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タチツボスミレ

あなたは何種類知ってる?まずはこれだけ覚えたい、登山で観察できるスミレたち

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春の山を歩くと必ずと言っていいほど目にする「スミレ」。かわいらしく咲く姿に癒される花の一つです。でも、スミレっていろいろな種類があると思いませんか?それもそのはず、国内だけでも約80種類とも言われています。多すぎてとても憶えきれませんね……。

そこで今回は、野山でよく見る憶えておきたい代表的なスミレの名前と見分け方、観賞地、珍しいスミレも紹介します。

 

目次

日本中で春を告げる花「スミレ」

ツボスミレ
出典:PIXTA(ツボスミレ)

スミレ(菫)はスミレ科スミレ属の植物の総称。春になると、北海道から沖縄まで、日本全国の街の道端から山岳まで、ありとあらゆる場所に咲く身近な花です。

なお、本来「スミレ」とはホンスミレともいわれるスミレの一種ですが、一般的にはスミレ属全般のことを指すことが多いことから、本記事でもスミレ属を「スミレ」としています。

パンジーやビオラもスミレの1種

パンジー
出典:PIXTA(パンジー)

春の花壇を彩るヨーロッパ原産のパンジーやビオラもスミレの1種。スミレは世界には約400~450種あり、日本はそのうち約1/5の約80種類が存在するという、スミレが豊富な国。そして、日本の自生種はすべて多年草で、同じ場所に毎年見ることができます。

まずはこのスミレを覚えよう

こんなに身近な花ではあるものの、一目では区別がつないものが多いのもスミレの特徴です。しかし、実際に目につくのは数種類。代表的なものだけ覚えておけば、大抵は見分けることができます。

出典:PIXTA(加工:NEKOTARO)

スミレは有茎種と無茎種に分かれます。

  • 有茎種
    地上に出た茎から別の茎や葉が分岐する。茎が地面を這って、横に広がり花をつけるものもあるので、群落を作りやすい。
  • 無茎種
    根から放射状に葉や花が出る。単独でポツリポツリと咲いている事が多い。

この分類で、野山でよく見られる身近なスミレを紹介します。
その前に、知っておいたほうが、後々わかりやすいスミレの花各部の名称を紹介しておきます。

なお、見分けるポイントは細かく挙げたらキリが無く複雑になりますので、ここではシンプルに「花」と「葉」だけに注目します。

有茎種のスミレ

タチツボスミレ

タチツボスミレ
出典:PIXTA

花期:3月~4月

タチツボスミレ(立坪菫)は、北海道から沖縄まで、日本で一番よく見られるスミレです。後述する「スミレ(マンジュリカ)」と同じくらい多いですが、道端よりも公園、市街地よりも野山に多い傾向です。茎が立ち(タチ)、庭(坪:ツボ)に咲くスミレというのが名前の由来です。

タチツボスミレ花直径約1~2cm。淡い紫で、中心部が白く筋が入っている
各花弁は丸みを帯び広がる
タチツボスミレ葉先が少し尖ったハート形。つやが無い。
画像出典:PIXTA

アオイスミレ

アオイスミレ
出典:PIXTA

花期:3月~4月

アオイスミレ(葵菫)は、北海道から九州の低山や、やや湿った林でよく見られます。名前の由来は、葉の形が徳川家の家紋である「葵」に似ていることから。

一見、タチツボスミレと間違えそうですが、よく見ると違いが判ります。

アオイスミレ花直径約1~2cm。淡い紫だが中心部からの白い部分が広く、唇弁に筋がくっきりとしている。花弁は細めで角張っている。
アオイスミレ葉丸みを帯びている。中には円形のものもある。
画像出典:PIXTA

ツボスミレ(ニョイスミレ)

ツボスミレ
出典:PIXTA

花期:4月~5月

ツボスミレ(坪菫:別名ニョイスミレ)は、北海道から屋久島付近までの、やや湿った場所に咲きます。日本に自生するスミレの中では、最も花が小さなスミレ。他のスミレより、花期が少し遅いことも特徴です。

