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抵抗器を使うLEDの点灯回路(1)


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9月も終わりですね。

電子工作のお話です。

『プリント基板についてる部品』

『ブレッドボードの説明です』

『定電流ダイオードを使うLEDの点灯回路』

前回の記事では、“定電流ダイオード (CRD)” を用いて発光ダイオード (LED) を光らせる方法を紹介しました。

定電流ダイオードと抵抗器

今回は、“抵抗器” を使ったLEDの点灯回路です。残念ながら、計算が必要となります。

抵抗器とは

抵抗器とは、電気回路の抵抗 (電気抵抗) を大きくするための部品です。

抵抗を大きくする目的は、ほかの部品 (LEDなど) に電圧がかかり過ぎないようにしたり、電流が流れ過ぎないようにするためです。

とくに、LEDの点灯回路においては、“電流制限抵抗” と呼ばれることがあります。
LEDを含む回路の抵抗を大きくし、電流を流れにくくするのが、電流制限抵抗の役目です。

抵抗器を使ったLED点灯回路には、次の特徴があります。

  • 安価 (種類によるが、ひとつ10円以下)
  • 最大電力が大きい。
  • △抵抗値の計算が必要
  • △電圧によって電流 (明るさ) が変化する
  • △LEDの個数を変えるたびに抵抗も変える必要あり
  • △電圧降下の分は電力の損失となる

作りたい回路によって、抵抗器と定電流ダイオードを使いわけます。

抵抗値について

適当な抵抗器を選ぶうえで重要なのが、抵抗値と定格電力です。
まずは、抵抗値について説明します。

一般的な抵抗器には固有の抵抗値が決められており、その大きさを “Ω”(オーム) という単位で示します。
このオームの値が大きいほど、抵抗器の抵抗は大きく、電流は流れにくくなります。

抵抗値は、抵抗器本体の “カラーコード” から読み取ります。

有効数字 乗数 許容差
(無) - - ±20%
- 10-3 (=1mΩ) -
- 10-2 (=10mΩ) ±10%
- 10-1 (=100mΩ) ±5%
0 100 (=1Ω) -
1 101 (=10Ω) ±1%
2 102 (=100Ω) ±2%
3 103 (=1kΩ) ±0.05%
4 104 (=10kΩ) ±0.02%
5 105 (=100kΩ) ±0.5%
6 106 (=1MΩ) ±0.25%
7 107 (=10MΩ) ±0.1%
8 108 (=100MΩ) ±0.01%
9 109 (=1GΩ) -

なかなかボリューミーな表ですが、本体のカラーコードの色と、表にある値から抵抗値を計算します。(単位の読み方や乗数は下の付録を参照のこと)

抵抗器

上の写真の左の抵抗器は、“ (だいだい) ・橙・茶・金” となっています。

このように、カラーコードが4本の場合は、左から2本が有効数字 (二桁)、3本目が乗数、4本目が許容差を表します。

ということで、“橙・橙・茶・金” は、
33 × 10 ^1 = 33 × 10 = 330[Ω](±5%)
となります。

右のように、カラーコードが5本の場合、左の3本が有効数字 (三桁)、4本目が乗数、5本目が許容差です。(5本目はすこしだけ太い)

よって、“橙・橙・黒・黒・茶” は、
330 × 10 ^0 = 330 × 1 = 330[Ω](±1%)
となります。

もうすこし詳しい話をすると、上の2つの抵抗器は種類が違います。

左は “炭素皮膜抵抗器 (カーボン抵抗器)” といって、安価ですが、許容差が大きい (精度が低い) です。

右は、“金属皮膜抵抗器”(通称・キンピ) といって、許容差が小さく、高価です。

ぶっちゃけ、LEDの点灯回路に許容差は気にしなくていいです。

付録として、乗数と単位の表を載せておきます。

乗数 接頭辞
10-3 0.001 m (ミリ)
100 1 -
103 1,000 k (キロ)
106 1,000,000 M (メガ)
109 1,000,000,000 G (ギガ)

3桁ごとに、ミリオーム、オーム、キロオーム、メガオーム (メグオーム)、ギガオームとなります。

定格電力について

抵抗器では、抵抗と電流に応じた熱が発生します。
発熱量が放熱量を上回ると、抵抗器は焼けて壊れてしまいます。

そのため、抵抗器には定格電力が決められています。

定格電力の単位は “W (ワット)” であり、“1W” や “1/4W” のように表示されます。

呼び 定格電力
2W 2W
1W 1W
1/2W 0.5W
1/4W 0.25W
1/6W 0.166W
1/8W 0.125W

主な定格電力は上のとおりです。ただし、抵抗器本体から定格電力を見分けるのは難しいです。

LEDの仕様

電流制限抵抗の抵抗値を計算するためには、LEDの仕様の確認が必要です。

LEDの仕様は 、メーカーが発行する “データシート” に記載されています。

Item Condition Value Unit
If - 30 mA
Vf (If=20mA) 2.1 V

抵抗値の計算に必要なのは、LEDの標準電流と、“Vf”(順方向電圧)” です。

上の例では、標準電流が20mA (ミリアンペア)、Vf”(順方向電圧)が2.1V (ボルト) です。

  • 標準電流:メーカーが推奨する電流値。これを超えると寿命が短む
  • 順方向電圧 (Vf):LEDの点灯に必要な電圧
  • 順方向電流 (If):LEDに流してよい最大の電流であり、超えると焼損する。

