雑草の言葉

日本政府が科学的か?

2023/09/29
原子力 6
 汚染水放出に対する中国の批判に対して、日本政府の面々はみんな異口同音に「日本政府は科学的に説明している。中国も科学的に反論すべきだ。」などと発言しています。信じられないのは、NHKをはじめとした大マスコミの多くも政府に倣ってニュースで同じような主張を繰り返しています。しかしながら、中国の「反論」はほとんど報道しません。する場合でも都合のいい部分のごく一部だけを切り取って流すだけです。中国が科学的反論をしない筈がないでしょう。中国も科学的な説明を発信しています。そしてその方がよほどまともで筋の通った説明です。

汚染水問題 福島第一原発

汚染水タンク

(以降、いくつか貼ったリンクのサイトはそれぞれ長いので、リンクは確認したい方だけお読み下さい。)

例えば、新華網日本語 【福島汚染水の海洋放出はいかにして決まったのか】新華社2023-08-27   です。

 この中国の主張に日本の外務省が「事実及び科学的根拠に基づかない内容が含まれていた」として反論しました。
外務省【ALPS処理水の海洋放出に関する中国政府コメントに対する中国側への回答】です。
 この要約が【外務省の反論の朝日新聞要約】 です。
これらを読むと中国の主張に分があると考えられます。
例えば、
中国側は、汚染処理水の安全性について「福島の核汚染水には60種余りの放射性核種が含まれており、トリチウムのほか、多くの核種の有効な処理技術はまだない」と主張。これに対し、日本側は反論文で「ALPSは62の核種を確実に除去するように設計されていると指摘」とあります。「設計されいる事」が確実に除去された証拠の筈が無いでしょう。「虚偽報告」の実績がある東電の発表に過ぎません。確実に除去された事を客観的に検証しているわけでは無いのです。証拠が無い発表を「科学的」とは呼べないでしょう。
このことを含め、中国は、「IAEAのモニタリングの枠組みには他の国や国際機構は現地参加しておらず、これでは国際モニタリングとは言えず、透明性を著しく欠く」と指摘しました。それに対し、日本側は「現在実施されているIAEAによる比較評価には、米国、フランス、スイス及び韓国の分析研究機関が参画している」と反論しました。
中国は再反論しました。【中国IAEA常駐代表団、福島汚染水の海洋放出巡り談話
これによると、  
 「評価方法は主に日本が一方的に提供したデータや資料に基づき判断したもので、日本が一方的に採取した少量の放射能汚染水サンプルについて研究機関間の比較分析が行われたに過ぎない。データの真実性や情報の正確性はさらなる検証が必要であり、採取されたサンプルの独立性や代表性が著しく不十分な中で下された評価結論は、十分な科学的根拠と事実上の根拠を欠き、比較的大きな限界性と一面性がある。
と反論しています。客観的に見れば、中国の指摘に理があるように見えます。日本の主張は言い逃れ的です。日本が言うように安全ならば、中国や他の反対している国に、自由にサンプルを採取させ、測定させるべきでしょう。それをしようとしない段階で、日本は「隠蔽している」と考えられても仕方ないでしょう。
 
 こんな低レベルの説明を「科学的だ」と言い張るようでは、日本政府はますます世界の信頼も失って行くことになるでしょう。
トリチウムのゆるキャラ.jpg
 復興庁のトリチウムのおバカキャラ・・こんなキャラを高値で採用した日本政府もおバカです。
 
 このような現在の日本政府を「我が国の政府です」と言うには恥ずかし過ぎます。岸田政権は日本の恥です。

ただし、だからと言って私は、中国IAEA常駐代表団の談話
「(日本の汚染水放出は)世界の原子力産業の安全と発展の利益を著しく損なうものだ」

は受け入れられません。世界の原子力産業がこのまま発展を続ければ、また大事故を起こしそうですし、事故が起こらなくても世界は放射能まみれになるのです。所詮、IAEAは、原子力推進団体なのです。
中国も日本も世界中が出来るだけ早く脱原発すべきです。

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Comments 6

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guyver1092

中国の主張

 汚染水以外の点もみれば、中国も日本政府と同じく支離滅裂ですが、汚染水についての主張は日本政府より理路整然としていますね。

https://news.yahoo.co.jp/articles/418eb874a04975ef49f4d2df620264ad110f4185

 日本近海で操業している点では脱力ですね。

「ALPSは62の核種を確実に除去するように設計されていると指摘」と言い張るだけで、中国に査察をさせないのは、日本国民相手に「丁寧な説明」をするだけで、政策を強行する手法そのままですね。日本は、2018年の前科持ちのくせに、前科を無いものとして扱っているようです。

2023/10/01 (Sun) 19:19
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 中国の主張

>汚染水以外の点もみれば、中国も日本政府と同じく支離滅裂ですが、

そうみたいですね。貼り付けられたYahoo!のニュースは、先ほど見直しましたら何故か削除されていましたが、

>日本近海で操業している点では脱力ですね。

の通りです。加えて、中国政府も原発推進しているようで、さらに脱力です。

>「ALPSは62の核種を確実に除去するように設計されていると指摘」と言い張るだけで、中国に査察をさせないのは、日本国民相手に「丁寧な説明」をするだけで、政策を強行する手法そのままですね。

おっしゃる通りです。日本、東電の発表には疑問点というか、ツッコミどころ満載なのに、突っ込まずに政府の発表のまま垂れ流すマスゴミは戦前の大本営発表と似通ってきて危険です。

2023/10/02 (Mon) 23:33

guyver1092

国家は国民の敵か?

