安倍晋三元首相銃撃事件が社会に与えた影響は…要人警護強化、旧統一教会に解散命令
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2022年7月、安倍晋三・元首相(当時67歳)が奈良市で街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人罪などで起訴された山上徹也被告(45)の裁判員裁判が28日午後2時、奈良地裁で始まる。判決は2026年1月21日。

国葬への賛否で分断
山上被告は、母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に多額の献金をつぎ込み、家庭が崩壊したことで教団に恨みを募らせたとされる。
事件後、教団への批判が高まり、教団と接点があった現職大臣が辞任に追い込まる事態にも発展した。

2022年9月には、安倍氏の国葬が営まれたが、その実施を巡り、国民の間で賛否が分かれた。国葬当日には、会場の日本武道館周辺などでは反対派のデモや、賛成派との激しい口論などが起きた。
「要人警護体制」を見直し、AIやドローンの活用
事件を受け、要人警護体制は大幅に見直された。事件翌月の2022年8月、警察庁は、要人警護のあり方を定めた「警護要則」を改正し、都道府県警の警護計画案を警察庁が事前審査する制度を導入した。警戒用ドローンも全国配備した。一人で過激化するローン・オフェンダー対策を強化するため、情報収集は従来の「縦割り」も廃した。各都道府県警は2024年4月、刑事、生活安全、地域の各部が参加する連絡会議を設置し、捜査や住民相談、地域巡回で把握した事件の兆しを、警備部門に集約する新体制を整えた。
銃対策では、警察庁は銃や爆発物の製造に関する情報収集にAI(人工知能)を用いた検索システムを導入。2024年6月には、手製銃や猟銃の規制を強化する改正銃刀法が成立し、ネット上で銃の不法所持をあおるような行為が罰則付きで禁止された。
「宗教2世」の救済と、教団の存続の行方は

教団による高額献金被害が明らかになり、2023年4月、法人・団体による悪質な寄付の勧誘を防ぐ「不当寄付勧誘防止法」が施行された。同じ年の10月には教団に政府は解散命令を東京地裁に請求。東京地裁は、教団を宗教法人として存続させるのは不適切と判断し、2025年3月に解散命令を出した。教団は即時抗告し、年内にも東京高裁の即時抗告審で、改めて命じるかどうかを判断するとみられる。

親の信仰で苦しむ「宗教2世問題」もクローズアップされ、2023年12月には被害者救済を目的に「財産管理特例法」も成立。文化庁は2024年3月、教団を「指定宗教法人」に指定し、国が財産処分への監視を強めている。教団に賠償を求める被害者の中には、集団交渉に至っていない人が相当数がいると見られる。




























