撤回すべきはどっちだ?
「現在、中国経済は苦しいから、輸入停止措置は中国の失策。撤回すべきだが、中国共産党は1度決めた事は撤回しないから困ったものだ」
のような事をNHKのニュースで報道していました。更には
「日本は科学的事実に基づいて放出しているので、中国も科学的事実に基づいて冷静に行動して欲しい。」のような事まで付け加えていました。
NHKだけでなく、他の全国ネットのTV局でも同じようなことを報道していました。大手マスゴミの多くは完全に日本政府の大本営放送局化してしまったようです。
しかし、中国・香港(やソロモン諸島)の
「安全ならば放出の必要はなく、安全でないならばなおさら放出すべきでない。」
と言う主張は、十分にまともな主張でしょう。これのどこがおかしいのでしょう、岸田さん?マトモに反論できないのは日本政府の方では無いでしょうか?タンクを増設して貯めておくという選択肢もあるのです。そうすればこんなに大ごとな国際問題にまで発展しなかったのです。
ALPS[多核種除去設備] 資源エネルギー庁HPより
科学的に十分に安全だと言うのなら、中国や香港やソロモンなど、反対する国の研究者の方々を日本政府自ら招いて、自由に海水や海底の土、タンクの中の「汚染水ではない」と言い張るところの「処理水」を採取して調べさせればいいのでは無いでしょうか?
そのようなことをせずに、東電が提出した一方的に採取した少量の放射能汚染水サンプル(予め東電が安全性を確認している事でしょう。)についてIAEAなどの研究機関間の比較分析が行われただけです。その評価範囲まで日本によって厳格に限定されたに過ぎないのに、「日本は科学的」だと主張する現政府は詐欺集団のようなものです。
先の記事【失敗が確定的になった汚染水放出】2023/09/19 にも書きましたように、客観的に評価しても、汚染水の海洋放出は失策でした。
「トリチウム水」は世界の多くの国で放出され、特に中国が多いのですが(それはそれでヤバい事だと思いますが)、現在放出している汚染水は、他国の「トリチウム水」とは別物で、溶融した炉心と直接接触した「炉心溶融汚染水」です。事故後の「炉心溶融汚染水」を海に意図的に流した世界初の事例なのです。
東電や経済産業省が「最も費用が掛からない」と言う理由で決定した方法でした。しかし既に、「海に流さない」と言う選択肢よりも多くの(金銭的な意味以外にも)コストがかかり、今の時点で既に失敗は確定的です。愚策過ぎます。内角総辞職では済まされない日本国民に対する背信行為です。
失敗は明らかになったのにストップしないのは、単にここで過ちを認めて放出を止めれば、政府が責任を問われ、政権の支持率が下がる・・と言うそれだけの理由でしょう。そんなちっぽけな理由の為に、日本は世界のさまざまな国・国民からバッシングされるのです。それだけではなく世界の海が汚染され、取り返しのつかない事態になるやも知れないのです。
中国が日本産水産物輸入停止措置を続けても、(中国以上に日本の方が)経済的に困るだけですが、汚染水放出は、経済以上に大きな代償があるのです。環境も汚染するし、他国の信用も失うのです。岸田内閣は恥ずかしすぎて「日本国の政府」と呼びたくありません。日本の恥晒しです。撤回すべきは日本政府の「汚染水放出」です。
これ以上、漁業者を失望させないだけで無く、世界の信頼を失わない為にも、取り返しのつかない状況になる前に炉心溶融汚染水の海洋放出は即座にストップすべきです。
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