地中海性気候
「地中海性気候」とは、地中海沿岸地域に多く見られる温暖な気候のことを意味する日本語表現である。
「地中海性気候」の基本的な意味
「地中海性気候」は、特にヨーロッパの南の国々に見られる温帯気候のひとつである。世界の気候を表すケッペンの気候区分では、Csとなる。地中海式気候、あるいは温暖夏季少雨気候ともいう。ヨーロッパの地中海沿岸地域に代表される気候のため、地中海性気候と表現されることが一般的だ。地中海性気候に代表される国々はイタリア・フランス・スペイン・ポルトガルなどで、同じ国でも気候が違うことがある。イタリアの場合は、北部だと温暖湿潤気候へと変わる。そのため、北部の都市と南部の都市の文化や産業の違いが大きい。他にもアフリカの北部やアメリカ、オーストラリアの一部の地域にも地中海性気候が見られる。「地中海性気候」の語源・由来
「地中海性気候」の地中海は、ラテン語のmedius(真ん中)とterra(大地)を合わせたmediterraneus(大地の真ん中)からきていることに由来する。地中海に接する周りの国々の言葉でも「偉大なる海」や「我らが海」というように様々な呼ばれ方をしてきた。近年では、周辺地域の日常会話で話すときには略語のThe Medを共通語として用いられている。この地域に特徴のある気候であることから、日本語では地中海性気候と表現する。「地中海性気候」の特徴
ドイツの地理学者の「ウラジミール・ペーター・ケッペン」は、降水量を示す雨温図や植物の分布に着目して地球上の気候を分類した。ケッペンの気候区分と呼ばれており、大まかに5つの気候に分類される。赤道を中心に北極や南極にかけて異なる気候を、アルファベットAからEの大文字で表している。さらに小文字で夏冬の雨の状態を表す2つを組み合わせることによって、どのような気候であるかが分かるようになっている。「地中海性気候」はケッペンの気候区分ではCsで温帯を表すCと夏に乾燥しているs(summer)の組み合わせなので、地中海性気候の大きな特徴は、夏季に雨が降らないことだ。冬は比較的温暖で降水もあり、夏は気温が高いが乾燥している。そのため、暑さをあまり気にせず過ごすことができるのでリゾート地が多い。反面、水がとても貴重な存在だ。地中海沿岸の土壌は、石灰岩の風化によってできた赤紫色のテラロッサが広く分布している。他の地域では、夏に枯れた草などが腐食することによりできる赤黄色地がある。地中海性気候で育つ植生は独特で、硬葉樹と呼ばれる種類である。代表的なのは、オリーブやコルク樫だ。本来ならば植物が成長する季節は夏であり恵みとなる水がたくさん必要となるが、夏に水の少ない地中海性気候の中で育つために広葉樹の一部が乾燥から守れるように葉を厚くして水分を蓄えるように進化した。またイチジクやブドウなどの果樹やオレンジなどの柑橘類の栽培も盛んで、大麦や小麦の穀物と組み合わせた「地中海式農業」が特徴である。
「地中海性気候」の使い方・例文
「地中海性気候」は、気候の特色や地域の特徴を表すものに用いられることが多い。・地中海性気候は、夏に雨が降らない温暖な気候である。
・カラッとした地中海性気候は、とても過ごしやすい。
・地中海性気候はブドウが良く育つから、ワインが特産である。
・ペンギンで有名なケープタウンも地中海性気候だ。
・乾燥に強いオリーブは、地中海性気候にマッチした植物だ。
・地中海性気候の地域には有名なリゾート地があるので、バカンスに訪れる観光客が多い。
・一年中温暖な古い港町のマルセイユも、地中海性気候に属している。
・南ヨーロッパでは、地中海性気候を利用した地中海式農業が盛んである。
・世界には珍しい高地地中海性気候が存在する。
・南フランスのコート・ダジュールは保養地として栄えている。
「地中海性気候」の英訳
「地中海性気候」を英語に訳する場合、Mediterranean climateと表現される。Mediterraneanは「地中海」、climateが「気候」である。ちちゅうかいせい‐きこう【地中海性気候】
地中海性気候
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/11 09:31 UTC 版)
地中海性気候(ちちゅうかいせいきこう、Mediterranean climate)とはケッペンの気候区分における気候区のひとつで温帯に属する。記号はCsa,Csb,CscでCは温帯、sは夏季乾燥(sommertrocken)を示す。
- 1 地中海性気候とは
- 2 地中海性気候の概要
「地中海性気候」の例文・使い方・用例・文例
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