データシートがないときや、調べるのが面倒なときのために、目安の値を書いておきます。あくまで目安です。

市販されているLEDは、標準電流が15〜20mAというものが多いです。

順方向電圧 (Vf) は発光色によって異なり、赤,橙,黄,黄緑が1.8〜2.1V程度、青緑,青,紫,白が2.8〜3.4V程度です。
紫外線 (UV) は、3.4V程度が多いです。

LEDの標準電流と順方向電圧 (Vf) が定まったら、いよいよ計算です。

抵抗器の選び方と計算

LED点灯回路の電流制限抵抗の抵抗値は、以下の式で求められます。

電流制限抵抗の計算式

ここで、Rは電流制限抵抗の抵抗値、Vは電源の電圧、Vf1+Vf2+…+VfnはLEDの順方向電圧 (Vf) の合計、Iは回路の電流です。

順方向電圧 (Vf) の合計ですが、LEDを直列につないだときは、それぞれの順方向電圧 (Vf) を足していきます。LEDが1つだけなら、そのLEDの順方向電圧 (Vf) だけです。

回路の電流は、LEDに流したい電流です。LEDが直列のときは、すべてに同じ電流が流れます。

具体的には、1mA以上で、標準電流以下の値にすることが多いです。
電流が大きいほど明るくなりますが、消費電力や発熱も大きくなります。

電源電圧は、リチウム一次電池が3V,USBが5V,整流後のコンセントが141Vです。(ってコンセントは危険なのでやめましょうね)

ソーラー発電に使う鉛蓄電池は1つ14.4Vですが、回路によっては、ソーラーパネルの公称開放電圧 (Voc) である22V程度が発生する場合があります。
この場合、抵抗の値を見直して電流を抑えるか、定電流ダイオードを使ってください。

例えば、電源電圧が14.4V、LEDが2つで順方向電圧 (Vf) がそれぞれ1.8Vと3.4V、電流を15mAとすると、必要な電流制限抵抗は、
{14.4 - (1.8V + 3.4V)} / 0.015 = 613[Ω]
となります。

しかしながら、613Ωという抵抗器はないので、近い値である620Ωというのを選びます。(E24系列の場合)
計算の結果より小さい値の抵抗器を使うときは、LEDの標準電流を超えないように注意が必要です。

この回路の例は、またあとで使います。

消費電力の計算と定格電力

最後に、抵抗器での消費電力が定格電力に収まるかを計算します。それによって、適当な定格電力の抵抗器を選びます。

“ジュールの法則” のうち、電圧と抵抗を使うパターンがわかりやすいです。わざわざ電流を求めなくてよいので。

発熱の式

6番の式に、抵抗器にかかる電圧と、抵抗値を代入します。
ここの抵抗値は、実際に使う抵抗器の抵抗値です。(上の例なら、613Ωではなく620Ωということ)

では、電源電圧14.4V、LEDの順方向電圧 (Vf) が1.8Vと3.4V、電流制限抵抗が620Ωのとき、抵抗器での消費電力は、
{14.4 - (1.8V + 3.4V)} ^2 / 620 = 0.137[W]
と求まります。

厳密には、回路の電流によってLEDの順方向電圧 (Vf) も変化するのですが、微小ですから無視してかまいません。

で、0.137Wなので、定格電力が “1/4W (0.25W)” 以上の抵抗器を選ぶとよいです。(およそ2〜2.5倍)
“1/6W (0.166W)” は、ちょっとギリギリですので。

まとめ

  • LEDの標準電流と順方向電圧 (Vf) を確認
  • 上記の値と電源電圧より、電流制限抵抗の適当な抵抗値を求める
  • 計算結果に近い値の抵抗器を選ぶ
  • 電流制限抵抗での消費電力を計算する
  • 定格電力に余裕のある抵抗器を選ぶ

抵抗器は安いのですが、以上のように計算が超メンドイです。

さて、本当は、回路を作って実際に点灯させたお話をしたいのですが、記事が長いので、前編と後編に分けさせてください。

ということで、次回こそは抵抗器を使ったLED点灯回路と、定電流ダイオードとの比較です。

『抵抗器を使うLEDの点灯回路(2)』

閲覧ありがとうございました。

    2022-10-12
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プロフィール

しゅう

Author:しゅう
1991年北海道三笠市生まれ。プロフィール

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