論だと気付いた時には面白いとともに不思議な感じが致しました。つまり、物質は原子レベルで考えた場合、古い新しいと言う概念が全くなく、ただ確率論に従っているからです。・・でもその後に、原子に古い新しいがあった方がおかしいという考えに及びました。

2011/04/18 (Mon) 20:05

でなしNo.146

住めないし、食べられない。

棲む場所が限られれば、当然、食料も限られてくる。

水が汚染されて、放射性物質が食物連鎖の中に入り込んでしまったら…

考えただけでぞっとします。

また、子孫のことを考えると、原発は重大な犯罪だと思います。

「雑草の言葉」の予想はよく当たりますが、最近の予想はなんとかして「ハズレ」にしなければいけないものばかりです。

むしろ、このあたり(放射性物質地下に埋めるとか)でハズレにもっていけなかったら、それこそ人類の未来はお先真っ暗ですね。自作自演で破滅に向かいます。

2011/04/19 (Tue) 21:27

雑草Z

Re:住めないし、食べられない。

    でなしNo.146 さん、お久し振りのコメント感謝致します。

 そうですね。棲む場所だけでなく食料も制限されますね。何とも憂鬱な事です。

 放射性物質はもう既に食物連鎖の中に入り込んでいるでしょうね。あとは程度問題です。チェルノブイリの一基の事故だけで、あれだけ食物が汚染されたのですから、より多くの放射性物質を撒き散らす可能性のある原発だらけですね。

>最近の予想はなんとかして「ハズレ」にしなければいけないものばかりです。

そうですね。でも今回の原発事故で確信した事は、理に適うな予測は当たると言う事です。・・だからあとは、程度問題になるでしょう。当たるけれど、程度は小さくて済んだ・・・とさせる為にも、原発は早急に全廃しなければならないでしょう。
 これまで出してしまった放射性廃棄物は、地下ではなくて、目に見える場所でずっと管理するしかない・・・と槌田敦さんもおっしゃってます。

2011/04/19 (Tue) 22:33

y.suzuki

 ますます、バージョンアップされてますね。

 地層処分については、現在実験的施設という名目で、岐阜県の瑞浪、北海道の幌延で推進しているようです。

 しかし、自然災害に対しては技術的に管理することが不可能です。地震のメカニズムも最近、熱移送説などが提唱されて、これまでのプレート説では説明できなかった内陸型地震についても検証されつつあり、断層付近に限らず、いたるところ危険な場所だらけということになりそうです。

 原発関係者は放射性廃棄物に全力をかけて管理する義務を負うべきだと思います。

  

2011/04/20 (Wed) 11:51

雑草Z

> 地層処分

    y.suzukiさん

 いよいよ、放射性廃棄物が溜まり過ぎたので、持って行き場がなくなり、NUMOは地層処分を焦っているのでしょうね。
 でも結局地層処分はやる自治体が無くなり、原発の立地で処分と言う事になりそうです。NUMOは、税金の無駄遣いと言う事になりましょう。・・まあ、とんでもない仕事をするよりはましでしょう。NUMOの役員は、恥を知るべきですね。給与は全額返還でしょう。更に詐欺罪で罰金を取ってもいいですね。NUMOの役員もNUMOを立ち上げた人々も。

今回の記事は、原発は事故が無く安全に運転しても割に合わない、廃炉後常に放射能漏れの心配がある、安全対策しても存続の理由にならない・・・と言う事を改めて訴え直す為に書きました。
 そちら、<自然の摂理から環境問題を考える>の記事
【自然の摂理を踏み外してしまった原発技術発】[2011-3-26]も参考にさせて頂きました。有難う御座います。

2011/04/20 (Wed) 21:23

じゃんけんぽん

大好きな福島が今大変なことになっていて悲しいです。

先日こんなニュースを目にしました。
“原発再開・新設なければ温室ガス1割増の試算“
収束も見えないのに?それどころではないはずなのに。驚愕でした。

東京電力の根拠のうすい計画が提出されたことに対して、総理がにこにこ「前進したね」というコメントにも日本のこれからの不安を感じて止みません。

いったいどうなるのでしょう

2011/04/22 (Fri) 14:46

雑草Z

放射能のほうが二酸化炭素より遥かに酷い。比べるのが変

    じゃんけんぽんさん

はじめまして、コメント有難う御座います。福島県の方でしょうか?

>“原発再開・新設なければ温室ガス1割増の試算“

これを誰が発表させたか、はっきりさせるべきですね。きっと原発推進派、原発利権に絡む輩でしょう。最低の輩です。地球が温暖化しているとしても二酸化炭素の寄与の分など大したことは無いでしょう。でも、その事は置いておいても、二酸化炭素出したくなかったら、原発も止めて経済活動を控えればいいだけの話です。高速道路の無料化とかして自動車に乗る距離を増やさない事のほうが大切でしょう。

>それどころではないはずなのに。驚愕でした。

その通りですね。二酸化炭素の増加よりも放射能の増加のほうが遥かにシビアな問題です。

今日テレビを見て怒りを感じた事は、福島県の佐藤雄平知事が、原発事故の事で東電の社長に文句を言っていた事です。彼等は同じ穴の狢です。プルサーマル計画を受け入れて、昨年秋に原発稼働を再開したのは佐藤雄平です。彼がゴーサインを出さなければ今回の原発事故も起こらなかった可能性が高いのです。県民に土下座して謝っても済む事ではありません。彼のような卑怯な輩が今回の原発事故の責任者です。事故が起きたら被害者面をしてつくづく卑怯な人物です。彼の太鼓持ちをしている福島県のマスゴミも本当に情けないものがあります。
佐藤雄平を筆頭に原発を推進して来た市町村の長は、文句を言う前に先ず自ら謝罪するべきです。

2011/04/22 (Fri) 21:31
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
無理に経済成長させようとするから無理に沢山働かなければなりません。あくせく働いて不要なものを生産して破局に向かっているのです。不要な経済や生産を縮小して、少ない労働時間で質素にゆったり暮らしましょうよ!「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト。
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