ツボスミレ花直径約1cm。白く、唇弁に紫色の筋が入る。上弁が横に広がり、花全体が横に広い。
ツボスミレ葉少し長いハート形で、切れ込みが深い。
画像出典:PIXTA

無茎種のスミレ

スミレ(マンジュリカ)

舗装の割れ目から咲くホンスミレ
出典:PIXTA(舗装の割れ目から咲くホンスミレ)

花期:暖地4月~5月、寒冷地5月~6月

スミレ属の代表的な花、種類としてのスミレです。北海道から屋久島まで、日当たりのいい市街地や公園などでよく見られます。草丈10cm程度、舗装されたアスファルトの割れ目からも顔を出すくらいど根性花。いわゆる「スミレ色」とはこの花の色を指します。スミレ属との区別のために、俗称「ホンスミレ」、学名から「マンジュリカ」ともいわれています。

マンジュリカ花直径約2cm。紫色の花弁で、全体的に濃ゆい紫の筋が入る
マンジュリカ葉尖った長い葉が根際から直立するように出ている。濃い緑色で光沢はない。
画像出典:PIXTA

コスミレ

出典:PIXTA

花期:3月~4月

コスミレ(小菫)は、北海道から屋久島まで、民家の周りや道端でも見られるスミレです。タチツボスミレに花や葉がよく似ていることから、間違える人が多いスミレですが、一番の違いは無茎であること。

名前とは違い、小さいくなく、スミレとしては普通のサイズです。

コスミレ花直径約1.5~2cm。白っぽいものから紫のものまで変化が大きい。花弁の筋が目立つ。
コスミレ葉少し長めのハート形で毛がある。4cm程度で大きい。細長くのびているものもある。
画像出典:PIXTA

マルバスミレ

マルバスミレ
出典:PIXTA

花期:3月~4月

マルバスミレ(円葉菫)は、本州から九州の山地や丘陵地に分布。日当たりがいい場所に自生します。花期の丈は5~10cm程度、花も葉も丸みがあり、白い花とともにかわいらしいスミレです。

マルバスミレ花直径約2cm。白く、唇弁の筋も小さいので、特に白さが目立つ。上弁が大きめで耳のようにも見える。
マルバスミレ葉丸いハート型で、縁のギザギザも丸い。
画像出典:PIXTA

ナガバノスミレサイシン

ナガバノスミレサイシン
出典:PIXTA

花期:3月~4月

ナガバノスミレサイシン(長葉菫細辛)は、本州から九州で雪が少ない太平洋側の湿り気のある山林に自生。日本海側には葉が短いスミレサイシンが分布します。サイシンという名は、花の後の葉がカンアオイ科のウズバサイシンに似る事から。

ナガバノスミレサイシン花タチツボスミレに似ているが、直径約2~2.5cmで少し大きめ。淡い紫から、かなり白っぽいまで幅が広い。唇弁が尖り気味。
ナガバノスミレサイシン葉細長いハート型で先端は尖っている。花の咲き始めは丸まっており、徐々に開くことが特徴。ツヤがある。
画像出典:PIXTA

よく見るスミレまとめ

有茎種

タチツボスミレアオイスミレツボスミレ
(ニョイスミレ)
タチツボスミレ花アオイスミレ花ツボスミレ花
タチツボスミレ葉アオイスミレ葉ツボスミレ葉
画像出典:PIXTA

無茎種

スミレ
(マンジュリカ)
コスミレマルバスミレナガバノ
スミレサイシン
スミレ花コスミレ花マルバスミレ花ナガバノスミレサイシン花
スミレ葉コスミレ葉ツボスミレ葉ナガバノスミレサイシン葉
画像出典:PIXTA

スミレ見るならこの山がおすすめ

前項で紹介したスミレは、日本中の野山をはじめ、市街地の公園や田んぼのあぜ道でも見かけることできますが、ここからは、特に多くのスミレが咲くと評判の山と、見ておきたい注目のスミレを紹介します。

藻岩山|北海道

藻岩山
出典:PIXTA

藻岩山(もいわやま:標高531m)は、札幌市中心部からすぐ近く、ロープウェイやケーブルカー、展望台などが整備された、札幌市民や観光客の行楽地になっている山。自然豊かで、春には各種のスミレが咲く山として知られ、スミレ類の宝庫ともいわれています。

