プリント基板についてる部品
- 2022/09/08
- 20:19
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昨今、節約思考や環境意識の高まりから、“修理する権利” が注目されています。
修理する権利は、製品のメーカーや修理店を通さず、“ユーザ自身が修理できる選択肢を” という考え方です。なんとも欧米らしいですね。
修理する権利が保障されているアメリカでは、商品情報の公開と、部品の供給をメーカーに義務付けています。これが進めば、部品を自分で手に入れて修理するのがより一般的になると思われます。
今回は、電化製品・電子機器のプリント基板に使われる基本的な部品について簡単にお話します。それぞれの部品がどんな働きをするものなのか、わかるようになるかもしれません。
基板には、スイッチや液晶パネル,コネクターなど、パッと見て働きが判別できるものと、そうでないものがあります。この記事では、判別しにくいものをピックアップし、その働きと見分け方を説明します。
- 抵抗器
- コンデンサー
- コイル
- ダイオード
- トランジスター
それぞれの名前はどこかで聞いたことがあるかもしれません。
性質や動作の違いから、抵抗器,コンデンサーおよびコイルを “受動素子”、ダイオードおよびトランジスターを “能動素子” と呼んだりもします。
抵抗器
写真は “炭素皮膜抵抗 (カーボン抵抗)” と呼ばれるものです。基板には、ほぼ必ず使われるメジャーな部品です。
抵抗器の働きは……
- 電流を妨げる
- 電圧を下げる (分圧)
分けて書きましたが、原理的には同じです。電圧が下がるから電流が流れにくくなるのです。
基板には、“Resistance (抵抗)” から“R1” などと表示されます。数字は通し番号などです。
上の写真のようなチップ型の部品の場合、部品本体からの判別は難しいので、基板の表示を参考にします。(ほかの部品も同じ)
ここでは詳しく説明しませんが、縞々の色で抵抗の大きさ (Ω) と、精度を表します。
特殊なものには、“ヒューズ” の機能を持つものもあります。
コンデンサー
円筒形の部品が “アルミ電解コンデンサー” です。
コンデンサーは、“キャパシター” と呼ばれることもあります。
コンデンサーは……
- 電荷を蓄える・放出する (充電・放電)
- 電圧を安定させる
- 直流成分をブロックする
- 交流成分を流す
- (コイルと合わせて) 共振回路
コンデンサーの使いみちは大きく4種類に分けられます。
ひとつは充放電の用途で、蓄えた電荷を電源として使います。例えば、カメラのストロボ回路です。
ふたつめは、電圧の安定化です。電源の電圧の上下を、コンデンサーの充放電が吸収します。ACアダプターはこの用途です。
みっつめは、ノイズの除去です。
コンデンサーには、“直流を流さず、周波数が高い交流ほど流しやすい” という性質があります。つまり、直流に混じった交流成分 (ノイズ) のみを逃してやることができるのです。(ローパスフィルター)
最後は、上記と逆の使い方で、交流成分と直流成分が混じった電源から直流成分のみを取り除く用途です。
具体的には、ハイパスフィルターやカップリング回路があります。
コンデンサーは種類が多いので、特徴的なものを紹介します。
↑左は “セラミックコンデンサー”、真ん中と右のふたつ (茶色) は “フィルムコンデンサー”。
↑左は “セラミックコンデンサー”、右は “アルミ電解コンデンサー”。電解コンデンサーには、プラスとマイナスの極性が指定されます。
特殊なものに、“可変コンデンサー (バリコン)” があります。これは、コンデンサーの容量 (静電容量) を変えられるタイプで、ラジオの同調回路に使われます。
基板には、“Capacitor (キャパシター)” から“C1” などと表示されます。数字は通し番号などです。
また、一部のコンデンサーには、静電容量の表示もあります。本体に、“pF”(ピコファラド) や “μF”(マイクロファラド) があればコンデンサーで間違いないです。
コンデンサーのうち、“電解コンデンサー” には寿命があります。電解液が蒸発し、容量がなくなることで故障となります。
コイル
コイルと言っても、ポケモンではありませんよ(笑)
“トロイダルコイル” です。銅線が巻かれている様子がわかります。
コイルは、“チョーク”,“インダクター” とも呼ばれます。分野によって呼び名が変わるようです。
- 電流の変化を妨げる
- 磁気のエネルギーを蓄える
- 周波数が高いほど電流が流れにくい (ノイズフィルター)
