【1】登山の基本的な服装と必ず持っていく持ち物
自然の中を長時間歩き続ける登山では、安全と体力を考慮した装備をそろえておくことが大切です。登山の持ち物は登る山や季節によっても変わりますが、今回は基本である”雪の降っていない日帰り登山”を想定した持ち物を見ていきましょう。
全て登山用でなくても大丈夫!持ってないものは代用品で
登山用品って結構高いし、全部揃えるのは大変…と感じる方も多いですよね。登山用品で揃えるのがベストですが、手持ちのもので代用することは可能です。きちんと、機能の違いや重要性を知っておき、登山に行く中で必要と感じたものを徐々に揃えて、レベルアップしていきましょう。
▼登山用品を代用する時はしっかりその違いを理解しよう
登山を楽しむ服装はコレ
登山の服装の基本は”レイヤリング(重ね着)”です。山の天気は変わりやすいことに加え、標高が100m上がるごとに気温は0.6℃下がると言われています。また、長時間歩き続ける登山では、大量の汗をかくので汗冷え対策は必須。変化する気候と自分の体温を衣服で調節することがとても大切です。
▼登山の基本”レイヤリング”を知ろう
▼登山の服装一覧(下線のアイテム名をクリックするとそのアイテムの詳しい記事を読めます。)
登山の服装 | 説明 |
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①ザック(リュック) | 登山中に両手が自由になるようにしよう。日帰りだと30リットルくらいを選ぼう。 |
②靴下 | 登山用のものが足が疲れにくく、ウール素材なら防臭効果も高い。 |
③登山靴 | 日帰り低山であればミドルカットでOK。ゴアテックスなどの、防水性があるものがオススメ。 |
④帽子 | 日差し避けに重要。防水性があるものなら、雨が降っても安心。 |
⑤腕時計 | 計画どおりに登山ができているかをチェックしよう。 |
⑥タイツ | 筋肉や膝関節のサポート機能があるものがオススメ。 |
⑦インナー | 汗冷えをしないように、乾きやすい素材のものを選ぼう。 |
⑧ウェア | インナー同様に乾きやすい素材のものをチョイス。お気に入りのデザインで登山に行こう! |
⑨パンツ | 乾きやすく、ストレッチのある素材が良い。 |
必ず持っていく持ち物
登山に行く時に、必ずザックの中に入れて持っていきたい持ち物です。ここにあるものを優先的にそろえていきましょう。
▼必ず持っていくもの一覧(下線のアイテム名をクリックするとそのアイテムの詳しい記事を読めます。)
アイテム | 説明 |
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①レインウェア | 山の天気は変わりやすく、雨に濡れると体温が一気に下がるので、必ず持っていたい持ち物の一つ。 |
②ヘッドライト | 山では暗くなると道が見えなくなるので必須。携帯などのライトでも代用可能だができるだけ手が自由になるヘッドライトが理想。 |
③ザックカバー | ザックが雨で濡れるのを防ぐもの。大きいビニール袋で代用もできるが、風に飛ばされないようにゴムで止めるなどの注意が必要。 |
④タオル | 汗を拭いたり、首に巻いて日焼けを防いだり、意外と登山には欠かせないアイテム。 |
⑤登山計画書 | 遭難した場合にこれを元に捜索をするので必ず提出しよう。登山に行く前に家族に共有するなどし、下山したらその旨も必ず連絡しよう。 |
⑥コンパス | 道に迷ったり、進む道に悩んだ時にも使える。スマホや時計のコンパス機能もあるが、地図と合わせて使いやすいのはコンパスである |
⑦地図 | 自分がどの道で登るのかを確認するために必要。携帯アプリなどでも見れるが、地図の方が大きくて見やすい。 |
⑧筆記用具 | 地図に線を引いたり、登山記録を残したりと何かと使用。 |
⑨スマートフォン(携帯) | 万が一の時の通信手段、GPS機能、地図、カメラなど様々な機能があり便利なアイテム。 |
⑩モバイルバッテリー | いざという時にスマホが使えない!とならないようにスマホとセットで持っておきたい。 |
⑪ティッシュ | 何かと使えるので持っておきたい、トイレットペーパーやウェットティッシュでもOK。 |
⑫ゴミ袋 | 山で出たものは、全て持ち帰るのがマナー。必ずゴミは袋に入れて持ち帰ろう。 |
⑬お金 | 山荘でごはんを食べる時や、飲み物を買う時など意外と登山中にもお金が必要。 |
⑭行動食 | 軽くて、カロリーの高いものを選ぼう。チョコや柿ピーなど移動中に食べやすいものがオススメ。 |
⑮水筒(水分) | 傷口の洗浄や調理にも使える水とミネラルなども一緒に補給できるスポーツドリンクなどを分けて持っていると良い。ペットボトルのままでもOK。 |
▼忘れ物がちな持ち物はこの記事でチェックしよう
【2】緊急時に必要な持ち物(シーン別)
”日帰り可能な山だから安全”と甘く見ていると危険です。実際に登ってみると、急な登りや岩場で予定通りに進まなかったり、バテてしまったりして下山が遅れたりすると、帰り道が真っ暗になってしまうことも。さらに、天候が変わりやすい山では、霧に巻かれて一気に視界不良…という危険もあります。自然の中で行う登山では、万が一に備えておくことも大切な基本の一つです。
遭難した時は体温管理が一番大切
山で道に迷ったり、遭難してしまった時は、まず第一に”体温の確保”をしてください。急な気温の低下や汗冷えで体温が一気に奪われ、最悪の場合、低体温症になります。低体温症は命を脅かす大敵ですので、しっかり備えておきましょう。
▼体温維持のための持ち物(下線のアイテム名をクリックするとそのアイテムの詳しい記事を読めます。)
アイテム | 説明 |