注目のスミレ|エゾノタチツボスミレ(有茎種)

エゾノタチツボスミレ
出典:PIXTA

花期:4月下旬~6月

エゾノタチツボスミレ(蝦夷立坪菫 別名 イヌスミレ)」は、北海道で特に多く見ることができます。草丈高さ20cmから40cm程度で高いのが特徴。草丈に比べ花が小さめです。

エゾノタチツボスミレ花直径約1.5~2cm程度の白色または淡紫色。上弁が反り返っているのが特徴。
エゾノタチツボスミレ葉先は鋭くとがり、毛があるものが多い。
画像出典:PIXTA

高尾山|東京都

高尾山
出典:PIXTA

東京の大人気スポットの高尾山(たかおさん:標高599m)は、スミレの宝庫として有名。半日歩くと、代表的なスミレのほとんどを見ることができるほどです。

注目のスミレ|タカオスミレ(無茎種)

タカオスミレ
出典;PIXTA

花期:4月上旬~5月上旬頃

高尾山で最初に発見された「タカオスミレ(高尾菫)」は、半日陰の場所で多く見られます。全国で見ることができますが、高尾山に特に多く咲きます。草丈は約5~12センチくらい。

タカオスミレ花直径約1.5~2cm程度。白く、唇弁に紫色の筋が入っている。
タカオスミレ葉長い卵型の葉で、花の咲き始めは紫色。その後、緑色になる。紫色の時は見分けやすい。
画像出典:PIXTA

三ッ峠山|山梨県

三ッ峠山
出典:PIXTA

山頂からの富士山の眺望で人気の「三ッ峠山(みつとうげやま:標高1,785m)」は、春は多くのスミレが見られることで、たくさんの登山者が訪れます。

注目のスミレ|キバナノコマノツメ(有茎種)

キバナノコマノツメ
出典:PIXTA

花期:6月~8月

多くのスミレが咲く中、黄色い花でひときわ目を引くのが「キバナノコマノツメ(黄花の駒の爪)」。このスミレを目当てに登山する人も多くいます。北海道から中部以北、四国山地や屋久島の亜高山帯以上など、冷涼なエリアに分布。湿った草地や沢沿いに生育します。スミレらしくないこの名前は、黄色い花で葉の形状が馬の蹄(駒のツメ)似ていることから。

キバナノコマノツメ花直径約1.5~2cm程度で鮮やかな黄色。唇弁は長く褐紫色の筋、上弁と側弁がそり返るのが特徴。
キバナノコマノツメ葉丸く縁が波上の鋸葉。光沢は無い。
画像出典:PIXTA

比叡山|京都府・滋賀県

比叡山
出典:PIXTA

平安時代の僧「最澄」により開かれた延暦寺で知られる比叡山(ひえいざん:標高848m)は、京都一周トレイルのコースに含まれている登山でも人気の山です。

比叡山にはたくさんの種類のスミレが咲きますが、なんといってもエイザンスミレ。比叡山で多く見られたことが由来ですが、近年、減少しているということです。

注目のスミレ|エイザンスミレ(無茎種)

出典:PIXTA

花期:4月~5月

エイザンスミレ(叡山菫)は、本州から九州、低山の半日陰に生育します。名前は比叡山で多く見られたことが由来。特徴はなんといっても、スミレの葉らしくない深く切れ込んだ葉。すぐにわかるスミレの1つです。

エイザンスミレ花直径約2~2.5cmで少し大きめで薄いピンク色。まれに白花もある。
エイザンスミレ葉鳥足状に3つに裂け、さらに3つに裂けている。他のスミレとはあきらかに違う葉で、葉だけを見るとスミレとは思えない。
画像出典:PIXTA

六甲山系|兵庫県

六甲山
出典:PIXTA

関西屈指の人気の山のスミレ

関西の人気の山「六甲山系(ろっこうさんけい:最高峰 摩耶山 標高931m)」もスミレの名所です。六甲山系には日本のスミレの約半数が生育しているとも言われいます。

注目のスミレ|シハイスミレ(無茎種)