- (コンデンサーと合わせて) 共振回路
コイルに電流が流れると、磁力が発生します。逆に、磁力がコイルに当たると、電流が流れます。(電磁誘導)
電流によって磁力が発生した結果、その磁力によって逆向きに電圧が発生し、もとの電流の変化を妨げます。これがコイルの働きです。
コイルによって発生した電圧を利用する回路には、“スイッチング回路” があります。ソーラー発電で使う “DC/DCコンバーター” にも使われます。
また、コイルは、電源の周波数が高い (電流の変化が速い) ほど、電流が流れにくくなるので、ノイズを取り除く “ノイズフィルター”に使われます。
特殊な使い方としては、AMラジオのバーアンテナがあります。
さて、コイルとコンデンサーを組み合わせた回路は、特定の周波数で “共振現象” が発生します。
具体的には、電流が流れやすくなったり (直列共振回路)、逆に流れにくくなったり (並列共振回路) です。
とくに、バーアンテナ (同調コイル) と、容量を変えられるバリコンを組み合わせると、特定の周波数を選択することができます。これがラジオの “同調回路” です。
基板には、“L1” などと表示されることが多いです。これは、コイルに関する法則を発見した研究者、レンツ (Lenz) さんに由来するとされます。
抵抗器によく似たコイルもあります。
ダイオード
もっとも一般的なダイオードである、“整流用シリコンダイオード” です。
整流用ダイオードを4つ組み合わせたものを “ブリッジダイオード” と言って、交流を直流に変換するために使います。
ただし、“〇〇ダイオード” という部品は、いくつかあります。簡単に紹介します。
- 整流用ダイオード:電流を一方通行にする。材料によって種類がある
- 発光ダイオード (LED):電気エネルギーの一部が光に変換される
- フォトダイオード:光が当たると電流が流れやすくなる (光電効果)
- 定電圧ダイオード (ツェナーダイオード):一定の電圧に達すると電流が流れやすくなる
- 定電流ダイオード (CRD):電圧が変化しても電流は一定
詳しい説明は別の記事にゆずるとして、さまざまなダイオードの見た目を紹介しておきます。
↑まずは、定電圧ダイオードです。
↑整流用ダイオードです。左はショットキーバリアダイオード、右がゲルマニウムダイオード。
ショットキーバリアダイオードは、ソーラー発電の “逆流防止ダイオード” として使われます。
ゲルマニウムダイオードは、主にラジオ用です。
↑左から、定電流ダイオード、発光ダイオード、フォトダイオード。
見た目で種類がわかるのは、発光ダイオードとフォトダイオードだけです。(ただし、LEDみたいなフォトダイオード・フォトトランジスターもあります)
基板には、“Diode” から、“D1” などと表示されます。
ただし、発光ダイオード (Light Emitting Diode) を “LED1”、定電圧ダイオード (Zener Diode) を “ZD1” などとしている場合もあります。
トランジスター
“バイポーラトランジスター” 。半円に三本足が特徴です。
- 回路をオンオフする (スイッチング)
- 電流を増幅する
トランジスターの基本動作は、電流によってほかの回路をオンオフすることです。
音響機器のマイクやアンプ,ラジオは、微弱な電流によって、大電流の回路をオンオフする “増幅回路” にトランジスターを用います。
近年では、下のような “境界効果トランジスター (FET)” というのも使われます。
“金属酸化膜半導体電界効果トランジスター (MOS-FET)”。こちらは、電流ではなく電圧によってオンオフし、消費電力が小さいという特徴があります。
ソーラー発電の “DC/ACインバーター” にも使われます。
トランジスターの基板の表示はいくつかあります。
- “Tr1”:Transistorから
- “Q1”:Quartz (クォーツ,石英) から
- “U1”:Unit (ユニット) から
“Q” と “U” は、“IC”(集積回路) など、トランジスター以外の部品を示すこともあります。
とりあえず以上です。
今後は、『ニートと学ぶ電子回路』と題し、“ブレッドボードの使い方” や “LED点灯回路” について語ろうかなと思います。役に立たない知識ですが、ヒマのある人はどうか付き合ってください。
閲覧ありがとうございました。
- 2022-10-12
- 内部リンクを追加 2023/3/11
- 訂正:“読んだり→呼んだり”
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