定電流ダイオードを使うLEDの点灯回路
- 2022/09/22
- 23:31
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電子工作の続編です。
オフグリッド・ソーラー発電の電気を使って、LED (発光ダイオード) を点灯させる方法です。
今回は、“定電流ダイオード (CRD)” を使ったLED点灯回路を紹介します。
電球とLEDのちがい
まずは、LEDの点灯に定電流ダイオードがなぜ必要かを知るために、電球とLEDの比較です。
LEDが普及する前、電池で使える光源といえば、電球でした。
電池と電線と電球をつないだら光るというのは、小学校の理科で習ったはずです。
電球は、電源の電圧の変化に対して、電球を流れる電流が素直に変化するため、電圧の管理 (電池の本数) だけで点灯させることができました。
翻って、LEDは電流の変化が素直ではありません。
LEDにかかる電圧が一定に達すると、ワッと電流が流れる、という性質を持つのです。
そのまま電流を流すと、LEDは焼けて壊れてしまいます。
ですから、電流を制限する必要があるのです。
電流を制限する方法は、定電流ダイオードか抵抗器を使うのが一般的です。
- 電球は指定された個数の電池をつなぐだけでよい
- LEDは電流が急に増えるため、電流の制限が必要
- 定電流ダイオードや抵抗器を使う
定電流ダイオードとは
今回は、LEDの電流制限に “定電流ダイオード” を使うお話です。(抵抗器は次回の予定)
定電流ダイオードとは、その名のとおり、電流を一定に保つ部品です。
定電流ダイオードの詳しい仕組みについては割愛しますが、前々回の記事で紹介した “電界効果トランジスター (FET)” が内部に使われており、純粋なダイオードではありません。
定電流ダイオードを使った回路には、次の特徴があります。
- 電流や抵抗の計算が不要
- 電源の電圧が変化しても、明るさは一定
- LEDを直列につないでも、明るさは一定
- △抵抗器よりも高価である (1個60円くらいします)
- △最大20mA (ミリアンペア) 程度の製品しかない
- △電圧降下の分は電力の損失となる
……ということで、状況とコストによって、定電流ダイオードと抵抗器を使い分けます。
定電流ダイオードを選ぶ
では、気になる定電流ダイオードの選び方です。
電流が大きければ大きいほど、LEDは明るくなります。
しかし、LEDには標準となる電流が決められており、この電流を超えると、LEDの寿命が大きく縮みます。
一般的なLEDは、15〜20mAを標準電流としていることが多いです。
定電流ダイオードは、懐中電灯や照明の用途には標準電流に近い値のものを選び、パイロットランプなど表示用にはより小さいもの (おおむね1〜10mA) を選ぶとよいです。
上に書いたのはあくまでも目安であり、本来は、LEDのスペックが記載された “データシート” が必要です。データシートは、メーカーのホームページで公開されています。
参考として、データシートの見方を説明します。
Item | Condition | Value | Unit |
---|---|---|---|
If | - | 30 | mA |
Vf | (If=20mA) | 2.1 | V |
用語の確認をしておきます。
- Item:項目
- Condition:条件
- Value:値
- Unit:単位
- If (Forward Current):順方向電流
- Vf (Forward Voltage):順方向電圧
重要なのは、“If” (順方向電流) です。この電流を超えると、LEDが焼き切れてしまいます。ここでは、30mAとなっています。
標準電流は、“Vf” (順方向電圧) の条件列にある “If” (順方向電流) ということが多いです。ここでは、20mAとなります。
また、定電流ダイオードにも最高使用電圧 (Vmax) が決められています。定電流ダイオードの両端が最高使用電圧を超えないよう注意が必要です。
- 電流が大きいほど、LEDは明るい
- 標準電流を超えると、寿命が縮みやすい
- 順方向電流 “If” の最大値を超えると壊れる
定電流ダイオードの使い方
LED点灯回路に定電流ダイオードを使う際のお話です。
まず、定電流ダイオードには、アノード (プラス側) とカソード (マイナス側) の極性があります。
カソードに線 (カソードマーク) があります。つまり、線のあるほうがマイナス側です。
下のように、図記号で表すとわかりやすいかもしれません。
なお、電流の制限効果があるのは、順方向のみです。逆方向では、内部の抵抗による微小な電圧降下だけが生じます。
極性を間違っても、基本的には定電流ダイオードは壊れませんが、その場合、LEDは壊れる可能性があります。
回路の例
いよいよ、定電流ダイオードを使ったLED点灯回路の例です。
……その前に、電源の紹介です。
- ソーラー発電の蓄電池から入力 (最大14.4V)
- 降圧コンバーター (1〜14.4V)
- 電圧計
- ブレッドボード
電源の電圧を変化させて、LEDの明るさがどう変化するかを記録します。
まずは、定電流ダイオードとLEDが一つずつの場合。もっともオーソドックスな回路です。
1.5mAという微小な電流ですが、点灯しています。
この回路で、電源の電圧を調整してみます。
上から、11V、5V、3Vです。
写真ではビミョーですが、6〜7V以上で安定しています。
次は、定電流ダイオードを並列にする場合。
合計の電流がLEDに流れるため、明るくなります。
電流の値が異なっていてもよく、並列にできる個数は無制限です。LEDの順方向電流 “If” には注意してください。
LEDを直列にする場合。
すべてのLEDに同じ電流が流れるため、すべて点灯します。
ただし、LEDの個数の上限は、電源の電圧に依存します。(次回の記事で説明する予定)
最後は、LEDを並列にする場合です。この回路はオススメしません。
LEDの特性のバラツキによって、それぞれのLEDに流れる電流が等しくならないことがあります。
このため、明るさや寿命もバラつきます。
LEDを増やしたいときは直列にするか、新しいセット (定電流ダイオードとLED) を並列にします。
定電流ダイオードを使ったLED点灯回路のお話は以上です。
次回は、抵抗器を使ったLED点灯回路です。定電流ダイオードと抵抗器の回路の比較もやります。
閲覧ありがとうございました。
- 2022-10-12
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