DC-DCコンバータ|応用編
フローティング動作のリニアレギュレータを使った電源設計のポイント リニアレギュレータの出力リップル電圧増加の防止
2023.01.10
この記事のポイント
・出力電圧が高くなるにつれてICのリップル除去比が悪化する。
・対策としてADJ端子とグラウンド間にコンデンサを付加する手法がある。
リニアレギュレータは、入力のリップル電圧が出力に現れる率を低減するリップル除去特性を持っています。これは、リップル除去比(Ripple Rejection Ratio)として、基本的にデータシートに仕様値やグラフが示されています。今回は9つ目の項目の説明になります。
- 例として使うリニアレギュレータICについて
- フローティング動作リニアレギュレータICによる電源回路例
- 出力電圧設定方法
- ロードレギュレーションとケルビン接続
- 出力電圧誤差
- 入出力電圧差と過渡応答およびリップル除去比の関係
- 出力コンデンサに関する注意点
- 入力コンデンサに関する注意点
- 出力リップル電圧増加の防止
- 負荷と起動に関する注意点
- 効率の求め方
- 熱設計
- 端子保護
- 起動特性
- オフ時の特性
- 突入電流
- 過電流保護(OCP)
- 過熱保護(TSD)
- 等価回路
フローティング動作リニアレギュレータの出力リップル電圧増加の防止
これは、ADJ端子を持つフローティング動作のリニアレギュレータに関する内容になります。出力電圧が高くなるにつれて入力リップルが増幅されるため、ICのリップル除去比が悪化します。この対策として、ADJ端子とグラウンド間にコンデンサCADJを付加することでリップルの増幅を抑え、リップル除去比の悪化を防止することができます。
リップル除去比の悪化を防止するには、以下の式が示すように、すべてのリップル周波数でCADJのインピーダンスがR1よりも低い必要があります。
以下は、BA1117のCADJとリップル除去比の変化を示したグラフで、CADJの効果が確認できます。
DC-DCコンバータ
基礎編
- 電源回路の定番7方式: 低雑音型から昇圧型まで!
- 昇圧型DC-DCコンバータのシャットダウン時の動作
- 昇圧電源の出力でのスイッチングノイズの低減 -はじめに-
- 昇圧型DC-DCコンバータの出力リップル電圧 -はじめに-
- 昇圧電源の負荷短絡によるトラブルと保護回路 -はじめに-
- 昇圧型DC-DCコンバータの最大出力電流 -はじめに-
- リニアレギュレータの基礎
- スイッチングレギュレータの基礎
- DC-DCの基礎 ーまとめー
設計編
評価編
-
損失の検討
- 同期整流降圧コンバータの制御IC消費電力損失
- 同期整流降圧コンバータのデッドタイム損失
- 同期整流降圧コンバータのゲートチャージ損失
- インダクタのDCRによる導通損失
- 電源ICの電力損失計算例
- 定義と発熱
- 同期整流降圧コンバータの損失
- 同期整流降圧コンバータの導通損失
- 同期整流降圧コンバータのスイッチング損失
- 損失の簡易的計算方法
- パッケージ選定時の熱計算例 1
- パッケージ選定時の熱計算例 2
- 損失要因
- スイッチング周波数を高めて小型化を検討するときの注意
- 高入力電圧アプリケーションを検討するときの注意
- 出力電流が大きいアプリケーションを検討するときの注意 その1
- 出力電流が大きいアプリケーションを検討するときの注意 その2
- 損失の検討 ーまとめー
- スイッチングレギュレータの特性と評価方法の概要
- 電源ICのデータシートの読み方:表紙、ブロック図、絶対最大定格と推奨動作条件
- スイッチングレギュレータの評価:出力電圧
応用編
- リニアレギュレータを使った電源設計のポイント
- LDOリニアレギュレータの並列接続とは
- リニアレギュレータの簡易的な安定性最適化方法
- 汎用電源ICで電源シーケンスを実現する回路
- リニアレギュレータを使った電源が起動しないトラブル事例1:手はんだによるICおよび周辺部品の破損
-
フローティング動作のリニアレギュレータを使った電源設計のポイント -はじめに-
- 例として使うリニアレギュレータICについて
- フローティング動作リニアレギュレータICによる電源回路例
- リニアレギュレータICの出力電圧設定方法
- ロードレギュレーションとフローティング動作リニアレギュレータのケルビン接続
- リニアレギュレータICの出力電圧誤差
- リニアレギュレータICの入出力電圧差と過渡応答およびリップル除去比の関係
- リニアレギュレータの出力コンデンサに関する注意点
- リニアレギュレータの入力コンデンサに関する注意点
- リニアレギュレータの出力リップル電圧増加の防止
- リニアレギュレータの負荷と起動に関する注意点
- リニアレギュレータの効率の求め方
- リニアレギュレータの熱設計:ジャンクション温度の見積もり
- リニアレギュレータの端子保護
- リニアレギュレータの端子保護:出力電圧が入力電圧より高くなる場合
- リニアレギュレータの端子保護:出力負荷が誘導性の場合
- リニアレギュレータの端子保護:入力電源極性逆接続の可能性がある場合
- リニアレギュレータの端子保護:ホットプラグを想定する場合
- リニアレギュレータの端子保護:異電源間に負荷が存在する場合
- リニアレギュレータの端子保護:正負電源(両電源)の場合
- リニアレギュレータの起動特性
- リニアレギュレータの電源オフ時の特性
- リニアレギュレータの突入電流
- リニアレギュレータの過電流保護(OCP)
- リニアレギュレータの過熱保護(TSD)
- リニアレギュレータの等価回路
- フローティング動作のリニアレギュレータを使った電源設計のポイント -まとめ-
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