安倍晋三元首相銃撃事件とは…元首相の振り向きざま、山上徹也被告は2発目の銃弾を放った
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2022年7月、安倍晋三・元首相(当時67歳)が奈良市で街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人罪などで起訴された山上徹也被告(45)の裁判員裁判が28日午後2時、奈良地裁で始まる。判決は2026年1月21日。
背後から銃声

事件は2022年7月8日午前11時31分頃、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で発生した。
安倍元首相が参院選の応援演説中、後方から突然銃声が鳴り響いた。安倍氏が振り向いた瞬間、背後にいた男が2発目を放った。銃弾は安倍氏に命中し、午後5時3分頃、安倍氏は救急搬送先で死亡した。

当時の映像によると、現行犯逮捕された山上被告は街頭演説中、安倍氏から十数メートル離れた歩道にいた。ゆっくりと安倍氏の背後に回り、かばんから手製の銃を取り出すと、安倍氏の後方約7メートルの位置から1発目を発砲。さらに数歩前進し、安倍氏まで約5メートルの至近距離まで迫って2発目を撃った。その間、約2・7秒だった。
「最初は爆弾を」

逮捕当時の奈良県警への取材によると、山上被告は事件前年の秋頃に安倍氏の殺害を決め、武器を自宅で作り始めたと供述している。
山上被告は「最初は爆弾を作ろうとしたが、ピンポイントで殺せる銃にし、(事件を起こした年の)春頃に完成させた」とも述べていたという。
銃撃現場から押収された手製銃は、長さ約40センチ、高さは約20センチ。捜査関係者によると、山上被告は動画投稿サイト「ユーチューブ」で手製銃の作り方を調べ、材料もネットで購入したという。自宅の捜索からは、似た構造の手製銃が数丁見つかった。
また、山上被告は事件前日に奈良市内にある世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が入る建物に向け、手製の銃の試し撃ちをしたと供述していた。その日の夜には、安倍氏を襲おうと、岡山市の演説会場にも手製銃を持って訪れていた。
山上被告は2023年1月と3月、殺人と武器等製造法違反、銃刀法違反、火薬類取締法違反、建造物損壊罪の五つの罪で起訴されている。
奈良県警の警備
事件後、奈良県警の警備態勢が問われた。
警察庁の報告書では、演説場所は周囲360度ひらけた危険性の高い場所だった。現場には警察官十数人が配置され、安倍氏の直近には警視庁の警護員(SP)1人を含む警護員4人がいた。このうち県警の1人が元々、後方の警戒を担当していたが、前方の聴衆が多かったことから別の警護員の指示で主に前方を警戒するよう変更。この際、他の警護員に後方を警戒させるなどの対応が取られず、後方に空白が生じた。
さらには事前の計画段階で、警護上の危険について十分な検討を行っていなかったこともわかっている。
これらの責任を取って、当時の警察庁長官と奈良県警本部長が辞任している。




