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①防寒着 | フリースやダウンなど温かい服を1枚は持っておこう。 |
②エマージェンシーシート | 緊急時に体温維持のために使うブランケット。100均でも購入できるものもあるので、1つは準備しよう。 |
③細引きロープ | ツェルトに通してテントのようにしたり、ものを縛ったりと様々な使い方ができる。 |
④ツェルト | 緊急時に使う簡易のテントのようなもので、テントのようにしたり、体に巻いたりして使用。普段は写真のようにコンパクトになる。 |
⑤ライター | 万が一の時には火を起して暖を取ることも可能。ただし、山火事に要注意。 |
急な体調の悪化にも気をつけよう
普段以上に体力を消耗する登山では、途中で頭が痛くなったり気分が悪くなってしまったり、汗冷えでお腹が痛み出すこともあります。木の枝や岩場で擦り傷ができたり、靴擦れをしてしまう…なんてこともあるので、薬や救急セットなどもあると安心です。
▼体調不良のための持ち物(下線のアイテム名をクリックするとそのアイテムの詳しい記事を読めます。)
アイテム | 説明 |
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薬(常備薬) | お腹が痛くなった時の下痢止めや持病の薬などは持っておこう。 |
健康保険証 | 何があるかわからないので、保険証もしくはコピーがあると安心。 |
ファーストエイドキット | バンソーコーや三角巾、ポインズンリムーバーなどがあると怪我をした時も対処が可能。 |
非常食 | 行動食、食事とは別に保存のきく食べ物を用意しよう。 |
携帯トイレ | 山はどこにでもトイレがあるものではないので、環境を維持するためにも、万が一の時は携帯トイレを使おう。 |
【3】快適な登山を助ける持ち物
何度か山に登ってみると、「こんなものがあれば良いな」と思うことが増えてきます。少しずつ必要なアイテムを充実させて、登山をもっと充実させましょう。
歩行をサポートするトレッキングポール
登山でよく見かけるトレッキングポール。4点歩行で身体を安定させてくれるので、体力の無駄な消耗を防いでくれます。バランスのとりにくい箇所や疲労時にも活躍してくれるアイテムなので、正しい使い方を身につけて安全に使用しましょう。
UV対策は必ず忘れずに
山では大気の層が平地よりも薄くなるため、紫外線のダメージを受けやすいです。身体への負担を軽減するため、サングラスや日焼け止めなどのUV対策グッズを活用するのがオススメです。
ドロや砂利、雨の侵入を防ぐゲイター
パンツの裾部分と靴の境目を覆ってくれるゲイター (スパッツとも呼ばれます)。登山中に雨だけでなく、小石や泥が靴に侵入するのを防止してくれるので、晴天時でも装着することがあります。
▼快適な登山を助ける持ち物(下線のアイテム名をクリックするとそのアイテムの詳しい記事を読めます。)
アイテム | 説明 |
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トレッキングポール | 使用する事で、歩行のサポートになり快適に登山が楽しめる。 |
ゲイター(スパッツ) | 小石や雨などの侵入を防ぐ。 |
虫除け | 樹林帯を歩く時には必須。 |
着替え | 汗を書いて服が濡れてしまった時などに着替えがあると快適。 |
サングラス | 山の日差しは強いので目の保護のためにサングラスがおすすめ。 |
日焼け止め | UV対策として必ず使用したい。日焼けしたくない人は小まめに塗り直すことがポイント。 |
手袋 | 防寒、日焼け対策など様々なシチュエーションで活躍。 |
ナイフ(マルチツール) | 袋を開ける時などにあると助かるアイテム。 |
カメラ | 写真を取って、登山の思い出や景色を残そう。 |
防水バック | 着替えや防寒着など濡れて困るものを持ち運ぶのに便利。 |
レジャーシート | 休憩の時にザックやウェアを汚さずに座れる。 |
サプリメント | 効率よく必要な栄養素を摂取できる。 |
カラビナ | カバンの外にものを取り付ける場合に便利。ただ、できるだけカバンの外には何もつけない方が安全。 |
熊鈴 | 人間がいることをクマに知らせ、遭遇を防ぐための鈴。 |
【4】山ごはんを楽しむための持ち物
登山の楽しみのひとつが山ごはん。山頂で食べる山ごはんを励みに登る…なんて方も多いんです。ここでは山での食事をもっと楽しむための便利なアイテムをご紹介します。ごはんタイムが充実すると、登山がもっと楽しくなりますよ。
山ごはんを楽しむために必要な持ち物
山で調理をしている登山者を見て「美味しそうだな-」と思ったことありませんか?便利なアイテムを使えば、誰でも簡単に出来立ての温かい料理を食べることができちゃいます。
▼山ごはんに必要な持ち物(下線のアイテム名をクリックするとそのアイテムの詳しい記事を読めます。)
アイテム | 説明 |
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①コッヘル、鍋類 | お皿の代わりやお湯を沸かすなど1つあれば様々な使い方ができる。 |
②食器類 | 割れにくいプラスチックやシリコンのものがオススメ。調理器具をそのまま食器にすることも。 |
③ガスバーナー | お湯を沸かしたり、調理に必要。ガス缶忘れや、ガスの残りの量に注意。 |
④フリーズドライ食品 | お湯を入れるだけで温かい料理ができるので、まずはフリーズドライから始めよう。 |
⑤カトラリー類 | 食事の際に使う箸やフォーク、スプーンのこと。 |
▼山ごはんを楽しみたい人はこちら
【5】登山をもっと楽しむなら、テント泊がオススメ!
