乗りかかった船  乗りたかった船

今回の広島大の出題ミス。
私は乗り掛かった船なので、納得いくまで大学には照会していますが、教育に携わる、教育で人をテストする側の人の反応の薄さには萎える…。

次の一連の写真を見て下さい。
これは今春の広島大・後期の第5類の小論文で、全て正しい資料だと思われます。多分、ですけど。

令和7年度 広島大学一般選抜(後期日程)、総合型選抜外国人留学生型3月実施の「問題」及び「解答例等」
教育学部 第五類(人間形成基礎系) 心理学プログラム
https://www.hiroshima-u.ac.jp/system/files/254992/03km-kyoiku-shinri_r7.pdf




でも、例えば、もしも、この図2のグラフで、40代の男女が回答している数値が逆転して示されていたら、受験生は何をどう考えたらいいですか?
例えばこんな風に。

その他のグラフでの年代ごとの分布と比べたときに、この部分だけ、その歪さの理解に困りますよね?
そして、そもそも作問時に、グラフを作っている人自身がその異様さに気付きますよね?

今回の広島大の英語のグラフに基づくライティング問題でのミスって、そういうレベルのミスだと思うんですよ。

もしも先の「小論文」の出題で、そんなミスがあれば設問そのものが成立しないでしょうし、「一部誤ったデータに基づいて作成されたグラフでも解答は可能」と出題&評価側が言うのがいかに不合理で傲慢なことか分かるでしょう。
では、なぜ、英語のお題作文では、そのミスが許されて、その設問が問いとして成立する?

受験指導、入試対策に熱心な高校の英語の先生も、予備校の先生も、こういうところに、驚くほど興味関心が薄いじゃないですか。
私が入試対策をゴールとした英語指導に躍起になるのが大嫌いなのはそういうところですよ。

私が広島大・前期日程の当該の受験生で、先のグラフ問題で考えてしまったが故に失敗したとしたら、泣くに泣けないと思うんですよ。志望校なんですから。
それこそ、

  • 乗りたかった船

です。 

まあ、

  • 「犬は鳴いてもキャラバンは進む」

って言いますから、今日の気になる語法でも書いておきますか。

MLB(米国の大リーグ)の開幕戦が日本で開かれたので、一部大騒ぎになっていますね。
もう2試合とも終わって、両チームとも帰国するんだと思いますが、その直前の公式練習辺りの記事から。

開幕戦の終了後に投稿し忘れの記事を。
私の場合はニュース英語に偏っているのでよく見聞きするけど、競技スポーツの中継などで解説する専門家が
color commentator(s)
名詞colorの形容詞転用で主として北米のメディアの語法。この名詞の語義も動詞の「彩色する;彩を豊かにする」から来ているのかな。

元ツイはこちら。

Former Dodgers pitcher Hiroki Kuroda here at the Tokyo Dome as a color commentator. He had a chance to catch up with his old catch partner, Clayton Kershaw.


元ドジャース投手の黒田博樹氏が解説者として東京ドームに登場。かつての捕手仲間のクレイトン・カーショー氏と再会する機会を得た。

この名詞colorの語義はMW’sの一般用辞書が分かりやすく説明してくれている(項目の10)けれど、その用例にcolor commentatorをあげると堂々巡りになってしまうのでは?

ランダムハウス英和 vs リーダーズ英和 で color commentator

ランダムハウス
に載っているのですから、1980年代には、もう使われていたということでしょうか。

color commentatorの他には color man (今では公的には憚られる?) color analyst (フットボールやバスケットボールの記事でよく出てくる) などとも言われます。

RH英和でcolorcaster、G大でcolor man

Collins (英)でcolour commentator、Wisdom英和で color analyst

ざっくりと検索。
特に間違いやすいのはcolor analystだと思う。

NOW

GLOWBE

ベンチマークとしてCOCA
spokenの実例がそれほど多くないことが見て取れる。

NOWでfootballを語る場面で使われている例。
fashion designでのcolor analysisを専門に行う人、という意味ではない生息域を確認。

“color analyst” の実例を少し拾っておきましょう。

I had the great pleasure to do a season of the Big East football Conference game of the week with Coach Mac as my color analyst. It was an unforgettable experience. Also grateful for the 3 years I spent as a friend & colleague of the great Sean McDonough at @NESN in the mid 80’s


私は、コーチ・マックを解説者として、ビッグ・イースト・フットボール・カンファレンスの週の試合を担当する素晴らしい機会に恵まれました。忘れられない経験でした。また、80年代半ばに@NESNで偉大なショーン・マクドノーの友人および同僚として過ごした3年間にも感謝しています。

RIP Mike Haffner
Denver #Broncos receiver of the late-1960s, and later an NFL and college football color analyst for NBC Sports


マイク・ハフナー安らかに
1960年代後半のデンバー・ブロンコスのレシーバーで、その後NBCスポーツでNFLと大学フットボールの解説者を務めた

The work speaks for itself
2x #WNBA All-Star for the Los Angeles Sparks @chiney continues to make her mark as an NBA Analyst, (NBA Today and NBA Countdown), In-Studio Host, and NBA Color Analyst
Good luck this szn, we are rooting for you


仕事ぶりが物語っています
ロサンゼルス・スパークスのオールスターに2回選出された#WNBA @chineyは、NBAアナリスト(NBA TodayとNBA Countdown)、スタジオ司会者、NBAカラーアナリストとして活躍を続けている。
今シーズン頑張ってください。応援しています。

ただ選手と人脈があるとか、面白おかしく喋るだけじゃなく、専門性も問われるわけです。

日本の英語教育界隈で “color analysts” に相当する人ってイマドキだと誰になるんですかね?

本日はこの辺で。

本日のBGM: イメージの詩 (浜田省吾)

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