シハイスミレ
出典:PIXTA

花期:3月~5月

六甲山を代表するスミレは「シハイスミレ(紫背菫)」。高さは5〜8cmぐらい、中部以西の本州から九州に生育し、特に近畿で多く見られるようです。早春、他の花に先立ち鮮やかな紫色の花を咲かせ、よく目立ちます。名前の由来は、葉裏が紫色を帯びていることから。

シハイスミレ花直径約1.5cm、淡紅紫色や濃紅紫色。
シハイスミレ葉細長い三角型。表面は濃い緑色で光沢がある。裏面は名前の由来になったように、薄く紫を帯びている。
画像出典:PIXTA

珍しいスミレが自生する山やエリア

ここまでは、よく見るスミレを紹介しました。ここからは、いつかは見てみたい、珍しいスミレが自生する山やエリアを紹介します。

知床連山|北海道

知床連山
出典:PIXTA

世界遺産にも登録されている知床連山(しれとこれんざん:最高峰 羅臼岳 標高1,661m)」は、原始林が残る火山と自然の宝庫です。

シレトコスミレ(有茎種)

シレトコスミレ

花期:7月~8月

知床のみに分布するスミレが「シレトコスミレ(知床菫)」。しかも、標高が高い砂礫地の一部にしか生育しておらず、非常に貴重なスミレです。北海道版レッドデータブックで絶滅危急種にも指定されています。草丈は5~10cmです。

シレトコスミレ花直径約1.5cm、白い花弁の中心部が淡い黄色。
シレトコスミレ葉丸みがあり、先が少し尖ったハート形。厚みがあり光沢は無い。
画像出典:PIXTA

秋田駒ヶ岳|秋田県

秋田駒ヶ岳
出典:PIXTA

秋田駒ヶ岳(あきたこまがたけ:標高 1,637m)は、東北有数の高山植物の宝庫。ここには珍しい高山植物のスミレが自生しています。

タカネスミレ(有茎種)

タカネスミレ
出典:PIXTA

花期:6月~8月

タカネスミレは、東北地方の秋田駒ヶ岳や岩手山・薬師岳・焼石岳に分布。高山帯の砂礫地に群落をつくります。高さは5~12cmで、地下に茎を張り横に広がり、時に大群落を作ることもあり圧巻です。キバナノコマノツメとよく似ていますが、葉に厚みがあり光沢があるのがタカネスミレです。

タカネスミレ花直径約1.5~2cm程度で鮮やかな黄色。唇弁は横広く褐紫色の筋が入っている。
タカネスミレ葉丸く縁が波上の鋸葉。厚みがあり光沢がある。
画像出典:PIXTA

屋久島|鹿児島県

屋久島 宮之浦岳
出典:PIXTA

縄文杉で有名な世界遺産の屋久島(やくしま:最高峰 宮之浦岳:標高1,936m)にも、このエリアだけのスミレがあります。

ヤクシマスミレ(無茎種)

ヤクシマスミレ
出典:PIXTA

花期:4月~5月

ヤクシマスミレ(屋久島菫)は、屋久島、徳之島、沖縄島北部に分布する南西諸島固有種のスミレ。高さは2~4cmで、渓流の湿った岩上や、うっそうとした林の中に生育します。全体的に小柄で、白く細い花弁が特徴。植物学者の牧野富太郎博士が屋久島で発見したスミレです。

ヤクシマスミレ花直径約1~1.5cm程度。花弁は白く唇弁と側弁に紫色の筋が入る。
ヤクシマスミレ葉葉は花より小さく、三角形やハート型。濃い緑色で光沢はない。
画像出典:PIXTA

スミレを覚えて春の山へ

タチツボスミレ
出典:PIXTA

身近なスミレから貴重なスミレまで、15種類のスミレを紹介しました。日本には約80種類のスミレがあるということなので2割弱ですが、個体数で考えると、ここで紹介しているスミレで、かなりの割合を占めています。

スミレ属の花は日本の春の山では確実に見ることができる花。まずはここで紹介したスミレを覚えて、春の山を楽しみましょう。