日帰り登山には不要ですが「テントに泊まって縦走をしたい」「山で満点の星空を見たい」という方などは、こちらもチェックしておきましょう。
山は、夏でも朝と晩は冷え込むことが多いです。「寒くて眠れない…」なんて痛い目を見ないために、準備はしっかりしておきましょう。その分持ち物が増えるので、ザックも50リットル以上の大きめサイズのものを準備してください。
▼テント泊に必要な持ち物(下線のアイテム名をクリックするとそのアイテムの詳しい記事を読めます。)
▼テント泊の持ち物を詳しく知りたい方はこの記事をチェック
登山の準備で気をつけておきたい5つのポイント
登山を楽しむためには準備が重要。準備で登山の楽しさが決まる、と言っても過言ではありません。必要なものを揃えたら必ずチェックしましょう。その際に、気をつけておきたい5つのポイントをまとめました。回数を重ねながらベストなパッキングができるようになりましょう。
【1】忘れ物チェックは荷物をつめる前に
初心者にありがちなのが、いざ使う時に”ない”と焦るパターン。せっかくの登山でテンションを下げないように、忘れ物のチェックは必ずパッキング(荷物をザックに入れる)前にする習慣をつけておくと安心です。チェックリストを用意したので活用してみてください。
▼登山道具のチェックリスト
【2】個人の持ち物とグループの持ち物は分けて考える
複数人で登山に行く場合は、ヘッドライトのような個人で持っておくものと、テントのようなグループに1つで良いものは分けて考えると軽量化につながります。誰が何を持っていくかを事前にしっかり確認しておきましょう。
▼複数人で登山をする時の注意点について知りたい方はこちら
【3】荷物は重くしすぎないように
荷物が重くなるとその分体力を消耗してしまいます。最初のうちは、あれもこれもと詰め込みたくなりますが、できるだけ必要最低限のアイテムに抑えるように心がけましょう。登山用の軽量でコンパクトなアイテムを活用するのもオススメです。登山に行く度に振り返ると、必要な道具がだんだんとわかってきます。
【4】収納方法に気をつけよう
ザックの中がぐちゃぐちゃな状態だと、必要なものが必スムーズに取り出せずイライラ。そのため、すぐ取り出せる雨蓋には頻繁に使うものや緊急時に使用するものを入れておくのがオススメです。あまり使わないものは下部にいれておけば邪魔になりません。また、バランスを保ちやすくするために内側は一番重くかさばるもの、中心よりやや上の外側は重くてよく使うものを収納するのがよいでしょう。
▼上手なパッキング方法を身に着けよう
また、ザックに荷物を入れる時は、スタッフバッグ と呼ばれる袋やジップロックを活用し、小分けにしておくと整理が簡単になります。
▼パッキングに便利なスタッフバッグの記事はこちら
【5】両手はできるだけ空いた状態に
登山中は足を滑らせたり石につまずいたりすることがあります。両手が空いていないと、万が一の時に手を使えないので、手はできるだけ空いた状態にしておきましょう。ストックは転倒防止にもなるし、手をすぐに空けられるのでOKです。
さぁ、必要な持ち物を揃えて安全に登山を楽しもう!
「山に登ってみたい!」と思い立ったはいいけど、何から準備したらいいのやら…と頭を悩ませていた方も多いのではないでしょうか。しかし、”完璧に登山装備を揃えないと登山に行けない”なんて気負う必要はありません。最初は手持ちのもので代用しながら、必要なものを少しづつ買いそろえて行きましょう。大切なのはしっかりと違いを理解しておくことです。しかし、荷物のチェックはぬかりなく!
ご自分の体調や体力に合った山を選び、無理のない計画で登山を楽しみましょう。
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