今日、スマホのニュースで、韓国の原発訴訟の結果を見つけました。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/47964.html

 タイトルは
「5歳児の体から大人より大量のトリチウム検出...韓国、9年間の原発、がん訴訟」とあり、サブタイトルで
「618人ががんになった原発周辺村の住民の訴訟」「因果性の立証責任、住民に押しつけ...韓水原は何もせず」となっていました。
 科学的に考えると、トリチウムは、水として人体に取り込まれ、突如電気を放ちながらヘリウムに変わり、その周辺の遺伝子を傷つけることが理論的に導き出されます。そして、すべての分子がヘリウムに変わるまで生物を攻撃しますので、地球上に存在するトリチウムの総量こそ問題で、一度に放出する濃度は、トリチウムの危険性に全く影響しません。
 化学的には、上記の結論しかありえませんが、少なくとも、日本、韓国、中国の政府は、この結論を無視しています。これらの政府の目的は、すべての生物種の消滅なのでしょうか?

2023/10/03 (Tue) 20:45
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 国家は国民の敵か?

 ご紹介の韓国の原発訴訟の記事を読ませていただきました。韓国の原発裁判は日本に輪を掛けて酷いですね。

 基準値を下回れば安全だとの主張は日本そっくりです。多くの証拠に対して、何故に「因果関係がない」と断言出来るのでしょう?酷過ぎます。
1審の一部勝訴判決だけがまともでしたね。この判決文で判事は、
「・・事実的な因果関係の存在に関して科学的に厳密な証明を被害者に求めることは、公害による司法的救済を事実上拒否する結果になりうる。・・・加害者側がそれが無害であることを証明できない限り、責任を免れないとみるのが社会の公平の観念に合致する」

と言ってます。それこそまともな判断でしょう。しかし韓国水力原子力(韓水原)は訴訟人団に立証責任を負わせていますね。2審の判事は悪質ですね。

>化学的には、上記の結論しかありえませんが、少なくとも、日本、韓国、中国の政府は、この結論を無視しています。

政府を含む原子力ムラの分断策に乗ってはダメですね。国対国の構造ではなく、原子力推進派に対する反原発の戦いです。
日本、韓国、中国・・・その他、反原発の人々は共闘すべきですね。guyver1092 さんの仰るように、原子力推進派の言う事は全く科学的ではありません。科学的な根拠に基づいて、反原発の人々は世界中で団結すべきです。

記事を掲載したハンギョレ新聞は非常にまともなマスコミですね。日本で言えば東京新聞でしょうか!?以降、ハンギョレに注目していきたいと思います。良識的な新聞記事のご紹介、有難う御座いました。

2023/10/04 (Wed) 22:05

guyver1092

間違い

 槌田敦氏の本で読んだのですが、放射性物質は、薄めると薄めた倍数の生物を攻撃します。例えば2倍に薄めたとすると、生物一体当たりの放射性物質の量は半分になりますが、攻撃する生物の総数は2倍になります。生物には放射線に対する感受性が様々で、2倍の数の生物では感受性の高い者もいて、癌になる者の総数は濃度の高い場合と同数になるということです。
 原発の周辺で継続的にトリチウム等に晒されている者は、それだけ吸収しやすいということで、害が発生する確率も高いということですね。薄まる前の放射性物質は、やはり危険が大きいということで、前回のコメントは一部間違っていました。申し訳ありません。

2023/10/08 (Sun) 19:37
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 間違い

>薄まる前の放射性物質は、やはり危険が大きいということ

 薄める前のトリチウム水の近くにいる者は被曝の量も多くなるのは当然ですが、地球上の生物全体で考えれば、
槌田敦氏のおっしゃるように
>例えば2倍に薄めたとすると、生物一体当たりの放射性物質の量は半分になりますが、攻撃する生物の総数は2倍になります。

すなわち濃度ではなく放射能の総量ということで間違ってはいないでしょう。
guyver1092 さんの先のコメントは解釈しにくかったですが、地球上の生物の全体のリスクと総量被曝は濃度によらない・・と解釈致しましたので、その解釈では特に間違ってはいないでしょう。

2023/10/09 (Mon) 16:53
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
無理に経済成長させようとするから無理に沢山働かなければなりません。あくせく働いて不要なものを生産して破局に向かっているのです。不要な経済や生産を縮小して、少ない労働時間で質素にゆったり暮らしましょうよ!「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト。
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