汚染水放出を、国の対立構造に拡張するな!
中国政府は、即座に日本産水産物の輸入を全面停止し、さらに水産物加工品の購入や使用、販売を禁止すると発表しました。
これに対し日本政府は、
『中国は「アルプス処理水」を「核汚染水」とのレッテルを貼って非難している。科学的ではない』と抗議しています。このとんでもない論法は、笑うしかありません。 NHKをはじめ、日本のマスコミの殆どはこの政府の見解に同調して、汚染水のように、そのまま報道を垂れ流しています。
確かに「核汚染水」の「核」と言う表現は、ちょっと変かも知れません。おそらく「放射能核種汚染水」と言った意味なのでしょう。アルプスでは210くらいある核種が含まれている可能性がある中で、62種類の放射性核種を基準値未満にしているだけとの事です。つまり、「アルプス処理水」には、トリチウムだけでなく、他のさまざまな放射性核種も含まれて、それが全て「基準値」以下では無いわけですから「汚染水」と呼ぶことには何ら問題はないでしょう。そもそもその基準値とは「飲料水の基準」と言うからふざけています。「中国など他の国もトリチウムは垂れ流している」などと堂々と報道していますが、本当に酷い情報操作です。福島第一原発の「処理水」と呼ばれている汚染水は、溶融した炉心と直接接触しており、通常運転の原発からのトリチウム汚染水と同列には論じられません。(通常運転のトリチウム汚染水だけでも、海洋に溜まって行くのは大きな問題です。)データの改ざん、隠蔽を繰り返してきた東電や政府を信頼できるはずもありません。そもそも日本政府の言うところの「科学的」は、世界の学者の共通の認識ではなく、一部の科学者(御用学者)たちの見解に過ぎないのです。
「日本政府と東電は科学的で、中国は非科学的で非論理的な対応」と言う日本政府や東電のプロパガンダはあまりに稚拙で酷すぎます。我田引水そのものです。中国の科学的な反論は報道せずに「科学的では無い」と決めつけて印象操作しているだけでしょう。太平洋戦争中の大本営発表のようです。
中国から日本への嫌がらせの電話や投稿も相次いでる。・・・と政府もマスコミも中国を批判していますが、中国人の大部分は「嫌がらせ」と言うよりも、汚染水放出を本当に怒っているのでしょう。確かに福島県の自治体の役所、旅館やレストランのように、原発推進派に直接関係のない施設などにクレームするのはお門違いです。控えるべきです。抗議する場所を間違えています。日本政府や東電など、原子力邑の団体にこそどんどん抗議すべきでしょう。どこの国の人であろうと東電や政府にはどんどん抗議すべきだと考えます。公海を汚染している訳ですから、「内政干渉」ではありません。
それなのに政府や東電だけでなく、NHKをはじめとするマスコミの多くも「根拠のない日本国民への嫌がらせ」と話をすり替えて、中国国民との対立を煽っています。マスコミだけでなく、学者やタレント、「有識者」と呼ばれるしょうもない人々も、中国人のこの抗議を批判しています。「汚染水の海洋放出は正義だ」とさえ言っているように聞こえます。
政府や東電は、「アメリカだって日本の海洋放出を支持している」・・と言うかも知れませんが、アメリカは、中国との対立を煽りたいので、海洋放出を支持するのでしょう。アメリカが中立のわけがありません。そうやって日本と中国の間の小競り合いが大きくなるのを期待して日本と中国を分断を図りたいのです。それに、アメリカ政府が海洋放出を擁護していると言っても、日本同様アメリカ国民の大多数がそれを認めているわけではありません。どこの国でも日本政府の卑劣なプロパガンダに洗脳されていない多くの人々は、海洋放出に反対していることでしょう。「批判」の電話を受け取った日本の民間人は、中国人を批判するよりも先に、こんな事態に至らせた、日本政府と東電に抗議して責任を取らせるべきでしょう(責任を取り切れるはずもありませんが・・・)。マスコミもそう言う論調で報道すべきです。
日本政府と東電は批判逸らしのために「日本国民と中国国民の対立」と言う形に持って行きたいのがありありと見て取れます。汚染水放出に抗議する中国人を批判する多くの(ネトウヨのような)日本人は、日本政府と東電に踊らされているのです。
実害が無いことが確認、証明されたわけでも無いのに、あたかも汚染水による被害は「風評」だけだと言い張る日本政府と多くのマスコミは全く信頼出来ません。挙国一致で
「処理水は安全だ。風評被害さえ沈静化すれば問題は解決する」
と汚染水処理を正当化する日本政府や東電、マスコミに取り込まれないようにすべきでしょう。
放出反対の日本国民や中国を悪者にし、自分たちの愚行から国民の目をそらそうとする岸田政権の謀略とも言えるでしょう。
一方、汚染水の海洋放出に反対する中国人は、日本だけでなく、しっかりと自国の原発にも反対して行くべきでしょう。最悪の発電方式である「原子力発電」を廃止する事こそ重要です。日中の反原発の人々は、煽られて対立していたら、原子力ムラの思いのままです。共同で原発廃止の為に活動するべきです。
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